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DISC REVIEW

開眼証明

そこに鳴る

開眼証明

約4年ぶりとなるフル・アルバムは、カノン・ロック風の疾走感あるギター・リフが特徴的な「拝啓、黎明を知って」で幕を開ける。国内外問わず活動してきた彼らの歩みを表すような詞も印象深い本楽曲は、"開眼証明"というアルバム・タイトルへの期待感を見事に膨ませる。地を這うグルーヴと突き刺すギターが絡み合い、緻密なアンサンブルが展開する「in birth」など、そこに鳴るのテクニカル重厚サウンドが土台にありながら、初のアニメ・タイアップ曲「相聞詩」ではストリングスやピアノを取り入れていたりと、一辺倒ではないバンド・サウンドが発揮される本作。サビに向かって畳み掛ける切迫感は、ファンの期待と高揚する感情を連れていくかのよう。現状にとらわれず、さらなる高みを目指す彼らの闘争心が炸裂する1枚に思わず胸が躍る。(山本 剛久之)

相聞詩

そこに鳴る

相聞詩

『啓蒙して、尋常に』以来1年5ヶ月ぶりのリリースとなるフィジカルは、表題曲に加え、同曲の"TV Size"、"instrumental"、さらに新曲「綻んで爆ぜれば」の計4曲を収録。TVアニメ"魔女と野獣"のオープニング・テーマとして書き下ろした表題曲は、アクロバティックな超絶テクニックは控えめながら、ピアノとストリングスを使ったゴシック・ロマン的なアレンジが聴きどころ。それもまた、そこに鳴るの持ち味だろう。一方、「綻んで爆ぜれば」はそこに鳴るが本来持つロック・バンドとしての魅力をストレート且つ存分にアピール。その意味では、彼らが持つ振り幅を楽しめる1枚と言えそうだ。フル・バージョンとのアレンジの違いが作り手のこだわりを窺わせるという意味で、"TV Size"も聴き逃せない。(山口 智男)

啓蒙して、尋常に

そこに鳴る

啓蒙して、尋常に

歌えるドラマー、斎藤翔斗を正規メンバーに迎え、3声のコーラスを本格的に追求した6thミニ・アルバム。ラストを締めくくる表題曲、トップを飾る「暁を担う」をはじめ、これまで通り超絶テクニックに裏打ちされたエクストリーム・サウンドを鳴らしながら、ポップスとしてアピールする力が増した印象があるのは、メンバーによると、3声のコーラスによるところが大きいそうだ。その他、打ち込みのサウンドを使いながら、ダンサブルなビートや我流のラップにアプローチしたサウンドが斬新な「bad blood」を含む全6曲に、10周年アニバーサリー・ライヴの模様を収録したDVDをカップリング。さらなる飛躍に向かう新たな起点となる作品とメンバーたちは考えているようだ。(山口 智男)

7 ultimate materials

そこに鳴る

7 ultimate materials

"7 ultimate materials"はそこに鳴るが7週連続で「vermisst」、「VortEx」、「渇望の日」、「恣意的三分間」、「回帰」、「雨に消えて」、「brilliant city」の7曲をCDシングルとしてリリースする結成10周年記念企画だ。結成10年目にリリースした1stフル・アルバム『超越』の成熟から今一度、そこに鳴るらしさに回帰するという大きなテーマのもと、超絶テクニカルなサウンドを極限まで鳴らす一方で、歌モノとしての魅力をさらに磨きあげながら、曲ごとにバンドが持つ可能性を追求している。男女ツイン・ヴォーカルを軸にしながら、ハーモニー・ワークにさらに力を入れるという新たな挑戦も。それは7曲に共通する聴きどころとなっている。(山口 智男)

