Japanese
フィルフリーク
2020年03月号掲載
Member:広瀬 とうき(Vo/Gt) ゆっこ(Key/Vo) 三上 大鳳(Gt) ツカダユウキ(Ba) やのめぐみ(Dr)
Interviewer:高橋 美穂
男女ツイン・ヴォーカルのピアノ・ロック・バンド、フィルフリークが初めての全国流通盤となるミニ・アルバム『Reverse Youth』を完成させた。2019年12月、テレビ朝日主催の"ROAD TO EX 2019"で優勝するなど、数々のコンテストで結果を残してきた実力派だが、結成は2014年。ここに至るまでは、短くはない道のりがあった。しかし、その存在感も、楽曲そのものも、まぶしいほどにフレッシュだ。この輝きの源はどこにあるのだろうか? 5人全員に話を訊くと、ソングライターである広瀬とうきの才能や、メンバーそれぞれの意志と個性、そして仲の良さが生み出すグルーヴなどが見えてきた。
-まず、"ROAD TO EX 2019"で優勝したときの心境から教えてください。
三上:純粋に驚きました。
広瀬:優勝する気持ちで挑んではいたんですが、信じられなかったですね。
-"驚いた"だの"信じられなかった"だの、ピュアな感想が出てきていますが。
ゆっこ:一緒に出ていたバンドさんが良かったので、正直、負けても仕方ないかなっていう気持ちもあったんです。自分たちも本気で演奏して、100パーセント悔いなく戦えたから、結果がどうあれいいかなって......お客さんの心を掴めた確信はあったんですけど。それで、改めて"優勝です"って言われて、驚きを隠せなかったんですよね。
-ちょっとお話しただけですけど、きっといい人たちなんだろうなって思ってしまうバンドですね(笑)。
ツカダ:そうですね(笑)!
ゆっこ:調子乗るな(笑)。
-そんな立ち位置も音楽性もフレッシュなフィルフリークなんですが、結成は2014年で、そこそこ歴史を重ねてきたバンドなんですよね。
広瀬:はい。ただ、最初の2年は遊びの延長みたいな感じだったんです。そこからお客さんが少しずつ増え始めて、もしかしたら売れるんじゃないかって(笑)。変な自信がついて、改めて覚悟を決めた感じだったんです。それまではメンバー・チェンジも多くて、今の5人になったのは去年の9月なんですよ。
-じゃあ、結成の成り立ちっていうのは?
ゆっこ:もともとは、とうきと三上が中学の友達だったんです。なんか、AKB48のメンバーと結婚したいから始まったって(笑)。
広瀬:(笑)席順が"広瀬"と"三上"で前後だったんですよ。僕が、"AKBと結婚するんだ"、"みんなとは違う天才なんだ"って言って、周りに引かれてたんですよね(笑)。そんななかで、たったひとりだけ話しかけてくれたのが三上だったんです。しかも"俺も実はAKBと結婚するんだよね"って(笑)。それで、僕はもともと小さい頃からピアノをやっていたので、一緒に音楽でのし上がろうぜって始まったんです。
- "AKBと結婚するんだ"っていうのは、本気だったんですか?
広瀬:だいぶ本気でした(笑)。今となっては、遠い夢だと思います。
三上:僕は篠田麻里子さんだったんですけど、もう結婚されたので、無理ですね(笑)。
広瀬:僕は大島優子さんだったので、まだ可能性があるかもしれない(笑)。
やの:なんの話(笑)!?
-下心が動機とは言え(笑)、そもそも広瀬さんは音楽をやっていたわけで。オリジナルから始まったんですか?
広瀬:そうですね。そもそも、僕はひとりで作曲活動をしていて。すでに音楽をアップロードできるサイトとかもあったんですけど、そのころはアナログ人間だったので知らなくて、ずっと三上にだけ聴かせていたんです(笑)。
-広瀬さんの曲を聴いて、三上さんはどう思っていたんですか?
三上:天才だな! と思っていました。
広瀬:ほんとか(笑)!?
-三上さんは、ギターをやっていたんですか?
三上:いや、全然。一緒にやることになってから始めました。
-そのときはフィルフリークという名前ではない?
