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DISC REVIEW

F

MUSIC WARDROBE

FIVE NEW OLD

MUSIC WARDROBE

印象的なアルバム・タイトルの意味が、一聴すればわかる。「Hallelujah」、「Light Of Hope」など話題性抜群のタイアップ・ソングや、Masato(coldrain)をゲスト・ヴォーカルに迎えた「Chemical Heart」など、バリエーション豊かで大ボリュームの16曲からは、トリッキーなオルタナやスタイリッシュなシティ・ポップ、彼らの音を純粋に楽しめるインスト楽曲、はたまた泥臭く鋭利なロックンロールまで、ジャンルの壁にとらわれずすべて呑み込んでいくバンドの自由自在な柔軟さを感じられた。丹精込めて仕立て上げられたカラフルな楽曲たちは様々なシーンや感情にフィットしてくれて、ひとたび身に纏えば、目に映る世界までカラフルに変わりそう。(五十嵐 文章)

Emulsification

FIVE NEW OLD

Emulsification

聞き慣れないタイトルは、"乳化"の意。自分たちのユニークさは、矛盾も含め、相反する要素を掛け合わせるところにあると認めたうえで、そのユニークさを"乳化"とコンセプト化してとことん追求した2ndアルバムだ。オルタナ、アーバン、シティ・ポップ、ヒップホップなど、様々な要素を持ちながら、彼らのサウンドがそのどれでもないのは、"乳化"しているから。そして、その"乳化"は音楽面のみならず、リスナーやオーディエンスに寄り添いながら、洋楽に近い絶妙の距離感を持つバンドのメンタリティにも及んでいる。楽曲の良さもさることながら、バンドのユニークな存在感が、メンバーたちがより自覚的になったぶん、さらに際立ってきた。新たな挑戦も含め、そんなところが今作の大きな聴きどころになっている。(山口 智男)

WHAT'S GONNA BE?

FIVE NEW OLD

WHAT'S GONNA BE?

2018年、初の全国ワンマン・ツアーを成功させ、今度は過去最大キャパとなるマイナビBLITZ赤坂ワンマン公演を含むアジア・ツアーに挑戦するFIVE NEW OLD。一歩一歩確実に歩みを進めてきたそのスピードをぐんと上げながら、より大きな景色が見えるステージを目指している彼らが、国内外問わず、より多くのファンと分かち合える音楽をテーマにリリースするメジャー3rd EP。メジャー・デビュー以降、意欲的に表現の幅を広げてきた彼らが、今一度バンド・サウンドの魅力を打ち出しながら、アーバンでファンキー、そしてポップな持ち味をぎゅっと凝縮している。R&Bやゴスペルに真正面から取り組みながら、味つけはオルタナだったり、エレクトロだったりという絶妙且つ繊細なバランスは彼らならでは。(山口 智男)

For A Lonely Heart

FIVE NEW OLD

For A Lonely Heart

これまでの活動の集大成となったメジャー1stフル・アルバム『Too Much Is Never Enough』から8ヶ月。サポート・ベーシストを正式メンバーに迎え、再び4人編成のバンドになったFIVE NEW OLDがリリースするメジャー2nd EP。ゴスペルのマナーを使って、葛藤と向き合う想いをメッセージに託した「Gotta Find A Light」、オルタナティヴなロック・サウンドに得意の80'sポップスを落とし込んだ「Youth」、R&Bにジャジーなニュアンスを加えた「Melt」の3曲を収録している。ブラック・ミュージックやハウス・ミュージックの影響を彼らなりに消化したアーバンなポップ・サウンドを踏襲しながら、これまでとは違う音像が印象づけるのは早くも踏み出した新たな一歩だ。CD版にはライヴ音源3曲も収録。(山口 智男)

Too Much Is Never Enough

FIVE NEW OLD

Too Much Is Never Enough

自分たちの音楽のキャパシティを広げることに挑戦してきた3枚のEPの集大成であると同時に、バンドが新たな一歩を踏み出したことを印象づけるメジャー1stアルバム。ポップ・パンクからキャリアをスタートさせながら、その後、アーバンなポップ・ロックを奏で始めたFIVE NEW OLDとは何者か、という問いに答える全12曲が収録されている。アーバンなポップ・ロックとは言っても、ブラック・ミュージックからシューゲイザーまで、その振り幅はかなり広い。音数を削ぎ落としたアンサンブルが際立たせる楽曲そのものの魅力に加え、新境地をアピールするMONJOE(DATS/yahyel)、踊Foot Worksら、複数のゲストとの共演も聴きどころ。音楽面はもちろん、精神面でも彼らはひと皮剥けたようだ。(山口 智男)

BY YOUR SIDE EP

FIVE NEW OLD

BY YOUR SIDE EP

メジャー・レーベルからの第1弾リリースとなる今回のEPは、これまで以上にアーバンなR&BやAORの影響を打ち出している。ロック色濃かった前作に比べると、メロウに感じるかもしれないが、今回、R&Bのみならず、ジャズ/フュージョンをかなり研究したことが窺える全4曲のバンド・サウンドにしっかりと耳を傾ければ、単にポップになったというひと言では、この作品を語ることはできないことがわかるはず。中でもゴスペルを取り入れ、ライヴ・アンセムのあり方に一石を投じる表題曲を始め、今回の4曲はアンサンブルの洗練をアピールしながら、楽曲の芯となっている演奏そのものは熱い。あるいは力強いと言い換えてもいい。今後、メジャーのフィールドで彼らがどんな曲を作っていくのか楽しみになる1枚だ。(山口 智男)

