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INTERVIEW

Japanese

WOMCADOLE

2017年09月号掲載

WOMCADOLE

Member:樋口 侑希(Vo/Gt) 古澤 徳之(Gt/Cho) 黒野 滉大(Ba) 安田 吉希(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

今年1月にリリースされた2ndミニ・アルバム『15cmの行方』が"覚醒"なら、今作『アオキハルヘ』は"飛翔と衝撃"である。昨年7月に現在の編成になり、ライヴとリリースを繰り返すごとに意志や感情を剥き出しにしている滋賀出身の4ピース・バンド WOMCADOLEによる4曲入りシングルは、メンバー全員の胸の内にある温度が爆発する楽曲が揃った。フロントマン/ソングライターの樋口侑希は、ライヴを重ねて歌を届ける相手を本当の意味で認識できたことでさらに裸になれたという。現在進行形で体力を上げ続けている彼らの現在を探る。

-2ndミニ・アルバム『15cmの行方』をリリースなさってから、さらに追い風が吹いているのでは。リリース・ツアーも大盛況でした。

樋口:『15cmの行方』を出したあとは、小説どころか辞書みたいな厚みの日々でした。もりごっつい!

安田&古澤:"もりごっつい"!?

古澤:初めて聞いたわ、その言葉。

安田:でもまぁ、もりごっつい期間やったな。黒野が2016年7月に加入して活動再開して、会場限定シングル『ワンダー/オモチャの兵隊』を出して、『15cmの行方』を出して――樋口の歌詞もメンバーのメンタルも厚みが増しました。筋肉がついたというか、パンチ力が上がった。

古澤:メンタル的にはこれまでどおりなんですけど、『15cmの行方』を出して以降、1本1本のライヴの意味に対してより考えるようになりました。このライヴではこういうセットリストを組もう、こういう構成にしよう......と考えてたら厚みが増していったのかな。メンバー全員が前よりもバンドと向き合うようになった。そういう意味でも、もりごっつい(笑)。

黒野:僕はあれだけがっつりしたツアーを回ったのは人生で初めてやったんで、いろいろ新しい経験もできて、もりごっつくなりました(笑)。5月の下北沢SHELTERのワンマン(※5月7日の"俺らは生きているんだツアー"追加公演)は、床がびしょびしょになるくらいの熱さで。

安田:ほんまあれやばかったな。灼熱やったわ。上裸キャラは俺だけやったのに、僕が脱ぎだしたら前3人も脱ぎだして(笑)。画がすごかった。

-活動休止をする前のWOMCADOLEの楽曲は音楽愛や先人へのリスペクトが強い印象があったんですけど、活動再開してからのWOMCADOLEは"覚醒したな"と思ったんですよね。息苦しさも何もかも、自分たちの正直な気持ちを音にも言葉にも落とし込めたことで、メロディにもサウンドにもオリジナリティが芽生えたのではないかと。

樋口:ありがとうございます。今回のシングルの「繭」は、いま言うてくれはった"覚醒"前の俺というか。そのときの俺はほんま繭の中に閉じこもってるような感じやったんです。でも『15cmの行方』を出したあとは、その糸というか殻というか、そういうものが全部取れた感じがして。だからいまは蝶々っすね! 私は蝶!

古澤&安田&黒野:......(笑)。

樋口:俺が喋ったらしらけるっていうのが定番なんです(笑)。

-わかりました(笑)。「繭」はなぜエレキ弾き語りに?

樋口:もともとエレキ弾き語りのつもりで作ったんですけど、"バンドで出す曲やし"と思って一度バンドで合わせてみたんです。でもどうしても人のリズムでは歌えへん歌詞やったんですよ。それで"ひとりでやらしてくれ"とメンバーに言って、もともと俺の中にあった「繭」の理想形――ディストーションめっちゃ踏んでガリッゴリにした弾き語りにしました。糸をバァーッて噴射してる感あって気に入ってます(笑)。

-(笑)『アオキハルヘ』の4曲は、その"繭"を破って"蝶"になれたからできた曲たちなのかなと思いました。嘆く、吠えるだけではない、こちらに飛んでくるというか噛みつくくらいの力がある曲たちだと感じて。

樋口:全部『15cmの行方』のあとに書いた曲で、ありのままの自分を出しました。いままでも裸で書いていたつもりやったけど、まだパンツをはいてる状態やったんですよね。でも、今回でようやくフルチンになれたなと思うんです。

-そこまで裸になれた決め手は?

樋口:黒野滉大加入ですね。俺にとってすごくでかい出来事で。こいつ(黒野)、自分のことを"WOMCADOLEの空気清浄機"と言うんですけど――

黒野:言うてへんわ(笑)。お前が言いだしたんやないか(笑)。

樋口:(笑)最近いい感じにきれいなことを言うだけのキャラじゃなくなってきて、汚してきよるんですよ。それがすごくいいんです。そういうのが影響していると思う。

黒野:このバンドに入って汚い言葉を結構覚えたので(笑)、WOMCADOLEに染まっていってるというか、混ざっていけてるのかなとは思っていて。

安田:黒野は最初のころなんて全然そんなん言わんかったし、何か言われたらすぐ萎縮して謝ったりしとったのに、最近は樋口に結構ツッコんだりウザめの絡みしたりするもんな(笑)。"いまの4人やからこの4曲が揃った"感はすごくあるなと思います。全曲まったく違う方向に振り切れた曲になって、それでもひとつ筋が通っているのは、メンバー全員がお互いのことを信頼していて、お互いのやることに"それいいんじゃない?"と思えるからやと思う。樋口が「繭」を"エレキ弾き語りで入れたい"と言って、あとの3人は本心で"いいと思うよ"と言えるバンドなんです。それは『ワンダー/オモチャの兵隊』と『15cmの行方』を経て培われたものやと思うんですよね。

古澤:WOMCADOLEは僕と樋口が電車でたまたま再会したところから始まって。何もわかっていないところから活動をしていくなかで、あらゆるところでいろんな人から"バンドはこうあるべき"とか"バンドマンはこうだ"と言われ続けてきたんですよね。それで僕らもわからなくなってきちゃって、自分がなくなっていくような感じになって。でも、曲を作ってライヴをして、曲を作ってレコーディングして、ライヴして......と繰り返していくなかで、徐々にドラクエみたいにこいつら(安田、黒野)が集まってきて。この4人が揃ったことで、自分たちがどうあるべきか、自分たちはどこに向かっていくべきかが各々ちゃんとクリアに見えるようになった。各々に"どうなりたいか"というのはあると思うんですけど、ひと皮剥けるというよりは全部剥けちゃった感じのシングルになりました。