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DISC REVIEW

Japanese

2019年09月号掲載

初恋

Lucky Kilimanjaro

『初恋』

Release Date : 2019-09-04
Label : ドリーミュージック

4作連続リリースの最終章は、"初恋"というタイトルから甘いメロウ・チューンか、爽やかでキラキラしたナンバーを想像したが、そんな予想を超えてきた、90年代後半~2000年前後に流行した2ステップを前面に押し出した、少し揚力のある曲。しかし、そこに淡々としつつも存在感のある熊木幸丸の声色が乗ることで、懐かしいというより、むしろ新鮮な空気を醸成するのが面白い。また、"初恋のような傷"という言葉に象徴されるように、恋の最中のときめきではなく、恋が終わった瞬間を丁寧に描いた詞のひとつひとつも多くの人に沁みるだろう。一方c/wでは、すべての人に平等に訪れる朝に対し、"君はどう迎えたい?"とリスナーの生活の底上げを図る、静かなるメッセージ・ソングを響かせている。(稲垣 遥)


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実感

今年結成10周年を迎えるLucky Kilimanjaroから、"次の10年"を踊るためのニュー・シングルが到着した。表題曲の「実感」は、熊木幸丸(Vo)がバンドが活動10年目を迎えたことを受けて、バンドを継続させる情熱をテーマに書いた曲。メロディは憂いを、BPMは焦燥感をたたえている一方、"100年の愛を咲かせて"と悠久の時に想いを馳せている。常に"今"の音楽を書いてはリリースしてきたこのバンドの生きる速度、"永遠なんてない"という前提に対する解、半永久的に遺るものを作る音楽家のロマンが1曲に凝縮されているようで、シンプルながら深みのある曲だ。2曲目の「次の朝」は、問いが尽きないこの世界で生きる術としてダンス・ミュージックを提案してきたバンドの哲学のど真ん中を突くナンバー。(蜂須賀 ちなみ)


無限さ

"楽しい"ばかりがダンス・ミュージックではない。日々の生活から生まれる明るいだけではない感情と、どうにか手を取り合おうとすることが"踊る"ことだ。そう発信し続けてきたLucky Kilimanjaroらしい秋の配信シングル。表題曲「無限さ」は静かなところから始まり、じわじわと盛り上がってから、再び静かな場所に還るという山型の構成。孤独に寄り添い、イマジネーションの世界へ連れ出してくれる音楽は温かく、熊木幸丸(Vo)の"悲しみと並走する"という言葉も、まさにといった感じ。"狭い部屋だって宇宙になる"という歌詞に共感を覚えるリスナーも少なくないだろう。2曲目の「靄晴らす」は、モヤモヤした気持ちをひたすらに歌うことで踊るという、非常に人間的な楽曲。(蜂須賀 ちなみ)


後光

今年もLucky Kilimanjaroの夏がやってきた。そう思いながら、気づけばこの2曲をエンドレス・リピートしているリスナーも少なくないだろう。なんてったって今年のシングルも超踊れる。表題曲「後光」はどこか涼しげで、しかし聴けば聴くほど熱量が感じられるフィルター・ハウス。ファルセットがメインのヴォーカルは"歌う"というよりもサウンドと一体化していて、楽曲の雰囲気作りに貢献している。ダンス・ミュージックの主人公はこの音に揺れるあなた自身だと伝えるうえで、"後光"をモチーフとする歌詞もユニークだ。カップリングの「でんでん」は浮遊感のあるサウンドも、ニロ抜き音階のメロも、歌詞も、とにかく中毒性が高い。声だけで成立している箇所も意外と多く、実験的な楽曲だ。(蜂須賀 ちなみ)


