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INTERVIEW

Japanese

NICO Touches the Walls

2015年06月号掲載

NICO Touches the Walls

Member:光村 龍哉 (Vo/Gt) 古村 大介 (Gt) 坂倉心悟 (Ba) 対馬祥太郎 (Dr)

Interviewer:山口 智男

-ああ、そうなんだ。ただ、今回の「夢で逢えたら」といい、さっき話に出た「イミテイション・ゴールド」といい、70年代とか80年代とかの歌謡曲、ニュー・ミュージックをかなり聴き込んできたようですね?

光村:聴き込んでいるってほどではないですけどね。「夢で逢えたら」が入っている吉田美奈子さんの『FLAPPER』ってアルバムは、小さいころ、母親に無理やり聴かされたんです(笑)。そのあたりの人たちが、うちの両親は好きだったんで、小さいころからなんとなく耳にしてただけなんですけど、うちは邦楽だったらティン・パン・アレーとかキャラメル・ママとかその一派、洋楽だったらブルー・アイド・ソウルかフュージョンか、ってそういう家だったんで。休みの日には小坂忠の『HORO』を聴いて盛り上がるみたいなね(笑)。

-アー写の話に戻るんですけど、ネギや大根を持っているのは、そういうちゃんとルーツのあるバンドだってことの表明なのかな、と。

坂倉:なるほど~。

対馬:ほぉー。

古村:ちゃんと耕してるみたいな。

光村:いやぁ、そこではなかったですね(笑)。申し訳ないです(笑)。

-(笑)それはさておき、「いいこになっちゃいけないの」も「夢で逢えたら」もアレンジがかっこいいと言うか、かなり冒険している。

光村:「いいこになっちゃいけないの」は"ロシアン・サーフ"と名づけたんですけど、サビで鳴ってるピコピコっていうエレクトロっぽい音。あれギターでやっているんですけど、あれだけ聴いているとテトリスのテーマみたいで、コサックダンス行けるなって(笑)。もともとサーフ・ロックで作ってたから、"じゃあロシアン・サーフだ。ロシアは絶対サーフィンできないけど、そういう音楽のファンタジーがここにはあるな"と思っていいなって(笑)。ただ、サーフのマナーってよく知らなかったんで、岡野ハジメさんというずっと一緒にやっているプロデューサーからいろいろ教えてもらいました。ものすごいサーフ(・ロック)おたくなんですよ。岡野さんが今までレコードで買い集めてきたレアなサーフものをわざわざCD-Rに焼いてきてくれたんですけど、サーフと言ったらTHE VENTURESでしょ。ドラムもズンタタズンタタでしょって思ってたら、岡野さんから一蹴されて(笑)。それで"THE ASTRONAUTSを聴け"って言うから聴いてみたら、ズンタタズンタタって叩いてなくて、もっとジャズ的なんですよ。"それを身体に入れてきてください"って。

対馬:それが難しかった。ズンタタズンタタって聴こえるところはただのアクセントで、実は両手でずっとズズチャチャズズチャチャって8ビートを叩いてるんです。頭では理解できるんですけど、実際に叩きながら流れるようなノリを出すのが大変でしたね。

坂倉:そんなふうにドラムがジャズ的に歌っているんで、ベースは16分を死守することを心がけました。THE ASTRONAUTSの曲を聴いたとき、他の楽器が入ると、ベースが全然聴こえないって感じだったんですけど、大きなスピーカーで聴いてみると、フルレンジでベースがガーンと鳴っていたんですよ。それを参考にして、いつもより低い位置でうねるようなプレイを目指しました。

-古村さんはどんなアプローチでこの曲に取り組んだんですか?

古村:ギターはサーフ・ミュージックが全盛だった60年代のモズライト・ギターと同じ時代のリバーブ・ボックスを借りてきて、それを使ったんですよ。そういう機材のひとつひとつに意味があって、それが1個違うと、あのサウンドにはならない。この曲に関しては、そういう楽器や機材の面でも久々に楽しめましたね。

光村:聴いている人からしたらどうでもいいことだと思うんですけど、そういうところに時間をかけるのが好きだってことだけ伝わればいいです(笑)。

-「夢で逢えたら」も終盤の演奏がサイケデリックに爆発するところがすごい。

光村:いろいろな人がカバーしている超有名曲なんですけど、大体バラードだから、あえて誰もやらないようなカバーをしてみようってところでやってみちゃいました。相当、速いテンポでカバーしているんで、原曲の構成通りになるとあっという間に終わっちゃうんですよ。それでセッションっぽくやろうって、間奏のプログレっぽくなるところを付け足していったんですけど、ほとんどそこに時間を費やしましたね(笑)。

対馬:夢の深いところに行っているというイメージで作っていったんで、僕らなりには繋がっているんですよ。

光村:そこは気にしながらアレンジしました。今までのカバー・シリーズでは僕的には1番お気に入りです。

-明日からツアーが始まるわけですが、今回のシングルとツアーで盛り上がったあと、今年後半もうひと盛り上がりするんじゃないかなと期待しているんですけど。

光村:早々に盛り上がると思いますよ。明日からのツアーも2年ぶりの全国ツアーなんですよ。実はベスト・アルバムをリリースしてから全国回ってないんです。東名阪でしかやってなかった。明日からのツアーはそういう意味では、ベストのツアーだと思っているんで、なかなかやれないセットリストというか、自分たちのベスト・ヒット的なものになると思います。この先10年はやれない内容だと思うから、ファンの方は絶対観たほうがいいと思いますよ(笑)。