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INTERVIEW

Japanese

SpecialThanks

 

SpecialThanks

Member:Misaki(Vo/Gt) よしだたかあき(Dr/Cho)

Interviewer:吉羽 さおり

自分が思っていることを素直に伝えることで、誰かのためになるのかもしれない


-今回の曲の中でも、20年スペサンが奏でてきた思いが凝縮されたのが最後の「Don't you see」。すごくいい曲ですよね。

Misaki:いいですよね、私もめちゃくちゃ好きなんです。

-シンガロングの晴れやかさもそうですが、"躓いて転んだって 何度でも/起き上がってきたじゃない/Everybody is golden"っていうこのシンプルな歌詞が力強く歌われることにグッと来ました。

よしだ:できたときにテンション上がったよね。意外と時間がかかった曲で、ドラムのパターンもいろんな曲を聴き返して、こういうのがいいなとかああいうのがいいなとかめちゃくちゃ悩んだし、実は最初は今より短かったんですよ。50秒くらいで終わる感じで。"こんなにいい曲なのにサビだけ歌って終わりとか、待って!"っていう。

Misaki:最初はアルバムのオープニングのパッと短く終わる曲として作っていたのが、"いや、もっと伸ばして! Aメロも付けて"と言うので。

よしだ:そこから展開も話し合ってできあがったのがこの曲でした。アルバムの最後にこの一番速い2ビート曲を持ってくるのも大正解だったなと思う。

-歌詞についてはどうですか。

Misaki:それこそ、これまでは隠していたようなことを歌った曲ですね。バンドに関しては何かあっても平気そうなふりをしたり強がっていたり、そうやって生きてきたから、それを一回ここで書こうと思って。

-それは強がらないとバンドをやっていけないなくらいの気持ちだったんですか。

Misaki:たぶん、そうなんでしょうね。強がってたからやれていたんだと思います。余裕だよみたいな感じで、メンバーが抜けても自分が歌えばSpecialThanksだしって表では強がっていて。でも実際は、毎回へこたれてました。

-そうですよね。

Misaki:悲しいですからね。一緒に作り上げてきて同じ目標に向かって走ってきた人たちがやめてしまうのは。

よしだ:その悲しいことを何回も何回も乗り越えてきたっていうのはすごいよね。

Misaki:(よしだも)1回経験したからね。

よしだ:前の前のメンバーが抜けたときは、俺はまだサポートだったから、でもまぁしょうがないなっていう思いだったけど、前回初めて、一緒になったメンバーが2人抜けたのは結構ね。

Misaki:くらうよね。毎回やっぱりメンバー脱退は苦しいものだし。

-そういう気持ちはこれまではあえて曲にもしてこなかった感じですか。

Misaki:しようと思ったことがなかったです。今回は、自分が成長したんですかね。私自身、こうしてバンドを続けるのがすごいことだなんて思ったことがなかったんですけど、最近、"すごいね"って言ってくれる人がいたんです。台湾でのライヴを企画してくれた子で、その子がくれたメッセージを今も待受にしているんですけど。"私も音楽とライヴが大好きなので、今日一緒にライヴをすることができたことが嬉しい。好きなものをこんなに長く続けられるのはすごいこと。だから私はMisakiさんをとても尊敬しています。自分の心に従ってやりたいことをやり続ける強いエネルギーを持っていて、たくさんの人に感動を与えられると思いますので、これからも歌い続けてください"って日本語でメッセージをくれて、すごく感動して。

-これはめちゃくちゃ嬉しいですね。

Misaki:長く続けるってすごいことなんだなと思ったら涙が出てきて。素直になれたのはそういうのが影響しているかもしれないですね。自分がやってきたこと、思っていることを素直に伝えることで、誰かのためになるのかもしれないと考えたら、もっと素直になる必要があるなって感じて、歌詞も書きました。

-それはすごく伝わってきます。パワフルだし、何よりも明るいし。

よしだ:元気いっぱいのアルバムですしね。

Misaki:「New future」とかは突き抜けすぎていて自分でもビビりました。ここまで明るいバンド、ヤバいなって(笑)。前に、スペサンの曲をカバーしてくれている人のライヴを観る機会があって、「ムーブメント」(『SUNCTUARY』収録)という曲だったんですけど、客観的に聴いたときに私の曲って、めっちゃポップで明るい曲だなとびっくりしました。自分では気付いてなかったんですけど、これがスペサンの持ち味かと気付いて、それができるバンドって少ないし、もっと突き抜けて明るい曲作ろうって思って。それで自分も元気になるんですよね。身体が重い日だってありますけど、スタジオに入って歌っていると元気になるとか。これがダークな音楽だったら、もっと疲れちゃうかもって思ったりするし。世の中にはいろんな曲があって成り立っているけど、私明るい曲担当で良かったなっていう。

よしだ:気分が落ちてる状態で暗い曲を歌い続けたらと思うとね。

Misaki:きっともっと病むよなぁって。だから良かったって、よく思ってます。

-あと、「96」という曲がありますが、この"96"はどんな意味合いなんですか。

Misaki:これは陰と陽をテーマにした曲で、自分の心と思考というか、脳と魂みたいな感じで、その2つの自分を曲にしていて。自分の心はずっと自分に対して"こっち向いて"って呼んでいるけど、現実はみんな外ばかり向いていて、自分のことをないがしろにしてしまうことがあると思うんです。心は休みたいと言ってるのに働きに行くとか。自分としても自分自身の心の声をもっと聞けるといいよなって思って生きてるから、そういうのをテーマにしようと思ったんです。

-96年とか、何かこの年に象徴的なことってあったかなと思ってました。

Misaki:(笑)陰陽マーク(太極図)だと6と9の向きだけど、それが逆を向いている、背を向けた様子を表したくて"96"だったんです。一番近くにいるのに、すごく遠いっていう。

-マインドの話だったんですね。そういうことを考える時期だったんですか。

Misaki:精神的な、目に見えない世界はずっと好きだったんですけど、年々自分と向き合う、自分を愛することみたいなワードが世の中で言われるようになってきて。自分と向き合うって意外と難しいことじゃないですか。私は落ち込みすぎたときは、自分が今何を飲みたいのかさえも分からなくなっちゃったりするし(笑)、そういう人もたくさんいると思うんです。自分が本当は何が好きなのかとか、本当に着たいものが分からないとか。自分をちゃんと生きてる人はパパっと決められると思うんですけどね。

-難しいことですよね。余計なことまで考えちゃったり、他人の目も気にしてしまったりで。

Misaki:そういうのを思い出せるようにというマインド系ソングです(笑)。

-ちなみにそのメンタルを保つ上では、この2人というバランスは良かったりするんですか。

よしだ:あぁ、それはあるかも。

Misaki:路上ライヴしていたときはめっちゃ思ったよね。どちらかがもう無理だというときも、絶対にどっちかは大丈夫だよってモードで。

よしだ:お互いにそういうのがあったから、あのときの支え合いはすごかったな(笑)。

-まずこれだけ長くバンドをやってきて今路上ライヴやろうって、かなり勇気がいることですからね。

Misaki:それこそプライドがあるし見え方も気にしちゃうじゃないですか。でもまだまだ知らないスペサンファンがいると思うんです。これからファンになる人がいるかもしれないって考えたら、そういう人に自分たちから出会いに行かなきゃって思ってやっていたので。YouTubeをやったのもそうだし、たくさんの人に聴いてほしいので、できることはなんでもやりたいんです。"スペサン広め隊"として。

よしだ:その1号、2号としてね(笑)。3号以降は募集中っていうことで。