DISC REVIEW
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MYSTERY JETS
Curve Of The Earth
2000年代半ば、イギリスで起こった空前のインディー・ロック・ブーム のさなかに世に見出された MYSTERY JETS。今年で デビューから10年を迎える彼らが、バンドの成熟を印象づけた前作『Radlands』を最後に古巣"Rough Trade"から離れ、DIYの精神で5作目となるアルバム『Curve OfThe Earth』を完成させた。今作は、ジャケットやそのタイトルから窺わせる通り、70~80年代のプログレッシヴ・ロックの妙味を感じさせるスケールの大きな楽曲が中核を成している。中でも神秘的なムードを纏った「Bombay Blue」、そしてYESやPINK FLOYDの名曲にも比肩するコズミックなメロウさを湛えた「BloodRed Balloon」は今作の白眉と言える。10年のときを経て、頼もしく成長したバンド像を提示する野心作。(山元 翔一)
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MYSTERY JETS
Radlands
日本でも熱狂的な支持を得ているMYSTERY JETSの約2年ぶり通算4枚目となるフル・アルバム。まず冒頭を飾るタイトル曲「Radlands」から漂う80'sの空気感に溶け込む美しいメロディと洗練されたバンド・サウンドに今作の完成度の高さが伺える。そしてホーム・ページにて先行公開された「Someone Purer」のポップなコーラスはライヴで大合唱間違いなしだろうし、ドリーミーな浮遊感が心地よい「The Nothing」やオーガニックな要素と女性ゲスト・ヴォーカルを取り入れた「Roses」など新境地への挑戦も垣間見える。ガレージ、サイケデリック、プログレッシヴなど、様々なジャンルを独自の世界へと変えてしまう確固たるオリジナリティで貫かれた名作。(平野 スミオ)
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MYSTERY JETS
Serotonin
2006年のデビュー以来独自の感性としなやかさを持ち、異端児とも言われながらその絶妙なバランス感覚でシーンに強烈な世界感を提示して来たMYSTERY JETS。彼らの魅力は魔法にかけられた様にキラキラ輝くメロディと自らの原点と語る80'sロックのエッセンスをたっぷり取り入れ洗練されたサウンド・プロダクション。傑作の2nd『Twenty One』に続いて3年振りにリリースされた今作は、まだ発表してない新曲しか演奏しないというツアーを行ったりしながらバンドとしてまっさらな状態に戻ってから作り始めたという。ソフト・ロック的展開や、サイケデリック色の強いナンバーなど新機軸はあるものの、彼らの持ち味である瑞々しさはさらに研ぎすまされた印象。期待を裏切らない傑作。(遠藤 孝行)
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MYSTERY SKULLS
One Of Us
70~80年代のポップス、ソウル、R&Bなどのダンス・サウンドをベースに、近未来的なフレーバーを取り入れたサウンドで人気を博しているエレクトロ・アーティスト/プロデューサー/シンガー、MYSTERY SKULLS。約2年ぶりの新作となる2ndアルバム『One Of Us』は、そのマルチな才能を生かし、よりスケール感を増した仕上がりになっている。ディストピアの世界に生きる、アンダーグラウンドなふたりのならず者が、社会を牛耳る影の存在から脱出するために逃走するというストーリーのサウンドトラックをテーマとして描かれた今作。エンターテイメントに昇華されているが、根底に鳴っているのは生々しい現実だ。ストーリーを踏まえて聴くと、また違った味わいが楽しめる。(高橋 美穂)
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MYTH & ROID
VERDE
"彫刻をめぐる物語"を展開する連作コンセプト・ミニ・アルバムの後編。ひとつの島が海に沈んだ前編から、後編では画家の少女を中心にストーリーが進んでいく。絵を描きたいというピュアな衝動を、ダークながらもダンサブルなサウンドに乗せて炸裂させる「Palette of Passion」や、理不尽な規則に湧き上がる葛藤や怒りを叫ぶ「DiLeMMa」、柔らかな手触りの中にも悲しみや儚さが漂う「Dizzy, Giddy」に、透明感のある美しいコーラスを湛えたホーリーな「Whiter-than-white」など、現実世界の出来事を自ずと想起させながらも、MYTH & ROIDらしいスタイリッシュなサウンドで繰り広げられる音物語は、とにかく凄まじい没入感。聴き終えたあと、温かな光が胸に宿るような感覚を覚える。(山口 哲生)
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MYTH & ROID
