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INTERVIEW

Japanese

The Mirraz

2012年01月号掲載

The Mirraz

Member:畠山承平(Vo&Gt)

Interviewer:島根 希実


-間違った言い方かもしれません。本作において、音楽をどう世の中に作用させたいとかはありますか?

"音楽"を"音楽"として楽しんでほしいと思う。だから"音楽"を望んでる人に聞いてもらいたい。その結果聞いた人が楽しい気持ちになってくれたら世の中が少しは明るくなるんじゃないかなって思う。

-こちらも『Skream!』のコラムで書かせていただいたのですが、今年のナノムゲンの後藤さんのMCがとても印象に残っていて。――"一時はナノムゲンできないかもって。ミュージシャンが音楽やるなんて不謹慎だって言われて。でも実際は、ミュージシャンが使う電気なんてたかが知れてて。でも、そういう電気の云々以前に心が折れて。音楽鳴らす意味あんのって?ぐらんぐらんになった時期で。でも、大切なのは自分がどうしたいか。だからこのフェスだけは成功させたい。俺がこのフェスで立ち直りたい。みんなもちょっとでも軽くして帰ってください。"――畠山さんもこういったことをツイートされていましたね。"地震が起きて、俺は言葉が見つからなかった。亡くなる必要のない人が亡くなって、苦しむ必要のない人が苦しんだ。それに対して何を言えばいいのかわからなかった。何を歌えばいいのかわからなかった。言葉の意味を失ったと思った。とにかく音を届けたいなと思った。"―――畠山さんは、震災後に、言葉という1つの指針を失いながらも、音楽への信頼それ自体は見失わなかったということなのでしょうか? 結局は音に託したというか。

いえ、後藤さんと同じく、僕も音楽をやってていいのかわかりませんでした。ただ、僕は地震の日にツアーで九州にいました。で、地震の揺れを何1つ感じずにニュースだけを見て、実感のない状態でした。九州のお客さんも、どうしていいかわからない状態で集まっていました。でも、僕はその日、九州に音楽を鳴らしにきたわけで、お客さんは音楽を聴きに集まってきたわけだから、音楽をやらなきゃいけない状況だったんです。僕はその日"俺は俺のやるべきことをやりにここにきたから、みんなもここでやるべきことをやってくれ"って言ってライヴを始めました。お客さんをちゃんと迷いのない状態にして楽しませなきゃって思ったから。そしたらお客さんがすごい盛り上がってれて、なんかすごいエネルギーもらったんですよね。間違ってないって感覚っていうか。その次の日も四国でライヴで。影響のない地域で、ライヴを中止にするのっておかしいなって思ったんですよ。もちろんね、メンバーやスタッフの家族は関東にいるわけで、みんな早く帰りたかったんですよ。それでも俺たちはやるべきことをやるためにツアーに出たわけだから、やらなくちゃいけないと思ったんですよね。そういう状況だったので他のアーティストさんよりも早く自然に音楽をやれたのかもしれません。音楽は間違ってねぇ。っていう感覚は強かったかも。でも言葉で嘘くさい感じにはしたくないっていうか。

-"言葉の意味を失ったと思った。とにかく音を届けたいなと思った。"という状態から、曲・歌詞、それぞれをどのように作り上げていかれたのでしょうか。

震災に影響を受けていない、というと嘘になると思うんですが、そことは無関係に作ろうと努力しましたね。さきほども言いましたが、音楽が必要になった時に用意しておきたかった音楽だから、僕は僕の美学で"作品"を作り上げることに集中しました。そういう、世の中とは違う場所で作品と作り上げようと、離れた場所から作ろうとしていたというか。森の中の仙人、みたいな。そしてこの音楽が求めてる歌詞をただ完璧に書いてあげよう、という気持ちだけで書きました。

-今作は、曲と歌詞、どちらが先に出来上がったのでしょうか?

サビはほとんど歌詞とメロディが同時に生まれました。ギターを適当に弾いてく口ずさんだものがそれだったっていう。そのときに歌詞がどばどばって書けるものは書いておいて、書けない物はほっといて、で、アレンジを完成させて、仮歌を歌って、最後に細かい部分の歌詞をメロディにあわせて書き直すってパターンが多かったかな。

-バンドについての質問です。現メンバーになってから、ケイゾーさんとマサヒコさんの加入直後の頃と今とで、畠山さんご自身の"対バンド"においての心の置き方は、何か変化はありますか?

ケイゾーとまさひこは、僕が彼ら2人のファンだったので、信頼感が最初から100%の状態です。あと、普通に友達だったので、一緒にいて楽しいですよ。高校生でいつも集まるやつら、みたいな感じっていうか。今さら青春してる感じがありますね。

-今、畠山さんにとって、バンドとは?または、The Mirrazとはなんでしょうか?

バンドはなんだろう、かっこいいですよ。音楽をやる形態として一番ロマンチックですね。ソロ・アーティストじゃ味わえないかっこよさがありますね。男のロマンですね完全に。The Mirrazに関してはもう自分のものじゃないって感じですねー。だから自分のものに取り戻そうとしているのかも、今作で。わかんないけど。僕は、The Mirrazは日本で今一番音楽としてかっこいいバンドだなって思いますよ。自惚れじゃなくて、これは自信です。やってることは間違いなく一番かっこいいですね。自信はありますね。いや、だってかっこいいでしょ、今こんなかっこいいバンドいないっすよ日本に。それをどう証明していくのかっていうところで手こずってますね。

-2011年は、音楽にとってはどんな年であったと考えますか?

本当は関係ないんですけどね、音楽に責任を押し付けるのはかわいそうだなって思います。音楽は音楽のままでいさせてあげたいですね。ただ、音楽の大事さをちゃんと考えることが出来た年なんじゃないかなって思います。だから音楽のことをもっと理解してあげれた年かな。

-同時に、The Mirrazにとっては、どんな年でしたか?

すごい大変な一年でしたね。反省のくりかえしっていうか。成長できましたね。成長の年でした。

-来る2012年、未来への抱負をお聞かせください。

目標はとにかくCDを100万枚売ること。2012年はそのための名曲を作る。まぁ、いつもと変わりません。