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INTERVIEW

Japanese

黒猫チェルシー

2017年12月号掲載

黒猫チェルシー

黒猫チェルシー

Official Site

メンバー:渡辺 大知(Vo) 澤 竜次(Gt) 宮田 岳(Ba) 岡本 啓佑(Dr)

インタビュアー:石角 友香

R&R、ファンク、ポップスなど、黒猫チェルシーの音楽性の幅と根本を示したアルバム『LIFE IS A MIRACLE』(2017年2月リリース)以来となる新作は、ヴォーカルの渡辺大知が出演する映画"勝手にふるえてろ"主題歌の「ベイビーユー」。初期のTHE BEATLESを思わせるシンプルなR&Rに今の彼らの自信が窺えるが、なんとこのシングルにはメンバー各々が演奏、そして歌唱した異なる4つのバージョンの「ベイビーユー」をカップリングとして収録。渡辺の弾き語り、澤 竜次のメタル、岡本啓佑のポップス調、宮田 岳のオルタナティヴ・カントリー&エキゾチカ寄りなど、一筋縄ではいかない音楽オタクな黒猫のユニークさが全開。なぜこのアプローチを選んだのか? 4人に訊いた。

-面白いシングルになりましたね。

渡辺:シングルっていう媒体でできる、自分らなりの面白い出し方ないかな? っていうので今回は気合入れて、まさかの全曲「ベイビーユー」で5曲という作戦に出ました(笑)。僕らにしかできないこと、面白がり方ができたかなと思ってます。

-そもそもの発端は映画の主題歌からですか?

渡辺:そうですね。映画の出演があって、"主題歌どうする?"っていうときに、デモを持ち寄って選んでいただいたっていう形ですね。僕は出演もしてるんで、撮影の空気感や、その映画で何が必要か? みたいなのは自分でわかってるつもりでいるんで、映画のできあがりを観たときに"こういうことだろう"と自分なりに思った曲が出せたかなと思ってます。こういう曲で最後締めくくってほしいな、こういう曲がかかってほしいなっていう自分なりの曲がぶつけられたかなと。なので、選んでもらえて嬉しいと同時に、他の奴に負けねぇよって気持ちもありました(笑)。

-渡辺さんの中ではどんなサウンドのイメージが?

渡辺:音数少ないっていう意味で、とにかくシンプルなものにしたいなっていうのと、疾走感がある中でもキラキラしてる感じ。自分はメロディ作るとき、80年代のビート・バンド――例えばTHE COLLECTORSみたいなイメージとか、ちょっとキラキラしたポップスだけど、ロックンロールにそれを昇華したいなっていうようなイメージがあって。最初は抽象的な言葉しか出てこなかったんですけど、話し合っていくなかで、"THE BEATLESの初期の感じ"っていうワードが出てきて。自分たちは好きな音楽も結構バラバラだったりするんですけど、THE BEATLESは当たり前のように好きな、共通して散々聴いてきた言語として確立していたんで、自分たちなりにTHE BEATLESの初期の感じと、今のこの2010年代の感じをリンクさせて作れたかなとは思ってますね。

-たしかに60年代感はありますね。ミックスもすごくぎゅっとしてるし。

渡辺:ほとんどモノラルのようですね。肌ざわりというか、聴きざわりというか。でもそこにシンセっぽい鍵盤が入ったり、そういうのが自分たちにとっては今っぽい。だから古臭いものをやってる意識はないんですね。

-渡辺さんは演じることそのものより、撮影現場で作品ができあがっていくことに興味があると以前話してましたが、出演した作品の主題歌を作るってどういう心情ですか?

渡辺:撮影してるときは単純に映画のことしか考えてなくて、それで"主題歌も"ってなったときに、役柄の気持ちは抜きに、渡辺大知個人として、その映画の現場で感じた空気感をイメージしながら主題歌を作れるというのは、贅沢なことだなと思いましたね。やっぱり映画のタイアップは、作り手がどんだけ歌詞で映画の世界観に寄り添おうとしたところで、聴き手は別物に感じることが大概だと思うんですよ。もともと"この主題歌で"って決まってたら別ですけど、映画完成後に作るタイアップは"(映画と)分かれちゃってんな"って感覚のものが多い。でも今回みたいに、その映画の空気感を知った者が作ってるっていうのはなかなかないことで、正直、歌詞も"映画に寄り添おう"とか考えてないんですけど、映画にリンクした感じに聴こえるっていうのは、僕が出演したからならではなんじゃないかと思います。

-曲を聴くと普遍的な青春譚が想像できるんですが。

渡辺:いい歳した女の子が主人公で、もう働いてもいるし、ある程度人生経験もしてるけど、恋愛に関しては不器用で、まだ何も行動に移せたことがなくて。妄想だけの恋愛しかしたことないっていう子なんですけど、同じように不器用な男の出現で、ちょっとずつ変わっていくというストーリーなんです。そういう意味でいうと、ある程度大人になってからの初めての恋というか。映画とリンクさせてるわけじゃないけど、今回の「ベイビーユー」に関しては、初々しい恋みたいなのを感じる曲にしたいなと思って、そこだけはリンクしてる感じにしようかなと思いました。

-そして今回、全曲「ベイビーユー」なわけですが、これは誰の発案ですか?

澤:みんなで"どうしよか?"って話してたときに、マネージャーがぽろっと、"例えば全部「ベイビーユー」で、違うバージョンで入ってるとか"と言ってきて。そこから話が派生していって、楽器もほとんど自分で演奏してそれぞれ歌ってみたいな、そういうふうに話がどんどん派生していって。

渡辺:カップリングの候補というか、まったく別の曲もあったんですよ。でも"いや、なんか、そういうことじゃないかな"、"もっと面白いことやりたいな"って話になっていったんです。だから決して、曲がなかったからこういうことになったわけじゃないというか(笑)。むしろ今回、各々が作って持ち寄ったものは次回以降に、アルバムとかでしっかり聴かせたいなっていうものだったので、シングルはいかに遊ぶかっていうところだったんですね。

澤:今は1曲単位で聴けるじゃないですか、配信とかで。なので、それに負けないような面白さというか、手を伸ばしたくなるものである必要があるなと。そこの意識が強かったかもしれませんね。現状を逆手にとって、CDを買わないと楽しめないような――それは特典のDVDもそうですけど、割とそこの意識はみんな共通してありましたね。