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COLUMN

フィルフリーク ツカダユウキの"サブカル部!"【第5回】

2023年11月号掲載

フィルフリーク ツカダユウキの"サブカル部!"【第5回】

フィルフリークのベース、ツカダユウキです。
私のコラム「フィルフリーク ツカダユウキの"サブカル部!"」では、【サブカルチャー】をテーマに、映画や音楽、地域文化やネットミーム、実体験や社会学、(たまにアングラ)などについて語っていきます。

第5回目のテーマはこちら。
『1969』

「久しぶり、どうしたんだよ 髭なんか生やして
肌の色も真っ黒だしヒッピーみたいじゃんか」
不可思議/wonderboy「Pellicule」より。

"ヒッピー"とは、
1960年代後半のアメリカ合衆国にて、ベトナム反戦運動や公民権運動を中心とする反体制運動から生まれ、「ラブ&ピース」を提唱し自然回帰を目指す者たちの総称、およびムーブメントのことである。

ヒッピーというと、西荻窪や高円寺に生息し、髪と髭を伸ばし、チチカカや仲屋むげん堂の服を着てふらふらしてる人。を思い描く人もいるかもしれない。(10代の私は実際そう考えていた。)
あながち間違いでは無いのだろうが、必ずしもそれが"制服"という訳では無い。
この十数年の間で本や映画、有識者との会話を通して学んだ上での一つの結論は
「ルックス(ファッション)では無く、マインド。」ということ。

全ての始まりは一目惚れで購入した漫画『ウッドストック』
その主人公が憧れてるのが「Woodstock Music and Art Festival」
1969年8月にアメリカで行われた野外コンサートであり、ヒッピームーブメントを代表する歴史的なイベントである。
どんなものだったのかとDVDを買い観てみると、
そこにはJimi HendrixやSantanaの演奏に身体を揺らす数えきれない程の人間(ヒッピー)が映っていた。
何故か私はその姿に"自然的なエネルギーとロマン"を感じ、形容し難い感動と使命感のような感情(漫画の主人公が私の出身地高円寺で音楽の夢を追っていることへのシンパシーもあった)が私の中にビートした。
これがヒッピーとの出逢いであった。

勉強の最中、何度も読み返した本がある。
久信田浩之氏の著書「ON THE ROAD AGAIN」
自身のアメリカ西海岸での体験記や"現代ヒッピー"への考察を綴った21世紀のビートニク(≒ヒッピー。文学運動の思想や行動様式に影響を受けたライフスタイルを実践する者)たちへ贈る1冊である。
表紙にはDancing Bearが描かれている。

世間の流れや常識に囚われず「自分はどう生きるか」を見つめ、
物質的では無く精神的に満たされる生活の中でラブ&ピースを体現する生き方。
ムーブメントの始まりは1960年代ではあるが、暴力や差別のニュースが蔓延り、新商品が次々と大量のゴミの上で消費される、そんな現代社会にこそ必要なマインドだと私は思う。

音楽(芸術)の力でニューエイジを築こうとした時代が確かにあった。
それを"歴史上の出来事"にせず、現代に生きる我々がその先を作っていかなければならないと私は考える。
ヒッピー"ファッション"はサブカルチャーでも良いかも知れない。
しかし、その"マインド"はサブではなくメインでありたい。

時間と金から逃げるように中央線に飛び乗り"日本のインド"で下車。
老舗の喫茶店七つ森で少し遅れた時計を横目にこの文章を書き上げる。

フィルフリーク

2014年に結成。"あなたの日常を少しドラマチックに。"をコンセプトに活動する、広瀬とうき(Vo/Gt)、ゆっこ(Key/Vo)、ツカダユウキ(Ba)、小竹 巧(Gt)からなる男女混声ロック・バンド。広瀬とゆっこの男女ツイン・ヴォーカルが映えるポップな楽曲たちを、人の感性に触れるバンド・サウンドで支え、自分たちの等身大を表現する。2019年に"ROAD TO EX 2019"で優勝し、翌年に初の全国流通盤ミニ・アルバムを発売。2023年4月に設立された"Renegades' Music,Inc."よりデジタル・シングル「アナザーストーリー」を8月にリリース。現在、"フィルフリーク LIVE TOUR 『0024』"を開催している。