
Japanese
UKFC on the Road 2015 DAY1
Skream! マガジン 2015年09月号掲載

2015.08.18 @新木場STUDIO COAST
Writer 山元 翔一
UK.PROJECT主催のイベント"UKFC on the Road"も今年で5回目の開催。今年は"交流と発展"をテーマに掲げ、UK.PROJECTの所属にこだわらず、"尊敬する先輩"や"気鋭の超新星"を広く外から招いて開催。外からはストレイテナーやORANGE RANGE、downyやキュウソネコカミ、そしてUK.PROJECTから独立して約2年が経過した"盟友"THE NOVEMBERSが"里帰り"的に出演。加えてイギリスからMARMOZETSを招聘するなど、ますますUK.PROJECTならではのカラーを打ち出したオリジナルなフェスティバルの様相を呈していた。今回は2日間の中でもレーベルの未来を担うニューカマーが主に登場する"FUTURE STAGE"に登場したバンドのレポートを届ける。
asobius
"未来"というのは突然目の前に現れるのではなく、"過去"と地続きにある"現在"の連続の先にあるものだ。UK.PROJECTという、日本のロック・シーンの歴史とともに歩んできたと言えるレーベル/プロダクションによる主催イベント"UKFC on the Road"。asobiusは、その意義深いイベントにおいて"未来"という意味を冠するステージ、"FUTURE STAGE"のトップバッターとして出演を果たした。
彼らのステージは叙情的なアルペジオが印象的な「fireflower」で幕を開けた。USエモ的な美しさと気高さ、COLDPLAYらが鳴らすような会場にいるすべての人の心を震わせるあたたかさが同居するサウンドが新木場STUDIO COASTに響き渡る。彼らの音楽はパッケージ向きの音楽であるとこれまで思っていたのだが、ライヴでも生々しく響かせるバンドの地力を初っ端から見せつけられた。語りかけるように歌い、そして全身で音楽を表現する甲斐一斗(Vo)とバンドの発するおおらかなグルーヴが心地よい「window」、サンバ・ビートで溢れる喜びを描く「love of blue」が続く。
"いつかワンマンでこの舞台に立って、またみんなとここで会いたい"と、UKFC on the Roadはまだ夢の途中でしかないという彼らの意思をフロアと共有。そしてここ新木場STUDIO COASTのステージでさえも収まりきらないスケール感の「starlight」を披露した。最後に演奏された「大停電の夜に」では、自然に手拍子が湧き、一体感がフロアを包み込んだ。――折れてしまいそうになる心を奮い立たせる力がasobiusの音楽にはある。それは、自分たちの信じる音楽を鳴らす誠実さと、自身の思いをまっすぐ言葉にできる強さがあるからではないだろうか。そう自然に思えてくるステージだった。
DATS
"We are DATS. Here we go"と言い放ってステージに現れたのは、ロサンゼルスで生まれワシントンD.C.で育ったという杉本亘(Vo/Gt)を中心に結成されたDATS。FUTURE STAGEの出演者の中でもまだ知名度のない、6月に初の全国流通作『DIVE』をリリースしたばかりの4人組なのだが、彼らの鳴らす音楽はこの日の出演したどのアーティストにも引けをとらないポテンシャルを秘めている。全6曲というセットではあったが、そう感じさせるには十分なステージであった。
シューゲイザーやギター・ポップの系譜にあるイノセンス、00年代後半以降のUS/UKインディーを軸とし、ディスコやハウスの要素も感じさせる横断的なサウンド、そしてベッドルーム・ミュージック的な親密さのある質感でもって空気を染め上げた冒頭3曲、「Goodbye」「Painting」「Heartbeat」で心をグッと掴まれる。音数の少ないシンプルな演奏に、メロディの抜群さが一層引き立つ。
エモ/USインディー色の強い「Six feet under」を披露。ここで改めて"DATSと申します"と自己紹介しながらも、このタイミングで写真撮影を始めるというクールなイメージとは裏腹の奔放さを感じさせる一幕も。その後、ベースとドラムの高まる結束感で一気にバンドの持つグルーヴが引き出された「Some boy」で観客を心地よく横に揺らす。そして最後はUKとオリエンタルの橋渡し的なギター・リフの絡み合い、前につんのめるビートで耳にも身体にも訴えかける「Candy girl」でステージを締めた。
