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INTERVIEW

Japanese

kobore

2020年08月号掲載

kobore

メンバー:佐藤 赳(Gt/Vo) 田中 そら(Ba)

インタビュアー:岡部 瑞希

8月5日にメジャー・デビュー・アルバムをリリースするkobore。まっすぐで屈託のない佐藤 赳の歌声を軸に、キャッチーなメロディと繊細な歌詞の描写を織り交ぜた楽曲が、多くのギター・ロック・ファンの心を掴む東京 府中発の4ピース・バンドだ。2015年の結成から、破竹の勢いでメジャー・デビューへとたどり着いた印象の彼らだが、その実は年間100本以上のライヴを重ね、密度の高い日々を過ごしてきた。脇目も振らず全力疾走を続けた5年間の結晶として、そしてインディーズ史の完結的な意味も込められた2ndフル・アルバム『風景になって』について佐藤 赳と田中そらに訊いた。

-年間100本以上のライヴをこなすkoboreですが、新型コロナウイルスによる自粛期間中はどんなふうに過ごしましたか?

佐藤:動画をずっと観てましたね。最初は"(コロナに)罹るわけないっしょ!"って思ってたんですけど、街の状況とかもテレビで映し出されるんで段々恐怖心が強まってきて、"これさすがに外出れないかな"ってマインドになって。1日中ひたすら動画を観て、曲を作るときにメンバーとリモートで話すくらいで、完全にステイホームしてました。

-思いがけずまとまった時間ができたとも思いますが、普段だったらやらないことに取り組んだりはしましたか?

佐藤:漬物を作りました(笑)。"ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!"で何を漬けたら美味しいかって企画があって、最終的に美味しかった人が勝ちなんですけど、試しにタピオカも漬けたりするんです。それを見て僕漬物大好きなので、自粛期間中はずっと漬物の研究をしてました。きゅうりのぬか漬けと浅漬けの違いとか、自由研究みたいに。

-佐藤さんの研究結果的には何が美味しかったですか?

佐藤:僕的には浅漬けはセロリ、ぬか漬けはオクラが一番美味しかったです!

-佐藤さんとしては、結構リフレッシュの期間になったみたいですね。

佐藤:そうですね。なんかいい意味で自分と向き合える時間だったのかなと思います。ライヴがなくなったらどうなるんだろうとか、改めてバンドがなかったら俺って何もなくなっちゃうんだなって知れた、いい期間でした。

-お話を聞いている限りだと楽しそうではありながらも、やっぱりライヴがないのは物足りないですよね。

佐藤:ホントにそうでした。漬物もやってるときは楽しいんですけど、ふとスケジュールを見て"ああ、今日ホントは香川県にいたんだな"と思うと落ち込みもしましたね。

-田中さんはどんなふうに過ごしましたか?

田中:生活の一部と化していたライヴがなくなって、最初の数日は結構落ち込みましたね。それで、赳みたいに"自分と向き合う"みたいなこともしたんですけど、僕自分と向き合うとどんどん落ちて、"将来結婚できるのかなー"とか余計なことまで考え始めちゃうタイプなんで(苦笑)。その邪念を振り払うためじゃないですけど、時間がたっぷりあることをチャンスだと捉えて、とにかく楽器の練習とアルバムの制作をしましたね。ちょうどレコーディング前だったので、今までやってこなかったチャレンジのひとつとして、パソコンやスマホを使って自分のベースの音を録ってメンバーと共有したりして。今までkoboreは、スタジオで4人が集まって話し合って曲を作るのが主流だったんですけど、いつもと違ったことをして、制作的な意味ではいい自粛期間にできたのかなと思っています。

-普段の手法がとれないなかでの制作はいかがでしたか?

佐藤:意外とできちゃった......って感じでしたね。

-フラストレーションが溜まることはなかったですか?

佐藤:今までの曲作りは常にスタジオを7~8時間押さえて、"何曲できるまで帰れない!"ぐらいの勢いでやっていたので、それを思うと1曲思いついたときにみんなにすぐ言えないとか、画面越しだから心情が読み取れないってことはありましたけど、意外と行けちゃうなって感覚でしたね。

-リズム隊に関しては、先ほどのベースを録音してみたお話などを踏まえると、今までより分析的な作り方になったのではないですか?