WIDE AWAKE EP

FIVE NEW OLD

WIDE AWAKE EP

神戸にて結成された4人組、FIVE NEW OLDがこのたびリリースするEPは、楽曲の幅を広げることをテーマに作り上げた前作『Ghost In My Place EP』の挑戦が決してゴールではなく、新たなスタートであることを印象づける1枚だ。彼らが今回、挑戦したのはバンドの進化のみならず深化。アーバンなR&B感覚と80'sサウンドをさらに追求したTrack.1「Stay (Want You Mine)」を始め、夜をイメージしながらそれぞれに異なる魅力を持った計4曲を収録。ポップ・パンクを演奏していたころのオルタナティヴなロック・サウンドをアップデートしたTrack.2「Hush Hush Hush」とTrack.4「Burned in The Fire」。Track.3「P.O.M.」では洋楽志向の彼らが、彼らなりにJ-POPサウンドにアプローチ。覚醒を意味するタイトルはまさに言い得て妙。(山口 智男)

Ghost In My Place EP

FIVE NEW OLD

Ghost In My Place EP

そもそもはALL TIME LOWやBOYS LIKE GIRLSに影響を受けたポップ・パンク・バンドとしてスタートしながら......という情報は、これだけ劇的に音楽性が進化した今となっては必要ないのかもしれない。結成から10年経った4人組、FIVE NEW OLDが1stフル・アルバム『LISLE'S NEON』から1年、さらなる前進をアピールする最新作をリリース。軽やかなピアノの音色と四つ打ちのビートが印象的な表題曲を始め、ブラック・ミュージックの影響をベースにそれぞれに趣向を凝らしたポップ・ナンバー4曲が収録されている。中でも今回、彼らが取り入れた80年代フレイヴァーが顕著に表れたTrack.4「Poison」のような曲はこれまで以上に多くの人から歓迎されそうだ。昨今のシティ・ポップ・ブームに共鳴するところも大いにあり。(山口 智男)

Magdalene

FKA TWIGS

Magdalene

アルバム・デビュー作『LP1』(2014年)が注目を浴び、翌年には"フジロック"のWHITE STAGEでヘッドライナーを務めるなど、一気に世界的人気アーティストとなったFKA TWIGS。アーティスティックな楽曲そのものはもちろんのこと、ダンサー出身の彼女らしい身体表現や、抜群のスタイルを生かしたファッション・アイコンとしての存在感も含め、MVなど優れたヴィジュアル表現でも話題となった。そんな彼女が5年ぶりとなる新作アルバムをリリース。今作は個人的につらい時期を乗り越えたことが楽曲に投影されているらしく、光を失わないピュアな歌声、そして電子サウンドに交じった木管楽器の温かな響きなど、彼女が見いだした希望が投影されたような、力強さと優しい輝きに満ちた作品となった。(山本 真由)

Oczy Mlody

THE FLAMING LIPS

Oczy Mlody

2014年のフジロックが特に新作のないタイミングで過去の名曲オンパレードだったので、もう落ち着いてしまうのか? と思った矢先に新鮮な音像が届いた。トレンドに合わせたわけじゃないだろうが、ドラムもギターもうっすらリップス流のミニマルで、でも十八番のメランコリックでノスタルジックなサイケデリアが多幸感とも違う穏やかな心地に誘う。なんでもタイトルはポーランド語で、意味は"若き人の目"とのこと。Wayne Coyne(Gt/Vo)は"オクシィ・ムロディ"という発音に麻薬的なものを感じてつけたらしいが、まさに悪影響のないドラッギー・サウンド、半覚醒状態で聴くと最高に気持ちいいトータル・アルバムだ。一概にエレクトロと言えない手作り感、切なくてキュートで思わず泣けてくるTrack.4のようなメロディは彼らにしか作れないだろう。(石角 友香)

The Terror

THE FLAMING LIPS

The Terror

ストレートに"恐れ"とタイトルされた全編シームレスに続くひとつの詩のような、ひとつの曲のようなアルバムだ。恐怖から逃れることはできるのか?愛するほどに傷つくのか?でも結局、自分の手に負えないものからの支配と破壊の欲求によって人は跳躍できるのではないか。そんな自問に似た真摯な歌が、静かな熱気を湛えたバンド・アンサンブルとエレクトロが感覚を増幅させるサウンドとともに淡々と紡がれていく。コラージュ/ミュージック・コンクレート的な手法も、ノイズ・ギターも必要とあらば同じ俎上に乗せつつ、決して過剰にならないサウンドスケープは、聴感上はロック的ではないけれど、このエモーションはインストのカット・アップでは決して味わえないTHE FLAMING LIPSというバンド作品の強みだ。(石角 友香)

