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DISC REVIEW

F

Beautiful Dreamer

fhána

Beautiful Dreamer

2023年にメジャー・デビュー10周年を迎え、春には日本コロムビアに移籍したfhánaの最新EPは、"夢"、"ドリーマー"がテーマとなった。1曲目「夢」はtowana(Vo)のポエトリー・リーディングでスタートする。誰かの夢、誰かの心にシンクロして静かに呼び掛けていくイマジネイティヴな始まりから、ポップで華やかな曲、メランコリーを帯びた曲が展開していく。日常の心の機微、あるいはめまぐるしく変化する世の中や、流れの速さに気持ちが追いつかないまま置いていかれてしまうやり場のない思いに寄り添って、もう一度夢見ることの尊さを掘り起こしてくれる、そんな6曲が並ぶ。その構築的なサウンドでまばゆく、優しい光を作り出していくような、fhánaというバンドの持つ世界観が凝縮された1枚。(吉羽 さおり)

STORIES

fhána

STORIES

今年8月にメジャー・デビュー5周年を迎えたfhána。来年1月には5周年のスペシャル・ライヴを行うことが決定しているが、その前にリリースとなるのが初となるベスト・アルバム。書き下ろし曲「STORIES」を加えた全14曲で、アニメのタイアップ曲を中心に収録された内容だが、アニメ作品に寄り添いながら、曲それぞれにバンドの状況や想いも封じ込められていた。まさにこのベストは、fhánaという物語の軌跡となっている。様々なアニメ作品の曲を手掛ける職人的な面と、ポスト・ロック・バンドやクラブ・カルチャーで活動をしてきたメンバーの音楽背景、音楽哲学や好奇心を、絶妙に混ぜ合わせたサウンドを奏で、稀有な立ち位置を築いている4人。その開拓者精神で切り拓いた5年間が詰まっている。(吉羽 さおり)

World Atlas

fhána

World Atlas

前作から約2年の間にリリースされたシングル5作分が収録された3rdアルバム。美しいミディアム・チューン「calling」からブラスが空を舞うアッパー・チューン「青空のラプソディ」まで、曲調から、BPM、テンション、感情まで幅広いレンジの曲が揃っているが、その間をグラデーション的に埋める全14曲となった。できあがった1枚の地図には、音楽的な冒険者であるfhánaが精緻に彩った世界が描かれている。エヴァーグリーンなメロディを引き立てるソウル・フィーリングな曲、渋谷系タッチのミクスチャー精神が生きたラップ曲、またラスト曲は「It's a Popular Song」と名付けてfhánaのポップネスを凝縮し、ゆったりと大団円を迎える"みんなの歌"へ。陽性の余韻がさらに続いていく旅のはなむけとなっている。(吉羽 さおり)

わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~

fhána

わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~

ストリングスが入った歌謡性の高いサウンドや、駆け上がっていくようなメロディのダイナミズムと、渋谷系的でキッチュなひねりの効いたポップ・センスとが同居するのは、fhánaならではだろう。「わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~」という曲は一聴するとシンプルだが、サウンドを因数分解すると、とてつもない情報量と、細やかな音が溢れ出す。ノイズや音の陰影、多彩なコード感や転調の妙、どの楽器も音色もフル回転させつつも、風通しのいいキャッチーなポップスに落とし込んでいる面白さはfhána節の最たるもの。c/wは、新たな音響、音像を追求し──というよりも、ハーモニーや実験を楽しみ、音を追い掛けて新境地に辿り着いた開放感がある。手間暇を惜しまない丁寧さと、大胆さを感じる。(吉羽 さおり)

Hello!My World!!

fhána

Hello!My World!!

キャッチーなのにプログレッシヴという、相反する音楽性や感覚を高次元でブレンドした、これぞfhánaというユニークさが炸裂している表題曲。EDM的なエフェクティヴなビートやシンセを隠し味のように使いつつ、曲の構成などはクラシック風で、快楽的なダンス・ミュージックには落とし込まずドラマチックに聴かせ、圧倒する曲になっている。アニメの主題歌でもあり、アーティスト盤とアニメ盤でカップリングの異なる形態となっているが、カップリングでも突き抜けた面白さを発揮。アニメ盤の「reaching for the cities」ではtowana(Vo)がラップを、アーティスト盤の「君の住む街」はグルーヴィで、BEN FOLDS FIVEを彷彿とさせる、テクニカルでユーモラスなピアノのロック・アンサンブルで聴かせる。多面的で自由度の高いシングルだ。(吉羽 さおり)

ムーンリバー

fhána

ムーンリバー

これまで数々のアニメのテーマ曲を手掛け、中でもファンタジックで色彩溢れるサウンドや、シンフォニックで明るいトーンに満ちたメロディが冴える曲が印象的なfhánaだが、ニュー・シングル『ムーンリバー』は新たな、大人の表情が窺える。憂いあるメロディと、力を抑えたtowanaのヴォーカルが好相性で、心のさざ波を綴った歌の世界を美しく引き立てている。エレガントと呼びたいエレクトロ・サウンドから、バンド・サウンドへと、心の動きに合わせるように移り変わって、引き込んでいく曲となった。細かな声の表情、音の表情を大事にした曲で、静かに深く心に刻まれていく感覚だ。アニメ"有頂天家族2"のエンディング主題歌として書き下ろした「ムーンリバー」だが、fhánaとしての深化も織り込まれた1曲。(吉羽 さおり)

