JapaneseOverseas
Lucky Kilimanjaro
Skream! マガジン 2025年03月号掲載
2025.02.16 @幕張メッセ 国際展示場 展示ホール4~5
Writer : 稲垣 遥 Photographer:田中聖太郎
Lucky Kilimanjaroが10年間研ぎ澄まし、届け続けてきたダンス・ミュージックがこの日、幕張メッセを躍らせた。バンド史上最大規模であり、10周年のフィナーレとなるツアー[Lucky Kilimanjaro presents. TOUR "YAMAODORI 2024 to 2025"]の最終日だ。
開演時刻は17時であるにもかかわらず、13時にオープンされた会場。そこには物販だけではなく、これまでのアーティスト写真のバナーやバンド・ロゴのオブジェ、メンバーからのメッセージの周りにファンたちが寄せ書きをできるフラッグ、さらにはキッチンカー4台とドリンク(中でもビール販売に大行列ができていたのが彼等のライヴらしい)、飲食/休憩スペースも用意され、"フェスみたい!"と喜々と写真撮影等をして楽しむ声が聞こえた。10周年ツアーのファイナルと言えどもコアなファンだけの集まりにしたくない、"ラッキリ(Lucky Kilimanjaro)ってなんか聞いたことあるし行ってみようかな"という感覚で来た人も楽しめる場所にしたい、そんなバンドの想いからのアイディアだろう。その門戸を広げるスタンスは確実に功を奏していて、ワンマンに足を運ぶたびにファミリー参加が増えているし、海外から足を運んだ人たちもいるようだった。
そんなふうに昼から軽く飲んで、熊木幸丸(Vo)セレクトの開場BGMで踊りながら、好きなタイミングでステージ前に集う観客。いよいよ祝祭のライヴのスタートだ。
白いバックライトにメンバーのシルエットが映し出された状態で始まった「一筋差す」。幻想的且つアップテンポなハウス・ナンバーから、キラキラとしたシンセ・サウンドで思い悩む人の背中を押す「ひとりの夜を抜け」へ。ぱっとカラフルに変わった光でメンバーが明るく照らされる。ステージ横の大型ヴィジョンにも映し出されたその表情は、かなりのいい笑顔だ。
"ダンスは自由です。皆さんの物語、感情のままに、好きなように踊ってください"と熊木が丁寧に呼び掛けて「350ml Galaxy」へ。曲冒頭の缶を開ける音、のどごしの音、感嘆の呼気のサンプリング音にぴったり合わせた照明にも声が上がった。続けて「I'm NOT Dead」。ドゥーワップと跳ねるドラムにクラップ音が重なっていき、ポップなテーマ・パークのショー、またはミュージカルのオープニングみたい、とでも言いたくなるわくわく感が宿るこの曲。熊木がステージを左右に走り回って煽った後は、同曲からコミカルな部分を際立たせたような、ご機嫌でいい脱力感のある「Ran-Ran」へと繋ぐ。
スポットライトを集めて大瀧真央(Syn)や熊木が"私だけの人生~♪"と歌い恍惚の表情をキメる姿にも思わず笑いや歓声が。新旧の楽曲の繋ぎ方も含めて膝を打ったし、"力めばコケるだけ"という歌詞のように、幕張メッセの大舞台でも緊張や大仰な熱は見せず、自分たちが楽しむ姿を見せてオーディエンスを楽しませていく彼等が嬉しい。
フロアとの合唱から始まった「Burning Friday Night」。2015年の1stミニ・アルバム収録曲であり、そこからずっとライヴで親しまれ、近年TikTokでのバズから代表曲になったこの曲では、"幕張、踊れてる?"とお馴染みの台詞を放った大瀧が噛み締めるような表情を一瞬見せたのも印象的だった。間奏では松崎浩二が熊木と背中を合わせてギター・ソロをかき鳴らして会場の温度を高め、熊木もジャケットを脱ぎTシャツ姿になってサマー・チューン「エモめの夏」でぶち上げた。
MCパートを挟まず、ライヴならではのインタールードを挟んでどんどん展開していくのがラッキリスタイル。今回は、昨年リリースした2枚のEPが、フィジカルを躍らせる『Dancers Friendly』とメンタルを躍らせる『Soul Friendly』という対になる作品だったこともあり、その両方面に特化した強力な楽曲がセットリストに加わり、より楽曲のコントラストがはっきりした印象だった。
中盤は、まず『Soul Friendly』より山浦聖司のベース・リフとムーディなピアノのフレーズでスタートした、"風呂"がテーマの「フロリアス」。音圧が下がる分、音源より柴田昌輝の生ドラムが際立ち没入感を押し上げる。