超越

そこに鳴る

超越

破壊的な「Lament Moment」以下、そこに鳴るならではの魅力を全9曲約30分にぎゅっと凝縮した1stフル・アルバム。超絶テクニカル・サウンドと男女ヴォーカルの掛け合いという超個性を持つ歌モノのギター・ロックの可能性を、曲ごとに趣向を凝らしたアプローチで追求するという意味では、これまでの集大成とも言えるが、デビューから5年の活動で彼らが研ぎ澄ましてきた感性が、極めて鋭いものになっていることを感じ取りたい。そして、その感性が冒頭に書いた破壊的な方向にもポップな方向にも思いっきり振れることを! 聴き手を選ばないラヴ・ソングの「white for」はまさに後者の成果。女性ヴォーカルのバラードとしてJ-POPシーンでも勝負できるそのクオリティは、大きな聴きどころと言えるだろう。(山口 智男)

complicated system

そこに鳴る

complicated system

これまで以上に男女ツイン・ヴォーカルのスタイルを前面に出しながら、さらなる可能性を追求した3曲を収録。イントロのギター・リフがちょっとフラメンコにも聴こえる表題曲、ベースがジャズっぽいウォーキング・フレーズを奏でる「枷の先で」、キャッチーなギター・リフが、曲が持つ哀愁を際立たせる「孤高」――どの曲も爆裂するそこに鳴るサウンドを、これでもかと鳴らしながら、新境地をアピールしている。通常盤にはライヴDVD付きの初回限定盤に収録されないボーナス・トラック2曲を追加。どちらも初期に制作された曲の新録だそうだが、シンプルなアレンジで疾走感を追求したオルタナ・ロックの「善略」、メタルの影響が窺える「迷い子」ともに、彼らの王道からちょっと外れる魅力が聴きどころになっている。(山口 智男)

一閃

そこに鳴る

一閃

メタル、プログレ、和メロ。これまでにそこに鳴るが示してきた方向性から、さらに一歩踏み込んだような今作。7曲というコンパクトなボリュームのミニ・アルバムながら、一曲一曲がものすごい情報量で、畳み掛けるように聴く者に訴え掛けてくるサウンドは、まるで嵐のようだ。きめ細やかでテクニカルなギター・プレイや、ときに激しく主張するベースの重みなど、ショーアップされた見せ方は、ライヴで培ってきた感覚によるものだろう。ゴリゴリに暴れ回る楽曲も、繊細なハーモニーを奏でる楽曲も、自分たちの内から湧き上がる感情が迸っている。シーンにその存在感を示してきた今だからこそ、リスナーを裏切らない突き詰め方で進化を見せつけたふたりには、まだ彼らにしか見えないその先があるのだろう。(山本 真由)

ゼロ

そこに鳴る

ゼロ

要素のひとつとして持っていたメタルに彼ららしいやり方でアプローチした前作から約1年3ヶ月というペースで、そこに鳴るが完成させた4作目のミニ・アルバム。前2作で新たなサウンドに挑んできた彼らは、ここでいかに作為なく本来のそこに鳴るらしさを表現するかに挑んでいるが、原点回帰とも言えるその挑戦が、そこに鳴るというバンドの新たな基準になったところに大きな意味がある。たぶん、ここから彼らは一心不乱に自分たちの進むべき道を邁進することだろう。「表裏一体」と「indelible time」の2曲では、緻密なアンサンブルと3ピースで演奏する超絶テクを誇っていた彼らが、同期を使ってピアノやストリングスの音色を加えているが、その自由度が今後の創作にどう影響するかも楽しみだ。(山口 智男)

METALIN

そこに鳴る

METALIN

前作『YAMINABE』以上に曲の幅が広がった3rdミニ・アルバム。リリースはドラマーの交代を挟んで、前作から11ヶ月ぶりとなる。これまでもメタルの要素を取り入れていた、そこに鳴るが真正面からメタルに取り組んだ表題曲Track.3、Track.4「family」が大きな聴きどころと言えるが、メタルのデフォルメとしても楽しめるという意味では、ともに彼ららしいものになっている。『YAMINABE』における試みを新たなスタンダードとして磨き上げたTrack.2「新世界より」、爽やかなギター・ロック・サウンドが新境地をアピールするTrack.7「sayonara blue」も聴きどころ。より力強いものになった男女ツイン・ヴォーカルのコンビネーションとともにバンドの前進を物語る。(山口 智男)

