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黒猫チェルシーの「開拓!ネコロンブス」【第2回】

2016年03月号掲載

黒猫チェルシーの「開拓!ネコロンブス」【第2回】

黒猫チェルシーの開拓!ネコロンブス 第2回<Gt.澤竜次>

「ホッピー。」

関西出身の俺も全く馴染みが無かったのだが、3年程前に居酒屋へ行った際に初めて飲み、それ以来居酒屋へ行けば必ず注文するようになり、更にはホッピーが置いてある居酒屋を選ぶようになり、更には自宅に常備して飲む程までに虜になった。

そもそも「ホッピー」とは何ぞやというところだが、ビールが高級品だった時代にビールの代用品として1948年に発売された"麦酒様清涼飲料水"であり、これ自体はお酒では無く、焼酎をこれで割って飲むものを俗に「ホッピー」と呼ぶ。

また多くの居酒屋などではホッピーの瓶を「外」、焼酎を「中」と呼び、ホッピーセットを基本に、それぞれも注文する事が出来る。と、Wikipediaに書いてあるような情報はここまでにして、馴染みの無い方からすればここで『現代はビールが簡単に飲めるのだからわざわざそんな面倒な事をして偽物を飲まずにビールを初めから頼めばいいじゃないか』という疑問が生まれたかもしれない。

まさにその通りである。
がしかし、正直言って味がビールに似ているかと言えば、目隠しをされてビールだと言い聞かされて飲まされたとしても瞬時に違うと言い切れるほど、むしろ口をつけないでも匂いで分かるほど、全く別物なのである。
そこへまた魅力を感じるのだ。

戦後の下町にてビールを渇望し試行錯誤を繰り返した苦労や、泡を眺めてビールに思いを馳せていたであろう当時の人々の気持ちなどを想像しながら、しみじみ飲むとより愛おしい。
ちなみに正しいとされている飲み方はグラスとホッピーのビンと焼酎全てを冷やし、氷無しで焼酎1:ホッピー5の割合で飲む方法(ちょうどビールのアルコール度数5%に近い為)だそう。

俺はもっぱら黒派で、いつも氷を半分ぐらい入れて焼酎をグラスの3分の2程まで注いてホッピーを足し、あまりステアせずに飲む。
この方法であればホッピー1瓶で3杯はいけるし、混ぜない事で飲み進めるにつれて濃度の違いも楽しむ事が出来る。
また、ホッピーには白と黒以外も存在する。
先日とある居酒屋で、"幻のホッピー"として軽く認識していた「赤ホッピー」をメニューに発見し、注文してワクワクしながら待っていると白ホッピーを提供されたので間違いを指摘すると、『赤と白は店によって呼び方が違うだけで同じ。』と言われ、改めて奥が深いなあとしみじみ飲んでいたのだが、後日やはり発売55周年を記念して発売された「赤ホッピー」がきちんと存在する事を知った。
デタラメを言われたとすれば腹立たしいが、意地でも飲んでやろうと意気込んだ。

そして先日ようやくありつけた赤ホッピー。

通常のホッピーと違い海洋深層水を使っているらしく、通常のホッピーよりも少しまろやかで上品な味わいがした。
デザインも抜群。

下町情緒溢れる見た目も味も何とも愛おしいホッピーと共に、オツな夜を皆様も是非。