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INTERVIEW

Japanese

DATS

DATS

メンバー:MONJOE(Vo/Syn)

インタビュアー:TAISHI IWAMI

2019年の11月のインタビューで、MONJOEは2013年にDATSを結成した頃からその時点までの活動について、自身の過信だったと赤裸々に話してくれた。あれから約1年。彼はここに届いたニュー・アルバムを、自由な選択のうえにDATSらしさを見いだすことができた作品で、その定義がタイトルの"School"だと話す。"School"は言わずもがな"学校"という意味だが、音楽やカルチャーにおいては、"オールド・スクール"、"ニュー・スクール"といったように、その時代背景やマナーを指すこともある。では、DATSにとっての"School"とはなんなのか。その真意と作品全体の魅力を掘り下げることで見えてきた、バンドという"無駄なこと"を"意地でも続ける"理由とは。

-前回MONJOEさんにインタビューしたのは2019年の11月。2013年の結成時まで遡って、シングル『Game Over』をリリースするに至るまでのDATSの活動を振り返っていただきました。そこで、MONJOEさん自身の心境の変化、過信の増長と自省の繰り返しについて話してくださいましたが、今はどんなモードですか?

あのインタビューはすごく印象に残っています。でも、新型コロナウイルスのパンデミックがあって、それまでにDATSというバンドや自分自身の内面的な部分と向き合って試行錯誤を繰り返していたことが、遠い過去のように感じるんです。

-わかります。あまりにも状況が変わりすぎて、時間の経過に対する感覚が妙ですよね。1年にも満たない過去が、もはや懐かしく思えます。

今回のアルバムも4人で集まることは一度もなく完成しましたし。だから9月4日に9ヶ月ぶりのライヴ("Park Live")があったんですけど、メンバーのことはもちろんよく知っているのに初めて一緒に演奏するような感覚で。ある意味すごく新鮮で楽しかったです。

-リモートで制作を行ってみた感触はいかがでしたか?

もともとコロナの関係で外出を控えるようになる前から、スタジオに集まってレコーディングするよりも、各々が自宅で最初にデモを聴いたときに湧いたアイディアの鮮度が、高いうちに練ったアレンジを集めたほうがいい味が出るんじゃないかって、そういう話はしていたんです。だからみんな自宅で録音できる環境も作っていましたし、誰がどこにいても、音を聴けば意思疎通ができてある程度のクオリティまで持っていけることが、このメンバーの強みだとも思っていました。初めて完全にリモートで作ることにトライした時期が、たまたまコロナと重なりましたが、特に問題はなかったので、むしろラッキーだったなと思います。

-DATSが歩んできた10年代は、テクノロジーの発達で、メンバーがスタジオに集まって決まったパートの音を鳴らすバンドの在り方や効率性について、議論されることも多くなりましたし、90年代や00年代と比べても、時代に対して"新しくあること"へのプレッシャーが強かったように思うんです。そのことと今回の制作スタイルや音楽性が繋がっている部分はありますか?

僕はほかのアーティストのプロデュース業や、バンド以外の作曲業もあるので、おっしゃったような時代のめまぐるしい変化をキャッチできるようにアンテナを張りながら、求められたことに応えられるように努めている側面もあって、DATSもそういうベクトルで動いていた時期もありましたけど、今はないですね。それに、そんな潮流や流行を意識しないことが、2020年現在においては最も今っぽいことのような気もします。

-それは、コロナの影響で音楽業界のビジネス的なサイクルが止まり、アーティストそれぞれがパーソナリティを見つめ直すフェーズに入ったから、ということですか?

