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INTERVIEW

Japanese

kobore

2019年01月号掲載

kobore

メンバー:佐藤 赳(Gt/Vo) 安藤 太一(Gt/Cho) 田中 そら(Ba) 伊藤 克起(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

東京府中発の4ピース koboreが、前作から約8ヶ月というインターバルで1stフル・アルバム『零になって』を完成させた。収録された10曲のうち3曲は過去にリリースされた3作品から1曲ずつピックアップされたもので、残りの7曲は53本にわたる全国ツアー中に制作されたものだという。これまでのkoboreの特徴のひとつであった、まっすぐで熱量の高いギター・ロックだけでなく、新しい側面が見える楽曲も多数収録。伸び盛りのバンドを体感できる今作についてメンバー全員に訊く。


自分が聴いてきた音楽、やりたいと思っていることを自然な流れで曲に反映させて、自分らしさを詰め込めたら


『ヨル ヲ ムカエニ』(2018年5月リリースの2ndミニ・アルバム)をリリースしてからおよそ8ヶ月でフル・アルバムを完成させたことに驚きました。この期間には53本の全国ツアー"爆音を鳴らせTOUR 2018"も回ってらっしゃいましたよね。

佐藤:過去にリリースした3曲以外は全部そのツアー中に曲作りをしました。合間合間で1日中スタジオにこもって、でき次第メンバーに送りつける......ということをひたすら無心で繰り返して。今思っていることや、ツアー・スケジュールを見ながら"この日のライヴはこうだったな"と思い浮かべたり、鼻歌を歌ってみたり、ただただアコギを鳴らしてみたりして曲を書いてましたね。

-ツアーの経験が曲に反映されたのは、意識的なことではなかったと。

佐藤:全然そんなことなくて。そしたらツアーの曲しかできなくなっちゃう。そういう意味でもいったん無心になって"どんな曲が欲しいのかな? どんな曲が書きたいんだろう?"ということをずっとスタジオでひとりで考えて......ツアー中に曲作りをすることで、やっぱり自分は普段考えてることや経験したことしか歌詞にできないんだなと思いました。だから全然覚えてないんですよ、どんなふうに曲ができあがったのか。ものすごく追い詰められた状況で作りました(笑)。それゆえの1枚なのかなって気もしてます。

-3部作と言っていた過去作3枚(2016年リリースのデモ音源『ヨルノカタスミ』、2017年リリースの1stミニ・アルバム『アケユク ヨル ニ』、『ヨル ヲ ムカエニ』)から1曲ずつ収録するとなると、そういう作り方が一番合っていたかもしれませんね。さらにkoboreの地盤を固める作品になったのではないかと。

佐藤:3部作で完結してるのに3部作の曲をアルバムに入れるからどんな新曲を作ろう!? と思ってたんです(笑)。そういう意味でもタイトルが"零になって"なんですよね。ツアーも終わって、ゼロに戻って。"零"は訓読みだと"こぼれる"なので、言葉遊び的にも面白いかなって。

-佐藤さんがそんな状況下で作ったデモが送られてきて、楽器隊のメンバーさんはどう思われましたか?

田中:「スーパーソニック」が届いたときにめっちゃダサいなと思いました(笑)。でも楽しい曲だし、新しい感じがしたからやりたくて。

佐藤:"ダセぇ曲ができた"って言って送りつけたんです(笑)。四国を回っていたあたりにできた曲なので、松山のライヴハウスを使わせてもらってバンドで合わせたときも"このダサさでマジで大丈夫? ほんとにこれでいく?"って感じだったんですけど、そらが"このダサさがいい!"みたいな感じになって、紙に"こんな曲にしたい"みたいなのをめちゃくちゃ書き出したんです。

伊藤:そらは"言葉では伝えられないから"と言って展開とかを全部紙に書いて。この曲に対する意気込みがすごかった(笑)。

田中:紙に書かないと伝えられないくらいすごく疲れてたんだよ(笑)。

-佐藤さんも"ダサい"と思いながらボツにせず送ったということは、可能性を感じていたということですよね?

佐藤:最初は迷いましたよ。ダセぇけどできちゃったし、メロディだけでなく歌詞もわりといいからしょうがねぇな......って。でもバンドで育てればすげぇかっこ良くなるかもしれない、メンバーがなんとかしてくれるだろう、という可能性に賭けたら、めっちゃ良くなった。いい感じにダサかっこいい曲ができたなと思いますね。展開もアレンジもみんなで組み上げた感じがするから、作るのも楽しかった。

-ギターとドラムも空気作りができていると思いますし。

伊藤:これはこのアルバム全体に言えることなんですけど、今までは結構細かいフレーズを突っ込みがちだったところを、今回はあんまりごちゃごちゃしたことはしたくないなと思って。

佐藤:うん。かっちゃん(伊藤)は結構シンプルに収まったよね。

伊藤:自分としてもドラムに変化をつけたいなと思ったんです。細かいフレーズを叩くのもいいけど、どっしりしたビートで聴かせるアプローチもできたらいいなと思って――「スーパーソニック」はその筆頭という気がしてます。ギターやベースをもっと前に出すドラムをやってみたくて。俺すっごい自己中だったんですけど(笑)、ちょっと周りを見るようになりました。ツアー中にいろんなバンドさんを観て"あのバンドのああいうところはすごいな"とか"なんであんなにいいんだろう?"と考えた結果、ヴォーカルとの向き合い方は大事だなと思ったんです。やっぱりこのバンドは歌モノだし、そこを考えてなんぼだなと。

安藤:今回は赳がギター・フレーズをしっかり作ってきてたので、曲のノリのニュアンスをめちゃくちゃ考えました。赳はカタカナのタイトルをサビ頭で歌うことが今までほとんどなかったんですけど、「ティーンエイジグラフィティー」とか「スーパーソニック」はそういう曲だったからすげぇ面白いなと思って。そこに歌を邪魔しないギターをどういうニュアンスで入れようか......というのをすごく考えました。

-OASISを筆頭に、"スーパーソニック"という言葉を掲げた曲を作るバンドは多いですよね。

佐藤:もともと好きな言葉だったんですよね。いろんな意味があるみたいですけど、僕らにとってのスーパーソニックは"時間"でした。ライヴもバンド活動もスーパーソニック=超高速で過ぎていく。あっという間だった。あんなに多かったツアーもあっという間だったし......その気持ちを書きたいなと思ったんです。切ない歌詞でありながらサビはスーパー・ポップ、みたいな感じになりました。紛れもなく"作曲はkobore"という曲ですね。

-「スーパーソニック」含め、新曲はコード感が豊かになったと思います。

佐藤:ツアー中の楽屋で、玉置浩二さんとか大御所さんのコード進行表を見たりしてたんです。それが結構面白くて。そういうのが影響してると思います。

-佐藤さんとしてもご自分の作る曲に新しい要素を取り入れたかった?

佐藤:いや、"新しいことをしてやろう!"という意識で曲作りはしたくなかったんです。聴く曲や気に入る曲は、年齢を重ねるごとに変わってくるじゃないですか。そういうナチュラルな流れで自分の歌う歌詞が変わっていくのがいいのかなと思ってるところがあるんですよね。"今それが歌いたいから歌う"という感覚で曲を作っていきたい。新しいことをしようとして書いたものが自分に合わなかったらペラくなるし、だったら自分が聴いてきた音楽、やりたいと思っていることを自然な流れで曲に反映させて、自分らしさを詰め込めたらなと思うんです。