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INTERVIEW

Japanese

SEBASTIAN X

2014年11月号掲載

SEBASTIAN X

Member:永原 真夏(Vo)

Interviewer:天野 史彬

-『SUPER GOOD』の中には「ホームレス銀河」や「泣かないでジュピター」という曲があって、言葉の中に宇宙的なモチーフが多く出てくるんですよね。ここが「ラブレターフロム地球」と重なるなって。

そうですね。"宇宙"とか"銀河"っていうのは自分の中で永遠のテーマとしてあって。だって、実際なう、なうも宇宙にいるわけじゃないですか(笑)。でも、それが感覚としてまったく理解できないんですよね。そんなわけないじゃんって思うし、ここエイベックスだし(笑)。でも、理屈で言うとエイベックスも宇宙と繋がっているというか、宇宙の中のエイベックスなんですよ(笑)。それはもう100パーセント事実で。だけどそれがわからないんですよね。それをどんどんどんどん細かく考えていくと、"私、いつ生まれた?"っていうところにまで繋がっていってしまって。小さいころ、みんな考えるじゃないですか。"自分はどこから来たの?"って親に聞いたり。その感覚が消えないまま残っているっていう、すごい単純なことなんですね。子供の頃に疑問に思ったことが、大人になっても残り続けている。だから大人になっても、男と女に関しても細かく考えてしまうし、帰る場所に関しても、ずーっとその疑問がつきまとってしまうし......っていう感覚ですね。

-なるほど。永原さんの中にあるその"宇宙観"のようなものが、音沙汰にしろ「ラブレターフロム地球」にしろ、このタイミングで明確に形になっているのはすごく象徴的な気がするんですよね。より根源的で大きな問題意識が表現の中に出始めてる。だからある意味、「ラブレターフロム地球」は、音楽で景色を描いていこうっていうSEBASTIAN Xの新しいモードの先駆けであり、そこに行き着くまでの過程の曲とも捉えることができるのかなって思うんですよ。

たしかに過程とも言えますね。この曲は春告で歌ったときとは歌詞を変えてるんですけど、あんまり断言してないと思うんですね。ただただ悩みを表現してるというか。"なんだろうな?なんだろうな?"って思ってる主人公を延々と書き続けてる。その"なんだろうな?"っていう雰囲気を(聴き手と)共有するのってすごく難しいので、逆に、風景を表現したいっていう発想に救われて出口が見えてきた部分もありますね。

-そしてリード・トラックの「イェーイ」なんですけど。今回は作品タイトルも『イェーイ』で、このネーミングこそが今のSEBASTIAN Xが表現したいものを象徴してるのかなって思うんですね。"イェーイ"って、全然具体性のない言葉じゃないですか。意味がわからないし、歌ってても別に歌詞カードに書かない人のほうが多いだろうし。そういう言葉を、ここまで前面に打ち出す人もあまりいないと思うんですよ(笑)。

あはははは! たしかに、別に歌詞カードに書かなくてもいいかも(笑)。初めて気づいた(笑)。

-ただ、今の永原さんの中で、こういう具体性のない言葉を打ち出さなきゃいけなかったっていうことなんだと思うんですよね。

いや、たしかに"イェーイ"はデカい。「イェーイ」はすごく大事な曲で、この曲を作り上げていく過程で手応えとしてデカかったのは、今回はミトさん(クラムボン)にプロデューサーとして入ってもらったり、PVは島田大介さんという映像作家さんにお願いしたり、いろんなかたと関わる機会があったんですけど、音にしても映像にしても、どんどん主人公が開いていくというテーマは全員に伝わったんですよ。別にミトさんに対して"これは主人公が開いていく感じだから、そういうテイクを使って"とも言わなかったし、島田さんにもストーリーを説明する機会はなかったんです。でも、曲冒頭に出てくる"イェーイ"で、ミトさんも島田さんも、1番暗い"イェーイ"と1番暗いカットを選んだんですよ。"イェーイ"って言ってると、一見、明るいイメージを思い浮かべるじゃないですか。でも、ちゃんと暗い"イェーイ"から始まって、開かれた"イェーイ"に変わっていくまでのグラデーションが伝わったんです。"イェーイ"って、大学の新歓かよっていうような単語だけど(笑)、ものすごくいろんなグラデーションがあって。私はそのグラデーションこそが表現だと思ってるんです。この曲の中で"イェーイ"は全部で3回出てくるんですけど、全部発声のコントラストが違うんですね。それがちゃんと伝わったっていうことは、この意味のない言葉が象徴になったのかもしれないですね。

-おそらく、この曲、あるいはこの作品自体にもっと具体的/説明的なタイトルをつけようと思えばできると思うんですよ。でも、それじゃダメなんですよね。

そう、つけようと思えばできると思うんですよ。最初は私も、超説明臭いやつをいっぱい考えてたんですけど(笑)、スタッフもメンバーも"ま、まぁ、いいんじゃない?"みたいな空気で。"あれ、これじゃないのかな?"って思って。そもそも、仮歌のときのタイトルが「イェーイ」だったんですよ。で、みんなも「イェーイ」って呼んでたし、それだったらもう「イェーイ」でよくない?って。それで決めました。......でも、メジャーの1stですよ(笑)? ほんとはバンバンカッコつけたいのに......「イェーイ」ってつけるのは多少なりとも勇気のいることでした(笑)。でも、「イェーイ」は象徴だなって思います。今話してて、ほんとそう思いました。