いえ。僕の肌感覚だと、ここ1~2年のことですね。例えばめちゃくちゃレトロな音楽の要素が強いバンドが新しいと評されたり、90年代に流行ったものがイケてるんじゃないかっていう流れだったり、新旧かかわらず良いものが良いものとして受け入れられるキャパシティが広がったような気がしています。ファッションもそうですよね。今の古着市場ってすごい。NIRVANAの90年代当時のTシャツにプレミアがついて、2万円とかがデフォルトになっていますし、僕も最近NINE INCH NAILSのTシャツを買いまたし。で、そういったアイテムを、今っぽいとか昔はどうとか、そういう線引きの上に合わせるというより、みんな個人のフラットな感覚でコーディネートしているように思うんです。

-フラット、すなわち自分らしい感覚で物事を自由に選択するからこその、多様性や個の輝きが面白い時代だということでしょうか。

まさにそうですね。今回のアルバムは、そういう軸での"DATSらしさ"とはなんなのかをメンバーと話し合って共有して、あえて型にはめてみる、ステイトメントのようなものの獲得を目指すところから始めました。

-前回のインタビューでも最後に"DATSというバンドのコンセプトを作り直したい"とおっしゃっていました。しかし、"DATSらしい自由な選択"を"型にはめる"というのは、どういうことでしょうか。

もともと僕らは"ダンス・ミュージックがやりたい"というだけで、一貫したサウンド・スタイルがあるわけでもなく、ただただ自由にやっていました。でも、それゆえに幅が広すぎて、面白がってくれる人がいる反面、ある曲を何かのきっかけで知って好きになってくれた人がいたとして、その曲の文脈でDATSを追ってもついていきにくいという弱点もあったように思うんです。

-多様性が特徴なら、それはそれで仕方ないと思いますが。

とはいえ、前のインタビューで話した過信じゃないですけど、果たしてそこに芯はあるのか、見つめ直すことも必要だと思うんです。

-たしかに。

そこで、僕らが今こうしてバンドをやっているエネルギーの源が、例えばRAGE AGAINST THE MACHINEやTHE 1975のような、サウンド・スタイルはそれぞれですけど、活動そのものが主義主張、ステイトメント化しているバンドへの憧れだったことに改めて気がついたんです。DATSとはなんなのかをしっかり打ち出して、新たな出発点にしたい。それが古臭かろうが新しかろうが、どっちでもいいやって、そう思えたのが今作ですね。

-そこで見えたDATS らしさとはなんですか?

そのステイトメントにあたるのが、今回のタイトル"School"です。スクール感、...なんて言ったらいいんだろう、青春とか懐かしさとかキラキラとか、伝わりにくいですよね。

-そうですね......、もうちょっと突っ込んでもらえると。

DATSというバンドが持つイメージがなんなのか考えたときにパッと出てくるのが、"青春"、"懐かしさ"、"キラキラ"、"初期衝動"といったイメージで、"スクール"という言葉はこれらのイメージをすべて孕んでいることに気がついたんです。僕らの中でスクールを感じる音楽を挙げてみると、例えばTHE JACKSON 5とか、00年代だとPHOENIXとか、最近だとさっきも言ったTHE 1975とか。年代を超えて、"これスクール感あるよね?"みたいなひとつの基準が僕らの中で見えてくるんです。この基準を頼りにして制作を行いました。

-なるほど。今作の今までにない何かが、見えてきたような気がします。

その結果、UK.PROJECT時代のダンサブルなインディー・バンドっぽい感じも、RALLYE LABELに移ってからの打ち込み主体のサウンドも、ソニーミュージックに入ってから新たに日本語詞を入れたことによる変化も、全部詰まった作品になったように思います。

-そこに、アイデンティティが明確化してすっきりしたからなのか、足取りの軽さやどこかレイドバックした雰囲気が加わったことが今作の特徴だと思うんです。ジャケットのアートワークも新しいアーティスト写真も、イラストになって今までより明るくフレッシュなイメージに。しかし目は笑っていないように、オルタナティヴなエッジも感じられます。

例えば、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのジャケットは、中村佑介さんが連作で手掛けられていることが、その活動イメージに寄与している部分って大きいと思うんです。そんな感じで、DATSがどういうバンドなのか示したうえで、それを続けていきたいという想いで、ジャケットとアーティスト写真は、イラストレーターの赤さんに描いてもらいました。