広瀬:違いますね。このふたり(広瀬と三上)と他のメンバーで、高校生の頃に前身バンドをやっていたんですけど、当時のMrs. GREEN APPLEと対バンして......"俺ら売れねぇな"って思っちゃったんです。そこで、いったんバンド活動を終わりにして、僕が弾き語りのシンガー・ソングライターとして活動することにしたんですよ。で、三上は"僕は篠田麻里子さんと結婚したいから、スタッフをやる"って(笑)。それで、弾き語りをしても対バンはバンドの先輩だったりして、バンドに憧れもあって。そこで三上と、また売れるためにバンドを組もうって話をして、女の子が欲しいよなってことになって、僕の大学の同級生だったゆっこをキーボードに誘ったんです。そこで初めて、フィルフリークになりました。
-ゆっこさんは、歌ってはいたんですか?
ゆっこ:いや、歌っていなかったです。音大だったんですけど、私はクラシック・ピアノの専攻で。ただ、大学生になったばかりだったので、大学デビューっていうか(笑)、バンドやってみたいなって思っていて、軽い気持ちで"やります"って言ったら、ガチだった(笑)。
-歌い始めたきっかけっていうのは?
ゆっこ:私、中高でミュージカルをやっていたんですよ。だから、ポップスよりはオペラとかの歌をやっていたので、歌えるっちゃ歌えるけど、バンドで歌うほどではないって思っていて。でも、コーラスが欲しい、女性がいるなら女声のコーラスがあったほうがいいじゃんっていうことで、パートがキーボードとコーラスになったんです。そこから歌うところが増えていって、一昨年くらいからヴォーカルとキーボードに昇格しました(笑)。
-変わっていったんですね! ここまでもドラマチックな流れですけど、まだツカダさんとやのさんが登場していないっていう(笑)。
広瀬:(笑)ベースのツカダは、3人時代のフィルフリークのライヴを観に来てくれていて。
ツカダ:お客さんだったんです。もともとは、Twitterで三上と知り合って"僕もバンドやってるんで仲良くしてください"みたいなところから繋がったら、出身地が近くて、飲みに行ったりして、お互いのライヴを観るようになって。それで、3年前くらいかな、フィルフリークにはずっとベースがいないから、やってみない? って言われたんです。
ゆっこ:そのころのベースはサポートだったんですよ。
ツカダ:そろそろ正規のベースが欲しいっていうことで、1回スタジオ入って、加入を決めました。
-ずっと正規のメンバーがいなかったわりには(笑)。
ゆっこ:あっさり(笑)。
ツカダ:2時間くらいで決まりました(笑)。ずっと見ていたバンドですし、曲も知っていますしね。
-そして、やのさんですよ。
広瀬:やのは、別のバンドをやっていて、そのバンドとフィルフリークが仲良くて。ただ、そのバンドが活休しちゃったんですよね。で、これまた奇跡みたいな話なんですけど、僕らのドラムがやめるってなったときに、下北沢近松のバーカウンターでやのが"フィルフリークに入りたいなぁ"って言っていたみたいなんです(笑)。
やの:ドラム叩けるところないかなって、ライヴハウスをまわって"ドラム探してるバンドいませんか?"って聞いていたときに、"フィルフリークはやのが入ればいいのになぁ"って自分で言っていたんです(笑)。そうしたら......。
広瀬:僕らもやのちゃんに入ってほしいと言っていたんですね。
-運命ですね! この5人になったからこそ、とんとん拍子の今がある気がする。
ゆっこ:私たちがバンドをやるうえで大事にしてるのは、もちろん音楽の技術もあるんですけど、5人の仲がいいっていうところなんです。同い年だから、なんでも言い合えるし、バンド以外の日も遊ぶし。それが、いい感じに進めている理由かもしれません。
-仲良しっていうのは伝わってきますが、音楽のルーツはどうなんですか?
広瀬:バラバラですね。僕と三上は、中学のときにMr.Childrenを聴き漁っていたので、そこがルーツです。
ゆっこ:私はクラシックから始めて、正直バンドものはバンドを始めるまでは聴いていなかったんです。
ツカダ:僕はJ-POPをほとんど通っていないんです。父親の影響で、60年代や70年代のロック、LED ZEPPELINとかを聴いていました。
やの:私は、中学生のときにONE OK ROCKを聴いて、ジャケでいろいろ買い始めました。
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