Japanese
Lucky Kilimanjaro
Skream! マガジン 2023年01月号掲載
2022.11.25 @LINE CUBE SHIBUYA
Writer : 石角 友香 Photographer:田中聖太郎
Lucky Kilimanjaroが9月からスタートした全国9公演のツアー[Lucky Kilimanjaro presents.TOUR "YAMAODORI 2022"]をLINE CUBE SHIBUYAで完走した。ソールド・アウトしたホール全体がバウンスするようなエナジックな一夜は、現在のラッキリ(Lucky Kilimanjaro)の曲とスタンスの浸透ぶりを窺わせるものだった。
いきなり余談なのだが、熊木幸丸(Vo)がTwitter上で"最近好きなLucky Kilimanjaro曲"を問い掛けると、実に様々な返答があった。リスナーの生活のテンション、感情が反映されていて、決して楽しいだけじゃない日常を携えてライヴ会場では思い切り踊る。心身が反応することが喜びに転化されることをみんな知っている。
今回はアルバム・ツアーではなく、強いて言えば新曲「ファジーサマー」以降のバンドのスタンスを軸にシーケンスの刷新や、新旧のレパートリーを効果的にセットし、必ずしもノンストップではない新たな趣向を見せたと言えるだろう。
冒頭はフュージョンっぽいセッションから、シンセ・リフが小気味いい「風になる」でスタート。印象的なのは熊木のオーディエンスに語り掛けるような表現だ。"みんな踊れる?"という問い掛けはお馴染みのものだが、続く「350ml Galaxy」や「人生踊れば丸儲け」でも徹底して、フロントマンとしての役割やカリスマが自覚的に増している印象だ。金曜の夜、まずは1週間お疲れ様的なナンバーが続いていることに気づく。だが、オーディエンスにはローティーンまで存在するというのが今のラッキリの吸引力だ。"I LOVE"の声のサンプリングが緩く踊る「ZUBUZUBULOVE」。熊木のファルセットに上昇するヴォーカルの心地よさ、生ドラムでビルドしていく盛り上がりと、このあたりはやはりライヴならではの高揚感だ。続く「楽園」も声ネタが心地よく、大瀧真央のシンセが作っていく膨張感がホール・ライヴであることを忘れさせる。そう。深夜のクラブさながらの気分だ。
"渋谷、だいぶあったまってきたんじゃないですか?"と、もう十分踊りまくっているフロアに向かって、火に油を注ぐというより、各々の楽しみ方をするオーディエンスの居心地を良くするように語り掛ける熊木。曲はオーディエンスのクラップが生音でのビルド・アップ~ドロップに欠かせない「Do Do Do」。どうしたいかは自分で決めて、決めたら自分を信じるまでだと歌うこの曲のメッセージを受けて、賛同するように、自分を信じるようにクラップする風景は美しい。続く「夜とシンセサイザー」が、切なさこそがひとりの自分を励ましてくれるナンバーであることは変わりないのだが、さらに開かれ、柴田昌輝(Dr)の力強いフロア・タムの打音も手伝って、よりタフな推進力を持つ演奏にアップデートされていた。ダンスは止まらないものの、少し内省的なタームが続く。淡々とステップを踏みたくなる「足りない夜にまかせて」で"夜"を実感しつつ、"好きな自分を諦めたくはないな"のサビでステージもフロアも明るい照明に照らし出される「ひとりの夜を抜け」への流れは、泣きながら踊るという、自分の本心に向き合うことを包摂するラッキリが持つ他のダンサブルなバンドにはあまりない価値観を増幅させた。そんな思いの集積がLINE CUBE SHIBUYA規模で溢れるのだから、心を揺さぶられないはずがないのだ。
"芸術は才能だとかいう"という歌い出しも語り掛けるように表現する「Drawing!」。フィジカルなライヴだが、熊木のスタンスは目の前の人に話すような印象が今日のライヴにはずっとある。個人的に前半、最高に刮目したのが新曲「地獄の踊り場」で、ドラムンベースでありつつ、翳りのあるメロディや上モノのサウンドと融合させたことで、クールなダンス・チューンのひと言で済まない複雑さを醸成していたこと。加えて熊木のラップ・パート、山浦聖司のシンセ・ベースやドラムが加わって厚みを増す体感は、音源とは違う迫力を味わわせてくれた。
以降、ふたりだけの甘美な(空想も含め)な時間を思わせる「ぜんぶあなたのもの」、「初恋」、「Sweet Supermarket」と続く。思いが伝わり、ふたりでいる時間が日常になり、コンビニやスーパーマーケットも素敵な場所になっていく、そんなストーリーが新旧のナンバーで綴られるのもドラマチックだ。さらにストリングスのSEが流れ、白っぽい照明がつくと、季節的に少しクリスマスを思わせる。ハッピーなそれではないけれど、冬の澄んだ空気に輝く月明かりは前を向かせてくれる、そんな感じだ。