まだバンドとしてこれからという部分も見受けられたステージであったが、ソングライティングのセンスだけでも十分魅せられる彼らのポテンシャルの高さは特筆すべきことだろう。彼らが真の意味でベッドルームから飛び出し、強固なバンド・アンサンブルを手に入れたとき、日本の音楽に新たな未来が訪れるのかもしれないと静かに感じさせられた。
PELICAN FANCLUB
衝動的なライヴだった。PELICAN FANCLUB、念願のUKFC on the Roadの初ステージでは、自らの殻を突き破ろうとするバンドの生々しい姿と、音楽を心から楽しむ無邪気で瑞々しい4人の少年のようなまなざしの両方が確認できた。
この日のライヴのちょうど2週間前にリリースされたDAIZAWA RECORDSからのデビュー作『PELICAN FANCLUB』の始まりと同じく「Chilico」「プラモデル」でステージはスタート。彼らが作品に込めて我々に届けるバンド像と、ライヴにおける実像は大きく異なるということを見せつける。聴くものに様々なイメージを喚起させる歌詞や知性を以って構築される立体的なサウンドに加え、ライヴではむき出しの衝動の発露たる荒々しいバンドの姿が現れる。この二面性がバンドの本質であり、彼らが音楽をひとつの芸術として我々に届けるにあたって根底に存在する方法論のようにも思えた。
そして先のセルフ・タイトル作の精神をもっともよく体現する「Dali」が披露される。エンドウアンリ(Gt/Vo)の伸びやかな歌声、カミヤマリョウタツ(Ba)とシミズヒロフミ(Dr)の生み出すシンプルながら高揚感のあるビート、そしてクルマダヤスフミ(Gt)の流麗且つきらびやかなギター・ワークというバンドの持つシンプルな魅力をアピール。その後、「Capsule Hotel」「Telepath Telepath」といったバンド初期の楽曲をプレイし、最後は「1992」でイノセンスを湛えた多幸感溢れる音像で会場を満たした。
短いセットながら改めてPELICAN FANCLUBは面白いバンドだと思わされたライヴだった。知性と凶暴性の共存、音楽のための音楽を鳴らしているように見えてその実、エンドウアンリという若き芸術家の精神性に根ざした言葉を隅々まで張り巡らすバンドとしての在り方――彼らが未来への可能性を感じさせる逸材であることは間違いないだろう。
Cettia
男たちの熱い思いがぶつかり合うライヴが繰り広げられるUKFC on the Roadにおいて、数少ない女性アクトとなったCettia。彼女はいわゆる"ギター女子"なる括りで取りざたされるシンガー・ソングライターの中でも珍しいタイプのアーティストだと思う。というよりも彼女はまったく性質の違うアーティストだ。なぜか?それは不必要に叙情や感傷に逃げることなく、自身の言葉でまっすぐに音楽を届けることができる"強さ"を秘めているからだと思う。ブレることのない芯のたしかさと誠実に音楽に向き合う凛とした姿。そしてそれは単なる等身大でも背伸びでもなく、Cettiaというひとりの人間から自然に滲む"強さ"を見る者に印象づけるものであった。そして彼女のそういった素質を早くから見抜くUK.PROJECTはさすがだなと感服させられた。
オープニングはやさしさと青さでぎゅっと包み込むような「スワロウ」。そして立て続けにひりついた焦燥と叙情が共生する「スピレイ」、"帰るべき場所"について歌う、ある種の決意とメランコリーがせめぎあう疾走チューン「ララバイグッバイ」を披露。LOST IN TIMEの大岡源一郎(Dr/Cho)を迎えた「SOAR」が続く。期待と不安の入り混じる未来をたしかな現実に変えるべく、思いや願いも抱えたまま、まっすぐ前を見て走り抜ける楽曲に、大岡の力強く優しく寄り添うようなコーラスが加わる、この日ならではの演奏に胸を打たれた。
最後は、「escha」のアコースティック・ギター1本による弾き語り。ここでは、"わたしの弱さはあなたのもの/あなたの弱さもわたしのもの"と歌う彼女。強さの本質は、自分の弱さを認めることである、ということをたやすく体現してしまう。それはCettiaが一介の女性シンガー・ソングライターではないことを静かに証明して見せた瞬間であった。
LOST IN TIME
ここまでUK.PROJECTの未来を担う4組の演奏が披露されてきたFUTURE STAGE。このステージの初日の最後を飾ったのは14年にわたって活動を続けるLOST IN TIMEだ。2002年に1stアルバム『冬空と君の手』でデビューして以来、13年間 UK.PROJECTに所属し続ける生え抜きのバンド。筆者はこのFUTURE STAGEに未来そのものというよりも、"過去・現在から地続きにある未来"という意味を見出したのだが、初々しい新人たちが出演したあとに、10年選手のLOST IN TIMEが堂々と音を鳴らしたことはそれだけで大きな意味のあることのように思えた。
