Japanese
ゲスの極み乙女。
2015年10月号掲載
Writer 沖 さやこ
今年の5月、ひとり新宿のラーメン屋で昼食を取っていたら、店内BGMの有線でゲスの極み乙女。の「私以外私じゃないの」が流れてきた。すると隣にいた40代くらいのサラリーマン2人組のうちのひとりが、サビで"私以外私じゃないの~♪"と口ずさんだ。彼は、同僚の"この曲知ってるんですか?"の問いに"娘が、えのぴょんのファンでさ"と答えた。こんなところにまで彼らの音楽は浸透しているのだなと痛感する場面に胸が熱くなった。その喜びで出来立てのラーメンを勢いよく吸い込んで、ふたつの意味で胸が熱くなった。
幕張メッセでのワンマンや10月14日の横浜アリーナまで続くアリーナ・ツアーも大盛況、今年リリースしたシングル『私以外私じゃないの』『ロマンスがありあまる』もロング・ヒット。積極的にメディア展開も行い、知名度を広げ続けるゲスの極み乙女。、今年3作目となるシングル『オトナチック/無垢な季節』は1stシングル『猟奇的なキスを私にして/アソビ』以来の両A面である。2015年のゲスの極み乙女。は、音楽的な急成長が止まらない。彼らは知名度を上げれば上げるほど、高度なプレイや難解なアンサンブルに挑戦しているようだ。"アーティストは売れれば大衆向けを意識して、耳心地のいいものを提供するようになる"という傾向は無きにしも非ず。だが彼らはその逆の変化を突き進んでいる。昨年リリースされたフル・アルバム『魅力がすごいよ』でも急激に進化したアンサンブルに面食らったが、今年リリースされたシングルはその比にもならないくらいだ。「ロマンスがありあまる」では川谷絵音が1曲の中でギターとキーボードを駆使してサウンドを展開させ、そのヴィジュアルはお茶の間には新鮮に映ったことだろう。
『魅力がすごいよ』以降のゲスの極み乙女。はその音楽性をもって、ロック・バンドとしての瞬発力や躍動感を高めている。エモーショナルで感傷的、それもindigo la Endとはまったく違うベクトルで――余韻を残すのがindigo la Endなら、ゲスの極み乙女。は直情的なのだ。今作『オトナチック/無垢な季節』に収録された4曲は特にそうで、Track.1「オトナチック」は川谷絵音の等身大の心情吐露と思える言葉が並ぶ。そこに女声コーラスを用いることで、苦悩するいち個人の中に希望の光が射すような描写ができあがり、楽曲に多面性を持たせているところも見事だ。スタッカートの効いたピアノ・リフと川谷と休日課長によるファンクの色味もあるギターとベースのアプローチも、楽曲を引き締めるアクセントになっている。目まぐるしく変わる展開は感情の起伏や過ぎ行く時間のイメージと合致し、その緊張感とセンチメンタリズムの融合がスリリングだ。Track.2「無垢な季節」は優雅で可憐なピアノの音色と細かく刻まれるドラムの作り出す爽やかな焦燥感が、心地良くも圧倒的に切ない。辛味のあるベース・ソロに開放感のあるシンセ、スピードのあるドラムが重なり静かに川谷が歌うシーンや、"真夏の訃報"という歌詞など、ほのかに夏に潜む死の匂いを想起させる。ファルセットで"泣けて泣けて泣けてくるんだ""花になったのかな/花になれたのかな"と歌う川谷の声は、壊れそうな感情そのもののようだ。彼はもともとファルセットを用いることが多いヴォーカリストだが、今作はそれがさらに効果的に生かされている。
Track.3「O.I.A」は遊び心が効いたアレンジとラップで、初期のゲスの極み乙女。を彷彿とさせるアプローチ。だが今の彼らがそれをやるとよりダイナミックになる。そしてラストのTrack.4「灰になるまで」、みぞおちを殴られるような感覚だった。元来川谷はゲスの極み乙女。でもindigo la Endでもシングルのラストに"叫び""挑戦""核"ともなる楽曲を置くことが多く、これが彼の携わるシングルに触れるひとつの楽しみでもあるが、今回は前作『ロマンスがありあまる』の「Ink」以上の衝撃だった。胸倉をつかまれ眼光鋭く見つめられる感覚にも陥る旋律的なポエトリー・リーディング、悲しく激しく美しい音像――川谷が"生きたい"と叫んだあとに自然と涙が溢れてきた。このリリース速度で自身を更新し続けるゲスの極み乙女。、一体どこまで行くのか? その生き急ぐようなスピード感に歓喜と同時に恐ろしさを感じつつも、こんなバンドが存在することに幸福を感じる。まだまだ追いかけたい。

ゲスの極み乙女。
両A面 4thシングル
『オトナチック/無垢な季節』
[unBORDE]
2015.10.14 ON SALE
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[CD]
1. オトナチック
2. 無垢な季節
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