Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

SEBASTIAN X

2012年07月号掲載

SEBASTIAN X

メンバー:永原 真夏 (Vo)

インタビュアー:天野 史彬

“私たちはもっとわがままに、もっと豊かにやれるはず”――アルバム『FUTURES』から9ヶ月ぶりにリリースされるSEBASTIAN Xのミニ・アルバム『ひなぎくと怪獣』に通低するメッセージは、恐らくこれだ。永原 真夏が自分自身を深く見つめ直すことによって生まれた『FUTURES』という私小説的な傑作を経て、彼女たちはその確固たるメッセージを、瑞々しさに溢れた6つの楽曲に昇華してみせた。このアルバムを聴けばきっと、君の胸のうち に永遠に潜む“怪獣”も呼び起こされるだろう。

-今回の作品は、タイトルにもあるように、凄く衝動的でアグレッシヴな作品になりましたね。こういう方向性に向かったのは、どうしてだったんですか?

元々は、去年末に配信で出した「GO BACK TO MONSTER」という、JACCSカードの“あなたの夢に応援歌”っていうキャンペーンに提供させていただいた曲が始まりで。この曲は最初、盤になる前提で作った曲ではなかったので、肩の力を抜いて作ってたんですけど、最終的に出てきたものが凄く衝動的なものだったんです。で、この曲をライヴで演奏したりすると、曲や歌詞の持ってるスピード感とかパワーが、お客さんに放っていると同時に、凄く自分自身の背中も押されてる感覚があって。じゃあ、この感触をひとつのミニ・アルバムにしようと思って、作り始めました。

-「GO BACK TO MONSTER」を初めて聴いた時、僕も、これは肩の力を抜いて作った曲なのかなと思ったんです。でもしばらく聴いていくと、凄くいろんなことを言い切ってる、本質的な力に溢れた曲だなと思うようになっていって。

“あなたの夢に応援歌”っていうキャンペーンのテーマをいただいて、そこで“頑張れ!”とか“夢を追いかけようぜ!”って直接的に言うよりも、夢を持っている状態ってどういうものかなって考えたんです。そうしたら、歌詞にも出てくるように、自分の中に怪獣みたいなものがいる状態だなって思ったんです。自分の中にいる怪獣を開放している瞬間こそ、そもそも“夢”って言うんじゃないかなと思って。なので、そういう漠然としたイメージから歌詞を書きました。

-なるほど。そうやって生まれた「GO BACK TO MONSTER」に引っ張られる形で制作していく中で、「サディスティック・カシオペア」であったり、「いけいけ悪魔ちゃん」であったり、「ひなぎく戦闘機」も生まれてきた、と。だからこそ、このミニ・アルバムは「GO BACK TO MONSTER」と同じように、自分にわがままになることや、自分の中の衝動に忠実になること、そして、そこにある豊かさに気づこうっていう思いが全体的に通低した、コンセプチュアルなメッセージ・アルバムになっていますよね。

そうですね。普通に社会生活や人間関係を営んでいく上で、わがままな部分だったり自分勝手なところって、社会的に言ったらナシですよね。会社で急にわがまま言い出したりしたら、ダメじゃないですか(笑)。だけど、そういう自分の衝動って、ひた隠しにしたところで、結局は自分の中に消えないものとしてあるわけで。だったら、大人になった今、人間関係の礼儀とか、社会的なルールを守った上で、自分の中の衝動に向き合ってみようと思ったんです。若い頃の衝動って、振りかざすイメージが強いし、だからこそ力強いんだけど、ルールを飛び越えてしまうこともある。でも、20代の衝動は、そういうことを知ったからこそ見えてくる衝動で。10代の衝動ってロマンだと思うんですけど、20代には20代の、30代には30代の衝動があるはずで。それぞれみんな飼いならせないような迷惑な感情があるはずだから。今回は、それが音楽になってるんだと思います。

-もっと言うと、社会や身の回りを見渡してみて、自分の衝動と向き合えてなかったり、隠してるなって思いますか?

と言うか、隠さざるを得ないだろうと思ったりしますね。サラリーマンの方とかは金曜の夜から日曜のために働いたりするかもしれないし。だけど、働くのは働くので楽しかったりするかもしれない。社会に出てお金を稼いで生きるためには、隠さなきゃいけないこともあると思う。そうやって折り合いをつけて社会に出て働いてることがカッコ悪いとは全然思わないし、むしろそれができる大人のほうがカッコいいと思うんですけど、その上で、「GO BACK TO MONSTER」の歌詞にあるみたいに“好きなようにしなよ”って言いたいというか。