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PELICAN FANCLUB

Skream! マガジン 2021年04月号掲載

PELICAN FANCLUB

Official Site

サイダーガール

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2021.03.05 @Veats Shibuya

Reported by 伊藤 美咲 Photo by AZUSA TAKADA

PELICAN FANCLUBが3月5日、Veats Shibuyaにて"PELICAN FANCLUB 2man tour -波長-"の東京公演を開催した。この日、ツーマン・ツアーのゲストとして呼ばれたのは、サイダーガール。この日初となる対バンを見ようと多くの人が駆けつけ、チケットはソールド・アウトした。本公演のPELICAN FANCLUBのライヴ・パフォーマンスでは、メンバー3人が向き合って演奏するシーンがたびたび見受けられたのが印象的で、その姿はまさに"波長"を合わせているのかのようだった。本ツアーのタイトルには、メンバーやゲスト・バンド、リスナーとの波長をライヴハウスにて再確認するという意味も込められていたのではないだろうか。

開演時間になり、まずステージに登場したのはサイダーガール。爽やかなアップ・ナンバー「エバーグリーン」でライヴの幕を開け、続けて代表曲「ドラマチック」を鳴らす。Yurin(Vo/Gt)によるMCでは、エンドウアンリ(PELICAN FANCLUB/Vo/Gt)とは3年ほど前からの飲み友であり、"リハを見て本当にこの人バンドやってたんだと思った"というエピソードも明かされた。中盤にはフジムラ(Ba)のジャジーなベース音が心地よいダンサブルな「化物」で、(ソーシャル・ディスタンスを保ちつつも)満員のフロアを躍らせる。さらに、大切な人を想起させるメロウなミドル・ナンバー「シンクロ」や、ワウのかかったギター・サウンドが印象的な「ID」、ハイテンションでポップな「週刊少年ゾンビ」など全8曲を披露し、会場を十分に温めてステージをあとにした。

サイダーガールとバトンタッチしたPELICAN FANCLUBが、グリーンのライトに照らされながら登場。エンドウとカミヤマリョウタツ(Ba)が、シミズヒロフミ(Dr)に向き合う形で音を鳴らし始め、ゆったりとしたテンポながらもリズミカルな「Girlfriend In A Coma」でライヴがスタートした。サイダーガールのパフォーマンスで現場がすでに温まっていたのもあり、1曲目から観客も身体を揺らして音を楽しんでいるようだ。続けて、何かに新しく挑戦する人に向けて書かれたドラマチックな楽曲「Amulet Song」、まっすぐに突き抜けるようなロック・ナンバー「三原色」と、聴き手を高揚させる曲を畳み掛けていく。

ドラム・ソロからスタートする「VVAVE」では、エンドウとカミヤマが向かい合って演奏するプレイも見せつつ、洗練されたアンサンブルで観客を魅了。そのあと「ハイネ」では、リフレインする歌詞と紫や黄色のライトによって彩られたステージが相まって、サイケデリックな雰囲気を作り出す。エンドウが"3月になると学生の頃を思い出します"と言って、学生時代の思い出を歌った懐かしくも儚い楽曲「100年前」の演奏を始めると、先ほどまでの派手やかな雰囲気とは一転し、過去をひとつひとつなぞりつつも大切にしまうかのように歌い上げるエンドウの歌に、その場にいた誰もが聴き入ってしまっただろう。未だ先が見えない世の中で毎日を過ごすことに精一杯になっていたが、時には過去を振り返る時間があってもいいのかな、と自身の学生時代を思い出し、エモーショナルな気持ちになった。

"初めて聴く曲でも身体が勝手に動けばいい曲だと思います"とエンドウによる前置きのもと、新曲が披露された。その言葉どおり初見でもイントロから自然にリズムに乗れるようなアップ・ナンバーで、すぐに会場には一体感が生まれていた。その盛り上がりのまま奏でられた「Day in Day out」では、フロア全体から突き上げられた拳がとても力強く、観客側は依然として声が出せない状況であるはずなのに、まるで一緒にシンガロングしているかのように錯覚するような感覚があり、圧巻の景色であった。MCなどであまり多くの言葉を語らない彼らだったが、表情や動きからライヴを全力で楽しみ、気分が高揚していることが伝わってくる。会場の温度が最高潮に達しているタイミングで、疾走感溢れる「ディザイア」をドロップ。曲のスタートと同時に手拍子が鳴り、筆者自身の気持ちもさらに昂る感覚がしっかりとあった。そのあとのMCではエンドウが、音楽のために足を運ぶのは前向きな行動であると話す。加えて半年ぶりとなった東京でのライヴに来てくれたことへの感謝を述べ、繋がりを大事にした歌であり、この日2曲目となる新曲を届ける。そして、本公演で彼らがラストに持ってきたのはバラード曲「to her」。天井のライトがエンドウを照らす姿は、まるで陽の光が降り注いでいるかのようだった。美しくも切ない歌詞とメロディが身体に染みわたり、演奏が終わって余韻に浸るなか、エンドウがステージの去り際に春のワンマン・ツアーの開催を告知。今回のツーマン・ツアーで波長を再確認した彼らは、これからも音楽で新たな世界を見せてくれる。そんな予感がした。

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