Japanese
NICO Touches the Walls
2015年09月号掲載
Member:光村 龍哉(Vo/Gt) 古村 大介(Gt) 坂倉 心悟(Ba) 対馬 祥太郎(Dr)
Interviewer:山口 智男
-この曲はスライド・ギターが聴きどころではないか、と。
古村:新しい要素としてはまさに。これまでもスライド・ギターを入れることはあったんですけど、最初から最後までスライド・ギター1本で通すのは俺の中では挑戦でした。光っちゃんが30になるっていう決意の曲ってところで、その決意がバンド・サウンドでも感じられたら、よりいいなと思ったんですよ。最初はスライド・ギターを入れないアレンジを考えてたんですけど、見たい景色が違うなってところから相談していく中で1回、試しにオープン・チューニングでスライドを入れてみたら、その感じが新しいってことになって......新しいってことになったのはいいんですけど、オープン・チューニングでスライドするって初めてで。俺の中で、これはすごいことになるけど、やるか、やらないかって迷いがあったんです。でも、"いや、自分に気合いを入れる意味でもやろう"って決めて。バンドとしてもギターがちょっと変わったらいいと思うし、そういう変化があった方がこれからはいいだろうと思って、挑戦しました。大変だったんですけど、やってよかった。「渦と渦」もこの曲も、ライヴでどんどん奥行きや説得力が増していくと思うので、ライヴでもやりがいがあるだろうなって思ってます。 光村:最初はもっとカントリーぽくって、アコギで作ろうとは思ってたんですけど、みんなでセッションしているうちに――隙間をいっぱい作るアレンジ、ずっとやりたかったんですけど、こういう曲だからこそいいんじゃないかと思って、ベースとドラムと僕の3人で、セッションしているうちに、こういうちょっと横ノリの、ヒップホップっぽいリズムになったんですよ。ただ、隙間がいっぱい空いちゃったから、"そこは古(村)君が埋めてくれ"って言ったら、最初は困ってたんですけど、"スライドなんじゃない?"って普段やらないのに言い始めたから、"行けるの!?"って(笑)。セッションする中で変わっていったところが大きいんですけど、想像以上に発展していきましたね。この曲、僕すごく好きで。長年テーマにしていた、隙間のあるアレンジの曲なんで、できた瞬間、これめっちゃ新しいねって。 坂倉:バンドとしては20代のうちにできてよかったと思えるアレンジなんですけど、楽器を弾いてる僕らからすると、隙間って結構怖かったりするんですよ。でも、そこはアコースティック・アルバムを作った経験が役立ちましたね。歌を軸にしているという意味でも、いいアレンジができたと思います。
-そして、「ラーメンたべたい」。
光村:この曲は、奥田民生さんも素晴らしいカバーしてるし、矢野顕子さんご本人が上原ひろみさんとものすごいセルフ・カバーをやってるんですけど、僕たちは単純にこの間のツアー中、全然ラーメンが食べられなかったので。 対馬:たまってるものがあったんですよ。 光村:ツアー中にレコーディングだったんですよ。カバーどうしようかってなったとき、ラーメン食べたいよなって。
-それホントですか!?
光村:ホントですホントです。4人ともラーメンがメチャメチャ好きなんですよ。矢野顕子さんという演奏のスペシャリストの曲だから、僕たちがそこに張り合うのはおこがましいので、とにかくラーメン愛だけ詰め込もうって。男目線でラーメンへのひたすらな偏愛を凝縮してレコーディングしました。
-大胆にスカにアレンジしていることを考えると、うねるリズムが聴きどころではないかと。
光村:それもありますけど、心底ラーメンを食べたいと思ってる切実な気持ちと曲が後半に行けば行くほど、ラーメンが食べたくておかしくなっていく歌のストーリーは共感してもらえるんじゃないかって思います。
-ああ。後半、リズムがサンバっぽくなってますね。
光村:とにかく食べたいんでしょうね(笑)。
-ツアー中、ラーメンって食べられないんですか?
対馬:やっぱり土地土地の名物をいただきたいじゃないですか。 光村:全国をツアーするの2年ぶりだったし。でも、ツアーが進んでいって、5~6日、東京に帰れないと、もう3日目ぐらいには東京のラーメンが食べたいと思ってました。東京のラーメンってすごい。東京にしかないんですよ。パンクっていうかオルタナっていうか、オリジナルなものがある。だから禁断症状みたいなものが出てくるんですよね。
-それでシタールが鳴っているわけですね(笑)?
古村:それぐらい食べたいんです(笑)。レコーディングも俺は麺だとか、スープだとかイメージ担当を決めて、何ラーメンを作るかみたいな話もして。
-ホントですか!?
古村:マジですマジです。 光村:エンジニアさんも"これは塩ラーメンかな"って(笑)。 古村:それが楽しくなればなるほど、実際に曲が良くなっていきましたね(笑)。
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