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INTERVIEW

Japanese

HOWL BE QUIET

2014年11月号掲載

HOWL BE QUIET

Member:竹縄 航太 (Vo/Gt/Pt)

Interviewer:沖 さやこ

−それは竹縄さんが今そういう状態にいるということ?

ああ、そうなのかな......俺自身もそうかもしれないですね。いろんなことを考えたし。いいこともあれば悪いこともあるし。だからきっとこういう曲たちができたような気もするし。......鳥かごという場所は、出て振り返ってみないとどんなところなのかわからないんですよね。「From Birdcage」で"逃げ出そうよ"と言っているけれど、それは"歩き出す"というポジティヴな意味で。やっぱり自分自身も(前までの)殻を破りたいというのはあったので。『DECEMBER』というアルバムは無意識のうちに内に内に......自分に向かっていった曲ばっかりだったんで。YouTubeに上がっているPVも「GOOD BYE」と「Merry」の2曲だし、その2曲の先入観でHOWL BE QUIETを見てる人も少なからずいて。そういうものを塗り替えたいというのもありました。

−『BIRDCAGE.EP』というタイトルに感化されてできた曲とのことですし、「From Birdcage」はプロローグのようだけど、実は"to be continued"なのかもしれないですね。

それはあると思いますね。歩き出すとき、必ずしも目的がある必要はないと思うんです。取り敢えず"今"を変えたくて行動することもあるだろうし。そこに何があるか、何が待っているかなんてわかんないけど、やっぱり鳥かごから逃げ出すというのは、旅立ちのようなポジティヴな気持ちがあると思うんですよね。

−Track.5「救難戦争」は"明日""今日""思い出""未来"など様々な時間軸が出てくる、今までの竹縄さんの人生と喜怒哀楽のすべてが出ているような、生々しい楽曲だと思いました。名曲ですよね。

これはこの5曲の中で1番自分と向き合った曲でもあって。......これを作ったときは、自分で作っておきながら聴くのが嫌になるぐらいだったんです。自分そのものすぎて。自分が自分に向き合って書いてるから当たり前なんですけど――自分の思ってきたこと、抱えてきたことが全部ここに詰まっているので、それが音楽というかたまりになって自分に当たってくる強さとかもあって、自分自身に向き合えなかったりして。なのでそのぶん思い入れは強いですね。

−自分自身の見たくない部分と向き合わないと成長もできないし、前にも進めないですからね。

向き合わなきゃいけないという感覚はすごくありましたね。自分自身に対して"お前いつまで逃げてんだ?"と思ったり。それは「千年孤独の賜物」で歌っている"お前このままでいいのか?"ということにも繋がってくるんですけど。向き合わないといけないと思って向き合ったら、こんな言葉たちが出てきて......。やっぱり俺は飛び立ちたくて、でも飛び立てなくて、飛び立とうとする勇気もなくて、でもそれでも飛び立ちたくて。そういうループが自分の中にずっとあって。

−ラストの大サビで歌われている"もう全部一つ残らずに持っていくよ"は大きな決意表明ですよね。

そうですね。間違いなく。"それでも俺はこうやって歌っていくんだ"という決意はしっかりと刻み込まれているんで。

−ラストに......あれはギターかな? カモメの鳴き声みたいな音が聴こえたこともあって、尚更ラストの詞が染み入りました。

あ、そうですそうです、ギターで鳥の鳴き声みたいな音を出してて。あれが喜怒哀楽どの鳴き声なのかはわからないけど、ラストにはそれを入れたいなと話してて。あの鳴き声は飛び立っていった鳴き声なのか、鳥かごに残っている鳥の鳴き声なのか、どっちなのかはわからないけれど――聴いた人にどう受け取ってもらってもいいなと思ってたんで、その鳥の鳴き声に気付いてもらえて良かったです。

−この先未来はどうなるかわからないけれど、こんな確固たる決意表明も聴けたこともあって、とても希望のあるものになっていると思います。とても優しくて、5曲とは思えない重みのあるEPですね。

それは俺らも話してました。"アルバムみてえだな"って。

−1年も経たずにリリースされた作品がこれだけ飛躍を遂げて、5曲でこれだけの厚みを出せるなら、アルバムどうなっちゃうんでしょうね?

どうなっちゃうんでしょうね? その期待のハードルを2段も3段も飛び越えるので、楽しみにしててください。俺らも楽しみです。今はどんどんどんどんバンドも研ぎ澄まされていってる感じがあって。それぞれが曲に対しての理解度を深めていくようになったし、曲に寄り添うようになったし、曲のためだったらいくら残酷な選択もしていったし。バンド単位でのモードはすごくいいですね。でかい場所でライヴをやりたいとかはあんまり思わないんですけど、多くの人と繋がりたい欲求はすごく強いんですよ。

−ああ、でもたしかに『DECEMBER』では"僕と君"というパーソナルで狭い世界を大切に鳴らしていたけど、『BIRDCAGE.EP』は"僕らと君たち"という印象がありました。

だから"もっと繋がりてえ"って悔しさもあるんですよね。そういう気持ちはすっげえ強いんで。たくさんの人に届いてほしいし、もっともっとライヴハウスで共有していきたいですね。このEPで飛び立つ準備ができたので、11月22日の渋谷CLUB QUATTROのワンマンではお客さんも含めて一緒に飛びたてたらなと思います。前作は内にこもっていたところがあったので、ライヴでも喜怒哀楽の"哀"のイメージが強かったと思うんですけど、次は哀ではない涙だったり、笑顔だったり――お客さんもそういう涙が流せるようなライヴにしたいですね。