Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

WOMCADOLE

2017年01月号掲載

WOMCADOLE

Member:樋口 侑希(Vo/Gt) 古澤 徳之(Gt/Cho) 黒野 滉大(Ba) 安田 吉希(Dr)

Interviewer:松井 恵梨菜

2015年12月に突如、メンバーの脱退と活動休止を発表。約半年間の沈黙を経て、2016年7月に新ベーシストとして黒野滉大を迎え、滋賀の4ピース・バンド WOMCADOLEは再び歩き始めた。そんな今の彼らが生み出す音楽は、バンドが最も大事にしている"歌"を担う、樋口侑希の心臓がかつてないほど強く鼓動しているのがわかる。それを包み隠さず伝えるのが、活動休止から再開後までの彼らを刻んだ2ndミニ・アルバム『15cmの行方』だ。全8曲で辿る、ひとつの物語。もう止まらないと固く誓う"滋賀のスーパー・ロック・バンド"の未来に、頼もしさを感じずにはいられない。

-活動休止に関しては様々な思いを抱えていたかと思いますが、活動再開一発目のライヴ(※2016年7月10日の新宿LOFT公演)の感想はいかがでしたか?

樋口:純粋に、最高でしたね。超久しぶりにステージに立って、みんなの前で歌えてみんなとロックできて、楽しすぎて震えが止まらなかったです。活動休止中もいっぱい曲を作ってたんですけど、発表する場がなくて。自分の中にもお客さんの中にもモヤモヤがピークまで溜まった状態でライヴをして、一瞬でそれが消える感じがありました。休止前のライヴより、お客さんひとりひとりの顔も鮮明に見えたんですよ。

古澤:一発目のライヴは急に決まったんですけど、SEが鳴った瞬間にいろんなものがフラッシュバックしてきて。バンドとしてはまだまだでも、気持ち的な面でひとつ上に行けたのかなっていう感覚がありました。

安田:活動再開を発表した瞬間はメンバー全員と、地元でお世話になっているスタジオの店長さんの5人で飲みに行ったんですよ。その店長さんに、ベースの黒野が"お前はWOMCADOLEのメンバーとしてやっていく覚悟があんのけー!?"って言われて。

黒野:僕が泣くという。

-そんなことが(笑)。お話しできる範囲で構わないのですが、そもそも活動休止に踏み切った一番の理由はなんだったのでしょうか?

古澤:脱退したベースとは、目指すベクトルが違ったのが大きいと思います。みんな、WOMCADOLEではヴォーカルを一番大事にして、それに乗っかるような形で音楽をしていきたいっていう考え方やったんですけど、彼は自分が前に出たいっていう気持ちが強すぎたのかなって思います。そういうところで僕らとの差が生まれたときに、あまりいい空気にならなかったんですね。だから、一緒にやっていくには難しいなっていう判断をそこで下して、バンドも活動休止せざるを得ませんでした。そのまま活動してたら、間違いなく解散していたであろう状態のバンドだったんですよ。1回立ち止まって、いろんな人に迷惑をかけて、それでも止まらなければいけなかった理由が、当時のWOMCADOLEにはあったというか。気持ち的な面で真新しい状態にしないと、言われたことを素直に受け止められない自分がいたんですね。

安田:メンバー個々でいろいろ思うところがあっただろうし、僕自身も正直、バンドをどうしようかなという気持ちもあったんです。それでメンバー同士で話し合って、お互いの気持ちを再確認するような感じでした。

-そうやってメンバー各々がこのバンドと向き合ったなかで、気づいたことなどはありましたか?

安田:やっぱり樋口の歌は最強やなと思いました。

樋口:ですね。

-ご自分で(笑)。具体的にはどのように過ごしていたんですか?

古澤:週4、5くらいでメンバーと会ってました。そこで発見があったり、お互いの良いところや悪いところもより考えられるようになりましたね。思っていることを言えない環境が嫌で、メンバーのことを思い合えるような関係性を作ってから前に進みたいという気持ちがあったので、焦ってはダメだと思って。休止期間は延ばすことも縮めることもできたんですけど、"これならいける"という準備が整ったタイミングが7月だったんです。

安田:活動休止する前よりも再開したあとの方が、何倍もかっこよくなっていないといけないという使命感があったんですよ。でないと、待ってくれてるお客さんに対して失礼というか。だからメンバー4人で集まってちゃんと意見を言い合って、前よりもぶちかませるように準備していた感じです。

樋口:でも、休止中はとにかく情緒不安定でした。てっぺんにはひとつ目指すものがあるんですけど、そこに向かうまでの道はぐちゃぐちゃでしたね。好きなアーティストの音楽を聴いても、何も響かんくて。俺の中には、いくら好きでも他のアーティストには埋められない部分があったんです。それで隙間を、パズルを埋めるように、こういう歌が聴きたいなっていう気持ちで作った曲がたくさんできました。

-それで生まれた曲が、会場限定シングル『ワンダー/オモチャの兵隊』(2016年7月リリース)や、今作『15cmの行方』に収録されているわけですね。活動休止前と、再開後とでは楽曲にこもっているエネルギーが全然違うなと感じました。再開一発目に出す音源として、会場限定シングルに込めた思いはどんなものだったのでしょうか?

樋口:お客さんにライヴに来てもらって、一緒にロックしたときのエネルギーを思い切り閉じ込めたのがあの会場限定シングルなんですよ。それを肌で感じた人に手に取ってもらいたかったから、会場限定にしました。俺らが伝えに行くから、それ以上のものが欲しければ買ってくれ、というか。

安田:曲を渡されて歌詞を読んだときに、メンバーから見ても、いい意味で前とは伝えたいことが変わっているなと思いました。力強さがこもってて、すごく前向きやなと。活動休止して、いろいろな噂話もされたんですけど、この曲を聴いてもらえたら一発で全部まっすぐに伝わるやろうなと。

-歌詞にもわかりやすく書かれていますよね。特に、「オモチャの兵隊」で樋口さんが叫び続けるところがあるじゃないですか。"もう少しだけ 生きていてください"って。そこが本当にグッときました。

樋口:あそこは俺も歌いながら......たまに自分でもあるんですよ、歌いながら"ああーっ!!"っていうのが。

古澤:一言一句、すべて素直な言葉ですね。