Embryonic

THE FLAMING LIPS

Embryonic

SUMMER SONIC での母体から登場するパフォーマンスは、『Embryonic』=胎性と名付けられた本作に繋がっていたのか。ただ、エンターテイメント性溢れるステージを目撃した直後だけに、この新作『Embryonic』のモードには驚かされる。自分達がマジカルなポップ・バンドである前に、先鋭的なロック・バンドであると示すようなプリミティヴなオルタナティヴ・サウンドとアンビエント・テイストのバラードが交錯する。眩暈がするようなポップ・ワールドではなく、遥か彼方で瞬く光をやっと発見するような空気感が全体を覆う。初めて聴いた時は戸惑うかもしれないが、聴き通せば本作がポジティヴで美しい作品だと分かるはずだ。僕は、映画『2001年宇宙の旅』を思い起こしてしまった。(佐々木 健治)

Skin And Bones

FLASHY PYTHON

Skin And Bones

CLAP YOUR HANDS SAY YEAHのヴォーカリスト、Alec Ounsworthの新プロジェクトFLASHY PYTHONのファースト・アルバム。何の告知もなく、突然WEB 上での発売が始まっていたこの作品。Alec Ounsworth のフリーキーなポップ・センスと伸びやかなヴォーカルはもちろんだが、ダイレクトにバンド・サウンドが表に出ているところが今作の特徴。序盤はヘヴィなベース・ラインを軸にしたオルタナティヴ・ロックなナンバーが続き、そこからAlec Ounsworthらしいコーラス・ワークが美しいサイケデリックなナンバーへと移り変わっていく。CLAP YOUR HANDS SAY YEAHとはまた違うスタイルに挑みながらも、そのセンスは流石の出来。(佐々木 健治)

Crack-Up

FLEET FOXES

Crack-Up

2006年にデビューしてから、世界各国で大きな評価を受けてきたFLEET FOXES。00年代を代表するバンドとなったものの、ここ5年ほどはパタッと音沙汰がなかった。そしてついにリリースされた、6年ぶりのニュー・アルバム。聴けば、彼らにとってこの時間は必要だったんだ、とわかるような深遠さが感じられる。アコースティック・ギターを始めとした生楽器が奏でる牧歌的な音像と、風景やメッセージを映し出したような壮大なアレンジは変わらぬ魅力だが、様々な音色......"間"さえも取り入れた繊細な表現や、ヘッドフォンで聴いていると包み込まれるような歌声は、今作ならでは。ジャケットに日本の写真家、濱谷 浩の作品が使われているところも、日本人としては嬉しいところだ。(高橋 美穂)

Helplessness Blues

FLEET FOXES

Helplessness Blues

デビュー・アルバムが数々の批評家やメディアからベスト・アルバムと絶賛を受けたFLEET FOXESから3年振りの2ndアルバムが到着。先行ダウンロードされたタイトル曲「Helplessness Blues」の世界感と同じくアルバムも壮大で完成度の高い曲が並ぶ。まず前作同様に美しいコーラス・ワークとストリングス・アレンジに心奪われる。中でもヴォーカルのRobin Pecknoldの伸びやかで穏やかな歌声は彼ならではもの。USフリー・フォーク勢とはまた違う凛とした佇まいが彼らの一つの魅力だろう。牧歌的でポップな「Bedouin Dress」やARCADE FIREを彷彿とさせる力強い「Grown Ocean」など楽曲も粒ぞろい。前作を上回るスケール感だ。(遠藤 孝行)

MISSING PIECE

The Flickers

MISSING PIECE

80年代のポスト・パンク/ニュー・ウェイヴの延長で電子音と爆音が入り混じるサイバー・パンクなロックを奏でている3人組、The Flickersが3人のサポート・メンバーを迎えたライヴ活動を経て、1年ぶりに完成させたメジャー2ndアルバム。そんなバンドのスケールアップ(人数で言えば2倍!)はエレクトロなダンス・ナンバーのTrack.4「sonic boom N-wave」以降、後半の楽曲に反映されているが、歌を際立たせた前半の曲も聴き逃せない。リード・トラックのTrack.3「new romantics」のメロディからはみ出る歌詞(もちろんあえて、だろう)からは、"歌わずにいられない! 伝えずにいられない!"という切羽詰まった想いが感じられる。それが根っこにパンクの心を持つこのバンドを突き動かしているに違いない。(山口 智男)

AT FIRST LIGHT

The Flickers

AT FIRST LIGHT

昨年、数々の大規模フェスティバルに出演した3ピース・ロック・バンド、The Flickersが新レーベルからリリースするメジャー第1弾EP。シンセ・オリエンテッドなサウンドとダンサブルなビートという形で、巧みに時代の音を切り取りながら、それぞれに違う魅力を持った4曲がバンドの可能性をアピール。さらなる飛躍を目指す彼らにふさわしいロック・アンセムの「midnight express」からは追い風を感じているに違いないバンドの意気込みがうかがえる。その他、アンビエントなサウンドスケープを描き出す「drive me lunatic」、ニュー・ウェイヴ・ディスコな「in my headroom」、トーキング調のヴォーカルがおもしろいエネルギッシュなロック・ナンバーの「detonation」が収められ、EPとは思えない聴きごたえに。(山口 智男)