青空のラプソディ

fhána

青空のラプソディ

ニュー・シングルの表題曲「青空のラプソディ」は、スピード感に溢れ、頭から終わりまで陽性のビートやサウンド、メロディで貫かれている。fhána節とも言える、ホロリと哀愁が滲む旋律をピカピカに磨き、笑顔を映し込んだ内容で、祝祭的な鐘の音が鳴り続けるハレのテンションが爽快な曲だ。明るいだけでなく、ソウルやファンクの華やかさ、モンド・ミュージック的なポップな洒落っ気やオールディーズなロックンロールも練り込み、細やかな音楽的なこだわりが随所で炸裂しているのも聴きどころ。大編成だったという贅沢なストリングスや、幾重にも重ねたコーラスのパワーや遊びのある音響を、towana(Vo)の角のない柔らかなフォルムのハイトーンがグイグイ引っ張っていく。超重厚な音をも、風のように聴かせる術はさすがだ。(吉羽 さおり)

calling

fhána

calling

fhánaというバンドは変幻自在だ。2ndアルバム『What a Wonderful World Line』でも、4人それぞれのポテンシャルの高さを改めて思い知ったが、そこに続くこのシングルでもまたクリエイティヴでポップ偏差値の高い、それでいて普遍的なポップスとなりえるキャッチーな共通言語を備えた曲を、ポンと手渡してくれる。カップリング曲違いで、ふた通りの仕様(アーティスト盤/アニメ盤)でのリリースとなるが、アニメ盤のカップリング「アネモネの花」は、生音を重視したエアリーで、立体的なアンサンブルが新鮮な曲。情報量の多い、高密度の音で聴き手をどっぷり浸していくのとはまた違う、風のように、そっと包む感覚が心地いい。アーティスト盤には、アルバムでは英語詞だった「Relief」が日本語詞で収録され、言語を問わず鮮やかに聴かせる曲の魅力を再認識させられる。(吉羽 さおり)

What a Wonderful World Line

fhána

What a Wonderful World Line

グレーの単色の世界から、カラフルに色づいて躍動していく。その昂揚感を持った「The Color to Gray World」に始まり、全14曲、うつむく顔を引っ張り上げる曲が並ぶ2ndアルバム。細やかなアレンジが施され、ときにオーケストラのように、鍵盤とエレクトロ的な音響とバンド・サウンドが重厚に絡み合い、壮大なポップ・ワールドを生み出しているのはfhánaらしいところ。内省的な、心の陰りに寄り添う繊細さがあり、同時にとても爽やかに外へと飛び出し、風を浴びる感触も強い。towanaのハイトーン・ヴォイスも、風に乗る心地よいスピード感と晴れやかさが増している。ポジティヴな輝きを増した歌で、上手さよりもエモーショナルで高い温度が、今作では引き立っている。バンドとして、アクセルを踏み込んでリスナーの心に飛び込んでいくアルバムだ。(吉羽 さおり)

コメットルシファー ~The Seed and the Sower~

fhána

コメットルシファー ~The Seed and the Sower~

爽快でスピード感のあるサウンドと、towanaの抜けが良くエモーショナルなヴォーカルにつられ、叫びをあげて表へと駆け出したくなる。そんな衝動に駆られるエネルギーがこもった表題曲。曲の終盤になるにつれ、讃美歌のようなコーラスが入ってきて、その昂揚感もまたサウンドをドラマティックに彩る。テクニカルな音作りと構築的なアンサンブルによるハイパーなポップ・サウンドを生み出す4人だが、今回はよりバンドの高い熱量も露わだ。またデリケートな詩を紡ぐような「コスモスのように」での味わい深い余韻や、「c.a.t.」の軽やかに世界を旅するような音響感(ゲストで参加したthe band apartの原昌和による図太いベースも肝)にも、随所にこだわりがある。互いのアイディアを掛け算する彼らのアプローチがよく見える1枚。(吉羽 さおり)

ワンダーステラ

fhána

ワンダーステラ

女性ヴォーカルtowanaの瑞々しくつるりとしたハイトーンが冴え、キャッチーなサビから始まる「ワンダーステラ」。しかしその曲は、フレーズが進むごとに激変する。次々に扉を開いて景色が変わっていくような感覚を味わう、めくるめくサウンド。ピアノを軸に弦楽器が絡み合うアンサンブルが晴れやかで、クラシックのような昂揚感があり、間奏パートもまたひとつのクライマックスとなっている。飛んだり跳ねたりと抑揚のあるメロディ・ラインとも相俟って、複雑な展開をする曲だが、スピードに乗って一気に駆け抜ける爽快さだ。アニメ主題歌ということで書き上げた曲ながら、一筋縄でいかない"キャッチー"さがある。メンバーそれぞれに得意分野が違い、なおかつそれぞれにひねくれたことを曲に忍ばせてくるキャラクターが活かされた曲だ。(吉羽 さおり)

Outside of Melancholy

fhána

Outside of Melancholy

"ビジュアル・ノベル""アニメ""インターネット"を共通項に持つ3名の男性サウンド・プロデューサーと、女性ヴォーカリストによる4人組、fhána。iTunesのNEW ARTIST 2014にも選出されるなど注目を集める彼らが、とうとう1stフル・アルバムをリリースする。それぞれのプロデューサーの価値観がぶつかり合うように、そして協調するように展開するサウンド・メイクは、ギターやキーボード、シンセだけではなく、プログラミングやストリングスなどまで、打ち上げ花火のようなインパクト。そしてポップスの王道と思いきや随所ではずしにかかる不安定なメロディが、強く可憐なヴォーカルと相まって、敏感な少女の感情そのもののようだ。全14曲、果敢にエネルギッシュに駆け抜ける。(沖 さやこ)

