DISC REVIEW
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FoZZtone
Return to Earth
FoZZtoneというバンドはいつも様々なユーモア溢れる企画で楽しませてくれるし、ライヴでも熱い心意気で我々の心臓を鷲掴みにする。そしてフロントマンの渡會将士はいつも世間よりもひとつ先を見ている。常に現在の事象に疑問を持ち"こうするべきなのではないか?""こうした方が面白いのでは?"という提示をしてくれる。このアルバムは、エネルギッシュな側面が際立つ『INNER KINGDOM』や『Reach to Mars』とは逆ベクトルのアプローチ。だがシリアス一辺倒にならないところにFoZZtone流の救済がある。ひとつひとつの楽曲の歌詞と音に確立した意味と確固たる意志があり、そこを追求すればするほど様々なものが待ち受ける。それは歓迎のようであり、ある意味試されているようでもある。やはりこのバンドは深い。(沖 さやこ)
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FoZZtone
Stomp the Earth
前作『Reach to Mars』では火星へと旅立つどでかいロックンロールを届けたFoZZtoneが、今作で地球へ帰還。ウエスタン×カントリー×ファンク×ロックなTrack.1、ストンピングを取り入れたTrack.2、アコースティックでパーソナルな雰囲気の幕開けから後半へ向けての多幸感を呼ぶTrack.3などなど、それはネオ・ソウルでもあり、リズム・アンド・ブルースでもあり、ジャズでもあり......この1年3ヶ月で彼らは日本やらロックやらという狭いカテゴリーなんてぶっ壊してしまった。ストリングスを取り入れた「Return to Earth」を今回はあえてデモ音源としてラストに収録した真意も気になるところ。やはり彼らは次々と我々の知的好奇心を刺激し続ける、とんでもないロック・バンドだ。(沖 さやこ)
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FoZZtone
Early Best Album 2007-2009
今年結成10周年を迎えるFoZZtone。彼らがEMI在籍時の楽曲をまとめたベスト・アルバムをTOWER RECORDS限定でリリース。シングル曲や代表曲はもちろん、アルバムのみに収録されている楽曲、未発表の新録曲、入手困難なシングルのカップリング曲など全16曲を収録している。初期の名曲たちで構成される同作のアクセントになっているのは「BASTARD IN THE SUN」。未発表曲のリミックスを収録するという、FoZZtoneらしいちょっとひねくれたアプローチの同曲は、ダンサブルなリズム、何度もリフレインする楽器のフレーズとコーラス・ワークが無機質なようで肉体的で、心地よい混乱を招く。新録の未発表曲「window to window」は、ふくらみのあるギミックたっぷりのナンバー。現在形のFoZZtoneサウンドだ。 (沖 さやこ)
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FoZZtone
INNER KINGDOM(内なる王国)
“フィジカル”がテーマになった FoZZtoneの4thフル・アルバムは、10曲を収録したdisc physicalと、組曲を収録したdisc mentalの2枚組。1曲1曲に物語があり、どちらのディスクも膨大な情報量だ。それでも重圧感がないのは“音楽で踊る”という肉体的なアプローチが基盤だからだろう。サンバやアフリカン・リズムを取り入れたり、「LOVE」と「MOTHER ROCK」のフレーズや歌詞などを他の曲に取り入れるなど、アイディアたっぷりの音構成は何も考えずに体を動かしても楽しいし、じっくり聴いても面白い。リズムが持つ魔力を改めて噛み締めると同時に、いくら文明が進化しても人間が持つ本能は遠い昔から変わらないのだと思い知った。“生きること”を多方面から見つめ、音楽で体現したエネルギッシュなアルバム。(沖 さやこ)
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FoZZtone
LOVE
愛の名の下に、2012年のFoZZtoneが始動。昨年3月のあの悲しい出来事から、それでも明日に向かって歩を進めたロックが、この『LOVE』に辿り着いた。ミドル・テンポで足を踏み鳴らし手拍子を響かせ、大行進のようなビートに乗って"光が刺しているのは僕の目の前だ/体と心が釣り合える日も来る"という希望を高らかに歌い上げる。今こそ内側に秘めていた愛を歌うべきなんだ、というメッセージが、鼓膜をすっ飛ばし心臓へ電光石火の到着。会心作だ。「Tomorrow Never Knows」のような、Vo & Gt 渡會氏特有のフロウとファンキーなベースが乱反射して飛んでくる楽曲もバンドの大きな武器であることを改めて見せつけられた。オーダーメイド・アルバム等、常に新しいトライを重ねて来た彼らの大行進は、今年どんな光へ向かうのか?(矢島 大地)
