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INTERVIEW

Japanese

WOMCADOLE

2021年07月号掲載

WOMCADOLE

メンバー:マツムラユウスケ(Gt/Cho) 黒野 滉大(Ba) 安田 吉希(Dr/Cho)

インタビュアー:秦 理絵

ロック・バンドとしての気骨を全力でぶつけた前作『共鳴howRING』から一転、ノベル・コンセプトアルバムの第2弾となった『旅鴉の鳴き声』は、大切にするものの在り処を過去の中に探し求めるようなノスタルジックな1枚になった。"変化、薄明、旅鴉"というキーワードをもとに制作されたという全6曲は、メロディと言葉、アレンジが研ぎ澄まされ、どこまでも自由に音楽を謳歌するWOMCADOLEに出会える1枚だ。なお取材日は、樋口侑希が体調不良で欠席だったため、マツムラユウスケ、黒野滉大、安田吉希の3人に話を訊いた。メイン・ソングライターである樋口の楽曲に対して、それぞれのメンバーがどんなふうに向き合うのかを知る新鮮なインタビューになったと思う。


「ペングイン」は、樋口がメンバーにデモを送ってくれたときに、 "ここまで自分でも泣ける曲がスッとできたのは久しぶりや"って書いてあって


-前作『共鳴howRING』(2021年1月リリースのノベル・コンセプトアルバム)とは、かなり作風が変わりましたね。

マツムラ:僕は、結果的にこうなったなと思ってるんですよね。全体が完成してみたら、あったかい感じとか、なぜか懐かしい感じがすごくあって。それがいいなと思いました。『共鳴howRING』みたいな作品も好きですけど、"あ、こっちの振り幅にもいけるな"って。まさか『共鳴howRING』からこっちにいく? みたいな感じですよね。

-黒野さんはTwitterで"ホンマに同じバンドか!?"って書いてましたね。

黒野:サウンドもアートワークも全然違いますからね。同じノベル・コンセプトアルバムのはずやのに、こんな別ものになるとはって完成してから気づきました。

マツムラ:思い返したら、『共鳴howRING』も、あんなエゲつない感じになると思ってなかったしな。

安田:だいたいそうなんだよね。

マツムラ:できあがって聴くと、すごいことになってる。

安田:その都度、その都度、自分らで、"これやりたい"って思うものを出していくので。前回の『共鳴howRING』は、自分らがインパクトの強い曲をやりたいモードやったんやな、ぐらいの感覚なんです。今回は、樋口(侑希/Vo/Gt)の歌詞から等身大の自分が出てるのを見て、それがアンサンブルにも影響されてて。それは意図的にそうしたというよりは、"あ、自分らは今こういうモードやったんや"って感じなんです。

『共鳴howRING』のインタビュー(※2021年2月号掲載)のときに、"今回で完結するんじゃなくて、次回作で本当の意味を知れる"と言っていたんですね。で、今作を聴いてみると、たしかにサウンドはガラッと変わったけど、繋がりを感じる部分もあって。

安田:そうですね。『共鳴howRING』はノベル・コンセプトアルバムっていう大筋があって。樋口の中で1本小説を作って、それに対する詞と曲を作るっていうのがおおもとにあったんですけど、まだ完結してなかったんですよね。そこからすぐに"もう1枚出したいね"っていう話になって、作った曲を共有していって。で、まとめましょうってなったときに、その小説のコンセプトに近いものを選んで、作品を作っていった感じです。

-じゃあ、『共鳴howRING』を作っていたときには、次回作がどうなるか、完全に見えていたわけじゃなかったんですね。

安田:僕は、そうですね。『共鳴howRING』の制作時間と被ってる曲もありつつ、今回のレコーディングのギリギリにできた曲もあるんです。タイトルの"旅鴉の鳴き声"っていうのも、最後に樋口が付けて、その理由を共有してっていう感じでした。

黒野:だいたい、樋口は最後にアルバムの意味を言ってくれるんです。

-タイトルには、どんな意味が込められているんですか?