Too

FIDLAR

Too

FIDLARは、時に破天荒と評される。たしかにセルフ・タイトルを掲げた1stアルバムは、猥雑で荒々しいガレージ・パンクにひたすらドラッグやアルコールについての歌詞を載せるという、まさに勝手にしやがれと言わんばかりのパンク精神を地で行くものであった。しかし、前作から2年以上のインターバルを経て完成した『Too』の根底にあるのは、NO FUTURE的なパンク観ではない。ソングライターであるZac Carper自身も"大人になったのさ(笑)"と語る通り、ここでは現実に中指を立てつつも地に足のついたロックンロールをまっすぐに聴かせる。抑えきれないオルタナティヴな衝動を爆発させるTrack.2、どこかブリティッシュな香りを漂わすTrack.4やTrack.7、新たなポップ・センスの開花を感じさせるTrack.10など、2作目のジンクスをぶち破る気概を見せつける。(山元 翔一)

Fidlar

FIDLAR

Fidlar

2009年に結成されたLA出身の4人組ガレージ・パンク・バンド。メンバー全員がLAのスケートボード・シーンに所属しており、歌詞の内容もほとんどがドラッグやアルコール、スケートボードのことについて書かれている。今までに2枚のEPをリリースしており、満を持してのデビュー・アルバムが完成した。ピッチフォークでベスト・ニュー・トラックを獲得した先行シングル「Cheap Beer」のような勢いのある楽曲から、「Gimme Something」のような美しいメロディのミッド・テンポの楽曲まで幅が広くとても聴きやすい。アメリカン・ハードコア好きはもちろん、THE HIVESのようなガレージ・パンク等が好きなリスナーにもオススメしたい。(石塚 麻美)

メランコリック・キラーステップ / 思い出を絵に描いて

fifi

メランコリック・キラーステップ / 思い出を絵に描いて

新ヴィジュアルとして公開されたユニークなアーティスト写真を見て、"あれ、fifiってこういう感じだったっけ?"と思っていたのだが、このシングルを聴いて驚いた。てっきりコミカルな方向性に進むのかと思いきや、率直に言って"かっこいい"のだ。ベースの思い切った音飾にヴォコーダーを使って、ダンサブルに仕上げたTrack.1「メランコリック・キラーステップ」は、彼らの新境地といえる名曲。そして、もうひとつのタイトル・トラック「思い出を絵に描いて」では、アップ・テンポな2ビートにのせて"ワンモアタイム"と叫ぶように歌う。TOWER RECORDS限定でのリリースなんて、ちょっともったいないのでは?と感じてしまうほど、どちらも今後のライヴ・アンセムになりそうな名曲。(奥村 小雪)

first finder

fifi

first finder

これまで5作品をリリースしている2009年結成の4ピース・ロック・バンド、fifiが自身のバンド名の語源となる"first finder"を掲げた1stフル・アルバムを完成させた。ポスト・ロック、ハードコアなどの要素を昇華したエモ・サウンドはテクニカルかつ衝動的。その中心で輝くのが透明感のある2人のヴォーカルと心を高揚させるメロディだ。彼らのツイン・ヴォーカルにはどれだけ各々の楽器の主張が強くとも、それを集約させてしまうほどの強さと美しさを持つ。その逆ベクトルとも言える、坪井敦史(Ba)のシャウトで貫かれる「傍観者は綴る」は、バンドの狂気をよりリアルに突きつける楽曲。バンドのポテンシャルと気概を感じさせる粗削りな音像と言葉――今後の飛躍と動向が楽しみなバンドである。(沖 さやこ)

約束

fifi

約束

2009年東京で結成したツイン・ヴォーカルとテクニカルでエモーショナルなギター・サウンドを武器に着実にスケール感を増しつつある4人組バンドfifiの1stシングル。表題曲「約束」はイントロのミュートされて刻まれるギターが一気にはじけた瞬間から心をが侵食されるかの如く、凄まじい瞬発力をもって広がっていく。彼らのメロディは一聴するとキャッチーなのだが一癖も二癖もあり非常に中毒性があるのもまた魅力だろう。Track.2の「Dreaming Hero」は壮大なサウンドスケープを尖ったギター・アプローチと柔らかなヴォーカルがエモーショナルに響く楽曲、ライヴでもきっとアクセントになるだろう。3月には初のワンマンを開催。今年大きな飛躍が期待されるバンドのその期待を裏切らない作品だ。 (伊藤 啓太)

wonder speaker, drawing your voice.ep

fifi

wonder speaker, drawing your voice.ep

09年、東京にて結成された4ピース・バンドfifi(フィフィ)の2ndミニ・アルバム。日本人独特の楽曲展開と楽曲構成、そしてメロディや、随所にパンチの効いた気持ちの良いリフが入ってくるあたりからも、ドラマチックでメロディアスなギター・ロックといった印象を受けた。それとともに、楽曲によってはスクリーム・パートもあったりと、時折かなりヘヴィなアプローチがあるために“エモさ”も際立つ。第一印象では、無色透明の優しく丸みのある声が爽やかに駆け抜けるのだが、気持ちが高まって胸が切なくなってくる頃に、それだけでは言いようのない想いを嘔吐するようなスクリーム入れてくるツイン・ヴォーカルが絶妙で、さらに情熱的な雰囲気やや切なさを煽る。言うなれば、冷静と情熱、優しさとエモが同居しているといったところ。(島根 希実)