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Fran Healy
Wreckorder
英国の国民的ロック・バンドTRAVISのヴォーカリストFran Healyの初のソロ作品。TRAVISの4作目『12 Memories』にあったラフで生々しいサウンドを彷彿とさせる所もあれば、ストリングスを多用したシンプルで美しい曲もあり、全体的には彼の音楽に向ける情熱が反映された穏やかで心地の良い作品だ。Fran Healyの歌声を中心としたダイレクトなサウンドもとても躍動感に溢れている。そしてまた曲も素晴らしい。現在拠点となっているベルリンでレコーディングした事も大きいのだろう。リラックスしていながらTRAVISとはまた違う広がりある力強いヴォーカルを聴かせてくれる。Paul McCartneyもベースで参加している他、ゲスト陣も豪華。(遠藤 孝行)
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FRANKIE & THE HEARTSTRINGS
Hunger
両手を高く上げ、背筋を伸ばし、口を大きく開けて満面の笑みで「イェーイ!」と叫ぶ。そんな空気を纏う英・サンダーランド出身の5人組、FRANKIE & THE HEARTSTRINGSのデビュー・アルバム。フランキー・フランシスのダイナミックで情熱的なヴォーカルは、聴き手の心をバウンドさせるように揺さぶる。シンプルで思わず口ずさんでしまうキャッチーなメロディと、いい意味でちょっと垢抜けない雰囲気が漂う手作り感漂うサウンドに、妙に親近感と安心感。現代に生きる彼らならではの伝統的なブリティッシュ・ロックに対する敬意を随所に感じられる。おだやかな曲はじっくり聴かせて、激しい曲では元気にさせる。そんなストレートな潔さに、高らかにピース・サインをしたくなった。(沖 さやこ)
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FRANZ FERDINAND
The Human Fear
デビューから一貫して、女の子が踊れるロックを提供し続けてきた、FRANZ FERDINAND。6年半ぶりとなるファン待望の今作も、基本のコンセプトはブレることなく貫かれ、ノリが良く且つ品のあるサウンドで魅了してくれる。また今作は、約20年にわたりバンドの屋台骨を務めたドラマーのPaul Thomsonに代わって、女性ドラマーのAudrey Taitが加入した作品としても話題となっているが、ヒップホップ・ユニットで培ったダンサブルなビート、プロデュース業の経験から楽曲への理解度が高いこと等も含め、まさに適役の後任と言えるだろう。タイトルが示す通り主題は明るいものではないが、人生の暗部や悲哀も含め輝かせる彼等の音楽には元気を貰える。(山本 真由)
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FRANZ FERDINAND
Hits To The Head
ここ日本でも絶大な支持を得ているロック・バンド FRANZ FERDINANDが、キャリア初のベスト・アルバムをリリースした。ベスト盤というと、コアなファンからは軽視されがちだが、これは結成20年を越え、多くの世界的ヒット曲を持つ彼らの軌跡を次世代へと繋ぐ重要な作品だ。シンプルでノスタルジック、それでいて誰にもマネできない不思議な味のあるサウンド。誰でも一度は聴いたことのあるようなお馴染みのシングル曲や、ライヴを盛り上げた楽曲、ダンス・フロアやラジオでヘヴィ・ローテーションされてきた名曲の数々、そして"女の子が踊れるような音楽"を目指してきた彼らの、こだわりと普遍的なポップ・センスがアップデートされた新曲と、まさにすべてが詰まったアルバムになっている。(山本 真由)
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FRANZ FERDINAND
Always Ascending
英国紳士的なシニシズムとユーモア、00年代初期のダンス・ロックを象徴するFFによる約4年半ぶりのアルバム。タイトル・チューンが先行配信され、白昼夢的なサウンドスケープと微妙な90年代のテクノ/ハウス的なビートの融合に驚かされたが、バンドが"過去のFRANZは忘れてほしい"というほど別物になったわけじゃないことがアルバムで明確になった。というのも基本にはミニマムなポスト・パンク的なビートがどの曲にも存在し、そこにエキゾティシズムを掛け合わせた「Lazy Boy」、エコーがかかったサイケデリックなオルガンが特徴的な「Finally」など、上モノにはエレクトロを通過した浮遊感やサイケ感がある。派手に踊らせるアルバムではないが、英国ならではの陰とオペラ風な物語性は健在なのだ。(石角 友香)
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Franz Nicolay
To Us, The Beautiful!
