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INTERVIEW

Japanese

フラワーカンパニーズ

2013年01月号掲載

フラワーカンパニーズ

Member:鈴木 圭介 (Vo) グレートマエカワ (Ba)

Interviewer:天野 史彬


-その低温の日常感、無力感を抱えてるのって、きっと鈴木さんだけじゃなくて。<ハッピーじゃない ラッキーじゃない>っていう歌詞は、たぶん今の日本に暮らす多くの人々に通じる感覚だと思うんです。ただ「ビューティフルドリーマー」はその上で、<夢の匂いなら少し覚えてる>って歌ってて。これは決して大仰ではない、地に足の着いた“夢”に対する思いですよね。

鈴木:誰もが完全に絶望してるわけではなくて。ただ、今は、全体的に夢のレベルが下がってるのかもしれない。夢のレベルが現実に近くなったというか。俺らが小学校ぐらいの頃より、今の子供たちのほうが現実的だと思うもん。

グレート:確かに、昔はパイロットになりたいとか野球選手になりたいっていう感じだったけど、今は手に職をつけるために、職人とか大工さんになりたいって言うのが多いらしいね。俺らの職種でもよく聞くのは、今の20代くらいの音楽やってる子たちは、メジャーに行きたいとか、プロになりたいっていう人が明らかに少ないと。そんなこと言ってもどうせダメになるだけだからって。みんな上手いんだけど、楽しいからやるっていうぐらいで。

鈴木:成り上がり的な発想はないよね。僕らも年齢的にもいろいろわかってきちゃってるし(笑)。もう大金持ちにはなれねえとか、東京に家持てねえっていうのは、わかってる。賃貸のままでいいし、もしかしたら、孤独死でもいいんじゃないかって……。

-いやいやいや!

グレート:寂しい話やなぁ(笑)。

鈴木:でも、悪いように聞こえるけど、自分で孤独死を選ぶんだったら、幸せかもしれない。医者の人が本で書いてたんだよ、“孤独死ほど幸せな死に方はない”って! ゆっくり餓死していくというか(笑)。ちょっとずつ痩せ細っていくのは、選択肢としてありなんじゃないかって。

-最終的に餓死するのはどうかと思いますが(笑)、ただ、あまりに不確かな理想を求め過ぎたり、野心に振り回されるより、そっと小さな夢を抱えていくぐらいのスタンスが、特に今の日本には必要な時なのかなって思いますね。いろんなものを減らしていく覚悟も必要というか。

グレート:そういうこと。豊かになりすぎた結果、こういうことになってるんだから。いきなりは無理かもしれないけど、ゆっくりと変わっていくことが必要だと思う。

-そういう意味では、カップリングの「心の氷」も「ビューティフルドリーマー」と同じようにドライな目線の上で、<生きてるんだろ? 生きてくんだろ?>っていう確かな思いを歌ってますよね。

鈴木:「心の氷」はね、実は『ハッピーエンド』のアルバム用に作ってて、結局漏れた歌なんですけど、震災前に唯一できてた曲なんです。でもライヴでは2~3回やっていて。『ハッピーエンド』を出す前にホームページでトラックリストを発表した時に、お客さんから“あの曲(「心の氷」)は入らないんですか?”って言われたんですよね。2~3回しかライヴでやってない曲を、よく覚えてんなあと思って。じゃあ、いい曲だったのかなって。

グレート:このブレ(笑)。でも、元々いい曲だから、いつかは入れられるといいねって言ってて。長い間ほっといたら、そのまま忘れてボツになっちゃうことが多いんだけど、今回はカップリングで早めに出そうよって。そしたら結果として、「ビューティフルドリーマー」と凄く合ってて。だから、震災以降と震災前で変わったと言えども、鈴木の歌とか、アウトプットするものはブレてないなっていうことも今回わかりましたね。

-わかりました。これから『ハッピーエンド』のツアーもこなしていく中で見えてくるものもあるのかなって思いますが、最後に、今後の展望を教えてください。

グレート:曲作りたいね。今、面白いことできるなっていうのがあるから。まだまだツアー中だけど、スタジオ入って曲作りたい。もちろん、ライヴはライヴでよくなっていくとは思うんだけど、それは当たり前で。今は、曲を作る楽しみをレコーディング込みで、今までと違う形で感じられてて。そういう曲作りの部分が2013年は今までと変わってきそうだから、そこが楽しみですね。