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INTERVIEW

Japanese

The Mirraz

2012年01月号掲載

The Mirraz

Member:畠山承平(Vo&Gt)

Interviewer:島根 希実

2011年は多くを失い、皆、苦しんだ。年が明けたからといって、状況は劇的に変わりはしないが、"音楽"は、さらに飛躍する。また新たな希望を開拓することに成功したのだ。The Mirrazの最新作『言いたいことはなくなった』は、昨年作られたどの作品とも違う。ひたすらにロマンティックであり、途方もなく明るい。3.11や震災を連想させるワードは意識的に排除され、一切の暗さもシリアスな空気も存在しない。畠山(Vo&Gt)は、音楽という存在そのものの意味を見直し、"音を楽しむ"という生まれたての状態へ原点回帰させてやることを望んだのだ。ここには、確信犯であり、同時に強きロマンティストである畠山承平のミュージシャンとしてのピュアネスが詰まっている。音楽愛という一つの柱を掲げ、新たなるアプローチを仕掛けた畠山に、今回は、メール・インタビューでもっておおいに語ってもらった。尚、本インタビューは完全ノーカット版となっており、畠山の言葉が一言一句そのまま掲載されております。

-音楽雑誌『SNOOZER』で発言されていましたが、当初は、別のアルバムの発売を予定されていましたよね。それをお蔵入りさせて、本作をリリースすることとなったわけをお聞かせください。

元々やろうとしていた方の楽曲の音楽性は、その時代の洋楽とリンクするようなものではなかったのですが、THE VACCINESを聞いたときに、あれ?The Mirrazってこうやって新しい洋楽をどんどん吸収していく、洋楽の時代性をリンクするバンドじゃなかったかな?と思い、急遽変更しました。それまではThe Mirrazの個性は"歌詞"という点で押し進めていたのですが、ここに来てそれだけがThe Mirrazじゃないんじゃないか?と思ったのが最初の理由です。なので、歌詞も今までとは違う形になりました。

-The Mirrazは常に、時代性や世相性とリンクして、リリース作品を選んでいらっしゃいますが、そういった意味で、今回このアルバムを世に出そうと思われた理由は?

今年はこういう音楽がくるだろうな!と思ったので、そういう新しい文化を日本に運ぶ、という感覚があるのかもしれません。"コショウというものを持ってきたよー!"みたいな。僕は"音楽"というものを作るにあたって、常に"新しい物を作る"ということを一番大事にしています。ものすごくチャラい感じにも聞こえるし、ミーハーな感じもあるかもしれない。でも音楽は"水商売"だと思うし、"物を作る"というのは"新しい物"を生み出すことだと思っているので、時代性などを意識しないとのはある種のインポテンツかなと思います。もちろん、同じことをただひたすら続けるというポリシーも僕は好きです。ただ僕が好きな洋楽のアーティストはアルバムごとに違う姿を見せてファンを楽しませてると思うから、自分もそういうアーティストになりたいと思ってます。

-前2作は、かなり前から、畠山さんご自身の中で構想が出来上がっていたわけですが、今作の構想は、いつ頃生まれたのでしょうか?

今作は、2011年の1月くらいからです。明るい音楽を作ろうという構想は2010年の夏頃からあったのですが、その中でも今回のようなドリーミーなロックンロールにしようと決めたのは2011年の1月ですね。

-今作収録曲は、いつ頃作られた楽曲なのでしょうか?急遽リリース作を変更してから?それとも以前からあった楽曲なのでしょうか?

基本的には急遽変更してからですね。シングル「観覧車に乗る君が夜景に照らされてるううちは」が出来て、「ラストナンバー」が出来て、アルバムが作れるんじゃないか?と思ってそこから急いで作りました。あんまり時間がなかったので大変でしたね。レコーディング直前まで作っていたのは今回が初めてです。ただ、今やりたいことを今すぐ出来るという喜びがありましたね。

-タイトルの意図するところを明かしていただいてもいいですか?

これは色んな意味があるんですが、元々は1曲目の「Rock Steady(最高の関係という意味です。)」という曲をそのままアルバム・タイトルにするつもりでした。Rockっていうキーワードもあるし、リスナーとこのアルバムが最高の関係になれたらいいなと。でもアルバム・レコーディングを終えて、家で1人でアルバムを聞いていたら、"あれ?このアルバム『言いたいことはなくなった』ってタイトルなんじゃね?"って音楽から言われてるような気がしました。楽曲達がこのタイトルを望んでるというか。そうやって俺にそういう考えをもたらせてくれたような気がします。また、震災後に、どんな言葉で歌えば人の心に届くのか、嘘じゃない言葉として届くのか、文字通り言葉を失ってしまった感覚がありました。その気持ちをそのまま描いたらそういう言葉になった、という意味もあります。元々の意味は、楽曲の「言いたいことはなくなった」を聞いてもらえればすぐにわかると思います。