Snoozing

FILMREEL

Snoozing

自主レーベルを立ち上げた4人組ロック・バンド初の全国流通盤。内省的でありながら表現欲求もあるという、村井隆文(Vo/Gt)が中心となって構築される音像はノイズ、シューゲイザーの影響を受けたサウンドを纏いながらあくまでもポップ。儚げで頼りなさげな村井自身のヴォーカルは、ベッドルーム・ミュージシャンがパジャマのままギターをかき鳴らしているかのよう。Track.2「得体の知れない」やTrack.4「日々の泡」で聴かせる本当にどこか得体の知れない無国籍感があるアレンジや夢と現実を行き来する歌詞、流行のシティ・ポップのひと言では片づけられないTrack.6「Ear plugged」の猥雑さといい、イマドキのバンドのようでいてどこにも属さない"珍味感"がある。1度耳にしたら癖になって繰り返し聴きたくなるはずだ。(岡本 貴之)

Outer Ego

The fin.

Outer Ego

活動拠点をロンドンに移し、海外ツアーが増えたここ3年。コロナ禍の直前に帰国し、フロントマンでコンポーザーのYuto Uchinoがほぼすべての作詞作曲、歌唱、演奏、打ち込みからミックスまで手掛けた3rdアルバムだ。エレクトロ、チルアウト、オルタナティヴR&B、インディー・ポップなど、これまで吸収したサウンドや手法を用い、自我の外側を表現するブライトで音の多い楽曲と、自我の深いところにダイブして蠢くような楽曲、そして懐かしい風景に触れるような穏やかな楽曲から、再生に向かうようなパーソナルなストーリーを展開。歌もこれまでより比重を増しているが、受け取り方はリスナー次第。不安、希望、愛、郷愁などの感情を丁寧に現代のポップなソウル・ミュージックに変換したような心に触れる一作だ。(石角 友香)

There

The fin.

There

活動拠点をロンドンに移し、JAMIROQUAI、PASSENGER、ALT-Jを手掛け、RADIOHEADのミキサーとしても知られるBradley Spenceをプロデューサーに迎えた本作。ギターのディレイや選び抜いたフレーズから成るドラムやベース、シンセの何をとっても音の良さが際立つ。すでに配信リリースされ、欧米やアジアでも話題の「Pale Blue」や「Afterglow」の洗練されたエレクトロニクスと生音のレイヤー、トラップやベース・ミュージック以降のグルーヴを体感できる「Shedding」では、ラップとメロディの中間的な新しいアプローチも散見される。また、全体的にドリーミーでメランコリックな曲調が多いなか、アッパーなビート感にハッとさせられる「Missing」も、音と音の余白に彼らの審美眼が窺えるナイスなミックス。(石角友香)

Through The Deep

The fin.

Through The Deep

改めて聴くと、音楽的にも、ある意味精神性的な部分でもギリギリ此岸に留まっていた印象を受ける1stフル・アルバムから1年3ヶ月ぶりとなるThe fin.の新作。"インディー"という言葉を冠する音楽に宿命的に内在するエクスキューズとでも言うべき、肌ざわりや質感としての"拙さ"や"ハンドメイド感"が今作は限りなく薄まっている。それを単に"洗練"と呼べばよいのかもしれないが、このあまりの仕立ての良さには驚きを隠せない。例えば、「White Breath」は同一シーンの音楽よりもTHE BEACH BOYSあたりを引き合いに出した方が正確に理解できるように思われるし、「Divers」は憧憬から脱却し、彼らが誰よりも先を歩まんとしていることを確かに印象づける。逃避願望の果てにしてはあまりに幽玄で、2016年の日本の音楽と言うにはあまりにイノセントで俗世離れしている。(山元 翔一)

Days With Uncertainty

The fin.

Days With Uncertainty

昨年からじわじわと早耳の音楽好きから注目を集めていたThe fin.待望の1stフル・アルバム。まず、何より『Days With Uncertainty』というタイトルが憎い。THE XXやWASHED OUTを始めとする、リアル・タイムの洋楽と共振する彼らの音楽は、完全に日本人離れしている。洋楽的なエッセンスを多分に含むアーティストは少なくはないが、彼らの場合はレコードから漂う"空気感"がもう日本のものではない。白昼夢の無菌室で生まれたかのようなイノセンスを携えたサウンドを、ここまで完璧に鳴らすことができるのは今の日本では彼らくらいしかいないだろう。日本人好みなメランコリック且つキャッチーなサウンドはもっと広いフィールドで聴かれて然るべきだ。(山元 翔一)

Glowing Red On The Shore EP

The fin.