Kimochy Season

アルバム・リリースを重ねるたびに曲ごとのサウンドのテクスチャーが明確になってきた、その最新形がこのメジャー4thアルバム。ハウス/テクノ・ビートが多めだが、そこに乗る日本語の新たな用い方もユニークだ。"一筋差す"という感覚的なフレーズをリフのようにビルドしていく「一筋差す」に始まり、「Heat」も歌詞がビートになっている印象。"掃除の機運"というなんともユニークなタイトルを持つ曲では、ブラスのサンプリングがグルーヴを作り、「地獄の踊り場」はドラムンベースに現行の海外シーンも90年代UK感も漂う。そんなダンサブルなアルバムの中で、オーセンティックなリズム・アンド・ブルースのスウィートネスを現代にアップデートしたような「咲まう」や、シティ・ポップ寄りの「山粧う」が実に新鮮なフックに。(石角 友香)


TOUGH PLAY

1曲目から隙間の多さとドゥーワップなのかハウスなのか? 不思議な気分にアゲてくれる「I'm NOT Dead」に驚かされる。曲の前半をあえてビートレスにする「ZUBUZUBULOVE」や「果てることないダンス」もユニーク且つ、現行の海外シーンと共振する音像だ。先行配信されていた「踊りの合図」ではグッと生感のあるボサノヴァ~サルサ・テイストが飛び出し、「無敵」のアフロ・リズムによって、さらに身体が反応する。ラッキリには珍しい一夜限りの経験を思わせる「足りない夜にまかせて」に漂う、深夜のフロア感もリアルだし、同時にまだ部屋でひとりモヤモヤを抱える今の心情に重ならなくもない。逡巡もありながら、リスナーを外へと解放する「人生踊れば丸儲け」などなど、アクションを促す痛快なアルバムだ。(石角 友香)(石角 友香)


踊りの合図

Lucky Kilimanjaroの夏がまたやってきた。タイトル・トラック「踊りの合図」はサンバのリズムを取り入れ、私たちの本能に訴え掛けて、制約だらけの日々に凝り固まり萎縮した心と身体を開放する。南米の情熱的な部分だけでなく、涼しいギターとシンセの音色、そこに時代劇"七人の侍"の登場人物や、"苦しいでござんす"なんて歌詞が出てくる彼らならではのミックス感が趣深く楽しい。そして、"わずらいは踊りの合図"という言葉には、今日を共に生きる人へ寄り添う想いも感じずにいられない。c/wの「あついきもち」はメロウなサウンドの中で、"愛とは?"を描くナンバーだが、恋人や家族の範囲に収まらない、スケールの大きな繋がりを篤実に歌うラヴ・ソングに目頭が熱くなる。(稲垣 遥)


DAILY BOP

「太陽」や「夜とシンセサイザー」などの直近シングルや、先行公開された「MOONLIGHT」の時点で、そのサウンドの幅広さに再生するたび驚かされていたが、本作『DAILY BOP』はその音への探究心や、チャレンジの賜物と言えるアメイジングなアルバムとなった。新曲では、シンセ以上にギターが効いたトラックや、チルなムードを湛えた曲も新鮮でいいし、サウンドの多彩さ以外の面では、言葉遊びとメッセージが絶妙に入り交じる「ペペロンチーノ」が個人的にはお気に入り。とあるヒップホップ・ナンバーのフロウの引用にもときめいた。この意気軒昂な1枚のリリースから4日後に、自身最大キャパの有観客ワンマンとなる野音公演を開催すると思うと、鼓動はますます高まるばかりだ。(稲垣 遥)


夜とシンセサイザー

前作『太陽』と対照的な"夜"がテーマのナンバー。これまでも彼らが夜を描いた曲はあったが、この曲はいろいろ考え込んでしまう夜半、先が見えない漠然とした不安も孕んだ夜を鮮明に映し出す。そして、それを半ば強引に、願いにも近い形で励ますのがシンセサイザー=ラッキリ、ひいては音楽の存在。過去最高に強勢でビリビリくるサビのサウンドと、"あなたのかわりに泣けないけど"と甘すぎない正しい姿勢を貫きつつも、しっかり背中を押す熊木幸丸の歌に奮い立たされるパワーチューンだ。c/wはDISH//に熊木個人で提供した「SAUNA SONG」のセルフ・カバー。DISH//Ver.よりテンポを落とし、サウナのまったり感がありつつも、水風呂で締めるようなキリッとしたメリハリも感じられ、聴き比べるのも楽しい。(稲垣 遥)