テンポを落として、まさに湯船に浸かるようにゆったりリラックスしたなかで、大瀧のスウィートな歌声と柔らかな口笛が響いてふやけたフロア。そこに、今度はメロウな「初恋」が染み入る。2ビートが際立ち、過去最高に切なさマシマシで届けた後は、優しいメロディとコーラスが涙腺を刺激する「LIGHTHOUSE」。"出口は上だけじゃなくて左右にも下にだって"のリリックが肩の力を抜いてくれる。
そしてライヴも後半戦へ。柴田とラミ(Perc)による猛烈な迫力の16ビートのインタールードでグッと惹き付けて始まった「Find you in the dark」は、シリアスな雰囲気のなかで青い炎を燃やすようで、私たちの心身を焚き付ける。彼等の楽曲の中で最もクラブっぽいと言える重低音が効いたドラムンベースのナンバーだが、音源と比べて強力なバンド・サウンドがダイレクトに聴こえ、より心を震わせられるパフォーマンスだった。
フロアが明るく照らされ、トライバルなリズムで舞うオーディエンスが主役となった「太陽」からは、クライマックスへ向かってゆく。分かりやすく陽のムードのダンス・チューンとは言えない「ファジーサマー」、「恋あおあおと」でも構わず踊るフロア。もう完全にできあがっている。『Dancers Friendly』収録曲「かけおち」から、ボサノヴァ調繋がりで「踊りの合図」、キメが多くエッジの効いた「Dancers Friendly」へとなだれ込めば、"踊り狂うとはこのこと"と言いたい程、観客たちは好き勝手にエネルギッシュに蠢く。
"この曲知ってるとか知らないとか、そんなん関係ないんですよ!"と熊木が"ダンス・ミュージック"を貫くにあたっての想いとも言える叫びを上げ、さらにダメ押しで投下したのは、シングルのカップリング曲ながらライヴでキラーチューンに鍛え上げられた「でんでん」。頭を空っぽにして踊り、狂騒感の中で強烈なカタルシスを得た――が一呼吸すら置かず「メロディライン」に突入し、息を切らしながら再会の約束をする熊木に熱いものを感じてしまう。頷きながら、横揺れしながら、クラップしながら、激しく飛び跳ね踊り続けながら。それぞれの形でメッセージを受け止める観客を見て、彼等の作りたかった"自由なダンスフロア"は後列までとりこぼさず実現できていると実感。最後は「HOUSE」で怒濤の本編25曲を走り抜けた。
アンコールでは熊木が"俺たち、10年やってきたけど、まだまだやろうとしてるから"と意欲を口にして届けた最新曲「楽しい美味しいとりすぎてもいい」、もはや隣の人たちと肩を組んで踊れそうなあったかいムードで届けた「コーヒー・セイブス・ミー」もグッとくる。
"今日始まるまで正直実感なかったんだけど、すごいことしてんだなって、みんなのおかげで思った"と熊木。メンバーそれぞれからも感謝の言葉が届けられたが、大瀧からは"10年もやってると、やめたいかも、とか、ちょっと一緒にやっていくの難しいかも、とか、思ったこと......1度もないんですよ! それだけ気の合う仲間とやれてる"という微笑ましい発言もあり、大きな拍手が湧いた。そんな幸福感のある名残惜しい夜のラストは、いつものように"皆さんが明日からも踊れるように"と「君が踊り出すのを待ってる」で締めくくった。
この夜は、大阪 服部緑地野外音楽堂でのフリー・ライヴ(!)を皮切りにしたツアー"LOVE MY DANCE LOVE YOUR DANCE"も発表された。どうやらツアー・ファイナルはまだ先にあるようだが、この大きなステージを経験したラッキリが、また全国を回りどんな景色を見せてくれるのか、踊りながら楽しみにしていよう。
[Setlist]
1. 一筋差す
2. ひとりの夜を抜け
3. 350ml Galaxy
4. I'm NOT Dead
5. Ran-Ran
6. Kimochy
7. High
8. Burning Friday Night
9. エモめの夏
10. フロリアス
11. 初恋
12. LIGHTHOUSE
13. KIDS
14. Find you in the dark
15. 実感
16. 太陽
17. ファジーサマー
18. 恋あおあおと
19. MOONLIGHT
20. かけおち
21. 踊りの合図
22. Dancers Friendly
23. でんでん
24. メロディライン
25. HOUSE
En1. 楽しい美味しいとりすぎてもいい
En2. コーヒー・セイブス・ミー
En3. 君が踊り出すのを待ってる
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