Glowing Red On The Shore EP

60年代的なサイケデリアが、MGMTやFLEET FOXESといったUSバンドたちによってモダンに蘇生されたのが、00年代の後半。あの時期、USシーンにおいて"逃避"はひとつのキーワードだった。そして今、ここ日本で、この神戸のThe fin.や京都のHAPPYといったバンドたちがMGMTやWASHED OUT等の遺伝子を吸収したサイケデリックなシンセ・ポップを鳴らし始めていることは、とても興味深い。今の日本の若者たちもまた、現実から1歩外にはみ出すためのサイケデリックな音を求めているのかもしれない。東京インディーにおけるシティ・ポップ再興も、それに通じる部分がある。そのぐらい、今の僕らにとってこの現実は重苦し過ぎるのだろう。このThe fin.によるあまりに甘美でメランコリックなシンセの音を聴いていると、特にそう思う。(天野 史彬)

FINAL FRASH

FINAL FRASH

FINAL FRASH

活動休止中のthe telephonesの松本誠治(Dr)と長島涼平(Ba)、ラッパーのDOTAMA(Vo)、THE SUZANのRie(Key)により結成された話題の新バンド"FINAL FRASH"のデビュー作。冒頭の「YEAH」ではファンキーなワウ・ギターに乗せて強烈なアジテーションを繰り広げる予想外のミクスチャー・ロック感に圧倒される。シンセの音を纏ってスタイリッシュな印象の「カリキュラム」、「PERFECT MAN」、スタジオで生のバンド・セッションを聴いているような演奏が楽しめる「こんなはずじゃなかった」など、どの曲も耳馴染みの良いメロディでありながら、そこに乗るDOTAMAのラップは強烈なメッセージを感じさせる。"最後の光"に彼らが音楽に希望を見いだし続けていることがわかる「FRASH」には、ライヴでその想いを共有するであろう観客の姿が目に浮かんでくる。(岡本 貴之)

Hard Believer

Fink

Hard Believer

プロデュースに関わった故Amy Winehouseをはじめ、John Legend、RADIOHEAD、BON IVERらを虜にしてきたイギリスのシンガー・ソングライター、Fin GreenallことFinkによる6作目のアルバム。ゴシック・ブルースを思わせる1曲目からブルースとR&Bをバックボーンにフォーク・ロックと室内楽が交差する曲の数々を披露。浮世離れした歌声の魅力に加え、華麗とも荘厳とも言えるサウンド・メーキングに圧倒される。悲劇的なサウンドに息が詰まるような曲もあれば、そこから一転、そこに差し込むほのかな光を感じさせる曲もある。プロデューサーはGARBAGE、MUSE、FOSTER THE PEOPLEらとの仕事で知られるBilly Bush。BON IVERと通じるところもあるが、彼らよりも断然荒々しい魅力がある。(山口 智男)

HAS

FINLANDS

HAS

前作『FLASH』から約4年ぶりのフル・アルバム。結婚や出産といったライフステージの変化を迎え、さらに昨年3月にはメジャー・デビューも果たす等、この4年間で塩入冬湖(Vo/Gt)を取り巻く環境は大きく変わった。それでも、彼女のまっすぐな歌声と人間性、バンドの姿勢はこれまでと変わらず、芯の強さを感じさせる。サウンドの奥行きとレンジの広さを見せる「ララバイ」、気だるげなヴォーカルとキャッチーなメロディが絶妙にマッチした「割れないハート」、今作の中でも一際エッジィなロック・チューン「VS」、親密な空気感を纏った丁寧なサウンドメイクの「シルエット」、アルバムを象徴するタイトル・トラック「HAS」等、新曲7曲を含む全12曲。(山田 いつき)

SHUTTLE

FINLANDS

SHUTTLE

FINLANDSとしての活動10周年を2022年に迎え、その先の2023年にベスト・アルバムではなく、初期楽曲や前身バンド THE VITRIOLの楽曲も包摂して再録するのは塩入冬湖(Vo/Gt)にとって、初期衝動にとどまらない音楽の普遍性を自ら実感したからなのだと思う。サポート・メンバーの変遷はあれど、現在の研ぎ澄まされたアンサンブルにブラッシュアップできている彼らとのアレンジが音源で聴けるのは嬉しい限りだ。若さゆえの残酷さが大人な音像でむしろ際立つ「あそぶ」や、情景や温度が喚起される「April」など、原曲の色褪せなさが証明されるし、ライヴで演奏され続けてきた「ゴードン」がリアルタイムの演奏で聴ける嬉しさも。さらに新曲「SHUTTLE」は過去と現在を接続するようなテイストなのも聴きどころだ。(石角 友香)

FLASH AFTER FLASH TOUR FINAL

FINLANDS

FLASH AFTER FLASH TOUR FINAL

コロナ禍の中、ツアー途中でファイナルの東京公演のみが延期となり、約5ヶ月待ったファンの前で開催されたライヴである。配信もされたが、塩入冬湖(Vo/Gt)が『FLASH』がひとつの区切りになったことや、例年と違いすぎる2021年を記録しておきたかったのではないだろうか。現場で観ていた者としてはギミックも何もないクリアな映像は驚きでもあり、覚悟も感じ取れた。『FLASH』収録曲を軸にライヴの人気曲も挟みながら本編のみ18曲を完走するスタンスは、映像で観ると、よりその無駄のなさが際立つ。新作からの楽曲に関するMCもこのライヴでしか聴けない/観られないもので、曲に対する愛着が深まった。平穏な日常に感謝しながらも、閃きにもまた抗えない。この時代を生きる自分の気持ちを確認できる貴重なドキュメントだ。(石角 友香)

