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INTERVIEW

Japanese

HOWL BE QUIET

2017年05月号掲載

HOWL BE QUIET

Member:竹縄 航太(Vo/Gt/Pf) 黒木 健志(Gt) 橋本 佳紀(Ba) 岩野 亨(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-HOWL BE QUIETの音楽は、海外的なテイストのあるオケとJ-POP的なメロディの掛け合わせ具合が絶妙なんですよね。「矛盾のおれ様」はオケは音色も含めUKのダンス・ミュージック・テイストですし、「My name is...(ALBUM Ver.)」(Track.5)の2番のAメロのギターの感じはTHE 1975っぽい。

黒木:あ~......なるほど。「My name is...」のギターってそう聞こえるんだ。音色にまで意識を向けてくれるのは嬉しいし、そういうふうに言ってもらったこと全部に対して"違う"と言いたい(笑)。

-あははは。"pre-HOLIC TOUR"の終演後に配られたメンバー手書きセットリストにも"今回のアルバムはギターがたくさん入る"と書いてありましたが、本当にそのとおりで。

黒木:アルバム制作に入る前から、ギターをたくさん入れたいとみんなにも言っていて。

竹縄:うん、言ってたね。

黒木:これまでギターを1本も入れていないアレンジも作ってきて(笑)。でも、去年から今年にかけてたくさんライヴをしたことで、"ギターってめっちゃ面白い楽器だな"と僕にギター・ブームがきて。

竹縄:バンド全体でそんな感じなんですよ。俺は"俺、ピアノ好き!"みたいな。

黒木:そうそう、バンド全体で生楽器ブームなんだよね。それを土台にどれだけ面白い音作りができるか? と考えていって。例えば「矛盾のおれ様」なら、UKのダンス・ミュージックだとシンセだけで終わらせるんですけど、そこにアコギを重ねて同じフレーズを弾いてみたり、エレキをちょっと入れてみたり。洋楽っぽいことをただやるのではなく、そういう音楽が好きな日本人が日本的な感性を入れて、それを外国の人が聴いて面白いじゃんと思ってもらえたらなと。ただ普通の音じゃない、というのは全曲意識しましたね。違和感があるというか。

-竹縄さんの作るメロディとコードに対して、海外の音楽のテイストは入れるけど、その真似事ではない音を作る。アレンジャーの手腕発揮ですね。面白そうだし楽しそう。

黒木:大雑把に、楽しいノリで作っていきました。はっしーと亨も、レコーディング当日にどんどんアレンジを変えていくというか。ほんと、ライヴ・リハをしながら曲を作ってレコーディングしてる感じだったんですよ。

岩野:そうだね。超楽しかった。

橋本:(黒木からの)音源をもらったあとに弾く内容を5~6割だけ決めて、あとはスタジオに行って"こういうのを考えてきたんだけど"、"こんな感じをイメージしてるんだけど、どう?"と弾いてみて、それに対して黒木が"もうちょっと攻めようよ"と言ってくれたりして......というふうにフレーズが決まっていく。弾いてたら黒木が"あ、いまの!"と言ってくれて、"いまのね、了解!"って感じで。そんなふうに亨と一緒に作ってましたね。亨はマシーンみたいに上手いから(笑)。

岩野:あははは(笑)。でも、今回は"正しくきれいな音で録る"という考えがあんまりなかったかな。クロが全曲アレンジをしてくれたぶん、完全に"こういう曲です"という状態で曲とはじめましてをするわけですよね。イチから作っていくわけではないから、曲のことをすごく客観的に見れたんです。

黒木:そうだね。それは大きいかも。

岩野:目の前にスーツの人が現れて、それに対して自分はどんな音を出そう? と考えるというか。だから毎回、クロから音が送られてくるのが楽しみでした。ひたすら音源を聴き込んで、"自分だったらこういうふうに叩くな"と思うことをたくさん用意しておいて、当日にスタジオで"せーのでやってみようか"と合わせる。"もっとバーンって感じで"とか"もっとボコボコして"、"もっとおもちゃ箱みたいにして"って、8年間くらいバンドをやってきて、やっと擬音やイメージで語れるようになったんです。それで、"じゃあこういうのはどう?"と新しい提案をして、みんなで楽しみながら音を作っていく。すごくクリエイティヴな場だったと思います。今回で"全員が楽しい作り方"みたいなフォーマットがひとつできた気がしますね。楽しかった。本当に楽しかった。

-それは何より。もともとHOWL BE QUIETはメンバー全員が竹縄さんの作る曲を愛していて、それが音作りをするうえで武器のひとつだったと思うんですけど、今回さらにイメージや擬音で意思疎通ができるようになっているということは、4人にさらに統一性が生まれているのかも。

竹縄:統一性のあるやり方はしてないんですよね、どう考えても。それが結果としてそうなっているなら嬉しいな。

黒木:4人でアレンジを作っているときよりバンド感が増しているとも思うんですよ。

竹縄:あー、わかるわかる。

黒木:各々がやるべきことがはっきりしているぶん、はっしーと亨ならベースとドラムに集中できる。だから、「ギブアンドテイク」はリズム隊がめちゃくちゃバキバキでかっこいい。そういう影響はすごく出たなと思っていて。

-自分のやるべきことだけに全力になれたことで、各々の色を濃く出すことができたということですね。

黒木:1を100にするのは、1があるぶんアイディアがたくさん出てくるんですよね。でも、0を1をするというのは本当に大変なことで――だから竹は本当に苦労していて。

竹縄:そうだねー......。今回は歌詞が大変で。歌いたいことや言いたいことは決まっていたけど、それをいかにサシ飲みの自然体の言葉でかっこつけずにできるか......というのを見つける旅がすごく長かった。恋愛と言えばバラード、みたいな定説が少なからず自分の中にもあって。アッパーでラヴ・ソングとか、もうわかんね~ってなってたけど(笑)、「ギブアンドテイク」はそれがうまくいってよかった。