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INTERVIEW

Japanese

Lyu:Lyu

2014年10月号掲載

Lyu:Lyu

Member:コヤマ ヒデカズ(Vo/Gt) 純市(Ba) 有田 清幸(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-"ディストーテッド・アガペー"の登場人物は、人に優しくなりたいけれど自分のことでいっぱいいっぱいな人たちばかりな気がしたんです。それで「ディストーテッド・アガペー」を聴いて"この歌詞のような言葉を言ってくれる人がこの登場人物たちにいたら、きっと救われていただろうな"と思いました。

コヤマ:そうですね......楽曲としての「ディストーテッド・アガペー」は、このCDが出るよという告知をした時点で、小説に関連した曲というアナウンスもこちらがしてたんですよね。でも"関連している"と言ってもどう関連しようか......といろいろ試行錯誤をして考えを巡らせて、この一連のディストーテッド・アガペーというものに対するあとがきみたいなものを曲にしたらいいかなと思ったのが始まりだったんです。最終的には小説を読んでくれているかたがただけではなく、普段からLyu:Lyuを好きでいてくれる人たちや、自分たちの曲を聴いたことがある人、このCDで初めてLyu:Lyuの曲を聴く人たちを含めて、だんだん作っているうちに小説のことだけではなく、普段自分たちに関わってくれるかたがたを全部ひっくるめて"俺個人、バンドとして言えることがあるだろうか?""俺はあと何が言えるんだろうか?"......そういうことを考えながら曲を作っていきました。

-小説の登場人物だけではなく、Lyu:Lyuを取り巻くすべての人へのメッセージなんですね。

コヤマ:小説は、完全なるファンタジーのお話もあるんですよね。でも改めて見返したときに、あそこに出てくる登場人物や主人公は、結局......もとを辿れば書いている自分の人格のうちのどこかというか。今まで少ないながらにいろいろ経験をしてきて、生きていく中でいろんなことが巻き起こっていって。そういう中で知らない間に形作られている自分があって、小説はそれを切り売りしているというか、"姿形、性別は違えど、全部自分の断片じゃないか"と思ったんですよね。それを読んでくれた人たちが"田中が自分のことかと思いました"とか"この話すごく良かったです"と言ってくれて――そういう反応をたくさんもらっているうちに、自分が切り取った自分の断片に共感してくれているということは、その人たちは自分が抱えているようなものと似たようなものを抱えているのかもしれない......"あ、きみたちも同じなんだな"と感じたことがあって。俺は人から簡単に"わかるわかる"とか言われると、すごく嫌なたちなんですけど。

-歌詞にもありますね。"たぶん言われるの嫌だろうけどさ 少しくらい分かるよ"と。

コヤマ:基本的には"俺がどんな人生を歩んできたか知りもしないのに何を言ってるんだこの人は"みたいに思ってしまうんで。......たぶん自分と他人の間で共有できないことはあると思うんですよね。言葉で説明することはできるけど、それは相手が受け取ったものでしかないし。どれだけわかるような気がしたって、それは"気がする"というだけで、相手が本当に抱えていることは実はわからないし、自分が抱えていることは相手にもわからない。完全にお互いの想いを共有することは不可能なことじゃないですか。そうなんですけど......"俺はあなたの考えていることを100%わかりはしないけど、でも似てる部分はあるだろうね"と思って。それで、過去に切り売りしていた自分が"なんて言われていれば救われていたのかな?"とか"あのときになんて言われていたら自分は助かった?"とか......そういうことを考えて。でも僕はあんまり、人に対して人生論を諭すことは好きではなくて。だから今まではどちらかというと自分vs自分みたいな歌詞を書いてきたんですけど、この曲に限っては"どう思われても構わないから、ちゃんと面と向かってものを言おう"と言葉を書いていた記憶があります。

-そう思えた理由とは?

コヤマ:......自分が矢面に立たなければいけないというか。なぜ自分が人に言及することを避けてきたかというと、自分が傷つくのが怖いからだと思うんです。だからいつも自分と戦って"俺はなんてだめな奴なんだ"という、自分を追い込んでいたようなところがあったというか。それは昔からそうなんですけど、やっぱり、多くの人に好きだと言ってもらえて――相変わらず自分はだめなんだけど、そういう自分でもなんとか存在していいんだな、と思えてきたからこそ"自分の身を守っている場合ではない、自分自身がなんと言われようと、そうやって思わせてくれたこの人たちに対して言わなければいけないことがある"と思ったんですよね。

-『GLORIA QUALIA』で歌っていたことと繋がっていますね。

コヤマ:ああ、そうですね。あのアルバムがあったからこそ、こういう曲が作れたんだと思います。