YAMINABE

そこに鳴る

YAMINABE

最新モードも含め、彼らが持っている振り幅をアピールする全8曲が収録されているからこそ、このタイトル。メタル、プログレの影響も吸収したうえで和風のメロディが効いた哀愁ポップ・ナンバーを、アクロバティックに奏でる大阪の男女トリオ。前作発表後、Benthamと全国ツアーを行い、じわじわとその存在をシーンに知らしめてきた彼らが満を持してリリースするEP。あえて削ぎ落したストレートなサウンドと共にダンサブルなリズムを導入し、よりキャッチーに攻めたTrack.2「エメラルドグリーン」、Track.6「内緒にしててよ、醜い私のことを嫌っても」の2曲は、これまで以上に多くのリスナーから歓迎されそうだ。しかし、これは過渡期をとらえた作品にすぎない。本当の進化はここから始まりそうな予感。(山口 智男)

I'm NOT a pirolian

そこに鳴る

I'm NOT a pirolian

凛として時雨のコピーからスタートしてその後、オリジナルを作るようになった大阪の3人組。彼らが今、自分たちにできることをとことんやったうえで、どこからも声が掛からなかったらバンドをやめようという覚悟の上、完成させたミニ・アルバムでついに全国デビュー。アクロバティックな演奏、ギミックを駆使したミックスともに過剰さの追求を"面白がってもらってなんぼ"とメンバーたちは考えているようだが面白いというひと言だけでは表せないカタルシスがここにはある。それは過剰さの追求が何かを突破するものすごいパワーに繋がっているからだろう。和メロが印象的な「さらば浮世写し絵の如く」で聴かせる男女ツイン・ヴォーカルをもっと聴きたい他、聴きながら、もっと!もっと!と期待が膨らむ全5曲を収録。(山口 智男)

[c]onceple

ソライアオ

[c]onceple

先月リリースされたライヴ会場販売の『con[c]eple』と併せて2ndミニ・アルバムズという位置づけ。電子音が散りばめられた「アイズ」、歌謡曲的な「ループ」など、アレンジ面での新たな挑戦も増えて表現の幅が広がった。とはいえ無理に背伸びをしたような印象がないのは、真っ直ぐなバンド・サウンドという自分たちの核をしっかりと真ん中に据えているからであろう。前作『[b]luest』を聴いて自分たちの鳴らすべき音を正しく理解して実行することができる稀有なバンドだと感じていただけに、現体制での初音源はどうなるのだろうと思っていたが、心配は無用だったようだ。決してブレず、同時に前進を止めない音楽たちに、ソライアオのたくましさを実感させられる。(蜂須賀 ちなみ)

時代にレクイエム

それ以染に

時代にレクイエム

関西を中心に注目を集めるトライバル・サイケデリック・ポップ・バンド、それ以染にの1stミニ・アルバム。肉体性の高いグルーヴィなサウンドと、アンダーグラウンドな匂いから溢れ出す中毒性あるメロディが彼らの魅力だろう。民族音楽や、プログレ、サイケデリック・ロック、USインディー・ギター・ポップを混ぜ合わせ、独自の感性で作り上げたサウンドは、新しさもありながらどこかノスタルジック。個性的と言えばそうだけど、楽曲それぞれがあらゆる音楽ファンに訴えかけうるフックを持っているところが、彼らのポテンシャルの高さだろう。ジャンル分け出来ない不気味さも含め、今作を聴いてライヴをすぐにでも観たいと思ったのは僕だけじゃないはずだ。(遠藤 孝行)

DEMO

篠塚将行

DEMO

今年活動休止を発表したそれでも世界が続くならのヴォーカルでソングライターの篠塚将行の初ソロ・アルバム。彼のファンにはこんなことは馬の耳に念仏だろうけれど、篠塚という人は曲を作って歌わないとほんとに死んでしまうんじゃないかと、前向きな意味で思ってしまった。というのもここにある18曲はほとんどがアコギの弾き語りで、1テイク入魂の演奏と歌に彼自身が誰よりも息をしている実感があるに違いないからだ。苦しくて仕方ない人に"悲しみから立ち直らなくていい"、"君だけが君の友達さ"と歌い、時に怒りに任せて暴言を吐く。聴いていると自分も言葉を書いて歌えばいいんじゃないか? と思い始める。それが彼の狙いかもしれない。(石角 友香)

