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INTERVIEW

Japanese

PEDRO

2024年11月号掲載

PEDRO

Interviewer:宮﨑 大樹

"今日死んでもいいやと思うくらい全部を注ぎ込もう"、 "この日貰ったエネルギーを全部出し切ろう"と改めて思うようになった


-リンリンさんとは深いところで繋がっているんですね。

年齢も近かったですし。あとは2人ともわりと独創的なので波長が合っていますし、一生の憧れでもありますね。面白い人です。

-彼女は本作のアートワークも手掛けていますもんね。

そうですね。"いつか一緒のお仕事できたら幸せだね"みたいな話はよくしていたので。今後も機会があるといいですね。2人はおばあちゃんになるまで何かしら作っていると思うので。

-続く「hope」も素敵な曲ですね。

神秘的な曲。これは明確なテーマがあって、山がテーマなんですよ。

-山?

もともとは"山 山 山"って歌っていたんです。私はそこに山があったら登らないんですよ。"山があるな、デカくてあんまり好きじゃないかも"と思って、勝手に嫌っちゃったりするもので。でも、知らず嫌いとかやらず嫌いはもったいないと知ってから、"そこに山があったら登ってみよう"と考えるようになりました。山を登ったら、もしかしたら誰かに会うかもしれないし、デカい山だと思っても、中はまっすぐな道だけかもしれない。こんなところに水があったんだとか、こんなところに花が咲いていたんだと発見があるかもしれない。そういうふうに思っていた気持ちを音楽にしましたね。

-そういうテーマで、こういう神秘的なサウンド感になったんですね。

そうですね。自分が想像していた世界観をそのまま音楽にしてもらいました。

-続く「キスをしよう」は、歌い出しの"自分を責めるのはもうやめよう/自分を責めるのはもうやめだ/もっとロマンティックに/もっとロマンティックに/もっとフランクでいいらしい"という歌詞が印象的でした。

自分は生まれた頃から"損する人見知りだ"と家族から言われるくらいだったんです。でもBiSHやPEDROをやらせてもらって、今までの生活だったら会えていない人に出会えたり、経験できないことを経験させてもらったりして、心を狭めて生きていても誰も得をしないということにようやく気付いたんです。助け合って、支え合って、守り合って生きていていいんだなという気付きからの曲ですね。

-この作品を作る上で、本当にいろんな気付きがあったんですね。

そうですね。この曲とかは、タイに1人旅をしたのが大きかったかもしれないです。助けてほしいときには素直に"助けて"と言えば助けてくれるし、その分恩返しをすればいい。そんなんでいいんだなって気付いたんです。それは人を好きになるきっかけでもありましたね。

-旅をきっかけに生まれた曲っていいですね。ちなみに他に1人旅したい国は?

ないです! もう1人旅したくない。もう大丈夫。

-え(笑)。なんでですか?

悲しいんですよね。1人旅をしたからこそ苦楽を経験して、それを音楽にして誰かに届けることができましたけど、やっぱり旅は誰かと一緒にするのが楽しいなと思います。ツアーとか回ると特にそう思いますね。誰かと一緒に行って、一緒に演奏して、誰かと出会ってみたいな、愛だなぁと。1人旅は、この世界で独りぼっちみたいな気分になりました。

-身近な人と離れたからこそ、その人たちへの愛が深まった。

本当にそうですね。家出して家の大切さが分かったみたいな、そんな感じでした。贅沢な経験ですよ。

-そして作品を締めくくる「愛せ」はサビメロがいいですね。愛で溢れている。

1曲目の「アンチ生活」みたいな反骨精神から生まれる情熱、反抗期とかを経験して、また改めて目に見えるものを全部愛そうって。生活が嫌いだ、なんとかが嫌だ、俺はこれだ、みたいなものがありつつ、なんだかんだ嫌いも好きも全部愛していこうという歌です。鬱(「アンチ生活」)と躁(「愛せ」)みたいな感じではあるんですけど、きっとそれが自分の中でまた繰り返していくんだろうなって。だから「愛せ」も宝物のような曲ですね。

-鬱と躁を両方出して、それを自分である程度は受け入れているから今作はいい作品になったし、アユニさんは今度こそ迷路を抜けたように思うんですよ。以前、私はPEDROを映画に喩えていたんです。初の日本武道館("日本武道館単独公演「生活と記憶」")までがPEDROの第1部だとしたら、それから第2部が始まって、『意地と光』が完成したことで第2部も完結したなと思いました。そしてここから第3部が始まるんじゃないかなと。

自分もそうだと信じています。でも、そろそろ何か問題を起こすかもしれないです(笑)。とはいえ、音楽としても人としても、レベルアップを目指していくターニング・ポイントになったと思います。だから、ここからですね。

-では、ここで『意地と光』の総括をお願いします。

"自分の命を投影したもの"ですね。これがどこかの誰かの命の繋ぎ目になれば嬉しいですし、それが本望です。それと、腹を括って、切腹覚悟で、甘えていられないなと思っているので、"もっとスーパーヒーローになっていこう"という作品でもあります。

-PEDROのライヴ活動としてはツアー"PEDRO TOUR 2024「ラブ&ピースツアー」"の真っ最中ですね。

最高ですよ。オフの日にPEDROチームのみんなで陶芸をしに行ったんです。今までそんなことなかったので、もう楽しくてたまらないですね。夜にはちゃんと1人になれるので、バランスが素晴らしい。やっぱり人と生きていくのがいいですよね。

-打ち上げに顔を出さなかった時期が噓のようですね。

本当ですよね。地獄のようでした。殺してくださいって感じです(笑)。今はその分貢献しようと頑張っています。

-私も川崎公演に行きましたが、今のツアー、すごくいい手応えなんじゃないですか? 音楽を一方的に届けるだけじゃなくて、フロアとのコミュニケーションができているなと思いましたよ。

嬉しいです。音楽って一方通行なものではないと思っていて。人と人が存在していないと音楽は成り立たないものだと思っていますし、そこでまた新しい物語になっていくのもすごく面白くて、それが気持ちいい。これは捉え方によっては自分の一方通行かもしれないですけど、その日限りしか出会わない人たちと、その日限りにしか生まれない音楽をやらせてもらっている感じがします。だから、"今日死んでもいいやと思うくらい全部を注ぎ込もう"、"この日貰ったエネルギーを全部出し切ろう"と改めて思うようになりましたね。今までのツアーは成長していくツアーになれたらいいと思っていたんですけど、成長とか考えている場合じゃない、何を先のことを考えているんだと。今日しかできないことを今日全部やり切るようにしています。

-だからフロアに届いて、そこから返ってくるものがあるんでしょうね。

今までのPEDROではちょっとすかしていたんです。BiSHではがむしゃらにやっていたから、PEDROではすかしている自分を見せようみたいな、対極の自分を出してみようという意志があったんですよ。だけど"違うな、何をカッコつけていたんだ"、"自分はがむしゃらにやることしかできないじゃないか"って。そんな器用にテクいことをできるパフォーマーじゃないんです。ライヴでは生き様を見せるということしか自分には武器がないですから。

TOUR INFORMATION
"PEDRO ラブ&ピースツアー Final 「意地と光」"

2025年1月15日(水)大阪 なんばHatch
2025年1月21日(火)Zepp Haneda(TOKYO)
[チケット]
スタンディング / 2階指定席 ¥6,500(税込/D代別)
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