Japanese
フィルフリーク
Skream! マガジン 2021年07月号掲載
2021.05.28 @渋谷TSUTAYA O-Crest
Writer 稲垣 遥 Photo by スエヨシリョウタ
"これからは素直に生きていこうと思ってます"――広瀬とうき(Vo/Gt)はライヴ中こう宣言した。新型コロナウイルス感染拡大のためライヴができなくなった期間に、彼はバンドと、それを引っ張るフロントマンとしての自分自身と何度も向き合ったそう。その答えをひとつの形として示したのがミニ・アルバム『Humanning』であり、このたび同作を引っ提げて行われたのがこのツアーだった。中でも、この日は彼らのホームである東京編。ひと際強くこめられた想いが、ライヴが進むにつれてどんどん表面化して止まらなくなる様に、心打たれたステージだった。
DJ格下(Brian the Sun)によるオープニングDJで観客を温めたあと、メンバーがステージに登場。全員白のトップス(ゆっこ(Vo/Pf)はワンピース)を身に纏い、大きな音を一発鳴らす。ゆっこと広瀬はフロアを見渡すととびっきりの笑顔を見せ、「Be Kind」からこの夜を始めた。感染対策もあり今まで以上に人数も制限されたなかだが、数日前にゆっこはブログで"どんなに少なかったとしても、来てくれる人がひとりでもいるのだから、ライヴをやらせてください"と綴っていた。その決断にもう迷いはないことを表すようなキレのいいスタートで、1曲目から一斉に上がる拳からは、訪れた観客も思いっきりフィルフリークの音楽を堪能する意欲が感じ取れた。そして、劇的なピアノからは「eisei」、そのまま「生きてる」とスピード感のあるナンバーで景気づけるスタートダッシュだ。ツカダユウキ(Ba)も頭を振りながらプレイし熱を上げる。
"ようやくこうしてライヴができることが嬉しく思います!"とゆっこが喜びを言葉にしたが、それは各メンバーからも滲み出ていて、クールな様相の三上大鳳(Gt)でさえもゆっこに"どうですか!?"と振られると"噛み締めてます"と拳を握るアクションで答えていて微笑ましかった。
新体制初音源「キャンディー」では、ポップなサウンドだからこそ三上のエレキ・ギターのフレージングも多彩で、広瀬はアコギに持ち替え爽やかさをプラス。続いての「ワンルームヒストリー」は、懐かしさを帯びて耳に馴染むメロディが、前の恋人を優しく想う歌詞とぴったり寄り添う。と、ここまでは親しみやすいムードでリスナーを楽しませたが、街の雑踏のようなSEから繋げた「1970」では、緊張感を携えた緩急のある音像で"僕ららしくありたい"と心の葛藤を映す。ミニ・アルバム『Humanning』で描く、人間の"本音"の部分だ。
そして、よりその一面を露わにしたのが「道端日和」。広瀬は曲を始める前に、どんな曲をやっても鼻で笑うような人に接し、音楽をやってる意味がわからなくなったと話した。"この時期いろんなことを失って、すべてを忘れてこの曲にしました"という言葉の通り、ヒリヒリした轟音と広瀬の荒々しい歌には腹立たしさや、聴き手を圧倒してやるくらいの気迫が凝縮されていた。ここで急激に、そんじょそこらのポップ/ロック・バンドじゃないなと改めて聴き手に実感させたと思う。ゆっこは感情が涙としても横溢。全員の力の入った音が押し寄せる様に、鼓膜と心が揺さぶられた。
その響動が止むと、スポットライトに照らされながらゆっこが優しく包み込むようなピアノを奏でる。彼らが"ROAD TO EX 2019"で優勝を勝ち取った際にも演奏した、大切な1曲「ホワイトストロベリー」だ。落涙し続けながらも声は震わせることなく、美しく広瀬とのハーモニーを聴かせるゆっこからは、"こんななかで足を運んでくれた人たちになんとしても歌を届けるんだ"という意地も感じられたのだった。