A PIECE OF THE WORLD

The Flickers

A PIECE OF THE WORLD

シンセやシーケンスを導入しつつも底流にロスジェネ感というかグランジの“あらかじめ失われた”感覚を持つ精神性が、The Flickersならでは。初のフル・アルバムとなる本作では悲しみを抱えながら光を目指すような「love destruction」、ガレージ・ロック的な「babys bay byebye」、バンド・サウンドを解体したテクノ的な「noiz me」、1stミニ・アルバムでのなじみのエモーショナルに展開していくダンス・ポップ「white heat」、クソったれな日常をそれでも地に足をつけて生きながら、まだ見ぬ未来を希求するThe Flickersの等身大アンセム「supersonic」など全12曲。安島の中性的で感情の爆発と抑制のバランスが効いたヴォーカルは、単に生々しいわけでも無機的なわけでもなく、効果的にツボに刺さる。(石角 友香)

Fl!ck EP

The Flickers

Fl!ck EP

約7ヶ月ぶりとなるThe Flickersの新作EPは、前作『WAVEMENT』に引き続きプロデューサーに三浦カオルを迎え、よりロックとダンス・ミュージックがスパークした刺激的な作品に仕上がっている。それぞれ異なるアプローチが込められた楽曲は、ロックンロール・リヴァイバルや初期ニュー・ウェーヴのエッセンスに安島裕輔(Vo/Gt)の独特のポップセンスが乗っかり聴き応え満点。クリーンかつポップなエレクトロ・サウンドが心地よく壮大なスケールを感じられる「永遠」から、ノイジーかつ妖しいギターの「go go monster」など、聴けば聴くほど深みにはまっていく色濃い楽曲ばかり。心躍ること請け合いの、至極のニュー・エレクトロ・ロックが詰まった作品だ。(大島 あゆみ)

Wavement

The Flickers

Wavement

昨年11月にリリースされた1stミニ・アルバム以降、都内のライヴハウスを中心にとんでもないスピードで話題沸騰中の3ピースThe Flickersから早くも届けられた2ndミニ・アルバム。BPMの早いダンス・ビートとシンセ・サウンドに切れ味のあるギターが暴れ回る。逆にエレポップを感じさせる楽曲もとてもいい。彼らの一番の魅力はエモーショナルで時にはナイーヴな印象を持ち合わせる変幻自在の安島裕輔(Vo&Gt&Prog)のヴォーカル。今作も前作に引き続きBOOM BOOM SATELLOTES等を手掛ける三浦カオルをプロデューサーに迎え、ロックとダンス・ミュージックにおけるバランスの高いサウンドになっている。(遠藤 孝行)

GIRL

FLiP

GIRL

初のセルフ・プロデュースに挑戦した3rdフル・アルバム『LOVE TOXiCiTY』から約1年3ヶ月ぶりの新作は、EMI Records移籍第1弾となる3曲入りシングル。Sachikoがインタビューで語ってくれたように、彼女自身もバンドも大きな転機を迎えていた。これまで女性としてのクールを構築しつづけてきた彼女たちだが、この3曲はそのスキルを持った体を裸にした印象。現在の彼女たちのヴィジュアルが示す通り、つきものが取れたようにナチュラルだ。地元沖縄で得た音楽的ルーツと、バンド活動で培ったスキルでもって、彼女たちは次の扉を開くことができた。4つの呼吸でできあがる強固なグルーヴ、そこに彩りを与えるシンセ、すべてが軽やかで心地よい。華麗なる新章の幕開けである。(沖 さやこ)

"LOVE THE TOXiC CiTY TOUR" at LIQUIDROOM

FLiP

"LOVE THE TOXiC CiTY TOUR" at LIQUIDROOM

最高にクールな映像作品だ。3rdアルバム『LOVE TOXiCiTY』のリリース・ツアー"LOVE THE TOXiC CiTY"の恵比寿LIQUIDROOM公演を収めたDVD。約90分の収録時間の中、恐らくMC部分は極力カットしたのであろう、とにかく演奏シーンを見せることに徹した構成。メンバーの指使いや表情まで明確に映し出した、ステージ上の4人の姿を臨場感溢れる視点で捉えたカメラ・ワーク。そのストイックさすら感じさせる映像は、とても生々しく、屈強なライヴ・バンドとしてのFLiPの姿を映し出している。メンバーの逞しく、華やかで、時に色気すら感じさせる存在感は、『LOVE TOXiCiTY』を作り上げたバンドの成熟をヒシヒシと感じさせる。ラスト1分にはとても等身大な姿も納められていて、そこも必見。ライヴ会場限定販売。しかも1000枚限定。意地でも手に入れたほうがいい。(天野 史彬)

LOVE TOXiCiTY

FLiP

LOVE TOXiCiTY

2ndアルバムである前作『XX emotion』から約13ヶ月、FLiPが全曲セルフ・プロデュースで3rdアルバムを作り上げた。サチコ(Vo/Gt)がパーソナルな部分をさらけ出した歌詞と同調し展開されるサウンドは、精力的なライヴ活動で築いた実力と熱量、何より隅々にまで飽くなき音楽的探究心が詰まっている。この4人で音を鳴らすことをひとつひとつ感謝するように奏でられる音色は、聴き手を衝動的に突き動かす。ロック・サウンドを基盤にハードなものからゆるめの横揺れの曲、メロウなナンバーなど様々な色を持つ楽曲群は、多様な表情を持つ“女性”という存在、そして現在のFLiPをそのまま投影しているようだ。結成から8年、自身の“核”を再確認した彼女たちが更に飛躍を遂げることを確信させる。(沖 さやこ)