"花金の曲やっていいですか?"といにしえの表現で「Burning Friday Night」の口火を切る熊木。大瀧の"渋谷、踊れてる?"の問い掛けに大きなリアクションも起こり、フロアごと横乗りする様子がダイナミックだ。ライヴ中煽り続ける松崎浩二のギター・ソロを堪能できるのもこのナンバーならではだ。四つ打ちのキックでビートを繋いで「エモめの夏」のシンセがガラッと季節を変える。もはや年中バカンス気分に突入して、緩めのトロピカル・ハウス調の「週休8日」の収縮するシーケンスも気持ちいい。休めばいいというより、好きなことを見つけようよというこのナンバーから、よりハウス・ミュージックの快楽に突入していく「ON」。歌詞とシンセでピークに向けてビルドされてゆくエレクトロな感覚と、音像のドリーム・ポップっぽさが相まってどんどん現実感が後退してゆく。さらにそのエンディングから続く、「KIDS」へワープするような繋ぎのシーケンスが効果的。DJ的な曲間の構成がライヴ後半ではより濃厚になってくる。続く「太陽」にはプリミティヴな生のドラムが冴え、ラミのラテン・パーカッションも身体に直にくる。さらにスチールパンを思わせるシンセのフレーズでイメージが気分を盛り上げる。20曲以上演奏してきて垂直に高くジャンプできる熊木の身体能力は、もはやどうなってるんだ? という凄まじさだ。同じ夏がテーマでも、アフロビートのAメロ、よりラップのフロウに近い熊木のヴォーカルなど、趣きが変わる新曲「ファジーサマー」で切なさに着地するのが、これまでの流れと少し違う味わいを生んでいた。
今回はノンストップではなく、ビートが止まる箇所もあるのだが、冗長なMCをするためではなくちょっとした場面転換のためなのだと思う。80分近く演奏してきたというのに"まだまだ踊れますよね?"とフロアに問い掛ける熊木は、もちろんオーディエンスの歓喜を受け取って言っているはずだ。煽るなど、踊ることをアシストする時期を超えて、ラッキリのライヴは今、ステージもフロアも対等に楽しんでいるイメージ。終盤は自分のためのダンスを印象づけた、パリピじゃない人のためのハウス・チューン「HOUSE」、ボサノヴァのニュアンスに乗る「踊りの合図」で、乾いたクラップがここに集ったお互いを祝う。本編ラストは、"踊ること"が次へのアクションに繋がることを体現するラッキリの今を代表するアンセム「果てることないダンス」が、ループし続けそうなグルーヴを会場全体で作り出し、熊木の"とっても楽しそうなみんなを見られて幸せでした"という謝辞とともに、エンディングを迎えたのだった。
約90分の本編を終えてもタフにアンコールのクラップを送り続けるオーディエンス。そこに6人は、前回([Lucky Kilimanjaro presents. TOUR "21 Dancers"])はオープニングだった「I'm NOT Dead」に乗せてステージ左右から3人ずつ再登場した。まるで本編とひと連なりのショーを観ているような気分になる。11月30日リリースの新曲「一筋差す」も披露し、次のモードを感じさせ、2023年4月5日にはニュー・アルバムをリリースすることも発表。年1のスピード感でアルバム・リリースを重ねる彼らの次なるモードはもう始動している。ライヴ・バンドの新たなスタンダードを実感させるに相応しいビルド・アップが随所に見られたツアー・ファイナルだった。
[Setlist]
1. 風になる
2. 350ml Galaxy
3. 人生踊れば丸儲け
4. ZUBUZUBULOVE
5. 楽園
6. Do Do Do
7. 夜とシンセサイザー
8. 足りない夜にまかせて
9. ひとりの夜を抜け
10. Drawing!
11. 地獄の踊り場
12. ぜんぶあなたのもの
13. 初恋
14. Sweet Supermarket
15. MOONLIGHT
16. Burning Friday Night
17. エモめの夏
18. 週休8日
19. ON
20. KIDS
21. 太陽
22. ファジーサマー
23. HOUSE
24. 踊りの合図
25. 果てることないダンス
En1. I'm NOT Dead
En2. Super Star
En3. 君が踊り出すのを待ってる
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