サウンド・チェックもそこそこに"みなさんがよければもう始めますよ"と海北大輔(Vo/Ba/Pf)がひと言添えて「366」でスタート。メイン・ステージと比べてしまうとやや物足りなさを感じさせるサブステージのサウンド・セットでありながら、たった3人の発する音だけで、新木場STUDIO COASTをフルで鳴らす力強い音像に驚かされた。"誰しもが振り返り道のりの長さに驚いて/これで良かったのかと/心を揺らす 30"という飾り気なくとも胸を震わせる言葉が歌われる「30」、細やかなストーリー・テリングの「Syntheses」、三井律郎のソリッドなギターと海北のひりついたヴォーカルの冴えるロッキンな「No caster」を続けて演奏。その後、"U・K・F・Cーー!!"の雄たけびとともにリリカルなヴォーカル・ワークの「希望」を披露すると、フロアも拳を掲げて熱く応える。てらいも装飾もなくまっすぐに心を響かせる海北のヴォーカル、そしてそれに添い遂げるような大岡源一郎のドラムと三井のギターというLOST IN TIMEの魅力がぎゅっと詰まった演奏であった。そして、会場に集まったすべての人の街の歌だという「燈る街」で柔らかな郷愁と情感がフロアを満たし、終幕を迎えた。LOST IN TIMEというバンドの強さ、そして何より海北大輔という男のメロディ・メーカーとしての才覚を改めて気づかされたステージであった。
- 1
LIVE INFO
- 2025.06.24
-
にしな
星野源
ビッケブランカ
キノコホテル
きのホ。×POLYSICS
ExWHYZ
リュックと添い寝ごはん
Devil ANTHEM.
"LIVEHOLIC 10th Anniversary series~Miracle PON☆〜"
- 2025.06.25
-
オレンジスパイニクラブ
ザ・シスターズハイ
SHE'S
星野源
TenTwenty
Czecho No Republic
PEDRO×詩羽
People In The Box
斉藤和義
岡崎体育
- 2025.06.26
-
Creepy Nuts
ザ・シスターズハイ
ヤングスキニー
怒髪天
ドミコ
TENDOUJI
the dadadadys
斉藤和義
WANIMA
岡崎体育
にしな
プルスタンス / Navy HERETIC / cherie / ライティライト
- 2025.06.27
-
四星球
Creepy Nuts
GOOD ON THE REEL
Subway Daydream
東京スカパラダイスオーケストラ
ビッケブランカ
the shes gone
The Slumbers
GLIM SPANKY
オレンジスパイニクラブ
女王蜂
ポルカドットスティングレイ
ドミコ
フリージアン
サイダーガール
TENDOUJI
Nothing's Carved In Stone
荒谷翔大
yama × 群馬交響楽団
chilldspot
WHISPER OUT LOUD / Good Grief / CrowsAlive / UNMASK aLIVE
Amber's × シズクノメ
空白ごっこ
WANIMA
岡崎体育
"LIVEHOLIC 10th Anniversary series~ナニカシラ presents sunriseeee!!!!〜"
- 2025.06.28
-
眉村ちあき
女王蜂
鶴
LOCAL CONNECT
竹内アンナ
GRAPEVINE
怒髪天
[Alexandros]
Lucky Kilimanjaro
Organic Call
浅井健一
"CRAFTLAND"
チリヌルヲワカ
the shes gone
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
OKAMOTO'S / w.o.d. / MONO NO AWARE / Laura day romance ほか
いゔどっと
いきものがかり
ASP
コレサワ
ドレスコーズ
神はサイコロを振らない
Laughing Hick
荒谷翔大
福永浩平(雨のパレード)
FINLANDS
the dadadadys
私立恵比寿中学
スカート
ゴキゲン帝国
礼賛
ORCALAND
"World DJ Festival Japan 2025"
ネクライトーキー
FIVE NEW OLD
斉藤和義
sumika
"TAKASAKI CITY ROCK FES.2025"
忘れらんねえよ / BLUE ENCOUNT / ヒトリエ / 打首獄門同好会 ほか
Halo at 四畳半
TGMX(FRONTIER BACKYARD etc.)
