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INTERVIEW

Japanese

そこに鳴る

2015年03月号掲載

そこに鳴る

Member:鈴木 重厚(Gt/Vo) 藤原 美咲(Ba/Vo)

Interviewer:山口 智男

-オリジナルを作り始めたときは、やはり時雨のような曲を目指していたんですか?

鈴木:いえ、そういうのは一切なかったんですけど、自分の価値基準が時雨と言うか、いいもの=時雨っぽいという価値基準があると言うか、だからいいものを作ろうとすると、自然と時雨っぽくなっちゃうというのはありましたね。最初のころなんて、スタジオでレコーディングしたラフ・ミックスを聴いていたら、たまたまコントロール・ルームのドアが開いていて、外に丸聞こえだったんです。そしたらスタジオのお客さんが"時雨のパクリだ"って言ってて、すごく傷ついたことがありました(笑)。

-自分たちのオリジナリティが確立できたと思えるようになったのはオリジナル曲を作り始めてどれぐらい経ってからだったんですか?

鈴木:2013年の半ばぐらいだから、2年ぐらいですね。

藤原:3rdデモCDに入っている「pirolin」っていう曲から、今の私たちの代名詞ってわけではないんですけど、ピロピロ(タッピング奏法)するっていうことを曲の前面に押し出したんですよ。そこから最近の曲のスタイルに向かっていったと思います。

鈴木:普通、伴奏があってギター・ソロでピロピロすると思うんですけど、そういうのをほったらかしてでもふたりでピロピロしちゃうみたいなことを、その3rdデモCDからやり始めたら意外にウケて、"それがいいなら、じゃあやります"みたいな感じですね。時雨はクールでシリアスな感じだと思うんですけど、僕らの場合、もっとアホなことをやって、"何やってんの!?アホちゃう?"みたいなことを3人でやるっていう方向性が向いてるのかなと、そのころから思い始めました。

藤原:3rdデモCDに入っている「6月の戦争」って曲があって、曲中でギターとベースがタッピングするところがあるんですけど、絶対、ベースはタッピングせんでいいんですよ(笑)。普通に考えれば、ルートを弾いておけばいいところなんですけど、そういう過剰さと言うか、"やりすぎ感"が面白さに繋がるんじゃないかって。もともと、曲を聴きながら笑ってもらえたらうれしいというのがあったんですけど、それを明確に示せるようになったのがその3rdデモCDだったんです。

-今回、初の全国流通盤をリリースする心境は?

藤原:楽しみでもある反面、不安もあります。

鈴木:不安でしかないです。もともと、今回リリースする音源は去年の10月にレコーディングしたんですけど、いろいろなところに送って、何の反応もなかったらバンドやめようっていうものだったんですよ。

-じゃあ、相当気合が入っていたんじゃないですか?

鈴木:最後のあがきですね。

藤原:もしバンドをやめて就職することになっても、"できることは全部やった、悔いはない"と思えるものにしようと思って、今までの曲の中で1番いい曲を用意しました。

-レコーディングするにあたってはアレンジも練り直したんですか?

鈴木:そんなに変わってないです。曲作りは僕がギターとベースと歌をラフで作って、そのとき、僕がベストだと思ったものをメールで送るんですよ。その段階でドラム以外のアレンジはほぼできている。そこにプラス、ドラムが乗っかるんですけど、僕が考えるより竹村が考えたほうがいいものになるんです。

藤原:ドラムは"そう来たか!"というアレンジがすごくあります。

鈴木:たとえば、今回の1曲目の「pirorhythm stabilizer ~only your world~」のBメロって、ディストーションをかけたギターがジャーン、ジャーンってバッキングで鳴ってるんですよ。それなのにドラムがドドタ・ドドタ・ドドタ・ドタドタとやってて、なんで!?って。"いや、歌のリズムに合わせたんですけど"って言われて、いや、そっちちゃうやろって(笑)。だから、僕らの曲がテクニカルに聴こえるのはたぶん7割ぐらいドラムのせいです。曲芸してますからね(笑)。同じことは2度やらないがモットーで、"この曲で使ったフレーズはもう二度と使わん"って、僕らドラマーじゃないんでわからないですけど、簡単そうに見えて難しいことをやっているみたいですね。