MYTH & ROID Concept mini album 〈Episode 1〉『AZUL』
メジャー・デビュー以降、数々の大ヒット・アニメの主題歌を手掛け、海外からの人気も高いMYTH & ROIDの初のコンセプト・ミニ・アルバム。"彫刻をめぐる物語"をテーマにオリジナルのストーリーを展開、幕開けの朗読(<Episode of AZUL>)から一気にその世界へと誘う。アヴァンギャルドな「RAISON D'ETRE」、モダンな「MOBIUS∞CRISIS」と魅力を存分に発揮するサウンドで物語は続き、そのセンスとヴォーカルに圧倒される。そして祈りのようにも聴こえる歌声とピアノが印象的な「...And REMNANT」でいったん物語は幕を閉じる。実はこの物語、2枚のミニ・アルバムを通して完結ということで、2024年春に後編をリリース予定。"海"と"街"を舞台に描かれたこの物語がたどり着く場所とは――それがわかる日がくるまで、この世界をたっぷり味わい尽くしてほしい。(藤坂 綾)
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Myuk
Arcana
ブレス多めで甘さと芯の強さを併せ持つ声が魅力のMyukの名刺代わりとなる1stアルバム。ネット・ミュージックのクリエイションとの親和性を証明したEve作の「魔法」、ポップなソウルやシティ・ポップのニュアンスで冴えを見せる作曲家 大久保友裕によるスウィートな「Snow」、tofubeats作のピアノ・リフが印象的なテクノ・ポップ「Gift」など、タイトル"Arcana"の"Arca"=容れ物/方舟が象徴するように、どんなジャンルでも消化する彼女の器の大きさを実感。中でも若手クリエーター Guianoによる「Arcana」のソリッドなファンタジーや漢字多めの歌詞の押韻、同じく彼作の「愛の唄」の鋭いトラック、ササノマリイ(ねこぼーろ)による「encore bremen」のエレクトロとジャズの邂逅に乗る歌唱はかなりの中毒性の高さ。(石角 友香)
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熊川みゆ
Phantasm
昨年の"FUJI ROCK FESTIVAL"出演や、この1stアルバムにも収録している「sixteen」など、5曲の連続配信などですでにその歌と音楽性に触れている人もいるであろう、19歳のシンガー・ソングライター。アコギ弾き語り+打ち込みやシンプルな生楽器が奏でる風通しのいいアンサンブルは洋楽とJ-POP、英語と日本語をシームレスに吸収/消化してきた世代ならでは。言葉数が多く、ユニークなメロディに乗せる感性と技術はヒップホップとフォーキーな音楽の両面が血肉化していて聴きごたえ十分。子供でも大人でもない年齢にあり、人に何かを伝えていくとき、決して忘れたくない思いを綴る「sixteen」、ラテン+R&Bテイストで洒脱な「夜の舞踏会」など、言葉も歌もサウンドもこれまでのSSWにない新鮮な表現だ。(石角 友香)
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mzsrz
nocturne
大原きらりのソロ・プロジェクトとして再始動して以降、初となるフル・アルバム。瑞々しさのあるギター・ロックや、深淵なエレクトロ、大胆な展開を繰り広げるラウド・ナンバー等様々なタイプの楽曲から滲む感情の機微を、時に囁くように、時に叫ぶように、エモーショナルに歌い上げていく。大原も作詞に3曲参加し、実に個性豊かな15曲が揃っているが、本作は音楽と小説が一体となったオペラ作品というところもポイント。物語を紡ぐように音が切れ間なく続いていくことで生まれる没入感と、生きることを自問自答する9分超えの超大作「アウフヘーベン響詩曲」を聴き終えた後に残る凄まじい余韻から、あなたが感じるのは、穏やかな希望か、避けられぬ虚無か。ぜひ体感してみてほしい。(山口 哲生)
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mzsrz
現在地未明
エイベックス×テレ東によるオーディション"ヨルヤン"を勝ち抜いた女性ヴォーカリスト5人からなるmzsrzの1stアルバム。エレクトロニカを採り入れたバンド・サウンドを得意とするボカロP、DECO*27が全曲プロデュースし、曲によってはTeddyLoidやRockwell、ポリスピカデリーと気鋭のトラックメイカーやアレンジャーを迎え、シティ・ポップ的ナンバーからラウドロックまで幅広いジャンルを横断している。そのどれもを力むことなく自然に乗りこなす歌唱力は、まさに歌/声に照準を絞って実施されたオーディションの賜物。既発曲でもそれは感じられるが、本作に収められた新曲たちでさらに壮大であったりトリッキーであったりとサウンドや歌唱のレンジを広げ、驚かせてくれる。今後への期待も高める1枚だ。(稲垣 遥)
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