そんな状況で届けたのが、冒頭に書いた台詞を含む広瀬のMC。コロナ禍でライヴができなくなり、フォロワーや再生回数など、数字ばかりを気にするようになったこと。"ROAD TO EX 2019"で優勝後、バンドとしてこれからというときにコロナの感染拡大、さらにメンバーの脱退、心の病気になったメンバーもいたこと。バンドに打ち込めなくなって、自分が大嫌いな人間になっていたこと......。"でも、自分は諦めても、周りに俺のことを諦めてない人がいました。これからは正直に生きていこうと思います。俺は小さなライヴハウスで先輩のライヴを観て、バンドをやろうと決めた。今日のライヴも、あなたの日常を少しドラマチックに。東京 下北沢フィルフリークです。どうも、ありがとうございました"。
率直すぎるほどの言葉は応援してくれる人に対して正直でいたいからこそ。大きなものを乗り越えた彼らを温かな拍手が包む。バンドは確実にひと回り大きくなった。それを証明するように、最後は笑顔でライヴ定番曲「サイドストーリー」、そして、ミニ・アルバムを締めくくる「朝日を待つ」で、不安な日々も包み込む優しさをもって疾走した。"死んでたねぇ俺ら。生き返りました!"(広瀬)。苦しみを経験し、"生き返った"フィルフリークはこれからまた、新たな一歩を実直に進めていく。次に彼らに会うときが楽しみになるステージだった。
[Setlist]
1. Be Kind
2. eisei
3. 生きてる
4. キャンディー
5. ワンルームヒストリー6. 最終列車
7. 1970
8. 道端日和
9. ホワイトストロベリー
10. サイドストーリー
- 1
LIVE INFO
- 2025.05.13
-
ヤングスキニー
WANIMA
ビレッジマンズストア
US
- 2025.05.14
-
yummy'g
VOI SQUARE CAT
ホリエアツシ(ストレイテナー)/ 橋口洋平(wacci)
大森靖子
WANIMA
緑黄色社会
Hello Hello
PEDRO
LiSA
清 竜人25
怒髪天
- 2025.05.15
-
a flood of circle
THE YELLOW MONKEY
SPARK!!SOUND!!SHOW!! / the dadadadys
女王蜂
No Buses
星野源
WANIMA
山内総一郎×斎藤宏介
CENT
オレンジスパイニクラブ
Homecomings × Cody・Lee(李)
mol-74
トゲナシトゲアリ × She is Legend
LiSA
- 2025.05.16
-
Hump Back
ORCALAND
ヒトリエ
Mr.ふぉるて
Creepy Nuts
fox capture plan
a flood of circle
ReN
四星球
ayutthaya
No Buses
The Ravens
People In The Box
flumpool
ヤングスキニー
星野源
[Alexandros]
VOI SQUARE CAT
Baggy My Life / Am Amp / Comme des familia
INF
never young beach
- 2025.05.17
-
フラワーカンパニーズ ※振替公演
THE BAWDIES
"CIRCLE '25"
女王蜂
sumika
渡會将士
アーバンギャルド
ネクライトーキー
ExWHYZ
斉藤和義
Bimi
Creepy Nuts
四星球
いきものがかり / Omoinotake / Saucy Dog / アイナ・ジ・エンド ほか
DIALOGUE+
GLIM SPANKY / 水曜日のカンパネラ / 岡崎体育 / Laura day romance ほか
コレサワ
flumpool
Official髭男dism
THE BACK HORN
People In The Box
GANG PARADE
WtB
BRADIO
"ACO CHiLL CAMP 2025"
indigo la End
[Alexandros]
ポップしなないで
小林私 / 色々な十字架 / 叶芽フウカ(O.A.)
