Japanese
FINLANDS
2019年03月号掲載
Member:塩入 冬湖(Vo/Gt)
Interviewer:沖 さやこ
-その楽曲を"UTOPIA"と名付けた真意とは?
人が求めていく快楽は一瞬だけのものですよね。ひと晩限りの楽園は一生続かない、でもどこかでその一瞬だけのユートピアを求めてる瞬間はあるんですよね。そもそもユートピアは一瞬だからユートピアだと感じるのであって、それが一生続くのはただの生活だから、きっともっとその先のユートピアを求めてしまう――ないものねだりではあると思うんですけど、今後もずっと考えずにはいられないことだと思うんですよね。今までで一番、私はその儚さを強く感じているんです。
-というと?
自分の生活に満足していない、自分自身に満足がいっていないという捌け口として、ユートピアを求めているんじゃないかなって。でも恋愛は自分だけのことじゃないから、相手の気持ちが関わることに罪悪感があるんですよね。でもきっと、そんなユートピアに怖がりもせず飛び込んでいけて、戻ってくるときも後ろめたさも後悔もなく、ただ一瞬の満足だけを得る人はいると思うんです。私はビビリだから外に出られなかったり、ずっと思い悩んでしまったりするだろうから、そういう人に憧れを持っているところもあるのかもしれないなって。それもあって"UTOPIA"というタイトルにしたんです。
-そういう想いをナチュラルなバンド・サウンドに乗せるからこそ、すごくリアリティが生まれると思います。
いつもは私がデモをスタジオに持っていってカヨとサポート・メンバーで音を作っていくんですけど、冒頭で話したようにEPでどんな曲を作っていいのかわからなくて、自分でデモを持っていったのに自分が一番気に食わない、この曲は今レコーディングしたくない、みたいなことが続いて(笑)。私が喚き散らかして、メンバーもスタジオ内で個々好きなことをしていたときに、ふと"あ、昨日作った曲がある"と思ってその場で弾いて歌ったら、そこにメンバーが音をつけていってくれて、一瞬でできあがったんです。メンバーそれぞれが思った"この歌とギターにはこういう音が合うんじゃないかな"というものが全部詰まっていると思います。
-メンバーの結束を感じるいい話です。
ただ私が自分勝手に喚いただけとも言えますけど(笑)。
-あははは(笑)。"EPとはなんぞや?"から悩むとか、塩入さんはいろんなことを真正面から受け止めている人なんだろうな、簡単に受け流したりできないんだろうなと思います。「call end」もいろんなものが見えすぎている人の書く歌詞という気がしますし。
あ~......"誰もそんなこと気にしないよ"とはよく言われますね(笑)。ちょっと楽なことというか、手を抜いてみるとかずるいことをしようとしても、どこかで悪いことが起きるんじゃないか、バチがあたるんじゃないか......とか考えたりするんです。だからいろんなことを考えた結果、砕けてもいいから当たってみることが、自分にとって後腐れがないなと気づいたんです。そう感じてくださったのは、自分のそういう部分が影響しているのかもしれない。
受け入れられるものも受け入れられないものもあるのは自然なこと
-塩入さんのそういう性質は、FINLANDSの音楽への真摯さと繋がっていると思います。
私が何か言い始めたら、周りのみんなは"何を言ってもだめ"ということをわかってるから(笑)。でも......小学生みたいなこと言いますけど、人の意見を聞くことは大事ですよね。ここ数年それを実践してるんですけど、やっぱり譲れないことはありますよね! でもそれがいい作用をもたらしていることもあるだろうなって。
-もちろん。表現者に必要なものだと思います。それにFINLANDSも塩入さんも、大人になっているなと感じますよ。
うん、そうですね。大人になったなと初めて感じたところから、またちょっと大人になったなと思ってます。何年か前までは穏やかになることや棘を持たなくなることが、大人になる証だと思っていたんですけど......去年の夏にハードコア・バンドのA PAGE OF PUNKと対バンしたとき("A PAGE OF PUNK ツーマンシリーズ『THINK』")に、ZINEを作ったんです。そこでたくさん質問をしていただいたんですけど、嫌いなものに対する質問も多かったんですよ。
-へぇ、普通なら好きなものを聞きそうですが。
ですよね。そのとき、私はここ何年間で嫌いなものを嫌いと思わないようにしていたなと感じたんです。公の場で積極的に嫌いだと言えというわけではないけれど、嫌いなものを嫌いと言わないのが大人なんて、それはただ逃げ腰なだけで、すごい勘違いだなと思った。感謝と思いやりだけで作った音楽には面白みがないし、嫌いなものを嫌いと思う感情やヘイトがないと人間は腐ると思う。それに気づいたとき、ひとつ大人になったなと思ったんです。