CLOCK TOWN

The Floor

CLOCK TOWN

前作『nest』で"巣"を作ったThe Floorが1年半の時を経て、"CLOCK TOWN"と題した架空の"街"を作り上げた。秒針の音をモチーフとし、時は戻らないことを改めて音楽で表現したインスト曲「We can't put the clock back」や、暗いトンネルの先には希望が待っていることをエモーショナルに歌った「Faraway」、ゆっくりでも前に進んでいく決意を表す「slow motion」など、ここ1年での考えや想いを反映させた1枚だ。地元 札幌にある北24条駅を想起して作られた「24」は、時が経って環境が変わっても、故郷に帰ってくればいつでもあの頃に戻れると歌っており、延期になったツアーを札幌だけで完結させた彼らならではの1曲に仕上がっている。(伊藤 美咲)

nest

The Floor

nest

今夏に新体制で動き出したのをきっかけに、メンバー全員が作詞作曲をした挑戦の1作。リード・ギタリストが不在という状況を逆手に取り、「Candy」や「雨夜の月」といったサポート・ギタリストのカラーも生きた楽曲や、シンセのアンビエント感が心地いい「砂の山」、エレクトロとロックを掛け合わせた「I Don't Know」など、振れ幅のあるサウンド・アプローチに成功している。ササキハヤト(Vo/Gt)の楽曲は伸びやかなメロディが心地いいポップ・ナンバー、ミヤシタヨウジ(Ba)の楽曲は硬派で強固なバンド感と雄大なメロディ、コウタロウ(Dr)の楽曲は壮大なサウンドスケープを持つなど、それぞれの人間性や特色が表れた作風も趣深い。バンドが飛躍する準備を整えた新たな原点と言うべき作品。(沖 さやこ)

CLOVER

The Floor

CLOVER

言葉のメッセージ性ではなく、音色の調和が作り出すイメージにピントを合わせたサウンド・アプローチが特徴的な6曲入りミニ・アルバム。楽曲そのものが持つ旨味を引き出した楽曲が多いのは、これまで以上にバンドというセオリーにとらわれない音作りが行われているからだろう。「Keep On Crying」では打ち込みのドラムやゴスペル的な多重コーラスなどを用い、海の中を漂う透明感を表現することに成功。「Through The Night」はリズミカルな譜割りとギターのカッティングの交錯やリフレインが、軽やかなサウンド・スケープを作り出している。海外の音楽にも精通している彼らの性質やポリシーと、J-POP的ポップ・センスが等身大で花開いた楽曲が揃い踏み。バンドの強い意志を感じる。 (沖 さやこ)

革命を鳴らせ

The Floor

革命を鳴らせ

メジャー・デビューから8ヶ月を迎えた札幌出身の4人組によるメジャー1stシングル。表題曲はチームでミーティングを重ね、これまで彼らが培ってきた"らしさ"から殻を破る、まさに革命を鳴らす曲になった。雄大なメロディと華やかなサウンドは、新境地に飛び立つ彼らの姿とも重なる。聴き手を焚きつけるのではなく寄り添う姿勢が表れた、包容力の高い楽曲だ。c/wの「マジック」はライヴでも存在感を発揮するであろう、彼らの持ち味を生かしたポップで躍動感のあるバンド・サウンド。「FASHION」はシンセを大胆に取り入れ、リズム・セクションもシンセ・ベースや演奏したドラムをサンプリングで汲み上げるなど、4人の音楽への知的好奇心が溢れている。さりげない皮肉が効いた歌詞もいいスパイス。(沖 さやこ)

ターミナル

The Floor

ターミナル

TOWER RECORDS限定リリースの『リップサービス』からちょうど2年、札幌在住の4人組がバンド史上初のフル・アルバムでメジャー・デビュー。メンバー全員が国内外&ジャンル問わず自分たちのアンテナに引っ掛かった音楽をリスペクトする、キッズよろしく非常にピュアなミュージック・ラヴァーっぷりは、今作でも炸裂している。感銘を受けた音楽を自分たちなりに表現することだけでなく、自分たちのイメージや精神性をより鮮明に音楽や言葉に落とし込むことができるようになったのは、インディーズ時代の音源制作の積み重ねがあったからこそだろう。ロック且つポップで、どこかいつもセンチメンタルな彼らの音楽は温かい。寒さや暗闇を知っている人間だからこそ表現できる光や熱が、美しく煌めいている。(沖 さやこ)

ウェザー

The Floor

ウェザー

前作のインタビューでササキハヤト(Vo/Gt)が"飛躍の2017年になれば"と語っていたとおり、『ウェザー』はそれを大いに感じさせる作品だ。ロックに目覚める前の音楽の原体験である童謡やゲーム音楽の要素も取り込んだことによりアレンジの妙も広がっただけでなく、作詞を担当するササキとコウタロウ(Dr)の表現方法もそれぞれが新境地に挑戦。何より、メンバー全員が楽曲のイメージを以前よりも明確にプレイやフレージング、歌詞、ヴォーカルに落とし込むことができているのは大きな成長だ。ドラマチックな展開が冒険感のある歌詞とリンクしたTrack.1で幕を開け、幸福感から悶々とした風景、ヘイトまで色とりどりの景色を見せる。ミュージック・フリークたちの愛に満ちた音楽はどこまでも煌びやかで頼もしい。(沖 さやこ)

