黒猫チェルシーの「開拓!ネコロンブス」【第3回】
2016年05月号掲載
黒猫チェルシーの開拓!ネコロンブス 第3回 <宮田岳(Ba)>
「うるしうるはし」
僕はホームページのプロフィールで漆系ベーシストと称していますが、よく意味が分からない、なんだそれはと多くの方がお思いでしょう。音楽が無くては生きていけないのと同様に、僕は漆というものを愛おしみ、ライフワークの一つとしています。
現在大学の美術科の「木工・漆」研究室に属していて、漆などを取り扱った芸術作品に取り組んでいます。黒猫の物販でお手製の"黒猫のかんざし"を数量限定で発売した事もあるほどで、その熱意は黒猫ファンの方々には少しずつ浸透しはじめているかと思われます。アートに真摯に取り組む事は、殊に作曲活動などにおいて相互作用をもたらすと信じてやみません。そんな漆について少しお話しします。
そもそも漆というのは、東アジアの一部にしかないウルシの木をひっ掻いて出てくる樹液のことです。メイプルシロップみたいなものです。その乳白色の樹液が空気中の水分によって固まって塗料、接着剤の役割を果たすもので、縄文時代から利用されてきました。
縄文人に思いを馳せてみましょう。こねた粘土を野焼きしたものや、木をくりぬいただけのもので食事をすると、どうしても割れ目なんかからスープが漏れだします。それをとなりの村の人がこの木の汁を塗ると漏れない!とある日発見し、その彼は村の英雄としてたたえられ......
これが漆のはじまりです。他には狩りの槍もそうです。鋭利な石を木の先端につけて紐で縛って漆でかためたそうです。いうなれば今のニスやボンドなんかの元祖です。いまあなたのまわりにある木製の椅子や机もすべてつるぴかでしょう。塗料というのは意外と身近なものです。そして漆は、千年単位の持続力をもつ、最古であり最強の塗料でもあります。
おいおい原始人かよお前は!今なんのメリットがあるんだよ!という読者の方も、60年代のヴィンテージギターを見てその質感になんてかっこいいんだ!と思った事はあるでしょう。それが僕にとっての漆のつやです。漆のつやは深く、他のどんな塗料にもない独特のうるはしさをもっています。
僕は家で毎日漆の食器を使っています。自分で木も加工します。これらは精製前の生の漆を数回しみ込ませた"拭き漆"という技法です。木の持ち味を活かし、食器に最適です。和洋中なんでも合い、料理がおいしそうに見えます。拭き漆の弁当箱などは、お米を食べるとそのしっとりとした美味しさにプラスチックとの違いを容易に認識できます。洗い物も楽チンです。漆の食器は、その手間から多少高価であっても、それだけの満足を得られます。ツアーで能登に行った際に、箸の材料をたくさんもらい、後日漆で仕上げてメンバーにプレゼントしたら大変喜ばれました。
私たちは幸運なことに漆を堪能できる国に生まれました。その内実際の採取のほうにも足を伸ばしてみなさんにお伝えできればと思います。それと、漆仕上げのベースを持ち歩く日はくるのでしょうか。
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