太陽

結成以来、一貫して"踊ろう"と打ち出してきた彼らだが、ダンスはダンスでもこう来たか! という「太陽」。南米の部族的なビートから始まりつつ、サビでは"さぁ踊らにゃ損!/踊れや!ほいやっさ!"と神輿の掛け声のような言葉を乗せる展開には驚きだ。注目を集め始めたバンドだが、都会的、洒脱なといった決まった枠には収まらないし、もっと根本的な部分で踊りたいという意志の表れなのかも。ヴォーカル 熊木幸丸以外のメンバーも参加した自由な掛け声も相まってなんとも愉快で、歌詞中の遊び心も粋だ。一方の「Deadline Dancer」は、実際に熊木がRECの締め切りに追われるなかで書いた曲ということで、夏休みの宿題を終わりのほうにバタバタとするタイプの人には、耳が痛いながらも楽しい曲のはず。(稲垣 遥)


エモめの夏

"エモめの夏"。真っ向から掲げたこのタイトルでまず興味を惹かれたラッキリの2曲入りシングル。表題曲は、イントロからクラップ音と清涼感のあるシンセがプールの水面のようなきらめきを感じさせる、まさにサマー・チューンだが、ベースも効いていて、サビで縦ノリにもなれるというのが彼らとしてはちょっと新鮮だ。そして、歌詞の面では、恋をして今までの自分ではいられない心もとなさも孕みつつ、"誰がなんと言おうと うるせぇで片がつく"と、自分本位になってしまうくらい舞い上がる気持ちが描かれている。もう一方の曲「新しい夏を駆けて」もまた夏を歌うナンバーだが、こちらは浮遊感たっぷり。熊木幸丸の歌声も含めて涼しげなのに、怒濤のサビが畳み掛けるラストは至極のメロディに胸が高鳴ってしまう。やられた。(稲垣 遥)


!magination

"!magination"と冠された今作は"想像力を持った人が、力を発揮できるような世の中になれば"という本誌インタビューでの熊木幸丸(Vo)の言葉が形になったような作品だ。彼らの真骨頂であるシンセ・サウンドを改めてより鋭くした「Drawing!」、Bメロがない淡々としたスピード感が心地いい「RUN」などだけでなく、ゆったりした曲が続く部分があり、彼らとしては新鮮。曲調が多彩なぶん、様々な気持ちに寄り添ってくれる仕上がりに。また、缶を開ける音やため息など日常の音が随所に織り交ぜられており、遊び心と共に親しみやすさも感じられていい。5月のLIQUIDROOMワンマンは即完で追加公演が決定したラッキリ。ターゲットを絞らない彼らのメッセージは、今作でより広く染み渡っていく。(稲垣 遥)


FRESH

2019年6月から4ヶ月連続でリリースしたシングル表題曲4曲に新曲「FRESH」を加えた、メジャーからの2nd EP。これまでのイメージにあるハウス/ディスコに接近した「風になる」と「HOUSE」、UK発の2ステップと日本の風情を感じる歌が融合した「初恋」、トラップのプロダクションをルーツにしたポップの進化と共鳴する「Do Do Do」、その線上にありながら、コーラスの強いアタックが印象的な、"新しい物事との出会い"によって開かれる感性の大切さを歌った「FRESH」と、それぞれの色を持った4曲と共に、Lucky Kilimanjaroがこの1年で獲得したポップ・ミュージックとしての強度を、まとめて味わえる1枚だ。(TAISHI IWAMI)