INORAN
ずっと真夜中でいいのに。
村松 拓(Nothing's Carved In Stone/ABSTRACT MASH/とまとくらぶ)
インナージャーニー / 地元学生バンド ほか
- 2025.05.18
-
渡會将士
androp
"CIRCLE '25"
アーバンギャルド
sumika
ねぐせ。
ヒトリエ
THE BAWDIES
斉藤和義
ReN
a flood of circle
ASP
22/7
OKAMOTO'S / Lucky Kilimanjaro / サニーデイ・サービス ほか
ポップしなないで
WANIMA
"COMING KOBE25"
Official髭男dism
DIALOGUE+
The Ravens
Mr.ふぉるて
おいしくるメロンパン
ExWHYZ
コレサワ
BRADIO
"ACO CHiLL CAMP 2025"
私立恵比寿中学
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
SPECIAL OTHERS
INORAN
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
ずっと真夜中でいいのに。
- 2025.05.19
-
点染テンセイ少女。
- 2025.05.21
-
VOI SQUARE CAT
斉藤和義
Saucy Dog
打⾸獄門同好会 / くるり / ストレイテナー ほか
あいみょん
Hakubi
yummy'g
渡會将士
ADAM at
緑黄色社会
- 2025.05.22
-
ORCALAND
Saucy Dog
ReN
片平里菜
w.o.d. ※振替公演
あいみょん
ねぐせ。
オレンジスパイニクラブ
清 竜人25
DYGL
Maki
フリージアン
チリヌルヲワカ
Base Ball Bear
otsumami feat.mikan
ayutthaya
I Don't Like Mondays.
- 2025.05.23
-
ORCALAND
[Alexandros]
Mr.ふぉるて
indigo la End
a flood of circle
THE BAWDIES
DYGL
w.o.d. ※振替公演
ADAM at
Plastic Tree
浅井健一
ゴキゲン帝国
TOMOO
"GREENROOM FESTIVAL 20th Anniversary"
Hakubi
レイラ
LEGO BIG MORL
- 2025.05.24
-
ReN
Mr.ふぉるて
indigo la End
[Alexandros]
GANG PARADE
ヤングスキニー
緑黄色社会
ASP
サカナクション
おいしくるメロンパン
ヤバイTシャツ屋さん / UNISON SQUARE GARDEN / ストレイテナー ほか
コレサワ
THE BACK HORN
片平里菜
ポップしなないで
People In The Box
星野源
Novelbright
Baggy My Life × Comme des familia
mol-74
ネクライトーキー
LACCO TOWER
Plastic Tree
WANIMA
ADAM at
アルコサイト
"ながおか 米百俵フェス 2025"
sumika
浅井健一
SHE'S / SCANDAL / wacci ほか
VOI SQUARE CAT
終活クラブ
SUPER BEAVER
"Shimokitazawa SOUND CRUISING 2025"
DeNeel
the telephones
The Ravens
FUNKIST
HY
the shes gone
"GREENROOM FESTIVAL 20th Anniversary"
LEGO BIG MORL
ビレッジマンズストア
- 2025.05.25
-
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
ReN
コレサワ
flumpool
a flood of circle
ヤングスキニー
緑黄色社会
GANG PARADE
ASP
サカナクション
THE BAWDIES
10-FEET / The BONEZ / バックドロップシンデレラ ほか
ACIDMAN
片平里菜
星野源
Baggy My Life × Comme des familia
秋山黄色 / This is LAST / Chilli Beans. / reGretGirl ほか
ネクライトーキー
"ながおか 米百俵フェス 2025"
sumika
浅井健一
GLIM SPANKY / 阿部真央 / 和田 唱(TRICERATOPS)ほか
GOOD BYE APRIL × Nolzy × First Love is Never Returned
Mirror,Mirror
HY
the shes gone
"GREENROOM FESTIVAL 20th Anniversary"
Cody・Lee(李)
- 2025.05.26
-
清 竜人25
水中スピカ
Poppin'Party
RELEASE INFO
- 2025.05.14
- 2025.05.16
- 2025.05.21
- 2025.05.23
- 2025.05.28
- 2025.05.30
- 2025.06.01
- 2025.06.04
- 2025.06.11
- 2025.06.13
- 2025.06.18
- 2025.06.20
- 2025.06.25
- 2025.06.28
- 2025.07.02
- 2025.07.04
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
トゲナシトゲアリ
Skream! 2025年05月号