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INTERVIEW

Japanese

fhána

2015年08月号掲載

fhána

Member:佐藤純一(Key/Cho) yuxuki waga(Gt) kevin mitsunaga(PC/Sampler) towana(Vo)

Interviewer:吉羽 さおり

-そういうことで本当に、3人それぞれの色を出しつつ化学反応しているという作り方ですね。

yuxuki:1曲に対していくらイメージを共有していると言っても、それぞれとらえ方だったり、アプローチが違うんですよね。それがそのまま曲の完成形にも残っちゃうから、面白いっていう。

kevin:fhánaは趣味が似ているというか、向いてる方向は似ているけど、畑がそれぞれ違うので。音を合わせたときにいい感じに混ざりあって、そんなにぶつからないんです。そういうところがいいなと思いますしね。

佐藤:世代も微妙に違うので、例えば渋谷系というワードで連想するのも、The Flipper's Guitarやピチカート・ファイヴ(佐藤)だったり、Cymbals(yuxuki)だったり、Cornelius(kevin)だったり、違ったりするんです。

kevin:それらが混ざった感じがfhánaらしさというか。僕らの質感なのかなって思ったりしますね。そして「cymbals will ring」はtowanaさんのヴォーカルもまたよくて。

-ハイ・トーンで聴かせるのがポイントで、それもすごく心地のいい高音。

towana:そうですね。曲が曲で横ノリなので、あまり気張らずに(笑)。気持ちいい感じで歌っていますね。

-ソウルフルでありつつも、楽器的な音色感が強いように聞こえますね。

kevin:楽器的な音色感はたしかにありますね。

towana:歌詞が聖書をモチーフにしているので。聖歌隊じゃないですけど、若干そういうことも意識して歌ってます。こういうタイプの曲はあまりやったことがなくて、fhánaでもあまりないので、チャレンジといえばチャレンジでしたけど、気楽にやりました(笑)。

kevin:リズム感があるっていうか、リズムの解釈がうまいんですよね。ちょっと難しいニュアンスでもすっと歌えるんですよね。

佐藤:そうなんですよね、fhánaの曲ってちょっとリズムが難しかったりするんです。アニメの主題歌とかでも、パッと聴きはキャッチーでポップなんですけど、いわゆるシンコペーション多めなテンポの速いロックとかではなくて、跳ねてたり。かといってブラック・ミュージックでもない、その微妙なバランスのところで着地しているので。演奏が難しいらしいんですね。レコーディングで手伝ってくれるプロのスタジオ・ミュージシャンの方にも、"今回難しい曲だね"って言われたりするんですけど(笑)。歌に関してもリズムも難しいし、メロディも複雑で上がり下がりが多くて難しいのですが、towanaはすんなり歌ってくれるし、しかも歌い上げるような情念的な感じではなく、かといってフラットすぎる無機質な感じでもなくて。気持ちのいい最適なエモーショナル度があるんですよね。 towana:さらっとしてる(笑)。

kevin:うん、汗臭くないね。

佐藤:それがいいなと思ってますね。

kevin:僕らの作る音楽にベスト・フィットなんじゃないかなと。

-今回は得に2曲振り幅があって、それをうまくヴォーカルでも聞かせていますし、シングルとしてもこのバンドのキャラクターが見えますね。

yuxuki:「ワンダーステラ」は結構ライヴで評判がいいんですよね。初披露のときは、曲が曲なので、お客さんの反応が、なんかすげえって感じでしたけど(笑)。

佐藤:なんかわからないけど、圧倒されたみたいなね(笑)。

yuxuki:やっていくうちに楽しんでもらえるようになりましたね。演奏も最初は難しくて、リハでも、さあやりますかって腕をまくるような感じだったんでけど、やっていくとスポーツ的というか、体が勝手に動くみたいな(笑)。楽しくなってくるんですよね。ライヴで化ける曲でもありますよね。

-fhánaは、みなさんそれぞれ得意なものがありつつ、それをうまく活かしあってる感じがします。

kevin:そうですね。でも根本的に持ってる趣味や、どういう温度感の音楽が好きかとかは同じ方向を向いているんです。

佐藤:fhánaは自由に何でもできるなと思ってます。アニソンとかも多いので、制限も多いかと思いきや、かえって自由にやれるというか。例えば僕がfhánaをやる前にやっていたユニットでは、自分で自分を制限しているというか。このサウンドの枠から出ちゃうと、ちょっと違うとか、ポスト・ロックとかエレクトロニカのサウンドに収まるように作っていたんですけど。fhánaは、プログレみたいのもありだし、90年代オルタナティヴ・ロックみたいのもありだし、渋谷系っぽいものもありだし、坂本龍一みたいな雰囲気もありだし、わりと何でもはめていけるんです。

-それはこうして活動をしてきて思ったことですか?

佐藤:まだデビューする前や今のようにタイアップをいただく前から、そういうユニットになるなっていう手応えはありましたね。例えば、20代のころや若いときは自分が影響を受けたかっこいいと思うバンドがいて、そのスタイルをそのままアウトプットして、そのシーンの中で自分も活躍したいと思ったりしてたんですけど。でも、それ以前に子供のころになんとなくテレビで聴いていた歌謡曲とか、何気なく聴いていたヒット曲とか、ゲームの音楽とか、いろんなインプットや蓄積があるはずで。それを素直に全部出すんじゃなくて、フィルターにかけて、好きな音楽シーンに合うような幅で作ろうとしていた。それが、取っ払われて。昔だったら、ちょっとダサいから使わないかなってものも、なんでも使えるようになってきたかなというのもありますね。プラス、アニメのタイアップだとアニメの制作側からもいろんなオーダーをいただくので、そもそも自分の引き出しにないものも求められたりすることもあって、そういうときに、新しい手法に挑戦してみたり。そうやって他者の視点が入ってくることで、いい意味での相乗効果が生まれたりするなって思ってます。