死にたい彼女と流星群

それでも世界が続くなら

死にたい彼女と流星群

他紙のインタビューで知ったことなのだが、彼らの独立はソングライターである篠塚将行の声帯手術のせいというより、機材車が大破し経済的に続行が難しいと判断したものの、彼以外のメンバーが存続のためにクラウドファンディングを発案したことにあったようだ。その際受け取ったファンからの存続を希望するメッセージが今作の動機なのだろう。相変わらず生きることは苦しいし困難なことではあるけれど、自分が作って鳴らす音楽を必要とする人がただ生きていてくれることが嬉しいという篠塚の独白は、100パーセント真実で、それを伝えるためにだけあるようなこのアルバムの純度は他の何ものにも変え難い。ファンでなくても"生きてるだけでいい"という言説が嘘くさく思えるとき、ここにひとつの根拠があることを思い出してほしい。(石角 友香)

僕は君に会えない

それでも世界が続くなら

僕は君に会えない

ドラマーの脱退希望を受け音楽活動を一時中断したあと、4thミニ・アルバム『彼女はまだ音楽を辞めない』(2019年9月リリース)でリスタートしたそれでも世界が続くなら(それせか)。それに続く全8曲を収録した今作は、コロナ禍で閉塞感や苦境に対して多くの人が叫び声を上げるなかで、かき消されてしまう小さな声や諦めのため息、乾いた涙を流しシニカルに笑うしかないような人へと、真摯に語り掛ける。こうした世界になってもそれせかは、変わらない。気休めのような励ましで、あなたを"みんな"に押し込めることはしない。ただまっすぐに、あなたのことを歌う。定型のない、高まるセッションのように熱を帯びるアンサンブルと、そこに乗る言葉は鋭利だ。ただ、闇の濃さを知る人が描くそれは、とても温かくもある。(吉羽 さおり)

彼女はまだ音楽を辞めない

それでも世界が続くなら

彼女はまだ音楽を辞めない

ドラマーが脱退し活動中止となった期間、ソングライター 篠塚将行(Vo/Gt)はバンドを辞めることも考えていたという。それでもまだ続けられると思える出会いがあり、メンバーである友達もこのバンドをやりたいと言ってくれて、自分ができることに思いを巡らせた。そして、自分にとっての音楽との付き合い方、音楽を通しての付き合い方を見つめながら、その心をあけすけに吐き出し、浮かび上がるグロテスクな感情の形や生々しく尖った言葉をそのままここにぶつけている。キャッチーさで惹くとか、共感や馴れ合いとかもなく、ただ誰かの痛みや苦しみ、不甲斐なさといったものと共振するような、ささやかでいて強いそれせかの歌が揃った。自分でしかできないことをもう一度突き詰める、淡々とした"続き"の作品だ。(吉羽 さおり)

それでも世界が続くなら

それでも世界が続くなら

それでも世界が続くなら

9月の活動中止を前にしたミニ・アルバム。今作は活動中止前から制作に向かっていたもので、今を盤に封じ込めたいというくらい、バンドとしていい状況や体感があり、それが自然に曲となり音となった。必然的にセルフ・タイトルとなったアルバムだ。活動中止は本人たちも青天の霹靂で、シナリオどおりにはいかないバンドや人間のリアルも痛感させられる。そして作品は、とても素晴らしい。篠塚将行(Vo/Gt)が語る"マイノリティの僕には歌われなかった歌、大衆音楽"と、いつからか刀を鞘に収めてしまい形骸化した愛すべきロック、あるいは音楽産業へのカウンターとして、バンドの本質、姿勢を音と歌にした。何か立派な言葉よりも、この音、この叫び、この軋みが誰かの居場所になればいい。そんな想いがある。(吉羽 さおり)

