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INTERVIEW

Japanese

緑黄色社会

2018年11月号掲載

緑黄色社会

Member:長屋 晴子(Vo/Gt) 小林 壱誓(Gt/Cho) peppe(Key/Cho) 穴見 真吾(Ba/Cho)

Interviewer:秦 理絵

-今回もデモのストックから選ぶかたちで制作はスタートしたんですか?

長屋:そうですね。このアルバムに向けて曲を作ったわけではないですね。そこは今までと変わってないけど、もちろん前作(2018年3月リリースの1stフル・アルバム『緑黄色社会』)は超えたいし、より驚かせたいしっていう気持ちで曲を選びました。なので、「Never Come Back」とか「視線」みたいな新しい曲を入れたんです。

-「Never Come Back」は驚きましたね。"これ、リョクシャカ!?"って。

長屋:その反応が欲しかったんです(笑)。

peppe:それも、「あのころ見た光」っていう軸があったから入れられたんですけどね。

-では、「あのころ見た光」の話から聞かせてください。いわゆるリョクシャカらしいキラキラ感をよりスケール・アップさせたような曲です。peppeさんが作曲ですね。

peppe:これは2年前、20歳とか21歳のときに作った曲ですね。ピアノを弾きながら、明るい未来への道が見えたんです。そこから、かたちにしていきました。

-すごくいい曲なのに2年間もお蔵入りしてたんですか?

小林:お蔵入りしてたのが、僕のせいなんですよ。

長屋&peppe:(笑)

小林:この曲ができて、最初は僕が歌詞をつけたんです。そのころから"twenty-one"っていう題材もあって。ちょうど21歳だったので。自分の等身大の曲を書こうと思ったのは良かったんですけど、ターゲットの狭い曲になっちゃったんですよ。なんていうか、21歳の自分が21歳のことを書こうとすると、等身大すぎるんです。それで迷ってしまって。もう少し未来から"21歳"を見て歌ってほしいなと思ったんですよ。

-23歳になってから"21歳"のことを歌う方が、説得力があるっていうことですね。

小林:そうなんですよね。でも新鮮さも大事だと思ったから。今がちょうどいい。

peppe:"今だ!"っていう感じですね。

小林:このタイミングで、長屋にも"twenty-one"っていう題材でフルで歌詞をつけてもらったんですけど、最終的に僕のとミックスして完成させました。

peppe:すごくメンバーの気持ちも乗った曲ですね。

-最後のサビの前にある、"今見えてるあの光が/誰かが放ったものなら/ねぇ 僕らが飛び込むその時/誰かの光になれるかな"のところがいいフレーズですよね。何かが始まる予感に心が震えてる感じがして。

小林:ここは最初書いたときから変わってないところですね。この曲って、曲の中でタイムスリップしてるような感覚があるんですよね。

長屋:うん、わかる。

小林:今言ってもらった歌詞の部分は、僕が21歳のときに書いたところなんですよね。未来に見える光に飛び込むとき、自分もその光みたいな存在になれるかな? っていう。でも、出だしの"憧れていた自分になれたかな"っていうのは、今の長屋が書いてるんですよ。だから、同じ時間軸の中にあるようで、過去と今が入り混じってるんです。それを聴いてる人がキャッチしなくてもいいんですけど、演奏しながら染みるんですよね。

-さっき、最近は"場所によってセットリストを変える"って言ってたけど、この「あのころ見た光」は、どのセトリにも絶対に入ってくる曲なんでしょうね。

長屋:そう思います。この曲の歌詞は私の主観ではなくて、メンバー全員の気持ちなんですよね。みんながやりたい音も詰め込んだし、4人の個性をすごく感じられるんです。

-で、3曲目の「Never Come Back」は、まさにバンドの新機軸です。洋楽っぽさもあるけど、イメージする音像はあったんですか?

穴見:去年ぐらいにBECKが出した『Colors』にハマってた時期があって。その影響ですね。それを壱誓が"いいね"って言ってくれたんです。

小林:数あるストックの中の1曲だったんですけど、これをストックの中に埋もれさせたくなかったんです。真っ先に僕が"やりたい"って言った曲なんですよ。で、長屋はこういう曲は書きにくいだろうなと思って、自分から"歌詞を書いてみてもいいかな?"って提案したんですよね。

長屋:壱誓はあんまり自分から言わないんですよ。"書いて"ってお願いすることはありますけど。これまでに自分から歌詞を書いたのは「丘と小さなパラダイム」(2017年1月リリースの1stミニ・アルバム『Nice To Meet You??』収録曲)ぐらいですね。

-サウンド感に合わせて言葉を選んでいったんだろうなっていう曲ですね。

小林:そうですね。僕は音遊びとか言葉遊びが好きなタイプなので、長屋とはまた違う雰囲気が出せるんじゃないかなと思ったんです。

-長屋さんの声にもエフェクトをかけてるし。いわゆるリョクシャカらしいところを壊して、真逆のことをやろうとしてる感じが面白いです。

穴見:そう。真逆の発想があるんですよね。僕、岡本太郎さんが好きなんですよ。あの人って、まさに真逆のものをぶつける精神の方なんです。この曲はその精神に惹かれてできたのかもしれないですね。リョクシャカの音楽に合わせて作ってたら、これは絶対に作れない。僕はそういう面でのぶっこみ隊長でいたいっていう気持ちなんです。