-うんうん。そうですね。FINLANDSの音楽は喜怒哀楽も陰と陽も含んでいますが、陰や負と呼ばれる感情の表現方法のバリエーションが増えているところにも、大人らしさを感じています。
怒る理由には、何かを思うが故の優しさがあったり、惨めに思う虚しさがあったりしますよね。そういうものにまできちんと目を向けられるようになったんじゃないかなと思います。怒る相手がいても、その人の話を冷静に聞けるようにもなって、その人の存在すべてを遮断せずにいられるようになった。受け入れられるものも受け入れられないものも両方あるのは自然なことだと思う。
-どんなに愛している人でも、受け入れられないところはありますしね。
たぶん怒りというものは主に、今後も関わっていきたいと思う人に対して抱く感情ですよね。これから特に関わらないだろうなと思う相手には反論もしない。音楽やバンドは、私にとって一生付き合っていく事柄だと思うんです。だからこそ妥協せずに道筋を探したいんだと思いますね。
-となると塩入さんにとって音楽は、ユートピアではないんでしょうね。
私にとって音楽を作ることはユートピア/ディストピアとかそういう問題ではなく、趣味であり生活であり、朝起きて顔を洗って歯を磨いてお風呂に入って着替える――みたいな生活のルーティンの中にあるものだと思うんです。だからずっと音楽を続けていくんだろうなという感覚はすごくありますね。この3年間ライヴ、ライヴ、ライヴ、レコーディング......って感じなので、生活にならない方が不自然かも(笑)。
-まさしく(笑)。
悔いが残らないように人生の選択をすることはすごく大事だなと思っていて。宅録を始めて1~2年経ったときに、ふと"もしこの先子供を産むことになったり足を骨折してしまったりして、どうしても家を出られなくなったときにも、曲は作れる"と思ったんです。それは私の未来に繋がっていくことじゃないかなと感じて、もっと頑張ろうと気合が入ったんですよね。最近ようやくその技術の土台が作れた感覚があるんです。
-音楽は生活であり人生であると。それは今作の作風にも通じますね。『BI』は恋愛において双方の気持ちを描いている楽曲が多かった。でも『UTOPIA』は楽曲の主人公の気持ちの濃い部分が露わになっている気がするので。
『UTOPIA』の曲たちは、ひとりなんですよね。そうなったのは、自分自身が孤独であることを、初めてきちんと経験している時期だからなんだろうなとすごく思うんです。ツアー"BI TOUR ONEMANLIVE"が終わって休みがあって、たまたまそういうときにひとりの時間が続いて、誰かに会ったりすることもせず――という時間があったから、いろんなことを考えることにもなったんです。だからきっと、今は孤独というものを受け入れる時期なんだろうなって。
-孤独というものを絶賛しているわけでも否定しているわけでもなく、孤独とはこういうものだと素直に受け入れている作品だと思いました。そういう姿勢がFINLANDSの音楽の度量というか、聴く人がいろんな解釈を抱ける理由のひとつだと思います。
『BI』のときにいろんなインタビュアーさんにインタビューしていただいたんですけど、インタビュアーさん全員全然違う解釈から話をしてくださって、捉え方が十人十色だからすごく面白いなと思ったんです。今回の『UTOPIA』も、聴いてくれる人がどんなふうに思ってくれるのか、すごく楽しみですね。
LIVE INFO
- 2024.11.24
-
NANIMONO
打首獄門同好会
DENIMS
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
ザ50回転ズ
キュウソネコカミ
LONGMAN
四星球
安藤裕子
Conton Candy
back number
Bray me / EverBrighteller / FUNNY THINK
ウソツキ
9mm Parabellum Bullet
新しい学校のリーダーズ
リュックと添い寝ごはん
FIVE NEW OLD
SHE'S
Vaundy
Umisaya
fhána
シノダ(ヒトリエ)
People In The Box
HERE
大森靖子
AIRFLIP
ASIAN KUNG-FU GENERATION
WANIMA
ずっと真夜中でいいのに。
Mega Shinnosuke
リアクション ザ ブッタ
SpecialThanks
Half time Old
HY
あいみょん
