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INTERVIEW

Japanese

HOWL BE QUIET

2014年11月号掲載

HOWL BE QUIET

Member:竹縄 航太 (Vo/Gt/Pt)

Interviewer:沖 さやこ

−"新しい音楽"?

はい。やっぱり、既視感や既聴感がないものがやりたいというか。勿論そういうものがだめというわけではなく、俺らは自分自身にとっても今の音楽シーンにとっても刺激のある音楽をやりたいんですよね。いい意味でなんですけど、HOWL BE QUIETには"これが今流行ってるからこれをやろう"みたいな今の音楽シーンに対する意識は全然なくて。だから自分らなりのやりたい音楽、自分らなりの新しいものを今の音楽シーンや自分自身に提示し続けたい。

−たしかにHOWL BE QUIETは今おっしゃったことを音になさっていると思います。竹縄さんはご自身の感受性と対話するように曲作りをなさっているから、本当にいろんな喜怒哀楽を普段から感じてらっしゃるんだと思うんですよね。だからこそ繊細且つジャンルに囚われない音像や、イマジネーションにはたらきかけるものが生まれるし、そういう確固たる意思があるからこそ強い説得力があるし。

そうっすね......でもこういう自分がすごい面倒くさいんですよね。周りからもすっごい面倒くさがられるし(笑)。普段から自分が気になったことを見逃せないんですよ。気になったままだとそれが不安の種になって植えつけられるから"これはまあ、いっか"のままにできないんですよね。"これも気になる""あれも気になる"つって、いろんな人とすげーけんかする(笑)! で、俺が納得することもあれば、俺の言うことをわかってもらうこともあるという......なのでいろいろ迷惑をかけてるんですけど(笑)。それが音楽にも出てると思います。こだわるところはこだわっているので、一点の曇りもないですね。

−メンバー間で音を構築する場合は、竹縄さんのイメージに則していくのでしょうか?

音の基盤はそうですね。でもそれも曲によりけりで。弾き語りで持っていくときもあれば、自分の部屋で煮詰めてパソコンで作ったものを聴いてもらって、メンバーのフィーリングで違うものを返してもらったり。基本的には俺のイメージがあって、そこにメンバーがアドしていって、というパターンが多いかもしれないですね。

−Track.4「A.I.」ではゴスペル調のコーラスが入っていたりと、サウンドのキャパシティはも飛躍しています。そういう意味では"ピアノ・ロック・バンド"という言葉ではもう括れないなと思います。

ああ、でもピアノ・ロック・バンドでいたいという欲が強いんですよ。ピアノ・ロック・バンドの新しい形――それを提示できてたら嬉しいですね。

−メンバーさんは竹縄さんのことを信頼なさっているんですね。やはり竹縄さんがご自身の感受性と対話してできた音楽を、ピュアな状態からぶれずに、且つ壮大に丁寧に現実世界へ汲み上げている音像ですから。

俺の我儘を信じて、付き合ってくれてついてきてくれるとはすごく思います。俺がどういう音楽をやりたいのかをすごく理解してくれているので、そこに対する感謝は勿論あるし、バンドの指揮を任せてもらってるぶん責任も大きいし......。

−竹縄さん、責任感強そうですものね。気になることを見逃せないというのも、妥協できないというか、完璧主義というか。

あー、ほんと完璧主義なんですよ! だから面倒くさいんですよね(笑)。

−いやいや(笑)、だからこそここまで突き詰められた音になっているんだと思います。5曲のEPとは思えない重量感ですから。「ライブオアライブ」は代表格ですが、今作は"生きる"をテーマにしたものも多いですね。

「ライブオアライブ」はこの5曲の中で1番最初にできたのかな?――そこから全部引っ張られてきた感じはあるかもしれないですね。

−先ほど竹縄さんがおっしゃった"たくさんの虹色の鳥"は鳥かごから飛び立つことができたけど、鳥かごの中で一生を終えてしまう鳥もいるかもしれない。飛び立てた鳥もいるけれど、出られない鳥もいる。それが"生きること"や"生きかた"にも繋がっていく気がしたんですよね。

『BIRDCAGE.EP』は"飛び立つ準備ができた"という言いかたがとても正しい作品だと思うんですよね。鳥かごには扉と鍵がある。自分なのか他人なのかわからないけど、鍵をはずして扉が開いて、その淵に足をかけている状態というか......その瞬間が詰まったアルバムだと思うんです。足かけた瞬間にはいろんなことが考えられて。そこから飛び立つことを選ぶだけではなく、飛び立たずに今までの日常を送る選択もあると思うし。逆に飛び立つということは、そこに対する希望がたくさんあるけど、その反面不安や怖さもあるし、もしかしたら絶望が待っているかもしれない。この世の中そういうものばっかりじゃないですか。生きていれば死ぬし、好きなものがあれば嫌いなものもあるし、楽しいことがあればつらいことがある。相反しているものが常に存在して。だから鳥かごの鍵がはずれて足をかけた瞬間――どこに行くのかわからない、いろんなものを孕んでいる瞬間というのがこの『BIRDCAGE.EP』には詰まっていて。不安もあるし、希望もあるし。だけどちゃんと前を向いている、そんな作品だと思っているので。