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LIVE REPORT

Japanese

kobore

Skream! マガジン 2021年05月号掲載

2021.03.27 @渋谷TSUTAYA O-EAST

Reported by 三木 あゆみ Photo by Akira"TERU"Sugihara

kobore初のワンマン・ツアー"HARU ICHIBAN TOUR 2021"ファイナル公演は、「声」という曲から始まった。"この声があなたに届くように歌ってるんだよ"――そう真摯に伝えるこの曲は、2016年にリリースされたデモCDに収録されているバンド初期の楽曲。ライヴではしばらく披露されていなかったこの曲を受け取った瞬間、今日はバンドにとってもファンにとっても意義深く、大事な夜になるだろうと予感した。

2015年結成、昨年2020年8月にはメジャー・デビューを果たし、バンドとして着実に歩みを進めているkobore。このツアーでは、バンドの楽曲が増えてきたことで、披露する機会が少なくなっていたという楽曲たちが多く演奏された。メジャー・デビュー・アルバム『風景になって』でも"koboreの根本は変わらない"という意志のようなものが感じられたが、今の彼らが奏でる懐かしい楽曲たちを聴いて、改めてそれを再確認することができた気がした。

1曲目「声」を情感たっぷりに届けたあとは、「ボクタチノアシタ」から希望と活気に溢れたパートへ。「ティーンエイジグラフィティー」では、サビで一気にフロアの手が挙がるのが気持ちいい。そのまま、カラフルな照明の中、メンバーの笑顔もはじけた「スーパーソニック」、ドラム・ソロを挟んで「ローカルから革命を」と続け、バンドと観客のグルーヴがぐんぐんと高まっていく。この日koboreを観ていて感じたのは、曲そのものが持つパワーが4人の演奏によってよりダイレクトに、強さを増して迫ってきたこと。ライヴが進んでいくにつれて、それがさらに肥大化していくのが凄まじかった。

サビでの煌びやかなギターと思わず感情移入してしまう歌が胸に刺さる「涙のあと」、浮遊感のあるサウンドから夜の匂いがする「ナイトワンダー」では、楽曲が描く風景の中に入り込んでしまったかのような感覚に陥る。景色を彩る安藤太一のギター、堅実でしっかりと底を支える田中そらのベース、緻密でありダイナミックでもある鮮やかな伊藤克起のドラム、そして想いのひとつひとつを大事に紡ぐ、まっすぐな佐藤 赳の歌声。4人が鳴らす音が、聴く者をどんどん引き込んでいく。夜風を切りながら駆け抜ける「夜を抜け出して」では、フロア全体に充満する高揚感と相まって、バンドの演奏にさらに気持ちが乗ってくるのを感じる。佐藤が思わず"最高!"と叫んだのも痛快だった。その高揚感を携えたまま、「夜を抜け出して」のアンサー・ソング的立ち位置の「夜に捕まえて」に突入。降り注ぐメロディがあまりにもきれいで、この胸の高鳴り、幸福感にずっと浸っていたいと心底思った。

佐藤は"あのとき作った曲たちが、今もこのセットリストに組まれていることって奇跡みたいだなと思います"、"自分たちの曲を好きじゃなかったら、このツアーを回っていなかった。みんなが好きにさせてくれたんだと思う"と話し、このツアーで周ってきた全国8ヶ所のライヴハウス、ここにいる人々へ向けて感謝を伝える。そして"必死に歌います"と噛み締めるように言い、「ヨルノカタスミ」を歌い出した。koboreにとっての代表曲とも言えるこの曲。感情が溢れ出すような佐藤の歌唱、安藤のコーラスが胸に迫る。これに続くのが「ヨルヲムカエニ」というのもまた、胸を熱くさせた。そこからなだれ込んだ「テレキャスター」では、観客もバンドの想いに応えるように手を強く伸ばしていたのが印象的。"僕にとっての音楽でさ/あなた1人を笑わせたいんだ"という嘘偽りない想いを変わらずに歌い続けるkoboreだからこそ、心から信じてついていきたいとファンは思うのだろう。

続けて、うまくいかない日があっても、生きている今があるから幸せだと、今を大事に生きたいと強く伝える「幸せ」、"報われるかなんて分からない/でも頑張ってくいしばった日々がある"と肯定する「ダイヤモンド」、大事な人の顔が自然と脳裏に浮かぶ「君にとって」が演奏される。この流れは、曲の爆発力も凄まじく、押し寄せる感動に胸がいっぱいになった(思い出しただけでもグッときてしまう)。佐藤は、このツアーで改めて"次"はないってことを実感したと話す。だからこそ彼が言った"またね"という言葉は、これから日々を生きるなかで心にしっかりと持っておきたい約束のように思えた。ラストは「アケユクヨルニ」。4人は全身全霊で最後の力をぶつけるようにエモーショナルな演奏を届け、本編を締めくくった。

アンコールでは、「HEBEREKE」と「爆音の鳴る場所で」のアッパー・チューンを畳み掛け、O-EASTのボルテージは最高潮に。佐藤は最後にもう一度"またどこかで会おうな!"と叫び、言葉では言い尽くせない充実感に包まれるなか、完全燃焼で公演は終了した。

希望も不安も感じる春。きっと観客も様々な想いを抱えながら、ライヴに足を運んでいたと思うが、そんな人々の心を晴れ晴れとさせるような"春一番"を吹かせたkobore。時間はどんどん進んでいくし、時代はどんどん変わっていく。けれど、彼らが歌う日々の大切さや、必死になって生きることへの肯定、大事な人への想いは、これからもずっと変わらないだろう。この温かく小さな幸せを忘れないように、"また"koboreに会いに行きたい。


[Setlist]
1. 声
2. ボクタチノアシタ
3. ティーンエイジグラフィティー
4. スーパーソニック
5. ローカルから革命を
6. ワンルームメモリー
7. ミディオーカー
8. 涙のあと
9. ナイトワンダー
10. ミッドナイトブルー
11. 夜を抜け出して
12. 夜に捕まえて
13. ヨルノカタスミ
14. ヨルヲムカエニ
15. テレキャスター
16. 幸せ
17. ダイヤモンド
18. 君にとって
19. アケユクヨルニ
En1. HEBEREKE
En2. 爆音の鳴る場所で

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