Re Kids

The Floor

Re Kids

全国デビュー以来、"RISING SUN ROCK FESTIVAL"や多数のサーキット・イベントに出演するなど、活動の幅を広げている札幌発の4人組の4曲入りEP。その充実ぶりからさらに音楽が好きになったという彼らの気持ちが反映された楽曲が揃い、タイトルのとおり愛する音楽への純粋な気持ちやリスペクトを感じさせる。Track.1や2のようなダンサブルなビートとインパクトのあるリフが作る楽曲にも、エモやパワー・ポップの要素を取り入れており、以前よりも音像が分厚い。特にTrack.4はパワー・ポップやグランジ的アプローチに傾倒した楽曲。耳をつんざく爆音と包容力のある伸びやかなヴォーカルがきらきらと眩しい。ポップ・センスが光る軽やかなウィンター・ソングのTrack.3も新境地。(沖 さやこ)

ライトアップ

The Floor

ライトアップ

今年2月にリリースしたTOWER RECORDS限定1stシングル『リップサービス』がオリコン・インディーズ・チャートにランクインするなど、着実に広がりを見せている札幌在住4ピースの1stミニ・アルバム。シングル2曲のように印象的なリフと音の空間をうまく使った音楽偏差値高めなアンサンブルの楽曲に加え、今作にはギターをかき鳴らして突っ走るようなシンプルなアプローチのナンバーも。どの曲にも共通して通っているのは心の底から音楽を愛する想いと、音を鳴らせることへの充実感や喜びだ。The Floorの音楽が聴き手を高揚させるのは、彼らが国境を問わず様々な時代の音楽を純粋に楽しんでいるからに他ならない。シンセ・ベースを取り入れるなどの新たな挑戦もフレッシュで、全曲が青春の煌めきを放つ。(沖 さやこ)

リップサービス

The Floor

リップサービス

インタビューを読んでいただければわかると思うが、この札幌在住4ピース・バンドThe Floor、いい塩梅に生意気で皮肉屋で、音楽に対して非常にピュアなバンドだ。日本のロックはもちろん、UKやUSのインディー・ロック/ポップのテイストを取り入れた、日本在住の音楽オタクでないと成し得ない音像は非常にフレッシュで、戯れるように鳴らされる音とムードのある歌声も眩しい。2曲入りワンコイン・シングル、Track.1はアップ・テンポで踊れるビートにリフレインがキャッチーでシニカルな歌詞が痛快。Track.2はゆるやかなテンポに太いダンス・ビートが心地いい。THE 1975やWALK THE MOONなどに通ずるポップ・センスも持っており、これからの活躍と飛躍が大いに期待できる。(沖 さやこ)

LUNGS

FLORENCE AND THE MACHINE

LUNGS

先行シングル「Kiss With A Fist」の衝撃は忘れられない。やはりこのバンドの一番の魅力は幻想的で存在感のあるFlorence の歌声だろう。今年復活を果たしたBLUR のオープニング・アクトも務め、今年のBrit Awards では話題の新人に送られるクリティック・アワードを受賞。今最も注目すべきアーティストの一つ。ビートを意識したダイナミックでパワフルなトラックから、物語を紡ぐ様な繊細なバラットまで。全体をグッとまとめる緊張感溢れるサウンドも見事。Paul Epworth、James Ford、という2 人の人気者とTHE STOOGES のSAX 奏者であるSteve Mackayが揃ってプロデュースを手掛けたのも頷ける天性の歌声。新しい歌姫の誕生だ。(佐々木 健治)

IN CVLT

The Florist

IN CVLT

"ギターが轟音で鳴るストレートなシューゲイザー・ナンバーはもはや、その一部でしかない。"とレビューを書いた前作の延長上で、今一度メンバーたちのルーツであるエモ/オルタナ・サウンドも取り入れた3rdアルバム。耽美的なThe Floristの世界に、熱狂と表現することもできるロック的な勢いが加わったところが聴きどころ。そのぶん、曲の幅はニュー・ウェーヴからギター・ポップ、ハードコアまでとさらに広がったが、それが散漫にならないのは、張り詰める緊張のなかアップダウンを繰り返す感情の流れが、最後ポジティヴな「Bell Rings On The Silent Night」で昇華される曲順が完璧だからだ。The Floristの美学の結晶とも言えるそのカタルシス、多くの人にぜひ味わってほしい。(山口 智男)

Blood Music

The Florist

Blood Music

オープン・マインドな感性がうかがえる「Disintegration」を始め、"評価を勝ち取る"というテーマが"シューゲイザー"のひと言には収まりきらない多彩な楽曲に実った2作目のアルバム。STARBOARDの今村寛之(Vo/Gt)を中心にエモ/ギター・ロック・シーンで活動してきたメンバーが顔を揃えた4人組。ギター・ロック・サウンドの可能性を押し広げる2本のギターによるスリリングなアンサンブルと、それを支えるしなやかなリズムが音の桃源郷とも言える世界を描き出している。ギターが轟音で鳴るストレートなシューゲイザー・ナンバーはもはや、その一部でしかない。アコースティック・ギターと変拍子を使った「Romance」がアピールする新境地は、前進しようというメンバーの意志の表れ。閃きに満ちた演奏は、今村が紡ぎ出す美しいメロディとともに聴きどころだ。(山口 智男)