ニューヨーク大学のミュージック・プログラム学科を卒業後、様々なバンドでキャリアを積み、THE HOLD STEADYのメンバーとしての活動歴もあるマルチ・インストゥルメンタリスト/コン ポーザー、Franz Nicolay。『To Us, The Beautiful!』は彼の4作目となるアルバムだ。Ian MacKayeとともにDCハードコア・パンク・シーンに貢献してきた元JAWBOXのJ. Robbinsをプロデューサーに迎え制作された今作は、ロック、ブルース、カントリーなどアメリカン・トラッドなテイスト満載。プロデューサー/アレンジャー/セッション・プレイヤーとしても活躍する彼だからこそとも言うべき丁寧に作りこまれた滋味深い1枚に仕上がっている。(山元 翔一)
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THE FRAY
Helios
デビュー10年を迎えた、コロラド州デンバー出身のTHE FRAY。こと日本に関してはグッド・メロディで大きなスケール感を持った、物語のある歌を響かせるアメリカン・ロックという印象が強いが、最新作ではその"イメージ"を壊している。全曲、外部ソングライターを迎え共作しており、ONEREPUBLICの Ryanや、RELIENT Kの Mattなどのバンドマンのほか、異ジャンルのトラックメイカーと組むことで、THE FRAYの新しい切り口を見せている。長い時間をかけ築いたものをどこまで裸にし、どこまでTHE FRAYとするか。作り手としては簡単なことじゃないはずだが、全曲新タッグとなると、ある種手放しで楽しんでしまっているのではないだろうか。その潔い開放感が鳴っている。(吉羽 さおり)
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THE FRAY
Scars & Stories
THE FRAY、3年振り3枚目のオリジナル・アルバムは、とにかく外へと開けている。世界各国を舞台にする航海のように雄大でロマンに満ちた作品だ。ルワンダを旅したときに受けたインスピレーションにより完成した「Heartbeat」、ツアー生活を歌った「48 To Go」、ベルリンのことを歌った「1961」、「Rainy Zurich」「Munich」など、その場所で受けた刺激を心の中に取り込み昇華する。以前まではIssac Sladeのピアノがバンドの音を率いているような印象もあったが、今作はいい意味でそれが主役ではない音作り。特にJoe Kingのリード・ギターの存在感が増し、よりロック・バンドとしてのサウンドを聴き手の心に打ちつけている。美しく勇敢な物語。そのまっすぐな強さとぬくもりに酔いしれる。(沖 さやこ)
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FREE WALK FREE
碧
昭和歌謡を思わせるノスタルジックなメロディと80~90年代のUSパンク/ハードコア由来の激しいサウンドを掛け合わせ、ラウドロック・シーンで異彩を放つ福岡のバンド、FREE WALK FREE。結成から6年、その彼らがライヴの定番に新境地を印象づける新曲を加えた全7曲を収録した1stアルバムで全国デビュー。スカ・パンクの「WALKING DEAD」、ノイズ・ポップの「MEMORIES」、V系かポジティヴ・パンクかなんて言ってみたい「アオ」を聴けば、彼らが冒頭に書いた方向性だけにこだわっているわけではないことがわかるはず。現在の主流の音ではないからこそ、新鮮に聴こえる全7曲は、複雑になりすぎたラウドロックに対する彼らなりの回答という意味も込められている。(山口 智男)
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FRICTION
2013 - Live Friction
2006年からレックと中村達也の二人編成で再始動したFRICTIONのライヴ盤が登場。70年代後半、東京ロッカーズと呼ばれるムーブメントの中で登場し、90年代半ばに休止したFRICTIONが、中村達也という最強のエンジンを加え、一切の装飾を取り払い再び動き始めたこと自体、驚きではあったのだが、THE ROLLINGSTONES「You Got Me Rocking」のカヴァーで始まるこのライヴ盤は、新生FRICTION の強度と密度の濃さを示している。不穏に歪みながらうねるベースとタイトでありながら野生的なドラム。歴史は確実に刻まれていく。FRICTION もまた、歴史の一部になりかけていた。それでもまだ、歴史の一部に収まることを拒絶するように蠢く「今」のFRIC TION。痺れます。(佐々木 健治)
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THE FRONT BOTTOMS
Going Grey
