SEBASTIAN X 永原真夏の「つれづれなるままに...サファイア！」【第11回】

2014年06月号掲載

食べるのが好きである。
ただひたすら、「食べる」という行為が好きなのであって、決してグルメとかそういうわけではない。
そして「好き」なだけであって「必要不可欠」なわけでもないので、最低限食べれれば、そんなたらふく食べずとも、活動に支障は出ない。
けど、とにもかくにも沢山食べるのが好きなのだ。

ツアー中なんかは困る。
その土地の名産品だとか、旅の高揚感であるとか、とくに食べるのが好きじゃない人でも「無理して食べちゃおうかしら...」と思うくらい胃袋を刺激されるのだから、わたしとなれば半ばトランス状態である。
2月に音沙汰（私とキーボードのありりでやってるユニット）で沖縄に行ったときなんかは、自分で自分の食欲に引いた。
夕方到着してサーターアンダギー、その後すぐにステーキ、夜にカップラーメンとシュークリーム、起きて即タコス、沖縄そば.........。そしてその間にちょこちょこ間食も忘れない。食事のタイトルは決まって『大盛り』。
そしてそれに付き合わされるメンバーや共演者、スタッフのことを考えると、もうなんていうか、いたたまれないやら申し訳ないやら。

それにもうひとつ困るのが、デートのときである。
せっかく素敵な殿方がお誘いしてくださっているのに、デートの緊張でわたしの胃袋は極限までトランス状態に陥ってしまうのである。
しかも私はお酒を飲まないので、ただひたすらに食べる。食べる。食べまくる。すると殿方も気をつかって「ほかに何か注文する？」とか言ってくるもんだから、私は精一杯かわいい感じで「ええ♡頼みましょう♡」とか答えるのである。
デートでドカ食いの行く末は、男女の垣根を越えた、かけがえのない友情に落ち着く。精一杯のかわいい返答も虚しく、切ない映画のフィナーレには『友情』の文字がでかでかしく飾られる。
しかもエンドロールが流れる頃には、自分も満腹感に流されて「まあいっか」と思っている。つまるところ、それはそれでそれなりにハッピーエンドなのである。
そしてわたしは殿方に、「もう一杯飲もうぜ！」の感じで「もう一杯食おうぜ！」と声をかけ、終電あるいは始発まで、延々と食べ続けるのである。

しかも食べても太らないというわけじゃない。順当に太る。
夏が近づいてきているので、さすがの大食いも、フードファイターの一面を抑えなくてはいけない。
必要なのはごはんではなく理性。
何をするにも戦いは必要である。

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