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INTERVIEW

Japanese

The Mirraz

2012年01月号掲載

The Mirraz

Member:畠山承平(Vo&Gt)

Interviewer:島根 希実


-シリアスとは真逆の、こんなに明るく、一切のとげのないアルバムを作り上げた理由はなんなのでしょうか?――例えばプロテスト・ソングという形であったり、シリアスな作品を作ったバンド、アーティストは沢山いました。The Mirrazなんて、そうすることはいくらでも出来るバンドであると思うんです。

僕は、作り手としていつも反省を繰り返して次の作品を作るんですが、野球の選手でいうと今まではストレートしか投げれなかったんですけど、それが自分の良さだと思ってたからストレートで豪速球な投げるとこまでいったんですけど、まだまだ守りきれてないし、これじゃ体がもたねぇ、肩が壊れるー!みたいな。で、カーブもフォークも消える魔球もちゃんと覚えようみたいな感じもありました。あと、暗い世の中や暗い現実に対して、音楽で戦うことが、より疲れてしまう瞬間があるということに気付いたってこともありました。戦えば戦うほど戦いが増えていくというか。音楽という武器は、ただ戦うだけじゃなく他の戦い方もあるんじゃないかな?って思いました。それこそが本当の音楽だったり、音楽が与えられる自由というか。今回は"戦う力"、よりも"生きて行く自由"に視点がいっていました。僕は音楽に自由を求めていました。まだまだ有名ではありませんが、この仕事を続けて行くと不自由なことがすごく増えるんです。ノイローゼになるっていうか。いまなんかtwitterで、誰々がどこどこにいた!とか書かれるじゃないですか。もうホント気が狂いそうになりますよ。俺は普段静かに暮らしたいタイプなんで。何も出来ねーよっていう。もう買い物なんか全部インターネットですよ。外に出たくないっていう。もちろん仕事面でも不自由なことはどんどん増えてくるし。だからすごく自由を求めていたっていうか。音楽で与えることの出来る"自由"みたいなところが明るさに反映されてるかも。twitterで書きやがってむかつくぜー!みたいな曲もあるんですけどね。そういうの歌うとまた自由な気持ちが減るんで。それを言うことってすごく自由に見えるんですけど、実は全然歌ってて自由じゃない。オリの中で"出せー!"って叫んでるだけ、みたいな。今はオリの外に出て文句のない『言いたいことはなくなった』を歌いたいなって。これを歌うことで自分が自由になれてるような感覚になるっていうか。あと、"神になれたら"という曲があるんですけど、この曲をライヴでやるのはほんとしんどいんですよ。セット・リストに入れるのも嫌だっていうか。歌うのがほんとに重いんですよね。自分の心に刺さりすぎて辛いっていうか。作るのは全然いいんですけどね、ライヴでやるのは重くてしんどい、そういう感覚って活動していて初めて知ったことだから、そういう曲を作らない様にしようとしたってところもあるかも。

-歌詞についてです。リリックが前のめりで、つんのめっているような感じもなく、一節一節を置きにきている歌詞、心に収まる歌詞という印象をうけました。今回は、言葉では、何をどのように歌おうと意識されたのでしょうか?

今作はロックンロールをやろうって決めたときから、女の子のことを歌うのがロックンロールだ!っていうよくわからん偏見というか、イメージだけで最初から最後まで貫いて書きました。かなり意固地に。ボクは音楽性によって歌詞を書いているので、攻撃的なリフものには攻撃的な歌詞、優しいメロディのギターには優しい歌詞、みたいな作り方が多いんです。で、今回はこういう甘い感じだからこういう歌詞かな、っていう。音に合わせて歌詞を書いてますね。サビの歌メロと歌詞が同時に出来ることが多く、他のパートをあとから書いていたんですが、サビがすごくストレートで、例えば「だからボクのそばにいて」という曲があるんですが、"そばにいてそばにいて"ってそれだけだとだとバカみたいですよね。だから、Aメロでそばにいて欲しい理由を"ただ好きだから、愛しているから"じゃなくて"すぐ忘れちゃうからそばにいてくれないと忘れちゃうよ?"っていうめちゃくちゃ最低な男を主人公にしてバランスを取りました。そういうものが多いです。サビのメロディとサビの歌詞、曲のイメージが勝手に歌詞を書いてくれたっていう感覚ですね。だから自分自身はなにかを意図したわけじゃなく、自分の中で勝手に生まれた物を書いただけっていうか。そういう感じですね。