エモ・ポップ・パンク系のバンドが多く所属するレーベル"Fueled By Ramen"からリリースされる、ニュージャージー州出身のふたり組インディー・ロック・バンドの新作。『Back On Top』(2015年)以来4作目となる本作は、オープニングを飾る「You Used To Say (Holy Fuck)」、「Bae」、「Vacation Town」など、ほどよいスカスカ感のあるバンドの演奏とBrian Sella(Vo/Gt)の決して上手くはないが味のある歌声になんだかホッとする。シングル・カットもされている「Raining」は、BPMは速いものの聴いているうちにちょっとのんびりした牧歌的な気分に。効果的に使われているシンセの音も心地よく、ラストの「Ocean」のちょっと感動的な締めに、まんまとリピートしたくなってしまった。(岡本 貴之)
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FRONTIER BACKYARD
THE GARDEN
アルバムのオープニングを飾る「higher」から、賑やかで煌びやかなホーンが鳴り響いて、ファンキーでダンサブルなサウンド&メロディが溢れ出すFBYの新作。ギタリストが脱退したバンドは、鍵盤とホーンを加えたギターレスの編成で、自身のルーツであるファンクや、メロウでソウルフルなポップ・サウンドを深化させた。ファンク・ミュージックというと、ギターやベースによるリフやフレーズがフックとなることも多いが、あえてまったく竿物を使わないのも面白いかもしれないという発想で、作り上げているのはバンドとしての柔軟性の高さだろう。洒落っ気たっぷりのポップ性やアレンジで、遊び心ある音楽を生んでいたFBY。ルーツに回帰しつつも、かしこまったり落ち着いたりすることなく、ストリート感たっぷりで尖っている。(吉羽 さおり)
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FRONTIER BACKYARD
Backyard Sessions #002
常にセルフ・プロデュースで 作品を世に送り出してきたFBYが、完全に"プロデュースされる"企画盤『Backyard Sessions #002』。結成11年目にして未開の地へ踏み込んだ新たな作品が届いた。フルカワユタカ、イルリメ、KOICHI(Sawagi)ら6名のプロデューサーが手掛ける濃い色を宿した楽曲が、"FBY"という指標にフォーカスすることで、FBY然とした楽曲に仕上がっている。結局のところ、知らず知らずのうちにFBYは自らをプロデュースしているかもしれない。Track.1で心拍数が徐々にあがり、中盤で高揚する気持ちを隠しきれず、いつの間にかやってくるTrack.6では恍惚してしまうこと間違いなし。何度でもリピートしたくなる日常に溶け込む1枚だ。(白崎 未穂)
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FUCK BUTTONS
Slow Focus
エクスペリメンタル・ノイズ・ミュージックと言っても決して難解でもないし、もちろんノイズ=雑音でもない。ロンドン・オリンピックの開会式で曲が使われ、ファンを驚かせたブリストルのデュオが4年ぶりに放つ3作目のアルバム。全曲インストながら、パーカッシヴなドラムを打ち鳴らしたり、ホラー映画のサントラを思わせるシンセ・サウンドがあったり、ダンサブルなビートを弾ませたり、インダストリアルなサウンドがあったり、シューゲイザーばりに轟音ギターを奏でたりと曲ごとに趣向を変えながら胸がすくようなカタルシスを味わわせる。その意味ではどんなロック・バンドよりもロックらしい。全体的に、やや陰鬱な印象はあるものの、音楽に変なこだわりを持っていないリスナーほど楽しめるに違いない。(山口 智男)
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FUCKED UP
David Comes To Life
FUCKED UP IS BACK! 既に昨年リリースされておりSPIN誌では数々の名作をおさえ年間ベスト・アルバムにも選出されており、耳の早い洋楽リスナーの間では話題だったアルバムが遂に日本上陸。彼らの音楽を一言で表すとおそらくハードコアが一番しっくりくるのかもしれない。確かにその名に違わずパンク・スピリットやポリティカルな姿勢は崩さない。しかしこの音はどうだろう。1曲目とされているスキットから恐らくリード曲であろう「Queen Of Hearts」に移った瞬間から広がる彼らのハードコアは何かを打ち倒してくれるような活き活きとした力強さに溢れているが、決して排他的ではないし叙情的なシンセもあいまって強靭かつエモーショナルなロックを全ての曲において展開する。FUJI ROCK FESTIVALでの久々の来日! 絶対観たほうが良いですよ。(伊藤 啓太)
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FUN.