スポットライト

FLOWER FLOWER

スポットライト

辣腕ミュージシャンが揃い、なかなかマッシヴなサウンドを構築するFLOWER FLOWERだが、約3年半ぶりとなるこのニュー・アルバムの成果は、その音の渦の中で、肩の力を抜いた声の表現をモノにしたyuiの自由度だろう。警告的なイメージとイノセンスが同居するドラマチックな1曲目「命」から、ポップな音楽を強制されていた過去を思わせる歌詞の辛辣さが取り沙汰されがちだが、yuiがソングライターとして持つポップネスがむしろ際立つ「コーヒー」、ウィスパー・ヴォイスが新鮮な「あなたと太陽」、"Wurlitzer"のウォームな音色がマイペースで生きることを優しく許してくれるラストの「日常」。エレクトロ、シンセも効果的に全体に施されたことで、ジャンルは多岐にわたりながらひとつの空気感がある。(石角 友香)

world e.p.

Flower In The Vasement

world e.p.

ドラム、ベース、ギター、そしてヴォーカルというオーソドックスなバンド形態でありながら、それぞれがシンセをいじり、思い描く音世界、サウンドスケープに相応しい音を鳴らす。夢心地の時間に鳴っていてほしいファンタジックさで、また耳を澄まして聴き進むほどに不可思議な音の森へと迷い込むサウンドが、今回も広がっている。幻想的なポップス、アンサンブルの躍動感を響かせる重厚な曲から、幾何学的サウンドとエモーショナルな歌とが溶け合う美しい曲に、ビートが効いたダンス・ミュージックなど、全7曲それぞれのタッチで、想像的な世界へと連れ立つEPとなった。VJと組み、試みのあるライヴを行う4人だが、そんな発想が生まれるもととなる、刺激ある音だ。(吉羽 さおり)

deep deep april

Flower In The Vasement

deep deep april

「パッヘルベルのカノン」を思い起こさせるような、晴れやかなピアノとストリングスのフレーズがループし、キラキラとした電子ノイズとバンド・サウンド、アンニュイなトーンのメロディとヴォーカルとのアンサンブルが、切なくもあたたかく響く「deep deep april」。メロディやフレーズが頭の中を何度も回ってしまうキャッチーさと麻薬性があるけれど、いわゆるJ-POP的なサビのメロディで突き抜けるような展開でない、ポエトリーな曲をシングルとして持ってくるのが面白い。サウンドはまったく違うけれど、BLURが「Song 2」をシングルとして切り取ってくる、あのパンチ力にも近い。短い中にうまみも詰まっているし、"なんだこれ?"というフックもあって、気になるひっかき傷をたくさん残しいく曲。バンドへの最高のイントロダクションだと思う。(吉羽 さおり)

You're Dead!

FLYING LOTUS

You're Dead!

FLYING LOTUS最新作のテーマはズバリ"死"。無限に広がる死の世界という、誰もが迎えるであろう未知の領域を表現したサイケデリックな音像を聴かせている。USヒップホップ・シーンの代表的ラッパー、Kendrick Lamarや大御所感漂うSnoop Doggが参加しているほか、「Moment Of Hesitation」では度々来日している天才ベーシスト、THUNDERCATと共にジャズ界の巨匠、Herbie Hancockも参加。ジャズ、ヒップホップ、エレクトロが混然一体となった様子はFLYING LOTUS版の『狂気』(PINK FLOYD)とも受け取れる。"このアルバムは、終わりをテーマにしているわけじゃない。これは次なる体験に向けた祝福なんだ"と彼が語るように、スピリチュアルな体験を求めているかたにはドハマりしそうなアルバム。(岡本 貴之)

Cosmogramma

FLYING LOTUS

Cosmogramma

名実共に現代のトップのビート・メイカーとなったFLYING LOTUSの新作が遂に到着。Thom Yorkeが参加するなど話題も集めているが、そんな個別のトピックは抜きにして、ここでは、既存の枠組みが解体され、あらゆる音とビートが弾けては消え、また新たな音像が現れる。ジャンルやスタイルの超越自体にはもう意味などなくなった時代に、何を提示するのか。ここには、ただ革新的なビート・ミュージックを創りあげようとする飽くなき探究心だけで描き出されたコズミックなサウンドが詰まっている。ダブステップもJAZZもヒップホップもエレクトロニカも、あらゆる音を取り入れるというよりは、あらゆる音がもう何年もそうだったかのようにひとつに溶け合いながら紡がれる美しいビート・ミュージック集。(佐々木 健治)

Life Is Yours

FOALS

Life Is Yours

前作『Everything Not Saved Will Be Lost』2部作は、Part 1が踊れるロック、Part 2が骨太なロックと、持てる技を全部見せつけるような、バンドとしての集大成的アルバムだった。そして、そんなすべてを出し切った前作を経て、さらに閉塞感のある世の中の空気とも重なり、今作では新機軸となるような、突き抜けて明るいポップ路線を打ち出している。直感的に踊りだしたくなるような、軽快なギター・カッティング、ファンキーなドラム、浮遊感のあるシンセ・サウンド。どこを切っても輝きに満ちた幸福感のあるサウンドで、音楽を聴いてこんなに"眩しい!"と感じることがあるなんて。日常の鬱屈した感情や面倒事がぶっ飛ぶ、FOALS流非日常ポップでひと足早い夏を楽しんで。(山本 真由)

