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INTERVIEW

Japanese

HOWL BE QUIET

2016年12月号掲載

HOWL BE QUIET

Member:竹縄 航太(Vo/Gt/Pf)

Interviewer:沖 さやこ

-LIQUIDROOMで披露したときは、彼女との日々がもっと美しく切なく彩られていたけれど、このシングル曲として完成した歌詞はシニカルな要素や強がりが前面に出ていると感じました。失恋のバラードでありながら、言葉の言い回しも相まって感傷的というよりは前に進む印象がある曲だったんですよね。

あぁ、沖さんのおっしゃっている前の歌詞は、自分たちの恋愛をドラマや映画並みに美化した歌詞だったと思うんですけど、"こんなに美しい恋愛だったんですよ"と言うこと自体も皮肉だったんですよ。"あなたが振った男との恋愛は、こんなにも美しくて、こんなに素晴らしかったんですよ"というのを相手に間接的に、本能的に伝えたかったんです。

-へえぇ。あの美しさの理由は、感傷ではなく皮肉だったんだ。

そうなんです。でも最初の歌詞はその相手にだけ向ければいいなと思ったし、HOWL BE QUIETとして出す曲は、自分の感情だけでなく聴く人それぞれの感情とリンクしていくものだなと思ってるんですよ。そう考えたときに"この美しさは復讐や皮肉なのに、ただの美しいものとして取られたら怖いな"、"聴いた人が、竹縄航太はただただ美しい恋愛をしていたんだなと思ってほしくないな"とすごく思ったんです。そんなに美しくないし、ケンカもしたし、妬み、不安、恐怖......いろんなものを乗り越えられなかった人の歌ですから(笑)。それを"美しい失恋の曲"と捉えられたくなかった。当時のことや自分の感情をよりリアルに歌いたかったんです。そういう意味を込めてリライトしたんですよね。

-飾らず赤裸々に綴ったと。

前の歌詞は誰にでも当てはまりやすいし、匿名性も強かったと思うんですよね。それが自分にとって寂しくなっちゃったというか......"これ、俺の歌なんだよ!"と言いたくなった(笑)。でも"俺、こんな恋愛したんです!"という押しつけもなくて。ただただ自分の気持ちを吐露しただけの、さらに個人的な歌になったと思います。やっぱり、"清算"という言葉が合うのかも。今やっと清算できたんだと思いますね。

-時が経ったからこそ、書きなぐるように赤裸々に書けたのかもしれないですね。

それはあるかもしれない。過去の楽曲も、その子とのことを歌ったりもしてたんですけど、特別公言する必要もないし、聴いてくれる人の価値観のなかで聴いてくれればいいと思っていたし。これだけ赤裸々に書けたのは、その子と離れたからなのかなー......といま沖さんと喋っていて思いました。これだけさらけ出すことに関しては、いい意味で人からどう思われるかどうかをあまり気にしてなくて。いま自分たちがやりたいこと、歌いたいことを歌うのがベストだと思うので、そのなかで「サネカズラ」が選ばれたというのは、何らかの意味があることだとも思うし、自分もそれを歌いたいと思ったし。これをこの世に残しておきたいとも思ったから。

"ここまで自分を出していいんだ"というのは自分にとっても発見だった

-ちなみに、彼女は9月15日生まれだったんですか?(※サネカズラは9月15日の誕生花)

そうです(笑)。

-本当にリアルだ(笑)。HOWL BE QUIETのバラードは水晶みたいに透き通っていて美しいイメージがあったから、こういうバラードに等身大な言葉が乗るところが新鮮でした。メジャー3rdシングルというタイミングでこれだけソングライターが自分をさらけ出した楽曲を作れると、これからの音楽作りがやりやすいかも。

あ、それはちょっとありますね。このシングルでまたひとつ吹っ切れたなーと思うんです。最初のリスナーでもあるメンバーとスタッフがこの曲と歌詞にすごく反応してくれたので、それは自分にとって背中を押された部分でもあるし、"俺、ここまで自分を出していいんだ"というのは自分にとっても発見で。だから一歩進めた感じはありますね。本当にこのシングルがひとりでも多くの人に届いてくれることを願うばかりです。

-届くと思います。『サネカズラ』は表題曲のパワーだけでなく、「Higher Climber」がカップリングという贅沢仕様ですからなおさら(笑)。

この3曲に俺らはまったく優劣をつけていなくて、どれも自信を持っていますが、今回「Higher Climber」はカップリングという立ち位置に収まりました(笑)。「Higher Climber」はTVアニメ"DAYS"の2期のタイアップということで、そのストーリーに合わせて曲を書いていきました。原作にあたる漫画を読んでいて引っ掛かったワードが、主人公の柄本つくしの"最下層"だったんですよね。......俺はいつも"上"にいる感覚がまったくなくて、昇っていく感覚ばかりがある。だから"最下層"という感覚も、そこからどう上がっていこうか? という感覚もすごくわかる。そこが原作とリンクしたので、自分の気持ちと通じ合わせて一気にバッと書けました。この曲も結構赤裸々ですね。

-特に2番からが。"こうやって歌っていたってさ/もうどうしようもなく不安になる"などなど......。"「他人の気も知らないで 勝手に言わないで バカにしないで」"なんて言われました?

言われないから不安なんですよ(笑)。言われたら言われたで受け止められるんですけど、想像は膨らむばかりだし。やっぱり結果が出ないと不安というものは消えないと思うんですよ。基本的に俺はその渦中なので、この2番を書き始めたときによりそう思っていたんだと思います。「MONSTER WORLD」も「Wake We Up」もアッパー・チューンじゃないですか。ああいうアッパー・チューンに対してのアンチもいるわけですよ。そういうものも風の噂で耳に入ってきて、自分の中でうごめく感情があって、そういう歌詞が出てきたんだと思うし。でも勝手だなーとも思うんですよね。こっちも勝手にやってるし、聴く人がどう思うかも勝手だから、だったら俺は俺の勝手でやろうと素直に思うし。その気持ちはこの曲全体に表れていると思います。やっぱり歌詞は"俺はこう思っている"という掲示でしかないから。

-自分に言い聞かせている言葉が並ぶのも、竹縄さんの歌詞の特徴ですからね。

どの曲でも結局自分に言ってることが多いですね(笑)。「Wake We Up」は"自分"を"君"に見立てて話すことができたんですけど、誰かに対して"お前はこうしろよ"とはなかなか言えないし、上からものを言えるような性格でもないし。