YOUR ADVISORY BOARD
泣き虫☔︎
優里
フレンズ
the quiet room
Thom Yorke
椎名林檎
- 2024.11.25
-
Age Factory
安藤裕子
シノダ(ヒトリエ)
KANA-BOON
フレデリック
BUMP OF CHICKEN
- 2024.11.26
-
Age Factory
SUPER BEAVER
PEDRO
SIX LOUNGE
神はサイコロを振らない
煮ル果実
Thom Yorke
BUMP OF CHICKEN
ハンブレッダーズ
The Novembers
(sic)boy
ストレイテナー
ヤングスキニー
THE YELLOW MONKEY
にしな
- 2024.11.27
-
新しい学校のリーダーズ
PEDRO
LAST DINOSAURS / ego apartment
ハンブレッダーズ
まなつ
Jamie xx
雨のパレード
詩羽(水曜日のカンパネラ)
go!go!vanillas
ヤングスキニー
にしな
- 2024.11.28
-
MOROHA
Age Factory
新しい学校のリーダーズ
DYGL
煮ル果実
SIX LOUNGE
まなつ
アンと私
挫・人間
秋山黄色
w.o.d.
マルシィ
終活クラブ
BURNOUT SYNDROMES
Cö shu Nie
フィルフリーク
シノダ(ヒトリエ)
go!go!vanillas
a flood of circle
KANA-BOON
- 2024.11.29
-
離婚伝説
CVLTE
Age Factory
SHE'S
ずっと真夜中でいいのに。
BLUE ENCOUNT
フィロソフィーのダンス
OKAMOTO'S
DYGL
NEE
Lucky Kilimanjaro
神聖かまってちゃん
Ivy to Fraudulent Game
小山田壮平
tacica
秋山黄色
w.o.d.
ねぐせ。
Dear Chambers
アンと私
the dadadadys
挫・人間
ASIAN KUNG-FU GENERATION
NANIMONO
にしな
Hello Hello
吉澤嘉代子
PIGGS
パピプペポは難しい
TK from 凛として時雨
a flood of circle
BREIMEN
ヤユヨ
CIVILIAN
DOES
East Of Eden
シド
岸田教団&THE明星ロケッツ
ANABANTFULLS
三浦透子
- 2024.11.30
-
back number
NEE
ポルカドットスティングレイ
大森靖子
SHE'S
ずっと真夜中でいいのに。
OKAMOTO'S
tacica
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
フィロソフィーのダンス
SWANKY DOGS
the shes gone
ヤングスキニー
Aimer
リアクション ザ ブッタ
ストレイテナー
ズーカラデル
ウソツキ
Newspeak
9mm Parabellum Bullet
ねぐせ。
BLUE ENCOUNT
moon drop
Cö shu Nie
ASIAN KUNG-FU GENERATION
Conton Candy
椎名林檎
Vaundy
WONK
MYTH & ROID
Hakubi
This is LAST
崎山蒼志 / MONO NO AWARE / 荒谷翔大 / 家主 ほか
GANG PARADE
BiS / KNOCK OUT MONKEY / パピプペポは難しい / LEEVELLES ほか
須田景凪
フラワーカンパニーズ
フレデリック
LiSA
なきごと
Machico
"ビクターロック祭り2024"
- 2024.12.01
-
back number
reGretGirl
Lucky Kilimanjaro
大森靖子
OKAMOTO'S
SIX LOUNGE
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
フィロソフィーのダンス
Ivy to Fraudulent Game
Aimer
MOROHA
Helsinki Lambda Club
リアクション ザ ブッタ
ストレイテナー
THE YELLOW MONKEY
DENIMS
LACCO TOWER
9mm Parabellum Bullet
NANIMONO
ハク。
fhána
オレンジスパイニクラブ
the shes gone
Vaundy
Hakubi
レイラ
さめざめ
ベランダ
GOOD ON THE REEL
秋山黄色
須田景凪
I Don't Like Mondays.