岡崎体育
Novelbright
- 2025.06.29
-
眉村ちあき
アルコサイト
ヤングスキニー
ブランデー戦記
鶴
竹内アンナ
GRAPEVINE
[Alexandros]
HEP BURN
GLIM SPANKY
怒髪天
FINLANDS
Lucky Kilimanjaro
ネクライトーキー
東京スカパラダイスオーケストラ
浅井健一
Chimothy→
SVEN(fox capture plan)
いゔどっと
大原櫻子
荒谷翔大
reGretGirl
ドレスコーズ
VOI SQUARE CAT
終活クラブ
サイダーガール
ポルカドットスティングレイ
いきものがかり
ASP
コレサワ
清 竜人25
私立恵比寿中学
"World DJ Festival Japan 2025"
おいしくるメロンパン
斉藤和義
sumika
"TAKASAKI CITY ROCK FES.2025"
yutori
岡崎体育
Nothing's Carved In Stone
Novelbright
- 2025.06.30
-
Dear Chambers
清 竜人TOWN
浜崎容子(アーバンギャルド)
Hump Back
岡崎体育
- 2025.07.01
-
ビレッジマンズストア
Mirror,Mirror
岡崎体育
- 2025.07.02
-
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
SHE'S
Saucy Dog
Hump Back
Laura day romance × Billyrrom
Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)/ 寺中友将(KEYTALK)/ 谷口 鮪(KANA-BOON)/ アユニ・D(PEDRO)
ドミコ
岡崎体育
- 2025.07.03
-
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
斉藤和義
go!go!vanillas
蒼山幸子
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
PK shampoo
TenTwenty
Saucy Dog
ビレッジマンズストア
クジラ夜の街
KALMA
the dadadadys
神聖かまってちゃん
サカナクション
フィロソフィーのダンス×清 竜人25
岡崎体育
- 2025.07.04
-
Nothing's Carved In Stone
MAN WITH A MISSION
斉藤和義
ExWHYZ
GRAPEVINE
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
the shes gone
ビレッジマンズストア
蒼山幸子
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
女王蜂
ザ・シスターズハイ
DOLL PARTS
カナタタケヒロ(LEGO BIG MORL)
GANG PARADE
佐々木亮介(a flood of circle)
大原櫻子
緑黄色社会
ポルカドットスティングレイ
リーガルリリー
浅井健一
サカナクション
Mom
- 2025.07.05
-
Nothing's Carved In Stone
SAKANAMON
鶴
THE ORAL CIGARETTES / ヤングスキニー / 水曜日のカンパネラ ほか
reGretGirl
GLIM SPANKY
チリヌルヲワカ
キュウソネコカミ
ART-SCHOOL
コレサワ
[Alexandros]
フラワーカンパニーズ
shallm
go!go!vanillas
アーバンギャルド
ExWHYZ
FINLANDS
"見放題大阪2025"
GRAPEVINE
片平里菜
HY
SCOOBIE DO
the shes gone
怒髪天
荒谷翔大
the dadadadys
envy
サイダーガール
緑黄色社会
め組
Helsinki Lambda Club
androp
WtB
ASP
Conton Candy
The Slumbers
有村竜太朗
- 2025.07.06
-
PEDRO
Creepy Nuts
UVERworld
鶴
ビッケブランカ
sumika / Novelbright / Omoinotake ほか
荒谷翔大
reGretGirl
[Alexandros]
竹内アンナ
go!go!vanillas
ネクライトーキー
FIVE NEW OLD
DYGL × Newspeak × ANORAK!
片平里菜
PK shampoo
GLIM SPANKY
"見放題名古屋2025"
女王蜂
SCOOBIE DO
怒髪天
チリヌルヲワカ
ART-SCHOOL
Bimi
jizue
クレナズム
halca
HY
SIX LOUNGE
ドレスコーズ
LEGO BIG MORL
有村竜太朗
フラワーカンパニーズ
- 2025.07.07
-
ビレッジマンズストア
NakamuraEmi
浅井健一
- 2025.07.08
-
TENDOUJI
Hump Back
go!go!vanillas
ビレッジマンズストア
the dadadadys
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
銀杏BOYZ
- 2025.07.09
-
SHE'S
いきものがかり
Maki
山内総一郎(フジファブリック)
RELEASE INFO
- 2025.06.25
- 2025.06.27
- 2025.06.28
- 2025.07.02
- 2025.07.03
- 2025.07.04
- 2025.07.05
- 2025.07.06
- 2025.07.07
- 2025.07.08
- 2025.07.09
- 2025.07.11
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.20
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
音ノ乃のの
Skream! 2025年06月号