FLASH

FINLANDS

FLASH

コロナ禍の影響もあり、延期になっていた新作が約2年ぶりに到着。その間の塩入冬湖(Vo/Gt)ソロの表現も、2021年にオルタナティヴ・ギター・ロック・バンドであることの必然も、通底していることを実感する作品だ。この特異な時世を音楽に持ち込みたくないという気持ちと、偶然にせよコロナ以前から書いていた「まどか」(配信とは別Ver.で収録)から連なる、当たり前に続いていた日常や理想の唐突な断絶に対する怒りと弔いにも似た感情。逆に恒常的に彼女が抱えている"自分"を構成している要素と他者との関わりへの熱望と懐疑。音楽的には速めのハチロクの「HOW」、巨大なグルーヴを巻き起こす「ナイトハイ」、ヒップホップ・テイストもある「ランデヴー」、和なコード進行がダークな「Balk」など新たな側面も。(石角 友香)

惚けて

塩入冬湖

惚けて

ゲスト・ベーシストにジョーザキJAPAN(ミスタニスタ/ZOOZ)、合月 亨(Ao/オトノエ)、コシミズカヨ(ex-FINLANDS)を迎えた以外は、すべて塩入冬湖の歌とアコースティック・ギター、ピアノ、デジタル音源によって完成した宅録作品。訥々とした弾き語りがタイトルの"恋のままで"のあとに続く希望を各々の心に問い掛けるような1曲目から始まり、ピアノや無機質なビート、背景音のSEが愛らしい「timer」、エレクトロニックなポップ感に恋愛の破滅的な側面という一見ミスマッチな取り合わせがユニークな「パール」、これまでも歌ってきた「雪に咲く朝の花」を音源ならではのうっすらと聴こえるオルガンの音などで、空気感や温度感を閉じ込めているのも新鮮。パーソナルさがむしろ普遍性を生んでいる。 (石角 友香)

UTOPIA

FINLANDS

UTOPIA

初のEPは昨年秋のツアー後に制作された新曲2曲に初期曲の再録、昨年10月に無料配信された楽曲を収録した4曲入り。新曲は両曲ともポップネスを持ちながら、ソングライターである塩入冬湖(Vo/Gt)の相反する孤独観が反映されており、「UTOPIA」はナチュラルなミッド・テンポのサウンドで刹那的快楽を甘く切なく歌う。「call end」はエッジーなギターと感情的なヴォーカルが作り出すスピード感と焦燥性が生々しい。「衛星」と「天涯」もそれぞれで孤独を想起させるサウンドスケープや言葉が散見されていることからも、塩入が元来持っていた、孤独の概念やひとりの世界が抽出された楽曲が揃ったと言っていいのでは。人間が持つ複雑な感情を混じり気なく落とし込んだ音、言葉、歌はほろ苦くも温かい。(沖 さやこ)

BI

FINLANDS

BI

BALLOND'ORとのスプリット盤も記憶に新しいFINLANDSによる、オリジナル作品としては1年ぶりの2ndフル・アルバム。タイトルの"BI"は"ふたつの"という意味がある言葉。フロントマン/ソングライター、塩入冬湖(Vo/Gt)の音楽家としての自分と、女性としての自分という"BI"を基盤として、12曲で様々な"BI"が入り組みながらも軽やかに展開していく。ハイ・テンポでインパクトのある楽曲の威力や、ポップ・ソング、ダンス・ロック、気だるいグランジなど、多岐にわたるサウンド・アプローチのなかでもひと際存在感を放つのは、中盤とラストに控える計4曲のミディアム・ナンバー&バラード。塩入の憂いのあるヴォーカルと優しい楽器の音色は、聴き手へ物思いにふける心の余裕を与える。(沖 さやこ)

NEW DUBBING

BALLOND'OR × FINLANDS

NEW DUBBING

サウンドや曲調は違えど、恋愛や失恋やもどかしさ、生きていくうえでの憤懣やるかたない思いを音楽へ昇華する部分では共通する2バンド。初スプリットは、互いの途中作業をまったく知らずに進行したという。BALLOND'ORの「リトルダンサー」は、MJM(Vo/Gt)の映像的な歌詞とその内容を純度の高いヴォーカルで表現したことに加え、どこか少年性を残す内容にマッチした†NANCY†(Syn)のコーラスもいい。「WULFMAN2」は動物的な鳴き声(遠吠え?)が彼らならでは。FINLANDSは日本の女の子ならではのグランジ感と棘のような歌詞が絶妙で、BALLOND'ORのカバー「心臓に咲く薔薇」もまるで彼女たちのオリジナルと聴き紛う仕上がり。歌詞とメロディの良さをカバーで再認識するリスナーも多いはず。(石角 友香)

LOVE

FINLANDS

LOVE

FINLANDSの新作は、数ヶ月に及ぶプリプロ期間で曲を練り、アルバム・タイトル"LOVE"に込められた思いをメンバー全員で共有することでよりバンドの結束力を強固にして、北海道札幌市にある芸森スタジオでの合宿で録音を行ったという力作。何より曲がいい。すでに昨年のワンマン・ライヴでも披露された「カルト」、ドラマチックでキャッチーな「フライデー」の他、メロウな「Back to girl」など、塩入冬湖(Vo/Gt)が書くメロディに寄り添いつつ主張も忘れない楽器陣の演奏も表現力豊か。特に今回、コシミズカヨのベース・プレイと粒立ちのいいサウンドは大きく作品に貢献している。「恋の前」、「サービスナンバー」といった歌詞の意味を読み取りながら聴くのも楽しい。現在の彼女たちの創作意欲が見事に結実した傑作。 (岡本 貴之)