僕は音楽で殴り返したい

それでも世界が続くなら

僕は音楽で殴り返したい

ソングライターの篠塚将行(Vo/Gt)はこのベスト盤について、自分にベストな人生があったのか、冠するなら"ワースト"ではないか、とインタビューで語っていた。それでも世界が続くならの音楽は、いじめ、疎外感、絶望など、憔悴して暗い淵を覗き込んでしまう魔の時をも綴り、それでも生に執着して反撃の狼煙を上げる、そんな様々な瞬間を、生々しく、時に優しく、音と言葉に刻み込んできた。泣き叫ぶように、また言葉をポツポツと置くように歌い、心模様と比例して軋みを上げるヘヴィなアンサンブルで放たれる音楽は、誰かの苦しみや叫びと共振して、その人の武器や支えになった。今作はそのひとつの歴史であり、まだそれが終わりでないことも告げる作品になっている。届くべきところに届いてほしい音楽だ。(吉羽 さおり)

消える世界と十日間

それでも世界が続くなら

消える世界と十日間

1曲目「人間の屑」から、曲ができた順番に収録されたドキュメント的なフル・アルバム。今作もまた一発録音で、4人がかき鳴らす音、呼吸、それらが絡み合いせめぎ合って生む音像を盤に閉じ込めた。緊張感のある咆哮や物思いの温度感を表現していくエフェクティヴなギターやベース、心の動きとシンクロするドラムなど、サウンドにはいわゆるJ-POP的なキャッチーさも優しい言葉もない。そういったところから零れてしまう、もっとワクワクを探している人や、あるいは今ある毎日とうまくフィットできない人と、うまく繋がってほしい音楽だ。このバンドの心と言えるものにより意識的となって、力強く刻印していったアルバム。独りの痛みも闇も安らぎも知るからこその音楽やロックに、出会ってみてほしい。(吉羽 さおり)

消える世界のイヴ/アダムの林檎

それでも世界が続くなら

消える世界のイヴ/アダムの林檎

2016年9月に2ndミニ・アルバム『52Hzの鯨』をリリースしたバンド、それでも世界が続くならの新作はTOWER RECORDS限定シングル。両A面となっており、それぞれ、個の存在、そこにある生の輝きを歌う。生きたいと戦いながらも、もう疲労困憊で、ノーガートで立ち尽くすしかない人がいる。そんなか弱き人の心を、彼らは音楽に映す。Track.1の"あなたより苦しんでる人がいる"という正論は、なぐさめの顔をした暴力的な言葉となりうることを、"生きて 生きてみたいの"というつぶやきに託した。余計な説明がないぶん痛切で、でもきっと誰かにとっては差し伸べられた手のひらになるんだろう。重厚なドラムときしみをあげるギターによるオルタナティヴなサウンドで、深く深く刺す。届くべき人に、確実に届いてほしい曲だ。(吉羽 さおり)

52Hzの鯨

それでも世界が続くなら

52Hzの鯨

2011年に結成し、ライヴハウスを根城にリアルな感情を歌にして放ち、ロック・バンドとして生きるスピリットをそのアンサンブルで刻み込んでいくバンド、それでも世界が続くなら。ベルウッド・レコード内のレーベル"ROCKBELL records"へと籍を移してリリースとなるこのミニ・アルバムも、そうした彼らの生き様や今のそのままの姿を焼きつけたような作品となった。他者とわかり合うことの難しさ、それでもコミュニケーションを図ろうと傷ついたり傷つけたり、自棄になったり、皮肉も込めたり、どれも生傷が癒えないままの状態でパッケージされている。ソングライター篠塚将行(Vo/Gt)が、自らの体験や心の内を覗き続けて記したまっすぐな言葉は、聴く人によってあたたかく、心強く響く。或いはきりきりと痛みが走るかもしれない。(吉羽 さおり)

狐と葡萄

それでも世界が続くなら

狐と葡萄

"それせか"のTOWER RECORDS限定ワンコイン・シングル。Track.1は、篠塚将行(Vo/Gt)が子供のころ、イジメに遭っていた同級生を守ろうとしたことで自分が被害者になったことに起因しつつ、そのときは言えなかった"懺悔の歌"なのだという。これ以上ないほどシンプルで疾走する8ビートに乗せて歌われる思いは、守るとか助けるというより"話がしたかった"ということ。そして後悔にとらわれながらも生きたいという今の思いだ。カップリングのTrack.2は正しいことをしても許されない世の中と、傷つけてしまっても許してくれる身近な対象というコントラストにギクリとさせられるし、Track.3では自己満足を思い知らされた瞬間を思い出させるような表現が続く。ナイーヴと言ってしまえばそれまでだが、彼らはその芯を磨き続ける。(石角 友香)