Some Nights
メジャー・デビュー・シングル『We Are Young』が大ヒットを記録し、ニューヨークを拠点に全世界へと活動を広げているFUN.。Kanye Westらを手がけているJeff Bhaskerをプロデューサーに迎え制作された同アルバムは、ロックをヒップホップやポップスのテクニックで昇華。リズムとが曲の持つムードを盛り上げてゆく。どの曲もドラマティックでダイナミック、美しいコーラス・ワークも相まってまるでミュージカルを見ているような高揚感だ。ポップな楽曲に時折混じるテクニカルなギター・リフもスパイスになっている。言葉を果敢にはじき出すNate Ruessのヴォーカルは、シンガーとしての存在感も抜群。情熱溢れる歌声には、不可能なことを可能にできるようなパワーが漲っている。 (沖 さやこ)
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FUNKIST
BORDERLESS
FUNKISTほど"BORDERLESS"というアルバム・タイトル、テーマを歌い鳴らすに相応しいロック・バンドは、なかなか見当たらないと思う。個々のルーツや世界各国での武者修行を経て、血肉のレベルで多彩なジャンルと強固なグルーヴをモノにした今の彼らの無敵感が、今作では高らかに轟いている。メンバー・チェンジを経て、今は3人のメンバーになっているが、プロデューサーの松岡モトキを始めとして、多彩なゲスト・ミュージシャンが彼らをバックアップ。強いメッセージや万国共通で踊れるビートといった、日本人には苦手なハードルを高々と越えているあたりも、ボーダレスな今作のひとつの象徴か。それでいて、しっかり"日本のロック"に昇華しているところも素晴らしい。(高橋 美穂)
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FUNKIST
7
ヴォーカル、ギター×2、ベース、ドラムという編成に、パーカッションとフルートが加わった7人組のメジャー3作目のアルバム。ワールド・ミュージックの香りを漂わせる力強いロック・チューンや、まっすぐな歌声が響き渡るバラード、そして完全にお遊びモードのユーモア溢れる曲まで、全15曲の中で多彩な表情を見せてくれる。乙武洋匡が作詞で参加した曲も収録されている。そしてこれは昨年10月に他界した、フルートの春日井陽子が参加した最後のアルバムとなった。FUNKISTはこれからも7人、『7』というタイトルにはそういう決意が込められているという。バンドにとってはもちろん、ファンにとっても、特別な意味を持ったアルバムとして記憶に残っていくだろう。(小澤 剛)
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FUNKIST
Pieceful
痛みを知っている人間の持つ優しさは背筋が伸びるほど情熱的なのに、胸が張り裂けそうなほど切ない。FUNKISTのフロントマン・染谷西郷が綴る言葉もそうだ。FUNKIST8ヶ月振りのリリースである今作は、乙武洋匡との共作や、バンド仲間への熱いメッセージ、メンバー7人の存在、愛する人への一途な想いなど、FUNKISTが10年の歴史で大切に育んできた“絆”を強く深く感じる作品となっている。悲しみを乗り越えた人間だからこそ浮かべることが出来る笑顔が8曲全てから滲み、その人間らしさと嘘の無い真実に心から尊さを感じた。繋がる全ての“piece”を優しく強く抱きしめるFUNKISTだからこそ鳴らせる素朴でありながら壮大な“peace”が、この44分間に詰まっている。(沖 さやこ)
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Fusee
SKELETON
