Japanese
フラワーカンパニーズ
Skream! マガジン 2016年02月号掲載
2015.12.19 @日本武道館
Writer 岡本 貴之
開催発表から10ヶ月、待ちに待ったフラワーカンパニーズ初の日本武道館ワンマン・ライヴ"フラカンの日本武道館~生きててよかった、そんな夜はココだ!~"が12月19日(土)に開催された。日本全国から集まったファンのみならず、バンドマンたちがこぞって彼らの雄姿を見届けようと足を運ぶことを自分たちのライヴやSNSで公言するなど、2015年の日本ロック界最大のお祭りともいえるこのライヴ、チケットは前売り・当日ともにソールド・アウト。場内はステージ・サイドの見切れ席、スタンド席最上段までぎっしりと埋まっていた。
開演前、"本日はご来場ありがとうございます"とアナウンスが始まっただけで、早くも大盛り上がり。"まだですよ?"と観客を制しつつカミまくりながら注意事項を読み上げ、場内を和ませたこのアナウンス、どうやらうつみようこによるものだったようだ。オープニングSEに乗ってフラカンのメンバーがステージへ登場すると、会場中が大声援で迎えた。
"武道館ー! 行きますよー!?"と鈴木圭介(Vo)が叫んで、ライヴは最新ミニ・アルバム『夢のおかわり』から「消えぞこない」でスタート。リーダーのグレートマエカワ(Ba)のオーバーオールはスペシャル仕様の銀のスパンコール! まるでミラーボールのように、照明の当たり具合で客席に光を反射させている。いつものようにSGを抱えた竹安堅一(Gt)はシャツとベスト姿、ミスター小西(Dr)は通常営業の赤いツナギ姿だ。続いて「恋をしましょう」のタイトルが告げられると、ドッと沸く武道館。ヴォーカル・モニターに上がって煽りながらサビを歌う鈴木に、一斉に右手を振って応える観客たち。その横でにぎやかにステップを踏みながらベースを弾くマエカワ。この大舞台でまったく気負いがないように見えるのは、"メンバー・チェンジ、活動休止一切なし"で結成26周年を越えたロック・バンドの実力があるからだ。
"おーい武道館! 元気~!? 今日はありがとうございます!"とMCで鈴木が感謝を伝えると、マエカワも"たくさん入ってるね! こんなに入ると思ってた人いないと思うよ!?"と武道館の客席を見渡す。"特別なことはなく普段通り"という鈴木の言葉と共に、「脳内百景」、「ビューティフルドリーマー」など、ライヴは普段通りのフラカンらしく進んで行く。もちろんMCでは鈴木とマエカワを中心とした爆笑トークが繰り広げられた。中盤のハイライトとなったのが「夢の列車」だ。鈴木のハープ、竹安のスライド・ギター、マエカワの歌い出しから始まったドラマチックなこの曲で、武道館は静まり返って演奏に聴き入った。特に間奏での竹安のアコースティック・ギターによる熱のこもった長尺のソロは迫力があり、曲が終わると拍手が鳴り止まなかったほどだ。
ステージの照明がパッと明るくなり「発熱の男」から「吐きたくなるほど愛されたい」へ。続けて「深夜高速」のイントロが鳴ると、歌詞が武道館ライヴのタイトルに使われている代表曲だけに"おぉっ!? ここで!?"と言わんばかりにどよめきが起こった。グッと噛み締めるように聴き入っているお客さんの姿もアリーナのあちこちで見られた。MCを挟みマエカワがアコギに持ち替えイントロを奏で小西がパーカッションを叩き「春色の道」が始まった。途中バンド・サウンドに戻って演奏。ポジティヴな歌詞と熱くも清涼感のあるメロディが心に沁みる名曲だ。
メンバー紹介では、それぞれが武道館ライヴを迎えた心境をコメント。竹安は客席が良く見えるように眼鏡を新調したとのこと。小西はライヴが決定して以降、フラカンは4人だけのものじゃなくスタッフやお客さんも含めてフラカンなんだと感じたという。マエカワは怒髪天から受け渡されたバトンを手にMC"次に武道館のステージに立つ仲間に渡したい"と、ザ・コレクターズやTheピーズ、TOMOVSKYらの名を挙げた。そして改めて"4人揃ってフラワーカンパニーズ!"とライヴは後半戦へ突入。「チェスト」、「俺たちハタチ族」、「終わらないツアー」と続け、"最後にもう一発行けますか~!?"と鈴木が叫ぶとひと際盛り上がる観客たち。「真冬の盆踊り」だ。武道館中に広がるヨサホイはまさに壮観! 最高の多幸感を残して、ステージを降りるメンバーたち。
アンコールの声に呼びこまれた4人は「夜明け」、「ロックンロール」、「孤高の英雄」を演奏すると、再度下がり、改めてステージへ。マエカワがクリスマスツリー仕様のオーバーオールに着替えてステージへ。竹安のギターに合わせて「きよしこの夜」を観客が大合唱&大爆笑。久々に披露の「白眼充血絶叫楽団」で沸騰すると、「NUDE CORE ROCK'N'ROLL」では天井から金テープが客席に舞い降りる演出でさらに盛り上がる。そして、この日3度目のアンコールの声にステージに上がった4人(マエカワはノーマルなオーバーオールで登場)が演奏したのは、「東京タワー」。胸に迫る熱演に、会場中の観客が腕を突き上げて"HEY HEY HO"と叫んだ。そしてラストは「サヨナラBABY」で締めくくられた。"来年も、再来年も、10年、20年、30年先までやります!"と宣言した鈴木。エンディングは4人が手を繋ぎ客席に深々と礼をして万雷の拍手の中、ステージをあとにした。まさに"生きててよかった"瞬間がそこにあったフラカンの武道館ライヴ。愛すべきロック・ミュージシャンとロック・ファンが集う場としての日本武道館という会場の素晴らしさ、そしてフラワーカンパニーズのライヴ・バンドとしてのたくましさと魅力を改めて全身で感じることができた。この日のような光景を、2016年以降も見続けていたい。
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