PAPER

FINLANDS

PAPER

"出れんの!?サマソニ!?"を始め、多くのフェス、イベントへの出演を経て1年ぶりにリリースする新作は彼女たちにとって初めてのフル・アルバム。Track.1「ウィークエンド」で勢いよく始まり、そのまま雪崩れ込むようにTrack.2「バラード」へと進む流れが文句なしにカッコいい。中盤はテンポの速い曲よりもミディアム・テンポの曲が多い印象で、曲数の多いフル・アルバムならではの試みもあるのか、サポート・メンバーを含めたバンドの演奏も塩入冬湖(Vo/Gt)の歌い方も様々な表現方法にトライしているように聴こえる。そこにはどう料理することもできる元来のメロディの良さへの自信を感じさせるとともに、ライヴ活動から生み出されたメンバー間の信頼関係が窺える。(岡本 貴之)

JET

FINLANDS

JET

女性2人組ロック・バンドの4作目のミニ・アルバムにして2枚目の流通盤。夏であろうと冬であろうとモッズコートを着てライヴを行うというユーモアと頑固さを感じさせる活動スタイルを決してエキセントリックなだけに終わらせない、ガッツ溢れるギター・ロック。イントロからこれぞロック・バンドといったアンサンブルが楽しめるTrack.1「クレーター」、ひと際ポップなメロディとアレンジによるTrack.2「さよならプロペラ」、ハイトーンでぶっ飛ばすTrack.3「ダーティ」といった楽曲はメンバーのふたりはもとよりサポート・プレイヤーの緻密な仕事ぶりが光る。サポート・メンバーと共に4人で作った初めての作品ということもあってか、バンドとしての結束力の強さも感じさせるアルバムだ。(岡本 貴之)

Mobility For Gods

FIRST PERSON SHOOTR

Mobility For Gods

アメリカはサクラメントのLefse Recordsが放つ、規格外の新人が登場。派生を繰り返す現代音楽を自由奔放に飲み込み、美しくアウト・プットした作品だ。トライバルな音色のループとR&Bテイスト漂うヴォーカルが降り注ぐTrack.1「Punchstruc」を一聴するや否や、浮遊感溢れるアンビエント・ミュージックに向かってあらゆるジャンルから音が飛んでくるような音像に夢中になった。特に「U're Better Off」は、ダブの影響を感じさせる細かな音達と甘いR&Bヴォーカルを、その手で丁寧に紡いでいったかのような温かみに溢れている。様々な要素が盛り込まれていながら、どの曲でもキャッチーなフレーズが耳に即乾吸着。ジャンルの壁を穏やかに取っ払う恐るべきデビュー作、早くも次が待ち遠しい...!(矢島 大地)

Head Up High

FITZ

Head Up High

「Handclap」がワークアウト動画で話題となったFITZ AND THE TANTRUMSの、フロントマン Michael Fitzpatrickがなんと50歳にしてソロ・デビュー。彼自身はもともとソロ活動を考えていたわけではなかったようだが、自粛期間中、今作のアイディアが誕生したという。世界が混乱と悲しみに沈み込むなかにおいて、どうしてこんなにもポジティヴなヴァイブスに満ちた作品が誕生したのだろう。今作は、まさにそんな奇跡のようなアルバムだ。ここに収録されている楽曲の数々は最高にポップで、ダンサブルで、もちろんFITZ AND THE TANTRUMSでやってもいいスタイルではあるが、バンドの持つ派手なグルーヴとは違った、パーソナルなノリが親しみやすさをもたらしている。(山本 真由)

MUSIC WARDROBE

FIVE NEW OLD

MUSIC WARDROBE

印象的なアルバム・タイトルの意味が、一聴すればわかる。「Hallelujah」、「Light Of Hope」など話題性抜群のタイアップ・ソングや、Masato(coldrain)をゲスト・ヴォーカルに迎えた「Chemical Heart」など、バリエーション豊かで大ボリュームの16曲からは、トリッキーなオルタナやスタイリッシュなシティ・ポップ、彼らの音を純粋に楽しめるインスト楽曲、はたまた泥臭く鋭利なロックンロールまで、ジャンルの壁にとらわれずすべて呑み込んでいくバンドの自由自在な柔軟さを感じられた。丹精込めて仕立て上げられたカラフルな楽曲たちは様々なシーンや感情にフィットしてくれて、ひとたび身に纏えば、目に映る世界までカラフルに変わりそう。(五十嵐 文章)

Emulsification

FIVE NEW OLD

Emulsification

聞き慣れないタイトルは、"乳化"の意。自分たちのユニークさは、矛盾も含め、相反する要素を掛け合わせるところにあると認めたうえで、そのユニークさを"乳化"とコンセプト化してとことん追求した2ndアルバムだ。オルタナ、アーバン、シティ・ポップ、ヒップホップなど、様々な要素を持ちながら、彼らのサウンドがそのどれでもないのは、"乳化"しているから。そして、その"乳化"は音楽面のみならず、リスナーやオーディエンスに寄り添いながら、洋楽に近い絶妙の距離感を持つバンドのメンタリティにも及んでいる。楽曲の良さもさることながら、バンドのユニークな存在感が、メンバーたちがより自覚的になったぶん、さらに際立ってきた。新たな挑戦も含め、そんなところが今作の大きな聴きどころになっている。(山口 智男)

WHAT'S GONNA BE?

FIVE NEW OLD

WHAT'S GONNA BE?