田中:より細かいところの共有はしやすくなりましたね。こういうことがなかったら、今までどおり集まって作っていたと思うんですけど、ドラム(伊藤克起)はひとりでスタジオに行って自分の音を録ったり、安藤(太一/Gt/Cho)だったら自前の機材で自分の音を録って"この音色はどうか?"って他の3人に聴かせたり。そうやって音を共有することによって、細かいところまで話し合うっていうのは、今までの制作の中で一番できたんじゃないかなと思いますね。

佐藤:ゆくゆくはリモートが最前線になって、集まって曲を作るのは古くなっていくのかもしれないですね。リモートで制作なんて絶対できないと思ってたのに、できちゃったし......。ただ、できちゃったからといって"これから毎回これでよくね? わざわざスタジオに集まらなくてよくね?"ってみんながならなかったのは良かったですね。できちゃったけど、"やっぱり一緒にスタジオに入ることに意味があるね"って話ができたのはいい機会でもあったかな。

-今後、世の中の音楽制作の主流が変化するのかはまだわからないですが、koboreのスタンスとしては全員が同じ気持ちを持っていると図らずも再確認できたわけですね。

佐藤:はい、そこだけは変えずに行きたいなと思ってます。

-楽曲についてお聞きしていきたいと思います。すでにMVも公開されている1曲目「FULLTEN」ですが、"メジャー インディー 売れる 売れない/んなもんに左右される音楽なら/最初からいらない 左右されるつもりもない"って、こんなにはっきり決意表明をぶち込んだ曲がメジャー・デビュー盤のオープニングなんて、ファンとしてはもうめちゃくちゃ頼もしいと思うんですよ。ここまでストレートな歌詞にしたこと、そして1曲目に持ってきたこと、その想いを聞きたいです。

佐藤:なんか、"メジャーに行ったら変わる"っていろんな人から聞くけど、"何が変わるんだろう? たぶん変わんないと思うよ"ってずっと思ってたんですよ。で、今が実際にメジャーに入りたてなんですけど、変わったことは関わる人が増えたぐらいで、やっぱりkobore自体は変わってない。僕らはメジャーからインディーに落ちないために歌ってるんじゃなくて、koboreがkoboreであり続けるために歌ってるんだから、昔から聴いてくれてるお客さんでも、今から聴いてくれるお客さんでも、誰が聴いても"あぁ、これがkoboreだな"って思ってもらえるように、ストレートに一発、手短に話そうと思った曲です。

-"インディーに落ちないために歌ってるんじゃない"って、ある意味当たり前のことかもしれないですが、改めて言葉にするとグッときますね。

佐藤:そう思われちゃったらkoboreじゃないと思うんですけど、音楽をやってるんだからわざわざ口で言う必要はなくて、表現者として"まず聴いてもらいたい曲があるんだ"って勢いの1曲目ですね。

-音楽で会話しようというバンドの心意気、素敵ですね。歌詞を書いたのは佐藤さんですが、メンバーさん的にはどう感じましたか?

田中:いやもう、すごい決意表明だなと。こういう歌詞をアルバムの最初に置くっていうのは、今の時代いないんじゃないかと思いました。最初は"すごいこと言うなぁ......"って思ったんですけど、今となっては単純に気持ちいいですよね。リスナーも僕たちも、新しいスタートダッシュの1曲目にこれがあるのは。ライヴでやるのが楽しみです。

-そんなバンドのスタンスをバシッと表明した1曲目から、2曲目「るるりらり」はタイトル的にも真新しく、かなりポップに振ったなぁと思いました。

佐藤:「FULLTEN」はプロローグで、改めて「るるりらり」が1曲目って感覚で僕は作っています。実は「FULLTEN」より「るるりらり」のほうが音量も大きくて、「FULLTEN」を切り裂いてようやく新生koboreが出てくるイメージなんですよ。速すぎず遅すぎず、ミドル・テンポのままキャッチーで突き進んでいく感じも"らしい"し、かなりkobore節を詰め込んだ1曲です。Aメロ、Bメロ、サビみたいな定番の構成も封印して、Aメロを聴かせて、最後にサビがドーンと来るのはチャレンジだったりして、キャッチーさも歌詞の繊細さも、いろいろと詰め込めた1曲かなと思ってますね。

-新生koboreの顔になるような1曲なんですね。

佐藤:もう、まさにそうです。koboreの場合、1曲目は短めの曲がバーンと来るってお客さんもわかってるだろうから、2曲目からどう勝負を仕掛けていくかでアルバムの聴き方が変わってくるんじゃないかと思って、そんな繋がりを意識して「るるりらり」を2曲目にしました。