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INTERVIEW

Japanese

PELICAN FANCLUB

2015年08月号掲載

PELICAN FANCLUB

Member:エンドウ アンリ(Gt/Vo) クルマダ ヤスフミ(Gt) カミヤマ リョウタツ(Ba) シミズ ヒロフミ(Dr)

Interviewer:山元 翔一

"ドリームウェーブ"という言葉を掲げ、甘酸っぱいメロディと内省的な歌詞をキラキラした音像のギター・ポップに落とし込むという、イノセントな輝きを湛えた等身大のサウンドを前作『ANALOG』で見せてくれたPELICAN FANCLUB。約半年振りのリリースとなる、セルフ・タイトル作『PELICAN FANCLUB』は、ニュー・ウェーヴやUSインディーの要素を色濃く映し、音楽的深度をさらに深めた作品に仕上がった。そして、まだ仄かに残る青さを覗かせつつも、客観的な視点で対象となる事物を抽象的、且つ、文学的に描き出す懐の深い歌詞で聴き手を翻弄する今作。恐ろしいほどの成長を見せつけてくれた4人の現在地と圧倒的に強度を増したその音楽性に迫る。

-2015年1月リリースの1stミニ・アルバム『ANALOG』に続いてのインタビューとなりますが、まず前作の手応えはいかがでしたか?

エンドウ:この『ANALOG』という作品を出したことで、こういったキラキラした作品を作るということに対して自分の中でひとつケジメがつけられたというか。この作品で少し満足できたかなというのはありますね。聴いてくれた人にはそういう煌びやかさみたいなものは伝わったのかなと。

カミヤマ:TOWER RECORDS限定という形ではありましたけど、自分たちの音楽が全国流通されたアルバム単位では最初の作品だったので、初めての気負いみたいなものはありましたけど1枚目としていいアルバムが出せたなと思います。

シミズ:これが世の中に出る初めてのアルバムだったので、この曲がいい、あの曲がいいっていうようなお客さんの反応もリアルに受け止められたなっていう気がしますね。

クルマダ:まだ手にとってもらっていない人もたくさんいるかと思いますが、この曲を出したことで逆にいろいろ見えた部分はあったので......そういう意味でも手応えはありましたね。

-個人的な感想で言うと、エンドウさんもおっしゃっていましたがキラキラしたサウンドで、且つ、イノセントな等身大の青さがある作品に仕上がったのかなと。

エンドウ:僕もそう思っています。それが当時の作りたかった作品ではあったので、そういった意味では狙い通りのものができたかなと。でも、100%ではなかったんですよね。教訓が得られたり、次はこうしたいとか――『ANALOG』を出したことによって今まで以上に欲求が増えてきたというか。

-100%ではなかったという部分に関してどういったところが足りなかったのでしょう。

エンドウ:できあがった作品を聴いて......当時はやりきったという感覚ではあったんですけど。お客さんによく"音源とライヴが違う""音源は大人しいけどライヴでは荒々しい"って言われるんですけど、そういう部分は音源にパッケージングできなかったんだなって。いい意味では裏切る形でやっていけるというか、そこはひとつギャップというかフックとなる部分ではあるんですけど、それをCDでやるべきだなって思ったんです。

-ライヴでの荒々しさという部分は今作で表出していますよね。例えばTrack.2の「プラモデル」はわかりやすいですよね。

エンドウ:そうですね、曲単位でもそうですし、レコーディング環境も変わったので。前作よりも奥行きのある立体的なサウンドになって、ライヴに近づくというかヒリヒリした緊張感みたいなものを表現できたという点は前回と大きく違いますね。

-なるほど。前作が20代前半の等身大さというか、背伸びしていない音がしっかりパッケージングされた作品でしたが、それに比べて今作は、すごく洗練された、音源としてのクオリティが格段に飛躍した作品に仕上がっていると感じました。実際、今作を聴いてちょっとびっくりしました。

カミヤマ:1回目のレコーディングで学んだことを今回のレコーディングに活かそうというところがあったんです。例えば、前回のアルバムでは何テイクも録って細かくエディットしたりしたんですが、今回はライヴの荒々しさを表現するためにその場の空気感を上手くパッケージングした作品にする方がいいんじゃないかなという話になって。そういうサウンド面で勉強になって、一段階いいものに仕上がったなと思います。

-今回は衝動的な部分が音に表れていますよね。それは意図したところだったと。

全員:そうですね。

シミズ:前回とは格段に違うなっていうのはミックス・ルームにいたときから感じていて。本当にわくわくしています。これは全員が感じていることなんですけどとても自信の持てるアルバムができたなと。

クルマダ:実際、ベーシックな録りの段階でも3~4テイクでやって。あとはどうしてもここはっていう部分しか録り直していないので、そういった点では自分たちらしくできたなと手応えを感じています。

-ライヴからのフィードバックというような話でいうと、4月10日には下北沢SHELTERでワンマンを行いましたが、この日のライヴはいかがでした?

エンドウ:この日は、俗に言う"古臭さ(=ANALOG)"っていうテーマ――前作には"継続(=ANALOG)"という意味も込めたんですが――に沿ったものにしたかったので、視覚的な部分では会場にブラウン管を置いたり、聴覚的には『ANALOG』というアルバムの楽曲を聴いてもらって。この日もやっぱり、『ANALOG』というアルバムを出したときと同じで教訓がたくさんあって。今後、何かを4人だけでするということに対する欲求はすごく大きくなりました。

-お客さんの反応は実際どうだったんですか?

エンドウ:わかんないです(笑)。

一同:(笑)

エンドウ:あんまり気にしてなかったです。どうだったんですか?

シミズ:僕は結構お客さんの表情をひとりひとり見るんですけど、感動してくれているなっていう方もいたりびっくりしてる方もいたりで。いい意味で印象に残ったんじゃないかなって。

エンドウ:あ、そうそう。その日のお客さんは自分たちしか観に来てないということが嬉しかったですね。お客さんに"魅せる"ということを徹底した、画面の中にいるということを意識したライヴでしたね。