2018年、初の全国ワンマン・ツアーを成功させ、今度は過去最大キャパとなるマイナビBLITZ赤坂ワンマン公演を含むアジア・ツアーに挑戦するFIVE NEW OLD。一歩一歩確実に歩みを進めてきたそのスピードをぐんと上げながら、より大きな景色が見えるステージを目指している彼らが、国内外問わず、より多くのファンと分かち合える音楽をテーマにリリースするメジャー3rd EP。メジャー・デビュー以降、意欲的に表現の幅を広げてきた彼らが、今一度バンド・サウンドの魅力を打ち出しながら、アーバンでファンキー、そしてポップな持ち味をぎゅっと凝縮している。R&Bやゴスペルに真正面から取り組みながら、味つけはオルタナだったり、エレクトロだったりという絶妙且つ繊細なバランスは彼らならでは。(山口 智男)

For A Lonely Heart

FIVE NEW OLD

For A Lonely Heart

これまでの活動の集大成となったメジャー1stフル・アルバム『Too Much Is Never Enough』から8ヶ月。サポート・ベーシストを正式メンバーに迎え、再び4人編成のバンドになったFIVE NEW OLDがリリースするメジャー2nd EP。ゴスペルのマナーを使って、葛藤と向き合う想いをメッセージに託した「Gotta Find A Light」、オルタナティヴなロック・サウンドに得意の80'sポップスを落とし込んだ「Youth」、R&Bにジャジーなニュアンスを加えた「Melt」の3曲を収録している。ブラック・ミュージックやハウス・ミュージックの影響を彼らなりに消化したアーバンなポップ・サウンドを踏襲しながら、これまでとは違う音像が印象づけるのは早くも踏み出した新たな一歩だ。CD版にはライヴ音源3曲も収録。(山口 智男)

Too Much Is Never Enough

FIVE NEW OLD

Too Much Is Never Enough

自分たちの音楽のキャパシティを広げることに挑戦してきた3枚のEPの集大成であると同時に、バンドが新たな一歩を踏み出したことを印象づけるメジャー1stアルバム。ポップ・パンクからキャリアをスタートさせながら、その後、アーバンなポップ・ロックを奏で始めたFIVE NEW OLDとは何者か、という問いに答える全12曲が収録されている。アーバンなポップ・ロックとは言っても、ブラック・ミュージックからシューゲイザーまで、その振り幅はかなり広い。音数を削ぎ落としたアンサンブルが際立たせる楽曲そのものの魅力に加え、新境地をアピールするMONJOE(DATS/yahyel)、踊Foot Worksら、複数のゲストとの共演も聴きどころ。音楽面はもちろん、精神面でも彼らはひと皮剥けたようだ。(山口 智男)

BY YOUR SIDE EP

FIVE NEW OLD

BY YOUR SIDE EP

メジャー・レーベルからの第1弾リリースとなる今回のEPは、これまで以上にアーバンなR&BやAORの影響を打ち出している。ロック色濃かった前作に比べると、メロウに感じるかもしれないが、今回、R&Bのみならず、ジャズ/フュージョンをかなり研究したことが窺える全4曲のバンド・サウンドにしっかりと耳を傾ければ、単にポップになったというひと言では、この作品を語ることはできないことがわかるはず。中でもゴスペルを取り入れ、ライヴ・アンセムのあり方に一石を投じる表題曲を始め、今回の4曲はアンサンブルの洗練をアピールしながら、楽曲の芯となっている演奏そのものは熱い。あるいは力強いと言い換えてもいい。今後、メジャーのフィールドで彼らがどんな曲を作っていくのか楽しみになる1枚だ。(山口 智男)

WIDE AWAKE EP

FIVE NEW OLD

WIDE AWAKE EP

神戸にて結成された4人組、FIVE NEW OLDがこのたびリリースするEPは、楽曲の幅を広げることをテーマに作り上げた前作『Ghost In My Place EP』の挑戦が決してゴールではなく、新たなスタートであることを印象づける1枚だ。彼らが今回、挑戦したのはバンドの進化のみならず深化。アーバンなR&B感覚と80'sサウンドをさらに追求したTrack.1「Stay (Want You Mine)」を始め、夜をイメージしながらそれぞれに異なる魅力を持った計4曲を収録。ポップ・パンクを演奏していたころのオルタナティヴなロック・サウンドをアップデートしたTrack.2「Hush Hush Hush」とTrack.4「Burned in The Fire」。Track.3「P.O.M.」では洋楽志向の彼らが、彼らなりにJ-POPサウンドにアプローチ。覚醒を意味するタイトルはまさに言い得て妙。(山口 智男)

Ghost In My Place EP

FIVE NEW OLD

Ghost In My Place EP

そもそもはALL TIME LOWやBOYS LIKE GIRLSに影響を受けたポップ・パンク・バンドとしてスタートしながら......という情報は、これだけ劇的に音楽性が進化した今となっては必要ないのかもしれない。結成から10年経った4人組、FIVE NEW OLDが1stフル・アルバム『LISLE'S NEON』から1年、さらなる前進をアピールする最新作をリリース。軽やかなピアノの音色と四つ打ちのビートが印象的な表題曲を始め、ブラック・ミュージックの影響をベースにそれぞれに趣向を凝らしたポップ・ナンバー4曲が収録されている。中でも今回、彼らが取り入れた80年代フレイヴァーが顕著に表れたTrack.4「Poison」のような曲はこれまで以上に多くの人から歓迎されそうだ。昨今のシティ・ポップ・ブームに共鳴するところも大いにあり。(山口 智男)