安田:"旅鴉"っていうのは、寝床を持ってない旅人の意味です。"鳴き声"は、自分たちが鳴らしてる音ですよね。「ペングイン」っていう曲の歌詞でも、"無限の旅人"っていうようなことを歌ってますけど、俺たちは自由にやっていきたい。そういう集まりの俺らが作った1枚やから、こういうタイトルにしたんやっていうのを樋口から聞いて、"たしかにな"と思いました。自分たちは自由にバンドをやっていきたいみたいなのがぼんやりと根底にあったので。それを樋口がタイトルにしてくれた感覚がありましたね。

-たしかに今作はすごく自由で、バンドを組んだときに大切にしたかった初期衝動みたいなものを感じるんですよね。それはサウンドというよりも、精神的な意味なんですけど。

安田:あー、そうですね。僕も、今回の作品を作ってみて、初めて流通をかけた頃の......もちろんそれとは全然違うものなんですけど、近い匂いを感じたところはありますね。

-資料によると、今作は"変化、薄明、旅鴉"というテーマのもとで制作したそうですね。

安田:樋口の中にそういうものがあったんだと思います。特にそれが出てるのが「ペングイン」で。樋口がメンバーにデモを送ってくれたときに、"ここまで自分でも泣ける曲がスッとできたのは久しぶりや"って書いてあって。樋口の中でも、何かしら変化があったのかなっていうのは思いましたね。

-歌詞を見ると、「ペングイン」はすごく素直に書けたんだろうなと思います。"またチャイムの下で踊りたいな"とか。

安田:そうですね、それは樋口も言ってました。

黒野:「ペングイン」ができて、いろいろ気づいたってね。

-アルバム制作の中で「ペングイン」は最初のほうにできた曲だったんですか?

安田:いや、中盤ぐらいかな。

マツムラ:『共鳴howRING』のツアーの名古屋のときに、樋口が感化されて作ったんですよ。で、大阪のときはもうやってた。

黒野:そやな。

安田:あ、そうやっけか。俺、「紫陽花」ができて、それが自分の曲やから、"よっしゃ、ええのできた。これ、リードにしてほしいな"みたいなんを心の中で思ってたけど、そのあとで樋口が「ペングイン」を作ってきて、むむ......ってなった記憶がある。

-マツムラさん、黒野さんは「ペングイン」のデモを聴いたときはどう思ったんですか?

マツムラ:あ、そういうのも書けんねやって感じでしたね。すごい明るいコードワークなんですよ。それでいてA面っぽい曲って、今までのウォンカ(WOMCADOLE)になかった。むしろマイナー調のイメージが強いじゃないですか。そういう意味では真逆だったけど、1回聴いて、メロディを覚えられる強い曲やなって思いました。

黒野:まず、"ペングイン"っていうタイトルが好きすぎて。

-"ペングイン"って、動物のペンギンのこと?

黒野:そうです。サメとかシャチじゃなくて、ペンギンっていうのがいいなって。

安田:サメとかシャチをタイトルに付けるバンドちゃうやろ(笑)。

-WOMCADOLEって、もしかしたら一般的にはサメとかシャチ側のイメージだと思うんですよ。強そうというか。でも、樋口さんが本当に素直に心を剥き出しにしたときに、実はペンギンだったっていうのは、腑に落ちる部分もあるんですよね。

安田:自分らのことをシャチって言えん人間やもんな。

黒野:ひょっろひょろやしな。

マツムラ:シャチやとしても底辺やろな。大きめのシャチが来たら逃げるっていう。

安田:うん。僕らはそんなに強くないんですよ。ペンギンって群れて行動してるじゃないですか。そういうのも自分らと重なるのかなって。飛べへんし。シャチに襲われるし。

マツムラ:でも、ペンギンって海に仲間を突き落とすらしいで。

安田:マジ!? とんでもねぇやん。

マツムラ:やめとこう、この話は(笑)。