Everything Not Saved Will Be Lost Part 2

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Everything Not Saved Will Be Lost Part 2

前/後編からなる2部作の後編は、ダンス色濃い前編に対して、ビッグなリフをガツンと鳴らしたロック色濃い作品に。デビューから10年、インディー・ダンス・ロックの新星からUKロックを代表するスタジアム・ロック・バンドに成長したFOALSの軌跡を、今一度、2枚のアルバムでダイナミックにアピールする格好となったわけだが、FOALSが持つロック・バンドとしての魅力がぎゅっと凝縮しながら、同時に新境地も印象づけているところがポイント。その意味では、オープニングを華々しく飾るソウルフルなロック・ナンバー「The Runner」、FOALS流のブルース・ロックと言える「Like Lightning」が一番の聴きどころ。ROYAL BLOODやTHE BLACK KEYSのファンにも薦めてみたい。(山口 智男)

Everything Not Saved Will Be Lost Part1

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Everything Not Saved Will Be Lost Part1

"SUMMER SONIC 2019"への出演が決定し自ずと期待値が上がる新作は、2019年秋にリリース予定の後編との2部作前編。スタジアム・バンドとしてのスケールに見合うプロダクションを獲得した前作以降、バンドはベース・ミュージックや今のエレクトロニックなサウンドと対峙したのだろう。近未来を想像させるメランコリックなオープニングや、持ち味である民族性とエレクトロニックなポスト・パンクは、本作を象徴する1曲「Exits」で1音の輪郭をより明確にし、新鮮な音像を獲得している。全体的にシンセを効果的に用いながらも、80's風にもドリーミーにもならない。「Cafe D'Athens」ではトラップを高速に再解釈したようなビートも。我流且つ古くならないバンド、FOALS面目躍如の1枚。(石角 友香)

Holy Fire (Deluxe Edition)

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Holy Fire (Deluxe Edition)

エレクトロ・ダンス・パンクの新鋭としてシーンに現れてから6年目にリリースした3作目のアルバム。アート・ロックからアリーナあるいはスタジアムで鳴ってこそ映えるビッグ・ロック・サウンドへの転身が賛否を呼んだ。メンバー自らライヴにおけるサウンドを反映させた結果と語っているように、それは自然な変化だったようだが、バンドのスケール・アップを受け入れたうえで新たな表現に挑んだところに彼ららしい気概が窺える。楽曲の振り幅が持つダイナミクスをよりはっきりと描き出すことで、本来の魅力がさらにわかりやすい形で伝わるようになった。結果、全英2位の大ヒットを記録。来日に合わせリリースされるツアー・エディションには2013年3月28日のロイヤル・アルバート・ホール公演の模様を収録したDVDがカップリングされる。(山口 智男)

Holy Fire

FOALS

Holy Fire

この作品を作れるようになるために前2作を作ったようなものなんだ"とギターのJimmy Smithが語るように、この3rdアルバムは彼らの確実な進化を決定づける作品となっていると言っていいだろう。『Holy Fire』というタイトルの由来はわからないが、リード・シングルにもなっているTrack.2「Inhaler」はジリジリと熱を孕み、緻密で煌びやかな細工が施されたギター・サウンドはまさに"聖なる炎"を感じさせる崇高な光を放っている。アルバムを通してフィジカルさはグっと増し、彼らのアーティスティックなサウンドにハッキリとした輪郭を与えたことにより、ロック・バンドとしての強度はグっと増している。既に世界的な評価を得ている彼らの更なる飛躍を予感させる作品だ。(伊藤 啓太)

Total Life Forever

FOALS

Total Life Forever

デビュー・アルバム『Antidotes』での強迫的なスピードと変拍子ビート、まくしたてるようなハイトーン・ヴォーカルも後ろへ下がり、グッとスマートに、シンプルになったFOALSの最新作。エモーショナルな美しさを湛える本作でのバンドのスケール・アップは特筆もの。新人バンドがセカンドやサードでスケール・アップなんて言うと大概がスタジアム・バンドという保守的なステレオ・タイプに陥り、一気に退屈になってしまうわけだけれど、FOALS はそうではない。彼らの特徴であるビート、鋭角なギター・リフへの強迫観念が消え去った結果、好事家だけに向けられたアートでも、退屈なステレオ・タイプでもない場所に彼らは辿り着いている。驚くほどにピュアなその音に打ち震える会心作。(佐々木 健治)

clear and serene

fog × weave

clear and serene

横須賀発の4人組weaveと京都の新鋭fogの2組によるスプリット・アルバム。fogにとってはこれが初の全国流通盤となるとのことで、気合も一入だろう。どちらのバンドも未発表曲を3曲ずつ持ち寄ってリリースされる今作は、一貫してエモーショナルなサウンドが印象的だ。weaveの"静"と"動"で編み込まれた緻密なサウンドに対して、fogは日本語詞によるギター・ロックで直球を投げてくる。似ているようで似ていない、近いようで遠いような両者だからこそ、まとまりを持ちながらも楽曲の個性が際立ったスプリット・アルバムに仕上がったのだろう。五月蝿いぐらいに詰め込まれた感情的なサウンドで、シーンの扉を開けていく彼らの勇士が見えるようだ。希望と期待に満ちている。(齋藤 日穂)