Japanese
FINLANDS
2016年07月号掲載
Member:塩入 冬湖(Vo/Gt) コシミズカヨ(Ba/Cho)
Interviewer:岡本 貴之
-それと、歌詞に"時間"が出てくることが多いですよね。それが儚さみたいなものを漂わせているヴォーカルに繋がっているのかなって思ったんですよ。
塩入:時間ですか......私、ずっと起きてるんですよ。
コシミズ:(笑)
塩入:というか、基本的にすごく夜型で、どんなに朝早く起きなきゃいけなくても、寝るのが明け方なんですよ。なので、夜に曲を作りながら時間をよく見るんですよね。0時から朝4時まで起きていて、そのあと寝てから7時に起きたとしても、知らない時間って3時間くらいしかないじゃないですか。そうすると"時間"って、色や名称とかと同じくらい、自分の中で大事なものになってくるんです。まぁ誰でも時間は大事だと思うんですけど(笑)。時間で思い出せることが多いんですよね。それで時間を歌詞によく使うんだと思います。
-ずっと一緒にやってきたコシミズさんから見て、今回のアルバムの歌詞にはどんな印象を持っていますか?
コシミズ:今回の歌詞は読んでドキッとすることが多くて。飾った言葉じゃなくてストレートには言っていて、言葉選びもダサくなくて素敵な歌詞なんですけど、結構皮肉っぽい言葉とかもあるので、みんなドキッとするんじゃないかなと。"あ、これ私のことじゃないの!?"っていう感じがあると思います。
塩入:パッと聴いたらわからないけど、"ちょっとこの言葉の組み合わせが素敵だから、歌詞を見てみよう"って思ったときに、歌詞を見て納得、というような三段構えみたいな感じが、私が歌詞を作るうえで素敵だと思っているので。ひねくれているように聞こえても歌詞を見たら納得できるというものが面白さだと思っています。Track.8「マーチ」なんかも、音を聴いただけじゃわからないと思うんですけど、歌詞を見たらいろんな解釈をしていただけるんじゃないかなと思います。
-それぞれがヴォーカリスト、ギタリスト、ベーシストとして今回のアルバムで試みたことや気に入っているところを教えてください。
塩入:ギターに関しては、バッキングがほとんどなので、リード・ギターの邪魔にならないことを一番意識しました(笑)。ソロもたまに弾いてますけど、自分より上手い人に任せるのが一番なので、そこに野望は持たないようにしています(笑)。歌に関しては、今回は曲が多くて、バラードのあとに速い曲を歌うという気持ちの切り替えができなかったので、自分のテンションと声がついていくようなレコーディングの日割りで歌いました。
-Track.2「バラード」はタイトルに反して激しい歌い方なので、喉が大丈夫なのかなと。
塩入:いや、こういう曲は意外と大丈夫です(笑)。むしろ「月にロケット」とかの方が大変ですね。自分で弾き語りで作った時点でものすごく印象がついてしまっている曲は、どうしてもレコーディングでそのイメージを超えないといけないので。そうなると、細かい息継ぎとかビブラートとかがどうしても気になっちゃうんですよね。バラードに関しては弾き語りでいったん完結させて、それをバンドに持っていくことが多いので難しいです。
-コシミズさんが思う、今回のご自分のプレイや曲の聴きどころはどんなところでしょう。
コシミズ:ずっと前からなんですけど、ベースが前に出るのはFINLANDSっぽくないと思っているのでさりげなく、"よく聴いたらカッコいい"というのを意識しているんです。Track.4「Hello tonight」なんかは、ベースはシンプルに作ってるんですけど、Aメロは今までやったことのないようなスタッカート的なリズムで弾いたりしていますね。これはパッと聴いたときにはわかりづらいんですけど、"よく聴いたら印象的"っていうのを目指して弾きました。あと、気に入っているところは、Track.5「ワンダーアーツ」の1番が終わったあとにギターと合わせてソロみたいに弾くんですけど、これは今までのFINLANDSにはなかったところなので楽しかったですね。
-「メリーゴーラウンド」のベース・ラインも歌っている感じでいいですよね。
コシミズ:ありがとうございます。メロディをかなり意識して弾きました。リズムを歌にキッカリ合わせて弾いているわけではなくて、完全に感覚で弾いてるんですけど、いい感じに弾けたなと思っています。
-今回のジャケット・アートワークはどんなことを意図して作りましたか?
塩入:これは以前から私たちのアートワークを手掛けてくれている大川(直也)さんによるものなんですが、アートワークを決めるときに、まず色を決めるんですね。前回が黒で、その前が赤で。私は大川さんのことをすごく信頼しているんですけど、いきなり"今回は黄色だ"と言われて。"黄色か!"と思ったんですけど、彼の言うことに間違いはないというか、絶対にいいものを作ってくれるので、じゃあ黄色でいきましょうと。それで、ジャケットの女性の衣装は"PAPER"にかけてインクのワンピースになっているんです。インクみたいな形の衣装を全部大川さんが手作りで作ってくれて。インクが飛び散っているという明確なコンセプトがあるんです。たぶん、言わないと誰もわからないと思うんですけど(笑)。
-リリース・ツアー[FINLANDS"PAPER"Release Tour「WARAVANSHI」]もありますが、今後はどんな活動を考えていますか?
コシミズ:今後は『PAPER』を引っ提げて、ライヴ活動をメインにやっていくんですけど、今年もサーキット・イベントなどにも出演していくので、たくさんの人に観てもらう機会がさらに増えると思います。ツアー・ファイナルも考えているので、その会場をいっぱいに埋められるようにしたいですね。
塩入:『PAPER』の11曲は、ライヴでやっていた曲を録ったのではなくて、新たに作った曲を録ってみなさんにこれから聴いていただくという、私たちにはこれまでなかったことなんです。なので、このツアーに出るにあたって、『PAPER』の曲たちがみなさんにどういう位置づけでどういう気持ちで聴いていただけて、どういう評価をしていただけるのか、ツアー・ファイナルまで『PAPER』が成長していくのと一緒に、私たちも成長していきたいと思います。
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