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COLUMN

フィルフリーク ツカダユウキの"サブカル部!"【第3回】

2023年07月号掲載

フィルフリーク ツカダユウキの"サブカル部!"【第3回】

フィルフリークのベース、ツカダユウキです。
私のコラム「フィルフリーク ツカダユウキの"サブカル部!"」では、【サブカルチャー】をテーマに、映画や音楽、地域文化やネットミーム、実体験や社会学、(たまにアングラ)などについて語っていきます。

第3回目のテーマはこちら。
『インド×肉体派』

第1回『新宿駅から5分の"インド"』
第2回『"肉体派"サブカルチャー』
インド×肉体派=『RRR』

『RRR』とは2022年にインドで制作されたミュージカルアクション映画。監督は皆様ご存知のS・S・ラージャマウリ。
2009年同監督製作の『バーフバリ』はインドで興行的に最も成功したテルグ語映画を記録し、世界的にも注目された今作は一言で言えば「圧倒的肉厚エンターテインメント」だ。
上映時間は182分。長編大作に思えるが、インドではこれが当たり前のようで「音楽、アクション、CG、笑い、泣き、汗、筋肉、爆発、感動、興奮」様々な要素が所狭しと詰まっている。

舞台は1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うために立ち上がるビームと大義のため英国政府の警察となったラーマ。運命に導かれた2人の"戦士"の出逢いと友情、そして決断を描いた作品である。

私は立川 シネマ・ツーで鑑賞したのだが、上映中に20分の休憩時間が設けられていた。
これは本場の上映方法で、その時間内に飲食や喫煙を済ますそうだ。
かくいう私もフードとドリンクを追加して後半に挑んだ。
あえて"挑んだ"と書いたのは、この映画が強大なエネルギーを放っており、観客のこちら側まで体力を消費している感覚になったからだ。

ストーリーの起伏、マッチョの格闘、ド派手なCG、ハイクオリティな音楽、全てが緻密に計算された大胆さと破壊力。
インド料理屋でバターチキンカレーとチーズナンが永遠と出てくるようなハイカロリー。
特に、英国紳士に挑発された主人公2人が
「Not salsa, not flamenco my brother. Do you know...Naatu?」と圧倒的な歌とダンスをお見舞いするシーンは圧巻で、映画史に残る名シーンと言っても過言ではない。

「それは流石に......。」とツッコんでしまうようなアクションシーンも多いのだが、この映画は演者にも観客にも「冷静さ」を一瞬たりとも許さない。観終わった頃には自分も業火の中を走り、壁をよじ登り、馬を乗りこなし、虎と一騎打ちできるのでは、と錯覚するほどの没入感がある。

今日、映画は配信サービスでいつでも過去の作品であっても手軽に観ることができる。
私も計4つのサービスを利用しているが、映画館に行くことはやめない。
他人と互いに気を遣い合い、一時停止もできず、1回あたりの金額も(サブスクと比べ)安くはない。
そんな手間と時間とお金のかかる映画館を好むのは、映画本体だけではなくその場の雰囲気や手間も含めて「映画というカルチャー」だと思っており、そこにロマンを感じるからだ。

「映画館で観た」という体験は「映画を観た」とは違った良き思い出となるだろう。
バンドマン目線からすると、音楽も同様にサブスクで聴くのも良いが、手間をかけて「ライブで聴いた」を沢山体験して頂きたい。

この記事もまた高円寺のシーシャ屋で筋肉痛の太ももにPCを載せて書いている。

フィルフリーク

2014年に結成。"あなたの日常を少しドラマチックに。"をコンセプトに活動する、広瀬とうき(Vo/Gt)、ゆっこ(Key/Vo)、ツカダユウキ(Ba)、小竹 巧(Gt)からなる男女混声ロック・バンド。広瀬とゆっこの男女ツイン・ヴォーカルが映えるポップな楽曲たちを、人の感性に触れるバンド・サウンドで支え、自分たちの等身大を表現する。2019年に"ROAD TO EX 2019"で優勝し、2020年に初の全国流通盤ミニ・アルバム『Reverse Youth』を発売。2023年4月に設立されたミュージック・カンパニー"Renegades' Music, Inc."よりデジタル・シングル「ドラマ終わりに」を6月にリリースした。