前作『Raft.』から約1年3ヶ月ぶり2作目のEP。オープニングで高らかに歌われるのは"あなたを照らす光となれ"という宣言。その後はスピード感あふれるサウンドに乗せて、他者の声に惑わされながらもがく人の心を歌った「voice」、人前で涙を見せられない人にさりげなく寄り添う爽やかなナンバー「空に泣く君」と続き、聴く人を孤独にさせまいというバンドの真摯な姿勢が垣間見える。各楽器の表現の幅も前作から広がった印象だ。想いを伝えられないまま終わった恋の歌であり、文学的な言葉選びが今作の中でも異色な「処暑」を経て、等身大の言葉で人生を捉えた「恋」で幕を閉じる今作。未来を目掛けてやや背伸びしている部分も含めて、結成4年目のバンドの"今"ならではの表現が詰まっている。(蜂須賀 ちなみ)
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fusen
dig
どこか懐かしさ漂う楽曲が魅力の3ピース・バンド、fusen。フォークや歌謡曲に影響を受けたという彼らの楽曲は、時代を問わず日本人の心にすっとなじむ温かさや哀愁がある。これが全員弱冠20歳だというから驚きだ。その奥深い魅力を掘り起こす2nd EP『dig』は、全体的に音数が少なくシンプルな印象だが、オールド・アメリカン・ロック調の「扉絵」やボサノヴァ調の「まちぼうけ」など、曲ごとに違うリズムを取り入れ、雰囲気の異なる4曲に仕上がっている。一方その歌詞は、日常の景色に溶け込んだ、夢への希望や若さゆえの不安を等身大に映す。またCDの最後にはライヴ音源も収録。本作を締めくくる"fusenですよろしくお願いします"という言葉に、バンドのこれからへの意気込みと希望を感じる。(中尾 佳奈)
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THE FUZZ ACT
Humans
若いリスナーにはまったく新しい音像に聴こえるかもしれないし、若くても70年代以前の音楽をディグっているリスナーは、むしろ今この音を鳴らせるセンスに驚くかもしれない。いずれにせよ「夢なんかじゃない」のハードボイルドなギター・リフや、大声で人間の心臓の真ん中めがけてまっすぐ放たれるヴォーカルに驚いてほしい。語尾を上げる徳永駿介の特徴的な歌唱、そのメロディが映える楽器一個一個が見えるようなアンサンブル。そのすべてが人間ならではの感情や孤独を伝えるための音色とアレンジを有している。何もエレクトロニックな音楽だけが現代的なわけではない。リアルが何か取り落としそうになっている不安な心情を表現しつつ、生の温度と手触りで聴き手の肩を揺さぶるような彼らの音楽も今の音だ。(石角 友香)
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FUZZKLAXON
Super Alternative
2010年結成の名古屋の3ピース・ロック・バンドが前作『BLUE YOUTH SUICIDE FANCLUB』から2年ぶりにリリースする2ndミニ・アルバム。前作で打ち出したガレージ・ロックに留まらないサウンドの広がりを追求している。タイトルで謳っている90's~00'sのオルタナの要素に加え、哀愁の歌謡メロ(「ROCK'n'ROLL MIND」)やフォーキーな要素(「僕らの生活」)も巧みに取り込むことで、轟音のギター・ロックのひと言では語りきれない魅力をアピール。その意味では、同じ名古屋出身の大先輩トリオを連想させるところも。歌詞では20代の若者が抱える漠然とした不安を象徴的に表現して、エネルギッシュな演奏とのコントラストを意識したという。ブルース・ロック調の「MAD GALAXY」では、3人が取っ組み合うような熱い演奏が炸裂!(山口 智男)
RELEASE INFO
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