the quiet room
Laughing Hick
PEDRO
LiSA
indigo la End
- 2024.12.02
-
Saucy Dog
スカート
挫・人間
chilldspot
RAY×BELLRING少女ハート
- 2024.12.03
-
Saucy Dog
ヤングスキニー
リーガルリリー
SHE'S
LONGMAN
キュウソネコカミ
まなつ
ASH DA HERO / POLYSICS
IMAGINE DRAGONS
Age Factory
Amber's
SUPER BEAVER
- 2024.12.04
-
ASIAN KUNG-FU GENERATION
神聖かまってちゃん
The Ravens
go!go!vanillas
リーガルリリー
PEDRO
Galileo Galilei
ASH DA HERO / POLYSICS
SIX LOUNGE
マカロニえんぴつ / SAKANAMON / ヤユヨ ほか
DYGL
NEE
点染テンセイ少女。
SUPER BEAVER
- 2024.12.05
-
シノダ(ヒトリエ)
坂本慎太郎
新しい学校のリーダーズ
Dear Chambers
フィルフリーク
終活クラブ
go!go!vanillas
キュウソネコカミ
ネクライトーキー
VOI SQUARE CAT
DeNeel
PEDRO
四星球
ハンブレッダーズ
w.o.d.
ドミコ
BIGMAMA
Nulbarich
- 2024.12.06
-
DURDN
9mm Parabellum Bullet
新しい学校のリーダーズ
reGretGirl
Maki
CENT
上白石萌音
a flood of circle
DeNeel
YONA YONA WEEKENDERS / 荒谷翔大 / muque
Ivy to Fraudulent Game
リュックと添い寝ごはん
ネクライトーキー
Aimer
Dear Chambers
小山田壮平
CVLTE
ねぐせ。
- 2024.12.07
-
Kroi
怒髪天
フィロソフィーのダンス
the shes gone
Conton Candy
シノダ(ヒトリエ)
ずっと真夜中でいいのに。
あいみょん
ザ50回転ズ
Umisaya
Helsinki Lambda Club
リアクション ザ ブッタ
ADAM at
HY
BLUE ENCOUNT
Vaundy
reGretGirl
岡崎体育
ズーカラデル
上白石萌音
a flood of circle
ポルカドットスティングレイ
ASIAN KUNG-FU GENERATION
"年末調整GIG 2024"
VOI SQUARE CAT
安藤裕子
TK from 凛として時雨
ストレイテナー
THE YELLOW MONKEY
Aimer
眉村ちあき
マオ(シド)
Johnnivan
VENUS PETER
eastern youth
打首獄門同好会
SpecialThanks
クレナズム
OKAMOTO'S
ねぐせ。
"下北沢にて'24"
BUMP OF CHICKEN
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
- 2024.12.08
-
怒髪天
フィロソフィーのダンス
ザ50回転ズ
ビッケブランカ
9mm Parabellum Bullet
シノダ(ヒトリエ)
the shes gone
ずっと真夜中でいいのに。
あいみょん
リアクション ザ ブッタ
Maki
HY
Vaundy
ExWHYZ
安藤裕子
DURDN
Conton Candy
ASIAN KUNG-FU GENERATION
"年末調整GIG 2024"
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
ストレイテナー
LiVS
マオ(シド)
ネクライトーキー
OKAMOTO'S
Newspeak
Mega Shinnosuke
フレンズ
FR2PON!
DENIMS
BUMP OF CHICKEN
RELEASE INFO
- 2024.11.27
- 2024.12.04
- 2024.12.06
- 2024.12.11
- 2024.12.13
- 2024.12.18
- 2024.12.20
- 2024.12.25
- 2024.12.27
- 2024.12.28
- 2025.01.06
- 2025.01.08
- 2025.01.10
- 2025.01.15
- 2025.01.17
- 2025.01.22
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
PEDRO
Skream! 2024年11月号