初恋

4作連続リリースの最終章は、"初恋"というタイトルから甘いメロウ・チューンか、爽やかでキラキラしたナンバーを想像したが、そんな予想を超えてきた、90年代後半~2000年前後に流行した2ステップを前面に押し出した、少し揚力のある曲。しかし、そこに淡々としつつも存在感のある熊木幸丸の声色が乗ることで、懐かしいというより、むしろ新鮮な空気を醸成するのが面白い。また、"初恋のような傷"という言葉に象徴されるように、恋の最中のときめきではなく、恋が終わった瞬間を丁寧に描いた詞のひとつひとつも多くの人に沁みるだろう。一方c/wでは、すべての人に平等に訪れる朝に対し、"君はどう迎えたい?"とリスナーの生活の底上げを図る、静かなるメッセージ・ソングを響かせている。(稲垣 遥)


Do Do Do

4ヶ月連続リリースの第3弾となるシングル『Do Do Do』。表題曲は、ゆるく肩の力が抜けた第2弾の「HOUSE」とはまた違い、自身を奮い立たせるような強いメッセージが込められたミドル・チューンとなっている。"今自分が何者かなんて自分自身で決めなよ"、"自分の意思を決めたら/それを信じるまでだ"など、そのひとつひとつのワードに背中を押されるリスナーも多いのではないだろうか。また、メロウで風通しのいいエレクトロ・サウンドも心地よく、場面ごとで変わるビートの音色も聴きどころだ。c/w「愛してる」は、タイトル通りストレートに愛を伝えるナンバーとなっているが、情熱的すぎるように思える"愛してる"という言葉も涼しく、穏やかでスッと胸に入ってくるところがいい。(三木 あゆみ)


HOUSE

表題曲「HOUSE」は、BPMが125前後のハウス・ミュージックであり、家で自由に踊ろうと歌っているという意味でも"ハウス"ミュージックだ。清涼感溢れる「風になる」に続く4ヶ月連続リリース企画第2弾は、そんなスピード感と脱力感を持ち合わせるユニークな1曲となった。他人の目なんて考えずに好きなことをしようというメッセージを、"やろうぜ!"と強く促すのではなく、"家の中だったら何も気にしなくて大丈夫でしょ?"と優しく提案する感じが、なんともラッキリらしい。加えて、カップリングの「車のかげでキスを」では、海の中を漂うようなサウンドにピュアなフルートの音色を重ねて青い夏のひと幕を描き、バンドの多彩さも印象づける。(稲垣 遥)


風になる

4ヶ月連続シングル第1弾は、ストリングスのピチカートのワンフレーズが、冒頭からラストまで3分間同じリズムで鳴りっぱなし。その中を変化していくメロディとシンセサイザーや効果音が楽しい曲だ。繰り返すコードはフラットな感覚ながらも、とびっきりの清涼感があるのは、楽器隊の音作りとクラップなどのアクセントがあるからだろう。熊木幸丸(Vo)のメッセージもより伝わりやすいまっすぐなものとなっており、"どこへでもゆける勇気をあげる"と歌うように、1日の始まりや、気分を切り替えたいとき、何か新しいことをするときなどに心と身体を軽くしてくれる。カップリングの「君が踊り出すのを待ってる」ではローを出しつつ、横揺れできるムーディなグルーヴ感が味わえて、ひたすら心地いい。(稲垣 遥)


HUG

リスナーの心を躍らせることを目的とした6人組エレポップ・バンドが、メジャー1st EPを完成させた。一聴してまず耳に飛び込んでくるのは、2台のシンセサイザーが飛びっきり鮮やかに彩る洒脱なダンス・ミュージック。だがそこに乗るのは、熊木幸丸(Vo/Sampler)による、時には怒りも孕むほど強い意志を持った日本語のメッセージだ。そして"色あせたユニットバス"、"謎に高いカマンベール"など、なんとも生活感のある等身大のフレーズも盛り込まれており、この絶妙な融合が実にユニークだ。ステップを踏んで踊りたくなるような彼らの代名詞的な曲も存分に楽しめるが、約6分あるメロウでロマンチックなナンバー「Purple Dancer」では泣きのギターも聴かせ、軽やかな面以外も見せてくれる。(稲垣 遥)



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