最低の昨日はきっと死なない

それでも世界が続くなら

最低の昨日はきっと死なない

今年の6月、突然メジャー・シーンからのリタイアを発表した彼らのインディーズ復帰第1弾となる今作は、多重録音やクリックを一切使わず、廃カラオケ・ボックスの一室で一発録音されたという。どんなものかと再生した1曲目から、ザラついたノイズの中の悲痛な歌声と、体温や息遣いすら感じる生々しさに圧倒され、思わず息を呑んだ。そのリアルさから、聴き進めることを少しためらってしまった。それでも最後まで聴き終えて、彼らがなぜ誰もが隠したがる自己の弱さや醜さ、そして耐えきれず願う"死にたい"という気持ちを曝け出し、ここまでリアルなサウンドを追求したのかがわかった気がした。もしあなたが自分も他人も信じられなくなったら、この1枚を聴いて欲しい。光すらぼやける淀んだ世界でも、きっとあなたを見つけてくれるから。(増田 思織)

もう君はいい人じゃなくていい

それでも世界が続くなら

もう君はいい人じゃなくていい

私が初めて聴いた彼らの曲はインディーズ2ndアルバム『この世界を僕は許さない』収録曲「スローダウン」だった。"来年の誕生日には死なせて"という歌詞があまりにも痛烈で、頭からかぶったような絶望を忘れられずにいる。あれから彼らはメジャー・デビューを果たし、矢継ぎ早にリリースを重ね、デビューから僅か10ヶ月で4作目となる2ndフル・アルバムをリリースする。"うまくいくからやるんだったら さっさとやめちまえよ"と歌う「優先席」の歌詞に表れているように、実直な彼らの音楽はその辺に転がっている生半可な優しさを振り払って、夢や希望で生きていけなかった人へ嘘偽りのない手で救いを与えてくれる。彼らは彼らにしか鳴らせない音楽で、今日もあなたに手を伸ばす。(齋藤 日穂)

この世界を僕は許さない

それでも世界が続くなら

この世界を僕は許さない

あまりにインパクトがあり、またそのバンドのイメージが固まってしまいそうなバンド名に真っ向から挑んだ彼ら。傷の舐めあいや奇麗事だけでは救いきれない思いを、何のオブラートもかまさずに歌い、演奏する。前作『彼女の歌はきっと死なない』がほぼノン・プロモーション、タワレコ限定にもかかわらず、オリコンのチャートにランク・インするなど、局地的というには凄まじい勢いで広がっていった彼らの2ndアルバム。音自体はシンプルかつポップさを兼ね備えたギター・サウンドだが、彼らの世界観というのは間違いなく万人受けするものではない。だからこそ万人に聴いて欲しい音だ。人によっては嫌悪感を抱くかもしれないが、"何か"は間違いなく感じ取れるはず。見てみぬふりに慣れてしまった社会に突き刺さる、象徴的な作品。(伊藤 啓太)

セミヌード

それでも尚、未来に媚びる

セミヌード

大阪発ロック・バンド"それでも尚、未来に媚びる"が、TOWER RECORDSと会場限定で2ndシングルをリリース。井地良太(Ba)を迎え、新体制初となる今作は、全曲リード曲と言えるほどに3曲それぞれの色が濃い。「ジパング」の哀愁漂うメロディと言葉を噛みしめるような歌声は、心の痛みを見せつつも、寄り添ってくれるような優しさが滲んでいる。「ディストラクション」では、鬱憤を爆発させるような攻撃的な歌詞と、歪みの効いたアグレッシヴなサウンドが闘争心をかき立てる。「まれびと」は、バンドらしい泥臭さを前面に出したロック・ナンバー。郷愁も感じさせるラストのシンガロング・パートでは、胸に熱いものが込み上げてくる。彼らの激情が詰め込まれた1枚。(三木 あゆみ)