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INTERVIEW

Japanese

ircle

2018年05月号掲載

ircle

Member:河内 健悟(Vo/Gt) 仲道 良(Gt/Cho) 伊井 宏介(Ba/Cho) ショウダケイト(Dr)

Interviewer:山口 智男

昨年9月、郷里の後輩バンド SIX LOUNGEと"地獄盤"と題したスプリットCDをリリースし、その後ライヴ・シーンの猛者たちと全国ツーマン・ツアーに挑んだircle。その彼らが前作『Copper Ravens』から1年4ヶ月ぶりとなるミニ・アルバム『CLASSIC』を完成させた。これまで以上にポジティヴ且つオープン・マインドになったことを思わせる全6曲がアピールするのは、バンドの新境地。常に自分たちをギリギリのところに追い込みながら戦ってきた印象もあるメンバー4人の心境も少しずつ変わってきたようだ。バンドは転機を迎えようとしている。ircleのこれからが楽しみだ。


新しいことをいっぱいできた感動プラス
"これをやるべきだったんだ"みたいな感動もあります


-新作、自分のことのように自慢したいと思えるぐらい良かったです。

河内:新しいことをいっぱいできたっていうのもあるんですけど、その感動プラス、もともとあったものというか、自分たちにしかなかったものに戻れたようなところもあるし、"やっとこういうことができた"、"これをやるべきだったんだ"みたいな感動もあります。

仲道:今まではわりと"自分たちの最新型を伝えるんだ"とか、"今の自分たちが立っている位置から一歩進みたい"とかっていう気持ちで前に進んできたんですけど、進んできた道のりってそんなに意識してなかったんです。でも今回は自分たちが歩いてきたものもひっくるめての作品になっているという自覚はあります。

河内:とは言いながら、結果的に、そういう作品になったんですけどね。だから、レコーディングが始まるまでは迷いは結構あって、"どう作っていこう?"、"どうまとめていこう?"っていう空気はあったと思うんですけど、エンジニアの兼重哲哉さんの意見も相まって、いい化学反応が生まれたのかな。根本にあったものを、逆に探ってくれる第三者がいたっていう感じがします。

ショウダ:やることは全然変わってないんですよ。ただ、今までがircle語だったというか、4人の共通言語で発信していたところに今回エンジニアさんが入って、ちゃんと他の人に伝わるように翻訳してくれたっていうか。だから、よりircleっていうものがちゃんと伝わるようになったのかな。実際、周りの反応もこれまでと全然違うんですよ。

-これまでのircleって、いい意味でリスナーを選ぶようなところがあったんじゃないかと思うんですよ。ただ今回は、さっき自分のことのように自慢したいと言ったように、誰彼構わずに"ircleっていうすごくいいバンドがいるんだよ"って吹聴したくなるような、これまでとは違う開かれた印象がありました。

河内:それは単純に内容だと思います。もちろん鍵盤が入っているからみたいなところもあると思うんですけど、単純に内容が誰にでも聴いてもらえるものなのかなっていう。歌詞がちゃんとJ-POPというか(笑)、一般層の人でも聴けるというか。

-そういう内容になったのは、なぜなんですか?

河内:難しく考えずに自然に湧いてきた曲をレコーディングできたからじゃないですかね。"こんな曲を作ってみようよ"っていうのもあるんですけど、搾り出したって感じではなくて、溢れ出てきたものをちゃんと4人でレコーディングできた。だから聴きやすいんです。開けたように聴こえる工夫は、もちろん兼重さんも"これの方がみんな聴きやすい"とか、"こういう音が入っていた方が開けた印象になる"とか、"この歌詞はもっとこういう言い方にした方が響くよ"とかアレンジしてくれて、僕らも"それやってみよう"って楽しくできたんですけど、でも、それはレコーディングの話。単純に内容としては溢れ出てきたものをぽんと入れたから、すごくまっすぐに聴こえるのかなっていう気はしてます。

伊井:今までの歌詞って、"お前"とか"俺は"とか、虚勢を張っていたところがあったのかもしれないですけど、今回そういうワードはあまりなくて。丸くなったわけではないんですけど、それが裸の河内なのかなって思いました。

-ircle語を共通言語にする作業として、具体的にはエンジニアさんとどんなことをしていったんですか?

仲道:わかりやすいところで言えば、上モノと言うか、バンドの音以外の音を入れたことですよね。今までだったら、4人の楽器でできる範囲でって感じだったんですけど、今回は、"ピアノを入れちゃおうよ"、"いいですね"って。その音が鳴ることによって、ヴォーカルの聴こえ方の印象がかなり変わるんですよ。

河内:ドラムを録る時点でも、なぁ?

ショウダ:そうだね。曲を可視化するというか、曲を聴いて映像が聴いた人の頭に流れるような音作りというか。ドラムもただただリズムを刻むツールで終わるのではなくて、ドラムって一番低い音と高い音を出せる楽器でもあるんで、それをどれだけ駆使して歌詞のイメージを映像化できるかってところまで、結構突っ込んでアプローチしました。例えば、踏切が出てきたら、ただリズムを刻むのではなく、ベルっぽい音を入れてみたりとか、わーって力強い言葉のときは、力強い低音を選んだりとか、それをするだけで歌詞の聴こえ方がかなり変わるんですよ。そういうことはこれまでもやれてたつもりだったんですけど、改めて"いや、伝わってないよ"って言ってもらえたんで、それがさっき言った翻訳ですよね。今回、鍵盤以外にもいろいろな音が入っているんですよ。カーテンの音とか――

仲道:「Sunday morning relight」の最初に"シャッ"って鳴る音はリアルにカーテンを閉める音なんです。

ショウダ:ドアを閉める音とか、水滴の音とかも全部リアルです(笑)。

-あぁ、それが"SoundScape"とクレジットされているやつなんですね。

河内:エンジニアさんの提案です。俺らじゃ浮かばないし、やろうとも思わない。