アルカラの「ぐるぐるムニムニ化計画」【第24話】

COLUMN

アルカラの「ぐるぐるムニムニ化計画」【第24話】

2017年07月号掲載

アルカラ

ここはビルの中

僕たちは「7階」のエレベーターホールで集合した。
ある占い師からの情報によると赤い服を着たタイムトラベラーが俺たちの誰かを狙ってる。そして、狙われたものは異次元の亜空間"パラレルワールド"へ連れていかれる！というものであった。僕は「9階」への上りエレベーターが来るのを待ちながら僕の仲間にそれを知らせるのであった。

その仲間の一人にとても呑気な男がいた。
→SCHOOL←の矢野である。

「たいすけ、またそんな訳の分からない事言ってんの？？」
「はいはい。わかったわかった。」

彼はまるで僕の忠告を子供の戯言をあやすかのようにしていて、まるで真剣に捉えようとしない。まずい。この男が狙われるに間違いない。僕はそう確信した。

散々忠告した挙句、急な便意を催した僕は上のフロアから降りてきたエレベーターに飛び乗り階下のトイレへと急ぐ。そう、このビルは奇数階である「7階」にはトイレがなく、偶数階にいかねばならぬのであった。

飛び乗ったエレベーターの中には数名の家族連れがいた。僕は家族連れの服装をまじまじと見る。赤い服を着た者はいない。少し安心して最寄りのトイレに急ぐ。だが、すでに家族連れが押していた「5階」へ先に着いてしまった。うっかり家族連れの服の色をチェックしていたせいで「6階」を押すのを忘れていた。

「5階」で家族連れは降りていった。エレベーターには僕一人である。ドアが閉まり始めたタイミングで僕は「6階」を強く押す。だがボタンが全く効かない。ドアが閉まる。なぜか行き先ランプも何も付いていないのに、エレベーターが動き始める。上に行ったり下に行ったり。僕は慌てて、どの階でもいいと思いボタンを無心に押し続けたが全く効かない。

故障だ！！！「非常ボタン」を押すと、エレベーターはようやく外部からの制御が効いたのか「1階」に止まった。慌てて外に飛び出た。が、次の瞬間ある違和感を覚えた。それよりみんなは無事だったのだろうか？？僕は仲間たちの事を思い浮かべた。とにかく別のエレベーターで「9階」へ向かおう。エレベーターに飛び乗る。閉まり始めた扉の中、僕の頭に浮かんだのはあの呑気で人の忠告を全く聞かない「赤い服」を着た→SCHOOL←の矢野であった。エレベーターの扉が閉まる。行き先は......

目が覚めた。ゆ、夢か。

アルカラ稲村太佑